アクセス解析とは?導入メリットやWEBサイト改善への役立て方など解説
アクセス解析は、WEBサイト運営においてもっとも重要な業務の1つです。2024年のW3techsの発表では、Google アナリティクス(GA)だけでも、全WEBサイトの48.7%が導入していると報告しています。
このようなツールを活用することで、訪問者の行動を的確に把握し、ユーザー体験を向上させることができます。また、マーケティング施策の効果測定やターゲット分析をおこなうことで、売上に直結する施策も検討できます。
アクセス解析の概要
アクセス解析とは、WEBサイトへ訪問したユーザー行動などを分析することです。具体的には、WEBサイトへのアクセス状況や流入経路、コンバージョン数といったデータを収集・分析し、WEBサイトの改善や目標達成に役立てます。マーケティングおこなう際には、WEBサイトを現状把握する必要があるため、マーケターにとって必須業務の1つといえます。
参考ページ:What is Web Analytics? Definition, Examples, & Tools – Amplitude
アクセス解析をおこなうメリット
アクセス解析をおこなう最大のメリットは、データドリブンな意思決定ができることです。データドリブンとは、直感や経験だけに頼らず、データに基づいて意思決定をおこなうアプローチのことです。ユーザーの行動やニーズを数字で把握することで、効果的な施策を立てることができます。
例えば、WEBサイトの離脱率が高いといったデータがあれば、コンテンツがユーザーにマッチしていないと推測できるため、改善すべきポイントも明確になります。データを活用することで主観が入る余地を減らし、効果的な意思決定をおこない、結果としてマーケティング施策の成功確度を高めることができます。
参考ページ:データドリブンとは?概要やメリット、実践プロセスなど解説
アクセス解析をおこなうべき人
アクセス解析は、WEBサイト運営に携わるさまざまな職種の人にとって重要です。そこで、特にアクセス解析を活用すべき職種を具体例として挙げ、それぞれにおける重要性や活用のメリットを詳しく解説します。
SEO担当者
SEO担当者はアクセス解析を利用し、WEBサイトの検索エンジン最適化(SEO)の効果を測定することが必要です。アクセス解析ツールを用いることで、どのキーワードで検索したユーザーがWEBサイトに訪れているのか、どのページが検索エンジンから多くのトラフィックを獲得しているかといったデータを把握できます。
さらに、GA4やヒートマップツールなどと組み合わせ、WEBサイトでのユーザー行動を詳細に分析し、検索エンジンのランキング向上に役立てます。
参考ページ:【2025年最新】SEOとは?AI時代のSEO対策完全ガイド~企業担当者向け~
コピーライター
コピーライターは、アクセス解析を使ってコンバージョン改善をおこないます。例えば、アクセス解析ツールで特定のページの滞在時間や直帰率、精読率などを分析し、ユーザーがそのページのコピーに興味を持っているか判断します。
さまざまなデータに基づいて、 より効果的な表現や構成、キーワードの選定などをおこない、ユーザーの心を動かす魅力的なコピーの作成につなげます。
WEB広告運用者
WEB広告運用者はアクセス解析をおこない、どの広告が多くのユーザーをWEBサイトに誘導し、コンバージョンにつながっているかを把握します。データをもとに、広告のターゲットやランディングページの内容を最適化し、費用対効果がより高くなるよう広告運用をおこないます。
参考ページ:WEB広告とは?費用相場のメリットデメリットと効果的な使い方を解説
データアナリスト
データアナリストとは、データを収集・分析してパターンや傾向を見つけ出し、それを基に業務改善や意思決定のための提案をおこなう専門家です。データアナリストは、アクセス解析ツールからえられる、ユーザーの属性、サイト内行動、コンバージョン経路といった情報をもとに、WEBサイトの現状を把握。その後、WEBマーケティング全体の戦略を検討したり、改善ポイントを特定する業務をおこないます。
アクセス解析を使って分かること
アクセス解析は、WEBサイトのパフォーマンスを向上させるのに欠かせないツールですが、具体的にどのようなデータが分かるのでしょうか。もちろん、ツールによって把握できるデータは異なりますが、ここでは主なものをとりあげ解説します。
ユーザー行動
訪問者がWEBサイトでどのような行動をとっているのかが分かります。例えば、どのページにアクセスしているか、どのくらいの時間滞在しているか、自社WEBサイトへの流入元がどこかといったデータを表示します。これらの情報は、WEBサイトのコンテンツやデザイン、ナビゲーションの改善などに役立ちます。
WEBサイトのパフォーマンス測定
トラフィックやコンバージョン率、直帰率、離脱率などの指標を計測できます。 これらの指標を分析すれば、WEBサイトの効果を評価し、改善すべき箇所を特定できます。 例えば、特定のページの直帰率が高い場合は、そのページのコンテンツやデザインを見直す必要があるかもしれません。
マーケティングキャンペーンの効果測定
さまざまなマーケティングキャンペーンの効果をアクセス解析で測定できます。 例えば、どのキャンペーンがもっとも多くのトラフィックをもたらしているか、どの広告が多くのコンバージョンにつながっているかといったデータを追跡できます。 これらの情報にもとづいて、マーケティング予算を最適化するなどの施策をとります。
アクセス解析でWEBサイトの改善をおこなう手順
アクセス解析を活用すれば、WEBサイトの課題を特定し、改善に役立つ具体的な施策を実行できます。ここでは、目標設定からデータ分析、対策の実施まで、アクセス解析を使った効果的な改善手順をわかりやすく解説します。
1.目標設定
まず、WEBサイトを通じて達成したい目標を明確に設定します。目標は具体的で測定可能であることが重要です。例えば、「WEBサイトへのアクセス数を3ヶ月で500以上増やす」「商品の購入数を6ヶ月で2倍にする」「問い合わせ数を1年で2倍にする」といった目標を設定します。
アクセス解析では、WEBサイトへのトラフィック数、ユーザー行動、コンバージョン数、離脱率などを把握できますが、自社の目標にとって何が重要な指標なのかを決定します。
2.アクセス解析ツールの実装
WEBサイトにアクセス解析ツールを導入します。代表的なツールとしては、Google Analytics が挙げられます。 Google Analytics は無料で利用できるツールでありながら、豊富な機能を備えています。
その他にも、WordPressと相性の良いMatomoや、高機能ツールとして有名なAdobe Analyticsなどがあります。これらを実装すれば、WEBサイトへのアクセス状況やユーザー行動に関するデータなど、改善策を検討するのに必要なデータを収集できます。
3.データの収集と分析
設定した目標に関連するデータを収集し、分析します。例えば、「WEBサイトへのアクセス数を増やす」という目標を設定した場合、アクセス数、流入経路、直帰率などの指標を分析します。
4.改善策の実施
分析結果にもとづいて、WEBサイトの改善策を実施します。例えば、あるページの直帰率が高い場合は、そのページのデザインやコンテンツを見直し、ユーザーがより長く滞在し、次の行動を起こしやすいよう改善します。
具体的な改善策はえられたデータによって判断が変わりますが、例としては次のようなものが挙げられます。
- コンテンツの改善: 見出しや段落構成の見直し、画像や動画の活用など
- デザインの改善: ユーザーインターフェースの改善、ナビゲーションの最適化など
- エンゲージメント改善: タイトルやサブタイトルの変更、内部リンク構造の改善など
- マーケティング施策: SEO強化、広告配信、ソーシャルメディアキャンペーンなど
おすすめのアクセス解析
どのアクセス解析ツールを選ぶかで収集できるデータが異なります。WEBマーケティングの目的に応じて、適切なものを選択してください。ここでは、代表的なアクセス解析ツールを紹介します。
Google Analytics(GA)
Google Analytics(GA)は、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールです。WEBサイトへのトラフィック、ユーザー行動、コンバージョンなどを詳細に分析することができます。GAはWEBサイトの現状を把握し、改善点を見つけるための強力なツールとして、世界中の多くの企業や個人に利用されています。しかし、複雑なデータ分析には専門知識が必要となる場合があります。
参考ページ:Googleアナリティクス4とは?導入方法や初期設定・基本的な機能の使い方を解説
Microsoft Clarity
Microsoft Clarityは、Microsoftが提供する無料のアクセス解析ツールです。WEBサイトにトラッキングコードを埋め込むことで、ユーザーの行動をヒートマップやセッション記録などで視覚的に分析することができます。Clarityは、ユーザーがWEBサイトのどこをクリックしているか、どこまでスクロールしているか、どこで離脱しているかなどを把握し、コンバージョン率の向上に役立ちます。
参考ページ:Microsoft Clarity導入ガイド!機能やWEBサイト改善法など紹介
Adobe Analytics
Adobe Analyticsは、WEBサイトのトラフィックやユーザー行動を分析するためのアクセス解析ツールです。クリックマッピング、セグメンテーション、ビッグデータ機能などを備えており、機械学習と人工知能(AI)を組み合わせることで、顧客体験を向上させる予測インテリジェンスという高度な機能を活用できます。特に、大規模な企業や、詳細な分析を求める企業に適しています。
アクセス解析を使う際の注意点
アクセス解析は、適切に使えばWEBサイト改善に大いに役立つツールです。しかし、データの解釈ミスやプライバシー保護など、いくつか注意すべき点があります。そこで、アクセス解析を正しく活用するためのポイントを取りあげ解説します。
データの解釈
アクセス解析ツールは数値データを表示しますが、その数値が何を意味するのか、なぜその数値になったのかを深く考える必要があります。
例えば、あるページの直帰率が高いからといって、必ずしもそのページに問題があるとは限りません。ユーザーの求める情報が的確にまとめられていて、すぐに目的を達成できた場合も、直帰率は高くなる可能性があるからです。このように、数値の背後にあるユーザー行動や心理まで含めて検証することが重要です。
目標との関連性
アクセス解析でえるデータは、設定した目標との関連性がある必要があります。目標達成に役立たない指標ばかりを追いかけても意味がありません。例えば「商品の購入数を増やす」という目標を設定しているにも関わらず、コンバージョン数が計測できていないなら、他のデータをいくらえても改善を図ることは困難です。
データのプライバシー
ユーザーのプライバシーを尊重し、個人情報保護法などの法規を遵守する必要があります。WEBサイトにアクセス解析ツールを導入する際には、プライバシーポリシーを明確に示し、ユーザーの同意をえるようにしてください。
よくある質問(Q&A)
ここでは、アクセス解析のよくある質問について取りあげ解説します。WEBサイトを改善するにあたり、アクセス解析からえられたデータを分析することは、もっとも重要な業務の1つです。細かな点まで把握してください。
Q:アクセス数が突然減少した場合の原因は?
Answer)アクセス数が減少する原因には、技術的な問題や外部要因などが考えられます。例えば、技術的な問題としては、トラッキングコードの設定ミス、サーバーダウンなどが挙げられます。また、外部要因としては、Googleのアルゴリズム変更による検索順位の低下や、トレンドの変化による需要の減少などが考えられます。アクセス数が減少した際は、Google Analyticsなどでエラーの有無や流入元の変化などを検証し、必要に応じてSEOの改善や技術的な修正をおこなってください。
Q:ユーザーエンゲージメント率を改善するには?
Answer)ユーザーエンゲージメント率を改善するためのもっとも重要なことは、ユーザーのニーズを深く理解することです。そして、それに応じた価値あるコンテンツを提供します。また、ページの読み込み速度を最適化したり、直感的でモバイルフレンドリーなデザインにするなどの施策も重要です。
参考ページ:エンゲージメントとは?SNS運用におけるポイントと注意点を解説
Q:アクセス解析を2つ以上、設置しても大丈夫ですか?
Answer)2つ以上のアクセス解析を導入しても問題ありません。複数のツールを活用することで、多角的なデータ分析がおこなえます。ただし、トラッキングコードを多く設置すると、ページの読み込み速度が遅くなる可能性があるため、GTM(Googleタグマネジャー)などの利用も検討してください。
参考ページ:GTM(Googleタグマネージャー)とは?導入するメリットと導入方法を解説
Q:Google AnalyticsはどのようなWEBサイトに向いていますか?
Answer)基本的にはどのようなタイプのWEBサイトにも対応していますが、特に商品やサービスを販売するECサイトや、コンテンツが多いメディアサイトなどに効果的です。記事の閲覧数や滞在時間を把握することで、ユーザーがどのようなページに興味を持っているかを分析し、マーケティング戦略の改善に役立てられます。
まとめ