Shopifyを使った越境ECのはじめ方!役立つアプリなども紹介
グローバル市場への参入は多くの企業にとって売上拡大のチャンスです。海外市場というとハードルが高そうに思えますが、ECサイト構築システムの『Shopify』があれば中小企業でも十分参入可能です。
越境ECをはじめる2つの方法
越境ECを始める方法は、大きく分けて2つあります。1つは自社ECを用意し、マーケティングなども自社でおこなうものです。もう1つは、海外ECモールに出店する方法です。それぞれの魅力やポイントを解説します。
自社EC
Shopifyなどを利用し自社ECを立ち上げ、越境ECをおこなうことができます。自社ECの魅力は、ECサイトのデザインやサービスなど、自由に設定できることです。
また、ECモールと比較して価格競争に巻き込まれにくく、ショッピングモールの手数料を負担しなくても良いといったメリットもあります。独自色を打ち出し、メールマーケティングなどで顧客をフォローし、積極的なマーケティングで売上拡大をしたいとお考えなら、自社ECがおすすめです。
参考ページ: ECストアとは?市場規模や運営業務、事例などを詳しく解説
モール出店
Amazon(アメリカなど)や 天猫国際(中国)など海外のECモールに出店することで、越境ECをおこなえます。モールを利用するメリットとして、まずアクセス数の多さを挙げることができます。大手ECモールはすでに多くのユーザーを抱えています。自社が新規出店だとしても、多くのユーザーに対して販売できます。
また、配送や決済などのシステムが整っているため、自社でこういった手配をする必要がありません。このように導入が簡単で、すぐに販売開始できるのがモール出店の魅力です。
参考ページ: ECモールとは?3つの種類や導入するメリットを徹底解説
Shopifyが越境ECに強い理由
近年、越境ECが注目されており、多くの企業が海外市場への進出を考えています。その中で、ショッピングプラットフォームとして人気を集めているのが「Shopify」です。Shopifyとは、越境ECに必要な機能を備えたEC構築システムのことです。
ただ、なぜShopifyが越境ECに適しているといわれているのでしょうか。そこでここでは、その理由を取りあげ解説します。
多言語、多通貨に対応
越境ECでは異なる国や地域の通貨に対応する必要があります。同時に、ECサイトも各地域の言語で表示する必要があります。例えば、アメリカで販売をおこなうなら、ドル通貨に対応しECサイトを英語で表示するようにします。このように現地の言語と通貨に対応することで、ユーザーの購買体験をスムーズにします。
Shopifyは、このような多言語・多通貨に対応しているため、越境ECに向いていると評価されています。具体的には、50の言語と130カ国以上の通貨に対応しており、多くの国でECビジネスを展開することが可能です。
豊富な決済方法
越境ECをする際には、その地域や国によって好まれる決済方法を用意することが必要です。
例えば、日本ではクレジットカードが主流ですが、他の国ではデジタルウォレットや銀行振込など、別の決済手段をよく利用することがあります。こういった国ごとの多様なニーズに応えるために、できる限り多くの決済手段を用意してください。
そして、Shopifyが越境ECに強いと言われる理由には、この決済手段が豊富な点が挙げられます。主要なクレジットカードやデビットカードはもちろん、PayPalやApple Pay、Google Payといったデジタルウォレット、さらには特定の国や地域に特化したマイナーな決済手段にも対応しています。
このように幅広い決済オプションを通じて、Shopifyは地域ごとのニーズに応えています。
参考ページ: オンライン決済とは?決済手段ごとのメリットやデメリット、特徴などを解説
配送業務が簡単
越境ECを運営する際に課題となるのが、配送業務です。海外への配送には、送料の設定や関税・税金の計算、送り状やインボイスの作成といった多くの煩雑な作業が伴います。これらの業務は、越境ECが初めての運営者にとって大きな負担となります。
しかし、Shopifyは、こうした配達業務を簡素化する仕組みを備えています。具体的には、送料の設定や関税・税金の計算を自動化できたり、海外顧客向けのメールに20言語で対応できるなどのことがあります。これらの仕組みにより、Shopifyは越境ECの配達業務を大幅に効率化しています。
充実したマーケティング機能
モールに出店するのではなく自社ECを利用する場合、マーケティングに取り組む必要があります。
Shopifyは、SEO対策や広告配信、SNS連携など、さまざまなマーケティング機能を備えています。これらの機能を活用することで、越境ECにおいても効果的なマーケティングを展開できます。
具体的には、SEO対策機能や広告配信機能(Facebook広告やGoogle広告と連携して、効果的な広告を配信できる機能)、SNS連携機能(FacebookやXなどのSNSと連携して、商品やキャンペーン情報を発信できる機能)などを備えています。
Shopifyを使った越境ECの始め方
ここでは、Shopifyを使った越境ECの始め方についてステップバイステップで解説します。
Step1. Shopifyのアカウントを作成
Shopifyのアカウントを作成します。最初は、Shopifyの公式サイトから14日間の無料トライアルに申し込んでください。
事前にメールアドレスを用意し、設定したいパスワード・ストアの名前・ストアURLを決めておく必要があります。下記ページの右上「無料体験をはじめる」を押してください。
参考ページ: Shopify
Step2.商品を登録
最初に、自社で販売したい商品を登録します。事前に商品画像を用意しておくとスムーズです。また、商品情報として、どのようなことを書き込むのかも決めておいてください。この時点では日本語で記述したのでかまいません。
Step3.決済方法を設定
Shopifyでは、クレジットカード、PayPal、Amazon Payなど、さまざまな決済方法に対応しています。販売する商品やターゲットとする顧客に合わせて、適切な決済方法を選択します。
具体的な決済手段としては、次のものがあります。
- Shopify ペイメント
- PayPal
- Amazon Pay
- Apple Pay
- Google Pay
- Shop Pay
- KOMOJU
- Paidy
- NP後払い
- 後払い.com
Step4.多言語対応
自社がターゲットとする市場の言語に合わせて、商品説明やサイト情報を表示できるようにします。Shopifyは、多言語に対応するためのアプリやプラグインを提供しています。これらを使うことで、簡単にWEBページを異なる言語で表示することができます。尚、具体的なおすすめアプリは後述します。
Step5. 配送方法を設定
越境ECで利用できる配送方法は大きくわけて2つあります。
個別に直接配送
日本郵便や民間の国際便などを利用し、ユーザーに直接配送する方法です。配送会社と特別な契約をするわけではないので、初期費用もかかりません。ただし、1回あたりの配送費が高くなる傾向があります。
国内物流業者と提携して発送
国内の配送業者と提携し、ユーザーに商品を届ける方法もあります。通常、配送業者が税関手続きなどを代行してくれます。しかし、ユーザーに商品を届けるまでの日数が余分にかかる点がデメリットです。国内物流業者と提携して発送する場合、ユーザーからの注文を受けたあと、商品を一度自社から配送業者に送る必要があるためです。
Step6.海外マーケティング
Shopifyでは、SEO対策や広告配信、SNS連携など、さまざまなマーケティング機能を備えています。これらの機能を活用して、海外の顧客に商品を認知してもらうためのマーケティングを行います。
参考ページ: 海外マーケティングとは?海外進出で使えるマーケティング手法と戦略や流れを解説
越境ECに役立つShopifyアプリ
Shopifyには、越境ECを支援するためのさまざまなアプリが用意されています。これらのアプリをうまく活用することで、効果・効率的に越境ECを実現することができます。
そこでここでは、東京SEOメーカーがおすすめする越境ECアプリを紹介します。
Ship&co『出荷管理』
参考ページ: Ship&co 国内外の送り状発行システム
「Ship&co」はShopify専用の出荷管理アプリで、越境ECサイト運営に対応しています。このアプリを使うことで、送料の比較や送り状・インボイスの発行、追跡情報の同期などの出荷作業を効率的におこなえます。国内の運送会社だけでなく、FedEx、UPS、DHL、国際郵便などの海外の運送会社にも対応しています。
また、リアルタイムで受注データを同期し、作業時間を大幅に削減でき、ミス防止にも役立ちます。
Weglot『多言語に翻訳』
参考ページ: あなたのストアを翻訳しよう ‑ Weglot
「Weglot」はプログラミングの知識不要で、簡単にShopifyストアを多言語に翻訳することができます。このアプリは多言語SEOにも対応しており、翻訳された言語でもGoogleなどの検索エンジンでインデックスされやすく、越境ECを強力にサポートしてくれます。
具体的な機能としては、自動言語リダイレクト、チェックアウトプロセス、メール通知の翻訳などがあります。また、どうしても、プロに翻訳してもらいたい場合はアプリ内の専用管理画面から依頼することができます。
LangShop『レートに合わせた価格表示』
参考ページ: LangShop AI言語翻訳
「LangShop」は言語を自動翻訳するだけでなく、各地域の通貨に自動換算して価格表示を変えることができます。為替レートの更新も毎日おこなっているため、表示価格にタイムラグが生じません。対応言語は200以上、通貨は80以上となっています。
Easyship『最適な配送方法を選択』
参考ページ: Easyship ‑ All in One Shipping
「Easyship」は100,000以上の店舗に導入され、越境ECの配送を支援しています。世界250以上の運送業者と提携しており、自動的に最適な配送方法を選択してくれます。
このアプリがあれば、購入者ごとに関税や税金を自動計算して表示するため、決済する際に正確な総額を表示させることができます。Easyshipは配送プロセスを簡素化し、コスト削減にも役立ちます。
Shopifyで越境ECにかかる費用
越境ECを行う際には、費用について考える必要があります。海外への販売は新たな市場を開拓し、収益を増加させることができますが、同時に予算管理にも注意を払う必要があります。そこでここでは、越境ECにかかる費用を解説します。
参考ページ: Shopifyでかかる費用は?料金プランや費用を抑える方法も紹介
ECサイトの構築費用
ShopifyでECサイトを構築する際の費用は、規模やカスタマイズの程度によって大きく変わります。目安は、以下の表を参考にしてください。
費用 | 30-100万円 | 100-200万円 | 300万円以上 |
要望 | 基本機能のみ | オリジナルデザイン | 大規模なECサイト |
構築期間 | 2-3ヶ月 | 3-4ヶ月 | 6ヶ月以上 |
Shopifyの月額利用料
Shopifyの使用には毎月定額の料金が発生します。「ベーシック」「スタンダード」「プレミアム」といったプランごとに料金が異なりますので下記の表をご覧ください。
プラン | ベーシック | スタンダード | プレミアム |
料金 | 33ドル/月 | 92ドル/月 | 399ドル/月 |
決済手数料
商品が売れると、その都度決済手数料がかかります。使用する決済方法によって手数料は変わります。ここでは、Shopifyが提供する決済システムである「Shopifyペイメント」を例にとって手数料をお伝えします。Shopifyペイメントでは、130以上の異なる通貨をサポートしており、越境ECにも最適です。
プラン | ベーシック | スタンダード | プレミアム |
海外で発行されたクレジットカードまたはAmerican Expressのクレジットカード手数料 | 3.90% | 3.85% | 3.80% |
関税
越境ECを進める際、関税がかかります。販売対象国の関税情報を越境EC開始前に確認してください。「WorldTariffR」というWEBサイトを利用すれば手軽に情報収集が可能です。
参考ページ: 世界各国の関税率(WorldTariff)
Shopifyを使った越境ECのよくある質問
ここでは、Shopifyを使った越境ECについてよくある質問にお答えします。
Q:海外からの問合せにどう対応したら?
Answer)越境ECでは、海外からの問合せもあります。そのため、よくある問い合わせにはテンプレートを決めておき、それを利用して返答するのがスムーズです。また、極力問い合わせを減らすには、WEBサイトで十分な商品説明をするようにしてください。
Q:関税はどう対応すれば?
Answer)各国の関税制度は複雑なため、20世紀初めにその統一を目指す動きが始まりました。その結果生まれたのが「HSコード」という国際統一の商品分類です。このコードは6桁の数字で、国際貿易の商品をすべてカバーしています。
取り扱う商品が決まったら、まず財務省関税局のURLからHSコードを調べてください。
参考ページ: 輸出統計品目表2023.4版 – 財務省関税局
Q:マーケティングで注意すべきポイントは?
Answer)海外マーケティングをおこなう際には、ターゲットとなる国や地域の文化、習慣、価値観を深く理解することが不可欠です。消費者の行動や購買パターン、ニーズをできる限り深く掘り下げて知るようにしてください。
また、各国には独自の法規制や広告ガイドラインが存在するため、これらの規則を遵守しながらマーケティング活動を展開する必要があります。
Q:Shopifyを使用する際のSEO対策は?
Answer)Shopifyを使用したSEO対策も、一般的なSEOと基本は変わりません。まずは高品質なコンテンツの提供を心掛け、タイトルタグやメタディスクリプションを充実させます。さらに、内部リンクの強化や高速な読み込み速度の実現、サイトマップの提出などをおこなってください。
参考ページ:Shopifyで必須のSEO対策9選!対策アプリも合わせて解説
まとめ