YouTube SEOとは?YOUTUBEのSEOについて解説
一般的には、SEOといえばGoogle検索エンジン対策のことと認知されています。ただし、そもそもSEOは検索エンジン最適化を指すので、その対象はGoogle検索エンジンに限りません。
一方、昨今では、動画コンテンツとしてYouTube(ユーチューブ)の利用ユーザーが増えています。そこで注目を浴びているのが、YouTube SEOという施策です。YouTube SEOを取り入れることで、YouTube動画の再生数を増やせます。
YouTube SEOとは
YouTube SEOとは、YouTube上のオーガニック検索結果に上位表示するための施策のことです。YouTube SEOを施策することで、YouTubeにアップロードした動画の再生数が伸びるといった利点があります。
さらに、YouTubeはGoogle社の傘下にあたる動画共有サービスですから、Google検索エンジンとの連動性が高い点が特徴としてあります。そのため、YouTube動画はGoogle検索エンジンの検索結果に表示される機会が多く、流入経路の確保といった面で副産物があります。
Google検索とYouTube検索の違い
両者ともに、キーワードを入力して求めているコンテンツを探すという手段の面では共通しています。ただし、Google検索とYouTube検索は、検索プラットフォームと検索対象といった点が異なります。
また両者では、検索結果のページをクリック後のアクションも異なります。前者では、WEBサイトを訪れても欲しい情報がなければ、ブラウザバックして別の記事を閲覧することが多々あります。その一方で、後者は、開いた動画ページの関連動画のなかから視聴したいものを選択するユーザーが目立っています。
事実、世界最大規模のテクノロジー見本市のINTERNATIONAL CES(Consumer Electric Show)2018にて、YouTube最高責任者のNeal Mohan氏が登壇し「YouTubeの総視聴時間のうち、レコメンドによる誘導が70%を超えた」ことを発表しています。
レコメンドとは、ユーザーの情報を集めて、そのユーザーに適切なおすすめ動画をピックアップする機能のことです。つまり、YouTubeでは、1人のユーザーが同じような動画を繰り返し見続ける傾向にあることが判明しています。
YouTube SEOの重要性
YouTube SEOが注目されている要因としては、下記のような理由が挙げられます。
- YouTubeが日常生活に溶け込んでいる
- YouTubeの視聴が商品購入につながる
YouTubeが日常生活に溶け込んでいる
昨今では、調べごとをするときに検索エンジンを利用することが一般生活の習慣として根付いています。その対象はGoogle検索エンジンだけでなく、YouTubeやTwitterといったSNSメディアにも通じています。とくにYouTubeの場合は、これに娯楽としてのニーズも加わります。
映像コンテンツといえば、これまでは地上波放送を中心としてテレビがその役割を担ってきました。しかしGoogleの調べによると、2020年では日本国内において6,500万人ものユーザーがYouTubeを利用したとのことです。
さらに、総務省が発行した令和4年版情報通信白書によると、YouTubeのアクティブユーザー数は全世界で25億人にも上るといいます。これをみると、いかにYouTubeが日常生活に溶け込んでいるのかが見てとれます。
YouTubeの視聴が商品購入につながる
YouTubeは、娯楽の側面を多分に含みますが、商品やサービスのレビューといった機能も果たしています。Googleの調べによると、実際にYouTubeユーザーの7割以上が「YouTubeの影響で商品購入したことがある」と答えているようです。
YouTubeは、生活者の購買行動に影響を与える存在に成長していることがわかります。そのため、YouTube対策を進めることはビジネスチャンスにつながります。
YouTube SEOのアルゴリズム
YouTube SEOを考慮する場合、その検索結果を決定するアルゴリズムを把握することが大切です。YouTubeはGoogle社の傘下にあたるサービスですので、基本的なロジックはGoogle検索エンジンのSEOと同様に考えていきます。
- テーマとの関連性
- 視聴履歴データ
- ユーザーの反応
テーマとの関連性
動画コンテンツのテーマとタイトルや説明文を一致させることが大切です。
タイトルや説明文は、キーワード検索を考慮するうえで重要な要素です。ただし、コンテンツと不一致のタイトルを採用すると、視聴ユーザーが不満を与えてしまう原因になりますので注意してください。
視聴履歴データ
YouTube動画が視聴されると、再生回数や離脱率といった履歴が残ります。
こうした履歴からユーザーが動画に対して満足しているかどうかが浮き彫りになります。ユーザーが満足する動画は、検索順位でも上位表示されやすくなります。
ユーザーの反応
動画を視聴したユーザーは、コメントや評価といったアクションをとれます。
これは動画に対するユーザーの感想を可視化したものですので重要な指標です。ユーザーがポジティブな反応をすると、高品質コンテンツと判断されやすくなります。
SEO対策を考慮したYouTubeチャンネル開設と動画投稿
SEOを考慮のうえでYouTubeチャンネルを立ち上げるフローは下記のとおりです。
- YouTubeチャンネルを設計する
- YouTubeチャンネルを開設する
- 投稿動画を最適化する
- チャンネルを育成する
1.YouTubeチャンネルを設計する
YouTubeに動画を投稿する前に、まずはチャンネルを作っていきます。チャンネルとは、動画をアップロードしたり、再生リストを作るためのアカウントのことです。
アップロードする動画は、チャンネル内の動画として扱われますので、チャンネル全体の設計を考えていく必要があります。まずは下記のようなことを決めていきます。
- チャンネルのテーマとキーワード
- 動画内容とターゲット
Google検索エンジンのSEO同様に、チャンネル内でテーマに対するキーワードを網羅することが大切ですので、アップロードする動画のテーマを決めていきます。例えば、下記のようにチャンネルと動画企画を設定します。
キーワード:歌ってみた / カバー / 曲名(※固有名詞)
ターゲット:楽曲のカバーソングを聴きたいユーザー
動画テーマ1:歌ってみた(チャンネルとファンの育成)
動画テーマ2:雑談トーク(交流によるファンの育成)
動画テーマ3:他チャンネルとのコラボ企画(視聴者の相互流入)
このようにチャンネル全体の設計をおこない、投稿予定の動画ごとに、あらかじめ役割を決めておきます。
さらにいうと、「どのような動画」を「どのようなスケジュール」でアップロードするのかといった計画を立てておくとスムーズにチャンネルを運用できます。
2.YouTubeチャンネルを開設する
チャンネル開設時には、下記のような要素を設定してください。
- チャンネルのヘッダー画像とロゴを用意する
- チャンネルのタイトルと概要文を用意する
- 再生リストを作成する
チャンネルのヘッダー画像とロゴを用意する
チャンネルのヘッダー画像やロゴを用意すると、チャンネルのトップページが賑やかでリッチな印象に変わります。
ヘッダー画像やロゴは、チャンネルのメインビジュアルの役割を担いますので、なるべくチャンネルのイメージに合わせた素材を用意してください。
ヘッダーやロゴがなくてもチャンネルの運用は可能ですが、チャンネル登録者数を増やすためには、リッチなコンテンツであるとアピールすることも大切です。
チャンネルのタイトルと概要文を用意する
チャンネルのタイトルと概要文は、チャンネルをテキストで解説するといった役割を果たします。ここで用意するテキストは、前提として読み手がチャンネルの内容を理解できるものである必要があります。
また、YouTubeチャンネルの運用では、チャンネル登録者数を増やすことが重要です。そのため、とくにタイトルに関しては、ブランディングにつながりそうな文言を用意してください。
再生リストを作成する
再生リストとは、ストーリー性や関連性が高い動画を1つのリストとしてまとめる機能のことです。
再生リストを設定することで、複数の動画を連続視聴させることが可能です。主な利用用途としては、下記のようなものが挙げられます。
- 動画の企画を1つのシリーズとして一覧で表示する
- ストーリー性を持つ動画を一覧で表示する
- チャンネル内の人気動画を一覧で表示する
3.投稿動画を最適化する
YouTubeの検索エンジンに対して、動画の内容を正しく伝えていきます。ただし、検索エンジンは動画のなかの情報まで理解できませんので、動画にテキストデータを加えます。
動画に設定するテキストデータとしては、次のような項目があります。
- タイトル
- 説明文
- タグ
さらに、下記のようなデータも設定していきます。
- サムネイル
タイトル
動画のタイトルは、キーワード施策をするうえでもっとも重要な項目です。キーワードを盛り込みつつ、動画内容と一致する文面を用意してください。
説明文
説明文は、これはGoogle検索エンジンでいうところのディスクリプション(description)にあたる部分です。説明文にもキーワードを含めて、動画の内容を解説するテキストを作成して下さい。
また、説明欄ではリンクやハッシュタグを利用できます。リンクには下記のような使い道があります。
- 関連性が高い動画を紹介する
- 外部のSNSアカウントを紹介する
- 外部のWEBサイトを紹介する
ハッシュタグとは、YouTube全体で共通する単語で関連付けできる記述のことです。具体的には、「#○○」と入力することで、ハッシュタグのリンクが生成されます。ユーザーがハッシュタグリンクをクリックすると、チャンネル外の動画も含めたリストページを閲覧できます。
さらに、説明欄ではタイムスタンプと呼ばれる機能を利用できます。タイムスタンプとは、動画内の指定時間のリンクを貼れる機能のことです。動画内でとくに視聴してほしい箇所を指定することで、ユーザビリティが向上します。
タグ
タグは、複数の動画に同一のテキストを埋め込んで関連性を持たせる役割を担います。タグ情報を適切に設定することで、関連動画として表示されやすくなります。これによって、動画の表示回数を増やせるといった利点が生まれます。
なお、このタグはユーザーからは視認できません。
サムネイル
サムネイル(thumbnail)とは、リストページに表示される画像データのことです。サムネイルの良し悪しでCTR(クリック率)が大幅に変わりますので、非常に重要な要素となります。
サムネイルを作成するポイントは、下記のとおりです。
- ターゲットのニーズに合った要素を盛り込む
- ターゲットに適切なテイストに仕上げる
- テキストを詰め込みすぎない
画像加工でテキストを盛り込む際には注意点があります。サムネイルとして表示される画像サイズが小さいので、文字を詰め込みすぎると視認しづらいといった不具合が発生します。そのため、画像内の文字量やサイズに配慮してください。
4.チャンネルを育成する
動画の投稿をスタートしたら、下記のような手段を用いてチャンネル育成を進めていきます。
- Adwords広告で集客する
- 人気コンテンツを増やす
YouTubeチャンネル上の重要な指標の1つとして、チャンネル登録者数といったものがあります。チャンネル登録者数とは、チャンネルに登録したユーザーアカウントの総数を指します。
チャンネル登録したユーザーは、チャンネルを気に入っているファンに近い存在です。こうしたユーザーはリピート顧客になりますので、いかにチャンネル登録者数を増やすかが、動画再生回数を伸ばす大きなポイントになります。
Adwords広告で集客する
動画に対する集客手段として、Adwords広告を利用するといった方法があります。Adwords広告とは、Google社が提供する広告配信システムのことなのですが、YouTube内に動画広告を流すことができます。この広告は、いわばリンク付きのテレビCMのようなものです。
出稿することで、初動の集客にブーストをかけることが可能です。ただし、広告による集客は先行投資に該当しますので、動画1本あたり1万回再生するまで、または1日の配信予算といったものを決めて計画的に利用してください。
人気コンテンツを増やす
チャンネル内に再生回数1万回を超えるような人気動画を量産していくと、視聴者がファン化してチャンネル登録数が伸びていきます。
まず、人気がでた動画の要因をYouTubeアナリティクスといったツールを用いて特定します。そして、人気がでた動画の要因を反映した動画作成に力を注いでいきます。
YouTubeアナリティクスで改善を図る
YouTubeアナリティクスとは、チャンネルや動画をアクセス解析できるツールのことです。YouTubeアナリティクスでは、チャンネル全体、または動画ごとに下記のようなデータを閲覧できます。
- 視聴回数
- 総再生時間
- インプレッション数
- インプレッションのクリック率
- 視聴者維持率
視聴回数
視聴回数とは、動画が視聴された回数を指します。通常、YouTubeアナリティクスでは期間を区切って表示されます。一方、いわゆる動画の再生回数というものは、全期間の総合視聴回数に該当します。
総再生時間
総再生時間とは、動画が視聴された総合的な再生時間のことです。例えば、10分の尺を持つ動画が2回再生されたとします。このうち、1回はフル再生されて、1回は5分間だけ視聴されました。このときの総再生時間は15分になります。
つまり、視聴回数に対して総再生時間が少ない場合は、途中離脱者が多い可能性があります。
インプレッション数
インプレッション数とは、動画リンクが表示された回数のことです。YouTube SEOに成功していると、インプレッション数が増えていきます。
インプレッションのクリック率
インプレッションのクリック率は、そのままの意味ですが動画のクリック率(CTR)のことです。クリック率は、通常は動画に設定したサムネイルやタイトルに依存して数値が変わってきます。
視聴者維持率
視聴者維持率とは、ユーザーが動画を継続視聴したかを示す指標のことです。例えば、10分の尺を持つ動画が3分間視聴されたとき、視聴者維持率は30%になります。
目安としては、視聴者維持率が40%を超えると高品質コンテンツといわれています。そのため、このラインを超えるとおすすめ動画や関連動画として露出する機会が増えます。
逆に、視聴者維持率が著しく低いときは、コンテンツとしての価値が評価されていない可能性があります。このようなときは、動画が評価されない理由を考えてみてください。
YouTube SEOのよくある質問
YouTube SEOに関する、よくある質問をFAQ形式でご紹介します。
Q:動画SEOとは何ですか?
Answer)動画コンテンツに対するSEO施策のことです。
ただし動画SEOというと、動画プラットフォーム内の検索エンジン最適化だけでなく、Google検索エンジンに対するSEOの意味合いも持ちます。
一方YouTube SEOは、YouTube上の検索エンジン最適化を指します。要するに、YouTube SEOは動画SEOの一部という位置付けになります。
Q: YouTube動画のタグとハッシュタグの違いは?
Answer)タグとハッシュタグでは、情報を伝える相手が異なります。
タグは、チャンネル内で設定するキーワードで、主にYouTubeに情報を伝えるためのものです。YouTubeでは、レコメンドという機能を用いて、関連動画やおすすめ動画を表示しています。このときのレコメンドにタグ情報が利用されます。
一方、ハッシュタグは、共通するキーワードで設定された動画のリストをユーザーが取得して快適に動画を探すための機能です。
Q: YouTube動画のタグはどこで確認できますか?
Answer)タグは動画ページに表示されません。
タグは表示されませんので、視聴者視点ではタグを確認できません。ただし、動画投稿者であれば、動画の投稿ページからタグを確認できます。
Q: 1つの動画にハッシュタグはどの程度入れられますか?
Answer)60個を超えるハッシュタグを入れると、すべてのタグが無効化されます。
通常は、3〜5個ほどハッシュタグがあれば十分といわれています。関連性が高く、かつユーザビリティを考慮してハッシュタグを設定してください。
引用:YouTube 動画と YouTube Music プレイリストでハッシュタグを使用する – YouTube ヘルプ
Q: YouTubeアナリティクスはどこで確認できますか?
Answer)YouTube Studioから確認できます。
具体的には、アカウントログイン後にメニュー「YouTube Studio」→メニュー「アナリティクス」でYouTubeアナリティクス画面を閲覧できます。
Q:視聴者維持率の平均値はどのくらいですか?
Answer)30%前後といわれています。
さらに、目安として40%を超えると高品質コンテンツと評価されるといわれています。
まとめ