TikTokとは?サービスの概要や使い方、企業の活用事例を解説
ソーシャルメディア界で躍進を遂げたTikTok。日本でも10代、20代を中心に瞬く間に人気を集めました。サービス開始当初は、ダンスや一発芸などの動画が中心でしたが、現在は教育・料理・ペット・食品、飲料・ハウツーなど、多岐に及びます。
TikTokの概要
TikTokは、15秒から1分程度の短尺動画を共有するプラットフォームです。元は中国国内向け動画SNS「ドウイン」が起源で、2017年に世界版として今のTikTokが登場しています。
投稿されている主なジャンルとしては、音楽やダンス、コメディなど多岐に及びます。TikTokは、10代から30代の若年層を中心に急速に普及し、現在では世界150カ国、71言語以上で利用されています。
データでみるTikTok
実際、TikTokはどういった人に支持され、利用されているのか疑問に感じるのではないでしょうか。そこで、TikTokの状況を知るためにも次のデータをご確認ください。
ユーザーの性別・年齢層(日本)
博報堂『コンテンツファン消費行動調査』によるとTikTokユーザーの年齢層は2019年以降上昇しており、男女問わずさまざまなターゲットにリーチできる媒体に成長しています。
15-19歳 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | |
男性 | 11.0 | 12.8 | 11.0 | 9.1 | 5.7 | 5.8 |
女性 | 13.4 | 11.0 | 6.3 | 5.0 | 5.0 | 3.6 |
参考ページ:博報堂『コンテンツファン消費行動調査』
年代別利用率
利用率は全年代で増加傾向です。InstagramやLINEと比較して、まだ伸びしろが大きく今後の成長が期待できます。
参考ページ:Glossom株式会社
ダウンロード数(世界)
TikTokは非常に人気のあるアプリで2018年以降、世界中でダウンロードされています。AppStoreとGooglePlayの合計で年間8億5千万ダウンロードを記録しています。
data.aiによる『モバイル市場年鑑』の2022年市場別ランキングでは、TikTokはInstagramに次いでダウロンロード数で第2位、消費支出では第1位となっています。
参考ページ:モバイル市場年鑑2023
TikTokの特徴
短期間で急成長を続けるTikTokですが、どういった理由で多くのユーザーから支持されているのでしょうか。ここでは、その秘密を3つに分けて解説します。
短尺動画に特化
TVやYouTubeでは、数十分から60分程度の長尺コンテンツがメインです。しかし、忙しい現代人にそのような長尺動画がそぐわなくなってきた時代の変化があります。その長尺コンテンツに台頭してきたのが短尺動画に特化したTikTokです。
事実、2021年4月にバイトダンス社がおこなったアンケート調査によると、コンテンツの長さが丁度良いとTikTokを支持したユーザーは、他のSNSより20%以上高くなっています。このようにTikTokは短尺であるがゆえに、急成長したといえます。
高度なレコメンド機能
TikTokのレコメンド機能は非常に高度で、バズりやすい仕組みを備えています。従来のSNSにおけるレコメンド機能はユーザーが好むコンテンツをAIが分析してレコメンドするというものでした。一方、TikTokのレコメンド機能はコンテンツにマッチした「ユーザーを」AIがレコメンドするという方式をとっています。
そのため、新規参入したクリエイターでも、簡単に視聴者数を増やすことができます。新規クリエイターが参入しやすい土壌があるため、次々と新しい動画コンテンツが増え、視聴者を飽きさせない仕組みになっています。
広告をスキップできる
YouTubeなどの動画広告は一定時間視聴する必要があり、それを煩わしいと感じるユーザーも多いです。一方、TikTokの広告は、他の一般動画と同様に、ユーザーが好まなければすぐにスキップできる仕組みです。これにより、ユーザーにとって広告とコンテンツ動画の垣根がなくなり、純粋に面白いと思える動画のみが視聴できるようになっています。
企業がTikTokに取り組むべき理由
TikTokが多くのユーザーに支持されていたとしても、果たして企業がビジネスでTikTokを利用すべきなのかと疑問に思うのではないでしょうか。
たしかにTikTokと聞くとダンスやお笑い動画などで、若者の遊び場となっているSNSというイメージを抱くかもしれません。
しかし、現在のTikTokは企業のブランディング、販促、社員採用など幅広くビジネスに活用されています。そこでここでは、自社がTikTokに取り組むべき理由につい整理してお伝えします。
既に収益を伸ばしている企業が多く存在する
企業がTikTokに取り組むべき理由として、既にTikTokで収益を伸ばしている企業が多く存在しているという点が挙げられます。
「TikTok売れ」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?この言葉は、日経BPの日経トレンディが選ぶ「2021年ヒット商品ベスト30」で第1位に輝いたのものです。日経BPでは、TikTokでグミから高級車まで、あらゆるものが売れたことを報じています。
参考ページ:日経トレンディが選んだベスト30 – 日経TREND
認知拡大に活用できる
TikTokは、新規参入者でも動画の内容が優れていればバズりやすいレコメンド機能を使用しています。例えば、通常のSNSでは、コンテンツを投稿してもフォロワーにしかそれが届きません。しかし、TikTokは、フォロワー以外の人にも自社のコンテンツを届けることができます。そのため、動画のクオリティ次第で、フォロワーが0名でも、万単位で再生回数を伸ばせる可能性があります。このようにTikTokは、自社の認知拡大を目的として利用するのに最適です。
ユーザーの購買意欲が高いから
博報堂の2022年『コンテンツファン消費行動調査』によると、TikTokの平均年齢は34.7歳で平均世帯年収は646万円です。また、TikTokユーザーのうち、投稿された動画を観て商品やサービスを購入したことがあるユーザーは34.01%にのぼります。
このようにTikTokユーザーの購買意欲は非常に高く、売上を伸ばしたい企業にとってうってつけのプラットフォームといえます。
参考ページ:博報堂『コンテンツファン消費行動調査』
TikTokの主な機能とサービスの概要
TikTokが世界的に人気がある理由は、ユーザーにとって使いやすい機能や内容であるからです。そこで、主な機能や内容を紹介します。
動画編集・投稿機能
TikTokアプリ自体に、動画編集機能が付属しています。機能としても高度で、一定以上のクオリティを保ち直感的に動画作成できます。多くのエフェクトやフィルター、顔認識技術などのさまざまな機能を利用して、動画編集が可能です。
また、TikTokといえばBGMが重要な役割を果たしますが、無料でさまざまな音楽を利用することができるのも大きな魅力です。
SNSとしての機能
TikTokはSNSとしての機能もあり、ユーザーは気に入った動画を見つけたら、いいねやコメント、ハッシュタグなどでリアクションできます。また、興味のある動画を多く投稿している投稿者をフォローすることも可能です。
TikTok for Businessによる広告掲載
TikTok for Businessという、マーケティング向けのサービスを利用することにより、広告掲載できます。広告は視聴画面に表示させられるため、多くのユーザーに認知されます。広告のターゲティング機能もあるため、細かい配信設定ができ少額から始められます。
TikTok LIVE
TikTok LIVEは、TikTokが提供するライブ配信機能です。アプリ内でライブ配信でき、ユーザーとリアルタイムでコミュニケーションを図れます。
TikTok LIVEは、ファンとの交流を深めるために使用されるだけでなく、商品やサービスのプロモーションをおこなうためにも利用できます。
TikTokをマーケティングに使う4つの方法
企業がTikTokに取り組む際、どういったマーケティング手法があるのか気になるのではないでしょうか。そこで、TikTokマーケティングの主な方法を4つお伝えします。
広告運用
TikTokでは広告が可能です。短期間で成果を出したい場合、運用を検討してください。
広告の種類はいくつかあります。レコメンドなどの起動画面に掲載する広告や動画視聴ページに表示させるインフィード広告、少額の費用から始められる運用型広告などが代表的です。
TikTokで広告運用をする場合は、TikTok for Businessアカウントを作成し、以下の手順で運用を開始します。
- TikTok for Businessアカウントを作成
- 広告の表示方法を表示画面に沿って設定
- 予算やターゲティング、入札方法などの設定
- 動画や画像をアップロード、広告文の設定
- 配信開始
TikTokの広告費用は高額であることが多いですが、広告がクリックされるごとに費用が発生する運用型広告は、比較的少額から始めることができます。
コンテンツの作成
企業がオリジナルコンテンツを制作し、TikTok上で共有することができます。動画投稿をコツコツと続けていくことでファンを増やしたり、購入に結びつけます。
TikTok独自のレコメンド機能のおかげで、フォロワー数が少なくてもコンテンツ次第で再生回数を増やすことができます。
ハッシュタグチャレンジ
企業がプロモーションのために作成した特定のハッシュタグがユーザー投稿に使用されることにより、認知度を拡大できる企画がハッシュタグチャレンジです。
ユーザー参加型の企画であるため、ユーザー同士の交流が促され、親近感を抱かせたプロモーションをおこなえます。
インフルエンサーの起用
TikTokでは、フォロワー数の多いインフルエンサーが多数存在します。そういったインフルエンサーと協力し、自社の商品やサービスなどをプロモーションできます。
具体的には、インフルエンサーを自社のプロモーション動画に起用したり、商品やサービスの感想を投稿してもらったりなどのことをおこないます。
TikTok企業活用事例
ここでは、実際にTikTokを活用した企業の成功事例を紹介します。
BMWディーラー
山形県のBMWディーラーでは2020年4月からTikTokの運用を開始しで集客や販売につなげています。雪上走行をする動画やBMWクイズ、自動車を背景としたダンス動画などを配信し、県内からの来客を増やしました。最終的に新規試乗4件、商談5件、成約3件の成果をあげています。
参考ページ:事例「BMW」 – TikTok for Business
大塚製薬
大塚製薬にはロングセラー商品「ファイブミニ」があります。ロングセラー商品は、顧客が高齢化するという弱点を持っていますが、TikTokを利用することでリブランディングに成功しました。
特にキャンペーンなどはおこなっていません。健康志向やフィットネスブームもあり、ファイブミニがTikTokで若い女性の目に留まり、偶発的に「TikTok売れ」が起こりました。当時、実際に投稿されたファイブミニの動画は次のとおりです。結果としてコンビニエンスストアでの1日あたりの販売数が約2倍となりました。
参考ページ:事例「ファイブミニ」- TikTok for Business
KOREDAKE
ウェルネスプロテインブランド「KOREDAKE」は、お菓子作りのコンテンツを配信しているインフルエンサー「nono(@okunonolife)」さんとタイアップしました。
プロモーション動画の様子は次のとおりです。
「nono(@okunonolife)」さんが「最近の朝はこれだけ」というコメントを加えることで説得力をもたせ、認知向上に役立てました。
参考ページ:事例「お菓子づくり」 – TikTok for Business
TikTokのよくある質問
TikTokはさまざまな機能やサービス、活用方法があるため、疑問点も多いのではないでしょうか。そこで、当社がよく受ける質問をいくつかピックアップしてお伝えします。
Q:マーケティングとしてどのような効果が期待できる?
Answer)TikTokは、アカウントのフォロワー数が多くなくても、投稿した動画をユーザーに認知してもらいやすいです。そのため、プロモーションや企業のブランディング、商品の認知拡大などに効果があります。また、近年、企業の採用活動にTikTokを利用するケースが増えています。
Q:動画配信にどれくらいの人員を割くのが妥当か?
Answer)TikTokは短尺動画が基本です。また、大がかりな設備を整えて、企業らしい動画を配信するのではなくリアルな現場を映し出した方が拡散されやすいです。
こういった理由から、多くの人員を割いて動画を配信するよりも、継続して投稿できるのに無理のない人員でかまいません。
Q:中小企業でも活用できるか?
Answer)TikTokは地域で活躍する企業や商店などにおいても十分活用できます。自社の強みや特色を打ち出すことで、将来は強力な販促チャネルに進展することが期待できます。
他のSNSと異なりTikTokは、投稿者個人の個性にファンがつきやすい特徴があります。そのため、顔の見えない大企業よりも、むしろ個人のキャラクターを前面に出しやすい中小企業の方がバズりやすいアカウントに発展する可能性があります。
まとめ