Whoisとは?検索方法やセキュリティに役立つ活用例など解説
インターネットの普及に伴い、WEBサイト運営やオンラインビジネスが当たり前になった現代においてWhoisは重要な役割を果たしています。Whoisとは、ドメイン情報や所有者の連絡先などを登録するデータベースのことで、詐欺サイトの特定や技術的な問題解決、著作権侵害の対応など、さまざまな場面で活用されています。
Whoisとは?
Whoisは、インターネットのドメインに関する情報を記録したデータベースで、一般公開されているものです。データベースに登録されている内容としては、ドメイン名を取得した人や団体の名前、住所、電話番号、メールアドレスなどの連絡先、ドメインの登録日や有効期限、ネームサーバーなどが含まれています。なぜこのようなデータベースがあるのかというと、ドメインの所有者を確認したり、技術的な問題を解決したり、不正利用に対処するなどの必要があるからです。
Whoisと混同しやすいキーワード
Whoisは、ドメインに関する一連の情報を確認できる便利なツールですが、類似したキーワードや関連する用語と混同されやすいです。特に、DNSやIPアドレスなどが挙げられますが、これらは関係が深い一方で、それぞれ異なる目的や役割を持っています。そこで、混同されやすいこれらのキーワードをわかりやすく解説し、違いや用途を明確にしてください。
DNS
WhoisとDNSはどちらもドメインに関する仕組みですが、役割は異なります。Whoisは、ドメインの登録情報を記録するデータベースのことで、具体的には所有者や登録日、有効期限などを確認できます。
一方、DNS(Domain Name System)は、住所録のような役割をする仕組みです。例えば、WEBサイトにアクセスするとき、「ABC.com」のようなドメイン名をブラウザに入力しますが、実際には該当するWEBサイトを表示するために、裏で「192.168.1.1」のような数字の住所(IPアドレス)が使われています。DNSは、このドメイン名とIPアドレスを照らし合わせて、「ABC.com」のWEBサイトをブラウザに表示しています。
IPアドレスのWhois
IPアドレスとは「192.168.1.1」のような数字の組み合わせになっており、サーバーなどを見分ける住所のようなものとして利用されます。実はWhoisはドメインだけでなく、このIPアドレスにも存在します。ドメインの場合は、ドメインの所有者の名前などが登録されていますが、IPアドレスは特定の個人ではなく、IPアドレスを管理している会社や団体などのデータを管理します。
参考ページ:IPアドレスとは?IPアドレスの種類とSEOの関係について解説
Whoisの目的
そもそもなぜ、Whoisが必要なのでしょうか。ひと言でいうと、ドメインの責任者を特定できるようにするためですが、そこには、不正行為や詐欺サイト、著作権侵害のトラブル対処など、いくつかの細かな目的があります。ここでは、その内容をとりあげ解説します。
ドメインの所有者への連絡
ドメインの所有者に連絡を取るために、Whoisがあります。例えば、欲しいドメイン名があっても、すでに第三者によってそれが取得されていることがあります。その場合、Whoisを使えば連絡先を知ることが可能です。その情報を使い所有者に連絡を取り、ドメインを譲ってもらえるか交渉します。それ以外でも、WEBサイトで何か問題(例えば技術的なトラブルなど)があった場合、WhoisがあればWEBサイトのオーナーに連絡をとることが可能です。
著作権侵害への対応
著作権侵害がある場合にも役立ちます。例えば、あるWEBサイトで、自分の作った文章や画像を無断で使われているということがあります。この場合、Whoisでそのドメイン所有者を調べ著作権侵害を報告し、WEBページの削除や内容の修正を求めることができます。
参考ページ:DMCAとは?デジタルミレニアム著作権法の侵害への対処方法を解説
スパム調査
スパム対策・調査のためにも役立ちます。例えば、大量の迷惑メールを受け取ったとき、その送信元に使われているドメインを調べることができます。ドメインの所有者や登録情報を確認し、スパム発信者に関する手がかりをつかんだり、その情報をもとに然るべき機関に報告することができます。
参考ページ:スパムサイトとは?8つの原因と確認ツール、対処法をご紹介!
Whoisで検索できる情報
Whoisでは、ドメインの所有者情報についていくつか確認できることがあります。ここでは、その内容についてお伝えします。実際にWhoisの検索で、何を知ることができるのかを知っておけば、トラブルが生じたときなどに役立ちます。
ステータス(登録・有効期限)
ステータスとは、該当するドメインが現在どのような状態にあるかを示します。例えば「有効」「期限切れ」「停止」などのように分類されます。ステータス情報を確認することで、そのドメインが現在も有効なのか、それとも期限切れや何らかの理由で停止されているのかといったことを判断できます。
登録者情報
登録者情報は、ドメイン所有者に関する情報です。具体的には、氏名や組織名、住所、電話番号、メールアドレスなどが含まれます。これらの情報は、ドメインの所有者を特定し、連絡を取るために利用されます。
例えば、ドメインの譲渡交渉やWEBサイトに関する問い合わせなどに利用できます。しかし、近年ではGDPR(一般データ保護法)などのプライバシー保護規制の強化により、登録者情報が非公開になっていることも多いです。
ネームサーバー
ネームサーバーも登録されています。これは、ドメイン名とIPアドレスを変換するサーバーに関する情報です。ネームサーバーは、WEBサイトにアクセスする際に必要となるもので、Whoisでネームサーバー情報を確認できれば、WEBサイトがどのサーバーによって運用されているかを知ることができます。
専用ツールでWhoisを検索する方法
専用ツールを使うと、すぐに情報を確認することができます。代表的な検索ツールとしてICANNの公式サイト、お名前.comなどがあり、どれも無料で利用できます。代表的なものを2つご紹介します。
- ICANN:インターネットの安定した運用を維持するために設立された国際的な非営利組織。Whoisを検索できます。
- お名前.com:日本国内でドメイン登録サービスを提供する企業。こちらでも検索できます。
サイバーセキュリティ対策でのWhois活用例
ここでは、Whoisを活用してフィッシングサイトを見分ける方法についてお伝えします。操作方法は簡単で、確認したいドメインを専用ツールで検索。その後、登録者名や住所など不審な登録情報がないかをチェックします。具体的な手順をステップバイステップで確認します。
Step1.検索ツールにアクセス
Whoisを確認するツールとしては、ICANN WHOISやWhois Lookup、お名前ドットコムなど、さまざまなものがあります。気に入ったものにアクセスしてください。
Step2.ドメイン登録情報を確認
例えば、Whois Lookupを使って、ユニクロのドメインを調べると下記のように情報が判明します。
- 登録者情報(Registrant): FAST RETAILING CO., LTD.
- 登録日(Creation Date): 1998-12-28
- 有効期限(Expiration Date): 2025-12-28
- 所在(State):Yamaguchi
Step3.登録内容の異常をチェック
不自然な名前や、疑わしい住所などが登録されていないか確認してください。また、登録履歴を確認し、過去に何度も登録者が変わっている場合、不審な可能性が高いです。また、最近登録したばかりのドメインにも警戒してください。
Whois検索に情報が出てこない理由
検索をしても情報が出てこないことがあります。この理由の1つは、プライバシーを守るためのルールが強化されているからです。例えば、GDPR(一般データ保護法)のような規制が世界中で進み、個人情報の取り扱いが厳しくなっています。
今では、ドメイン登録者の情報が悪用されないよう、一部または全部が非公開になることもあります。ただし、非公開設定されている場合は、登録者の代わりにドメイン販売会社の連絡先などが表示されます。
参考ページ:GDPRとは?マーケティング担当者が押さえるべきポイントを解説
よくある質問(Q&A)
ここでは、Whoisのよくある質問をとりあげ解説します。セキュリティ対策能力を高めたり、ドメインを登録する際などにお役立てください。
Q:ドメイン登録の際にやるべきことは?
Answer)ドメイン登録時に、Whois情報として登録者の名前や住所、連絡先などを記載する必要があります。こういった情報を公開したくない場合は、ドメイン登録会社が提供するプライバシー保護サービス(代行サービス)を利用してください。
参考ページ:ドメインとは?ドメインの種類や独自ドメインのSEOメリットを解説
Q:住所などが変更となったら情報を更新した方が良い?
Answer)住所や電話番号などが変更された場合は、速やかに情報を更新してください。Whois情報が正確でないと、ドメインの所有権を証明できなくなったり、ドメインが無効化されるリスクがあるからです。通常年1回、登録したメールアドレスに、電話番号などの現在登録している内容が通知さられるため、変更がある場合は案内に従って対応します。
Q:無料ブログでも個人情報が公開されますか?
Answer)通常、無料ブログの場合、個人情報が公開されることはありません。なぜなら、無料ブログのドメインは、ブログ運営会社が管理しているためです。そのため、Whoisにはブログ運営会社の住所などが登録されます。ただし、自分で独自ドメインを取得して無料ブログに設置した場合、そのドメインのWhois情報に個人情報が記載されることがあります。この場合は、プライバシー保護サービス(代行サービス)を利用することをおすすめします。
参考ページ:無料で個性的なブログを作成!おすすめプラットフォームや作り方のコツを紹介
Q:なぜ登録はローマ字を使うのですか?
Answer)国際的な統一性を保つためです。Whoisは世界規模のデータベースなのですが、多言語対応が十分ではありません。そのため、アルファベット(ローマ字)を使うことで、管理しやすくしています。例えば、中国語やアラビア語など、さまざまな言語で登録されると、文字化けや第三者に誤解を招くリスクが生じます。
Q:ICANNとは?
Answer)ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)はドメイン名やIPアドレスの管理をおこなう国際的な非営利組織です。1998年に設立され、政府や企業、個人などさまざまな関係者と協力しながら、インターネットの安定性を高める活動をしています。
Q:データの商業的利用は可能ですか?
Answer)データの商業的利用は基本的に禁止されています。Whois情報は、ドメイン情報や登録者情報を確認するためのものであり、スパムメールの送信はもちろん、営業目的での利用は望ましくありません。著しい違反があった場合、法的処置をとられる可能性があります。
まとめ