UGCマーケティングとは?施策や効果測定法、相性の良い商品など解説
近年、マーケティング分野で注目を集めているUGC(User-Generated Content)ですが、実際の数字がその効果を裏付けています。例えば、ニールセンが56カ国の28,000人以上を対象に実施した「ニールセン 広告信頼度調査2021」によると、顧客の88%が企業が発信する広告よりも、他の顧客が作成したコンテンツを信頼していると回答しています。
UGCマーケティングとは?
UGCマーケティングとは、顧客が自社商品などについて言及し、作成したコンテンツをマーケティングに活用することです。 コンテンツというのは、画像や動画、テキストなど、さまざまな形式をとっています。どの形式であっても、顧客の視点や経験が反映されているため、他の顧客からの共感をえやすく、最終的なコンバージョンにも影響を与えます。
日常的に顧客はマーケティングメッセージを浴びせられているため、企業が発するメッセージを簡単には信じません。しかし、他の顧客が伝える情報は信頼性があると捉え、企業が作成したコンテンツよりも購買決定に影響します。
参考ページ:UGC Content 101: A Comprehensive Introduction – American Marketing Association
UGCマーケティングと相性の良い商品
どんな商品でも、UGCマーケティングが効果的という訳ではありません。顧客が「これは人に紹介したい」などと思えるユニークなものの方が相性は良いです。そこで、どのような商品特性を持っているものがUGCマーケティングに向いているのか詳しくお伝えします。
見た目がユニーク
見た目がユニークでSNS映えする商品の場合、UGCマーケティングが効果的です。例えば、カラフルなマカロンや、金箔をあしらったショコラ・ケーキなど、インパクトのあるスイーツは、SNSで頻繁に取りあげられます。見た目がユニークだと、言葉がなくてもその良さが周囲に伝わりやすいため、UGCマーケティングとも相性が良いです。
ストーリー性がある
商品に感動的な開発ストーリーがあるような場合、UGCマーケティングと相性が良いです。具体的には、その商品が誕生するまでの背景や過程に特別な物語があるようなものが該当します。ストーリーは人の心に残りやすく、拡散されやすい特性があるため効果が高いです。例えば、本来は工場で大量生産されるような物なのに、あえて職人がすべて手作業で作ったこだわり商品などが典型です。
地域や文化に根ざした商品
地域特有の素材や文化を活かした商品は、その土地ならではの魅力を伝えることができ、UGCマーケティングと相性が良いです。例えば、地元の農家と連携して作られた限定ジャムなどが挙げられます。こういった商品は、地域の特産物をアピールしながら、多くの顧客に「その土地を応援したい」という共感を生み出すことができます。
顧客が提案した商品
顧客の声から開発された商品は、ニーズを反映しており、それだけで話題性が高いといえます。例えば、顧客アンケートや評価で寄せられた「もう少し軽量化してほしい」という要望を元に改良を加えたバッグなどが挙げられます。このような商品は、顧客が「自分たちの声が反映されている」と感じるため、企業に対してのロイヤルティが高まりやすく、顧客が自発的に商品関連の情報を発信してくれやすいです。
UGCマーケティングの施策例
ここでは、UGCマーケティングの具体的な施策についてお伝えします。ハッシュタグキャンペーンやレビュー活用など、自社がとれる方法から取り組んでください。
ソーシャルメディアのエンゲージメント
ソーシャルメディアでのエンゲージメント施策は、もっとも基本的なUGCマーケティングです。例えば、顧客が自社商品の写真を投稿した際に、感謝のコメントを添えてリポストしたり、質問やコメントに対して迅速かつ丁寧に対応するなどのことが挙げられます。こういったアプローチは、顧客との良好な関係を築き、ロイヤリティを高めることに役立ちます。
参考ページ:エンゲージメントとは?SNS運用におけるポイントと注意点を解説
ユーザーレビューの活用
UGCマーケティングの典型的な施策の1つは、ユーザーレビューです。WEBサイト、ソーシャルメディアなどで、ユーザーが商品を利用した感想や評価を掲載する施策のことです。Amazonの成功例をみても分かるとおり、ユーザーレビューは、他の顧客にとって信頼性の高い情報源となり、購買意欲を高める効果があります。企業がレビューを集めるためには、購入後に投稿を依頼するメールを送信したり、レビュー投稿でポイントを付与するなどの施策を講じることが有効です。
ハッシュタグキャンペーン
ハッシュタグキャンペーンとは、企業が独自のハッシュタグを作成し、顧客にそのハッシュタグをつけて商品やサービスに関するコンテンツを投稿するよう促す施策です。顧客が生成したコンテンツは、企業が作成したコンテンツよりも信頼性が高いため、エンゲージメントを深めることに役立ちます。
例えば、スターバックスは「#White Cup Contest」というハッシュタグキャンペーンをおこないました。このキャンペーンでは、顧客が白いカップに落書きをし、それをXやInstagramに投稿するよう促したものです。スターバックスは、それをPinterestで整理し、投稿してくれた顧客の創造性をたたえ、ファン層の拡大に成功しています。
コンテスト
少し難易度は上がりますが、コンテストという施策もあります。これは、顧客に特定のテーマや条件に沿ったコンテンツを投稿してもらい、優秀作品を表彰したり、賞品を贈呈したりするものです。ユーザーは、賞品獲得や自身の作品が認められることを目指して、質の高いUGCを作成しようとします。
例えば、化粧品ブランドのBenefit Cosmeticsは、ハロウィンにちなんで、自社製品を使ったメイクアップのコンテストをInstagramで開催。この結果、企業は拡散性の高いUGCを多数獲得しています。
顧客コミュニティの構築
顧客コミュニティの構築は、中長期的な施策として有効です。自社を支持する顧客が集まるオンラインまたはオフラインの場を提供し、顧客同士の交流を活発化します。こうすることで、コミュニティを通じて顧客の声を収集でき、商品開発やマーケティング活動に役立てることができます。また、顧客同士の交流を促進することで、企業へのロイヤリティを育成することにも役立ちます。
例えば、アウトドアブランドのパタゴニアは、「Worn Wear」という古着をリサイクルしたり、交換したりできるコミュニティを構築しています。結果として、環境保護の理念に共感する顧客を集めることに成功し、ロイヤリティを高めることに役立っています。
参考ページ:コミュニティマーケティングとは?メリットや実施方法、注意点などわかりやすく解説
UGCマーケティングの効果測定方法
UGCマーケティングの効果を高めるには、ソーシャルメディア分析やメンションのモニタリングなどを使った効果測定が重要です。効果測定をおこなうことで、改善すべき点が具体的に見えてくるからです。
ただし、その前に自社の目的を明確に設定してください。例えば、ブランド認知度の向上、WEBサイトへのアクセス増加、顧客とのエンゲージメント強化といった目的が考えられます。目的を明確にすることで、追跡すべき指標(KPI)がはっきりします。ここでは、その目的が明確になっていることを前提に、実際に追跡可能な数値の例を解説します。
ソーシャルメディア分析
Facebook、Instagram、Xなど、各ソーシャルメディアプラットフォームが提供する分析ツールを活用し、UGCに関連するさまざまな指標を測定してください。具体的には、自社ブランドに対する「いいね!」やコメント、シェア、リポストといったエンゲージメントの数値をトラッキングするようにします。
メンション数をモニタリング
メンション数とは、ソーシャルメディアやブログ、フォーラム、レビューサイトなど、さまざまなプラットフォームにおいて、自社ブランド名や商品名などが、どの程度言及されているかを追跡するものです。
ブランドについて言及した数だけでなく、言及の内容(ポジティブ、ネガティブ)、ユーザーの属性なども分析してください。こうすることで、UGCマーケティングがブランドの認知度や評判にどのような影響を与えているかを多角的に評価できます。例えば、UGCキャンペーンの実施後にブランド名を含むポジティブな言及が大幅に増加した場合、キャンペーンが成功したと判断できます。
アンケート調査
アンケート調査は、ユーザーの考えや感想を直接把握できる手段です。例えば、UGCを見たユーザーを対象に、アンケートを実施し、UGCが購買行動に与える影響を測定するなどのことが実施可能です。
具体的な質問としては「UGCを見たことがありますか?」「UGCを見て商品の購入を検討しましたか?」といった質問をし、顧客の認知度、購買意欲、ブランドイメージなどが、どのような影響を与えているかを具体的に把握します。
参考ページ:アンケート調査とは?概念や調査の進め方、種類などについて詳しく解説
UGCマーケティングを実践する際のポイント
ここでは、UGCマーケティングのポイントについてお伝えします。BtoCとBtoBに分けて解説しますので該当する方を確認してください。
BtoCのケース
BtoCでは、顧客が自発的に投稿したくなる仕組みを作るようにしてください。例えば、商品に共感を生むストーリーやユニークな特性を持たせるなどして、情報発信しやすくしておくなどのことが考えられます。
また、どのプラットフォームを利用するのかも重要です。ビジュアル的な訴求を重視するなら、InstagramやPinterestなどがおすすめです。一方、テキストや画像など顧客が自由な形で情報発信することを優先するなら、XやFacebookなどが適切です。
BtoBのケース
一般的に、BtoBはUGCが向いていないと思われがちですが、やり方によっては効果的です。具体的には、顧客企業の成功事例や導入のキッカケなどをケーススタディ形式で公開するなどの方法があります。こういう成功事例は、他の企業が話題として取り上げてくれることが多いので、UGCに結びつけることが可能です。その他、LinkedInや業界特化型フォーラムなど、BtoBに適したプラットフォームを選択することもUGCマーケティング成功において重要です。
よくある質問(Q&A)
ここでは、UGCマーケティングのよくある質問を取りあげ解説します。実践する前に確認し、細かな点まで把握するようにしておいてください。
Q:どのような業界でUGCマーケティングは効果的?
Answer)どの業界でも有効ですが、特に観光業界・ファッション・美容業界・飲食業などは、UGCを見て購入する顧客が多いため、効果的です。これらの業界では、顧客が自らの体験を写真や動画、レビューなどで投稿することが一般化しているため、UGCを最大限活用できる業界といえます。
Q:インフルエンサーマーケティングとの違いは何ですか?
Answer)インフルエンサーマーケティングは、影響力のある特定の個人が企業と契約を結び、報酬を受け取る形でコンテンツを作成します。一方、UGCは幅広い顧客層が、基本的には主体的に(契約などなしに無償で)意見を投稿します。
参考ページ:インフルエンサーマーケティングとは?メリットや依頼方法、費用など解説
Q:UGCはSEOにも効果的ですか?
Answer)ユーザーが生成したコンテンツがインターネットに投稿されれば、通常、SEOにおいても有効です。UGCには、顧客がブランドに関連するキーワードやフレーズを含まれていることが多いため、検索エンジンからの評価が高まり、WEBサイトの検索順位向上に役立ちます。
Q:UGCマーケティングを効果的に進めるポイントは?
Answer)マーケティングを効果的に進めるには、顧客がコンテンツを作成しやすい環境を整えることです。例えば、ハッシュタグキャンペーンを実施する場合、明確なテーマを設定し、ユーザーが何を投稿すればよいか分かりやすくしてください。また、投稿を促すだけでなく、適切なフィードバックや感謝を示すことも必要です。企業と顧客との双方向なコミュニケーションを大切にしてください。
まとめ