Webマーケティング会社の営業の仕事内容は?必要スキルや教育法を解説
業界経験がない方にとって、Webマーケティングと営業の違いをイメージするのは簡単ではありません。また採用側でも営業経験がないと、Webマーケティング会社の営業職がどんな業務に従事しているかいまいちわからないのではないでしょうか。
Webマーケティングと営業の違いとは?
よく混同して理解される2つは、活動の対象と目的が異なります。
– | Webマーケティング | 営業 |
対象 | 市場 | 顧客 |
目的 | 自社製品・サービスの認知拡大や販売促進をすること | 自社製品・サービスを販売すること |
インターネットを使って集客や認知拡大を図るWebマーケティングは、営業のように顧客に対して直接的には販売を行いません。インターネット広告やSEO(検索エンジン最適化)によって見込み客となるユーザーを集客したり、LPO(ランディングページ最適化)やEFO(入力フォーム最適化)によって購入や問い合わせにつなげたりします。
一方、営業は売れる仕組みを間接的に作るのではなく、顧客に直接アプローチをして自社商品・サービスを販売します。よってWebマーケティングのように、消費者側からアプローチされて成約につながることは基本的にありません。
ゆえにWebマーケティングを通して集まったユーザーのほうが、自社商品・サービスに対して前向きな印象を抱いていることが多いです。
いずれも事業を発展させる上で重要な活動ですが、どちらに力を入れるべきかは実現したい目標によって変わります。職業としての適性にも違いがあるため、営業職に向いた人材を採用するためにも両者の差異を正しく理解しておきましょう。
Webマーケティング会社における営業職の仕事内容
Webマーケティング会社の営業職が行う主な業務内容を紹介します。
- Webサイトやメディアの企画立案
- Webマーケティング施策の提案
- Webマーケティング全般のコンサルティング
- プロジェクトを実行する人材の確保
順に確認していきましょう。
1. Webサイトやメディアの企画立案
クライアントにヒアリングを行い、依頼内容に応じて新規で作成するWebサイトやメディアを企画・提案します。会社のホームページやオウンドメディア・SNSなど、作成するサイトの種類はさまざまです。具体的には、次のような内容を提案します。
- トレンドを押さえたサイトの改修
- クライアントの理念や想いを反映したデザイン
- 購買や問い合わせにつながりやすいサイト設計
この際に重要なのは、サイト制作を通じて叶えたいクライアントの目的を達成することです。そのため、最終的な目的に対して適切とはいえない依頼を受けた場合には、顧客が求めるものとは別の企画案を合わせて提示することもあります。あくまでもゴールから逆算し、新たに制作するサイトの種類やコンテンツを選定することが大切です。
2. Webマーケティング施策の提案
Webマーケティングを活用した施策は、大きく以下の3つに分けられます。
- 集客施策:自社商品・サービスの認知拡大を図り、見込み客を集める
- 接客施策:商品の説明やPRをして、購入や問い合わせにつなげる
- リピート施策:自社商品・サービスを再度利用してもらえるようにする
いずれも、事業を成功させる上で必須の内容です。しかし、ボトルネックとなっている内容は顧客によって違いがあるため、適切な施策を提案しないと成果にはつながりません。
基本的には、クライアントが問題意識を感じている要素を聞き出し、その課題の解決につながる施策を提案することが一般的です。最適な施策を提案できるように、大前提としてWebを活用したマーケティング手法の全体像を把握しておくことが大切です。
3. Webマーケティング全般のコンサルティング
Webマーケティングの支援をする際には、自社の課題を特定できていないクライアントを相手にすることも少なくありません。この場合には、顧客のボトルネックとなっている要素を分析し、適切な施策を考えてコストや期待できる成果などと共に提案します。
提示内容で合意を得て実際に施策を行うケースもあれば、コンサルティングのみを請け負い施策の実行はクライアントがするケースもあります。
4. プロジェクトを実行する人材の確保
施策を実行する社内の人材を確保することも、営業担当者の仕事の一つです。Webマーケティング会社における営業職の最大の仕事は、クライアントの悩みを聞き出して上で改善策を提案し受注を得ることです。ただし、受注後にプロジェクトを実行する人材がいないと、契約を勝ち取っても実際に成果を出すことはできません。
社内の工数が不足している場合には、外部の人材を募集して業務を遂行することもあります。営業担当の仕事はクライアントとのやり取りだけではないため、候補者に業務内容を伝える際には誤解のないように説明しましょう。
Webマーケティング担当者の大変な部分
Webマーケティング担当者の大変な部分を紹介します。
- 新しい情報を学び続ける必要がある
- クライアントには重役が多くプレッシャーがある
- 基本的に業務量・残業が多い
たとえば未経験者を採用する場合、よい部分だけしか知らない候補者を採用すると早期退職されてしまうかもしれません。ミスマッチを防ぐためにも、営業職の採用を検討しているなら担当者の大変な部分も把握しておきましょう。
1. 新しい情報を学び続ける必要がある
Webを活用した技術やサービスは、急速に発展・成長しています。ゆえに、これらの技術を活用して業務を行うWebマーケティング担当者は、常にインプットを続けないと最新の施策を提案・実行できません。
Web関係の情報を集めるのが好きな方は問題ありませんが、苦手な方にとっては大きな負担となります。とくに未経験者を採用する場合は、日頃からIT関係の情報を収集する習慣があるか確認しておくとよいでしょう。
2. クライアントには重役が多くプレッシャーがある
Webマーケティングでは、商品やサービスが売れる仕組み作りに関わります。よってマーケティング担当者がやり取りするクライアントには、事業戦略を担当するような社内の重役の方が少なくありません。
クライアントは結果を求めているため、提案した内容で成果が出ないとプレッシャーをかけられることもあります。支援を行う際の予算は決して安価ではないため、人によってはクライアントからの圧力が精神的な負担となるでしょう。
3. 基本的に業務量・残業が多い
Webマーケティング会社は、多くのクライアントを同時に支援しています。そのため、既存顧客の進捗管理や報告資料の作成だけでも業務量は膨大です。新規顧客の獲得に向けて提案資料などを用意する必要もあるため、時間的な余裕が生まれることはまずありません。
マーケティングの支援では何より結果が求められるので、仮説検証がうまく進まないと事前の計画以上に時間を要すことも多々あります。基本的に毎月の残業時間は多くなりやすいので、仕事よりプライベートを優先する候補者を採用する際には注意しましょう。
Webマーケティング担当者のやりがい
きつい部分だけでなく、Webマーケティング担当者ならではのやりがいもあります。
- 仕事の成果が数字に表れる
- 会社の業績アップに貢献できる
- スキルを習得すれば副業・独立できる
それぞれ確認していきましょう。
1. 仕事の成果が数字に表れる
インターネット広告やSNSなどを活用して支援を行うWebマーケティングの成果は、数値として明確に表れます。よって自身が担当した業務の成果を実感しやすく、計画通りに数値が変化した際にはほかの仕事にはないような達成感を味わえます。
目標数値を達成した際にはクライアントからも感謝されるため、貢献感を得られることも魅力です。成果を実感しやすい仕事に従事したい方には、向いている職種といえるでしょう。
2. 会社の業績アップに貢献できる
WebマーケティングによってPV数や新規訪問者数などの値が改善すると、支援した会社の売上が上がります。そのため、単に仕事の成果を実感しやすいだけでなく、結果を出すことで会社の業績アップにも直接的に貢献できます。
ほかの業界では、担当部署内では成果を出せても、会社の業績に直接影響を与えられるようなケースはあまりありません。自身の業務によって大きな影響を与えられることは、Webマーケティングの担当者だからこそ享受できるメリットといえます。
3. スキルを習得すれば副業・独立できる
会社で得たWebマーケティングのスキルは、個人で仕事をする際にもそのまま使えます。実際、広告運用やSEOの知見を活かして、副業や独立をする方は少なくありません。
普段の業務に取り組むなかで有用性の高い知見が得られることは、転職希望者にとって大きな魅力になるはずです。候補者を相手に採用ポストの魅力を語る際には、業務を通してスキルが蓄積されることを伝えるとよいでしょう。
Webマーケティング会社の営業職の年収相場
新たに営業人材の採用を考えている方は、同職種の年収相場も気になるのではないでしょうか。マーケティング業界の平均年収は、以下の通りです。
- マーケティング:516万円
- デジタルマーケティング:599万円
参考:求人ボックス給料ナビ「マーケティング・デジタルマーケティング」
デジタルマーケティングは、デジタルを活用したあらゆる活動を指します。WebマーケティングだけでなくビッグデータやIoTなどを使った活動も含むため、一概に同業界の平均年収とはいえません。
ただ上記を踏まえると、概ね550万円程度が年収相場といえます。初めて営業職の人材を採用する方は、支払う報酬の目安として参考にするとよいでしょう。
Webマーケティング会社の営業職に必要なスキル
続いては、Webマーケティング会社の営業職に求められるスキルについてです。
- マーケティングの基礎知識
- 論理的思考力
- コミュニケーション能力
それぞれ詳しく解説します。
1. マーケティングの基礎知識
クライアントに適切な提案をするには、やはりマーケティングに関する知識が欠かせません。施策の種類や特徴などを知らないと、顧客に対しても提案ができないからです。営業職は実際に施策を行うわけではありませんが、基礎知識としてWebマーケティングの全体像を把握しておくことが大切です。
未経験者を採用する際には、次のような知識の有無を確認することをおすすめします。
- マーケティング業界の専門用語
- 一般的な施策の種類とそれぞれの特徴
- 分析ツールの種類と大まかな使い方
たとえば、集客施策の一つであるインターネット広告を考えても、リスティング広告やアドネットワーク広告などさまざまな種類があります。これらは実務のなかでも習得できますが、新たに人材を採用するなら基礎知識のある候補者が理想的でしょう。
2. 論理的思考力
仮説検証を繰り返すWebマーケティングでは、論理的思考力も必須です。ロジカルな考え方ができないと、施策を実行しても的確に分析や改善ができないからです。
倫理的な考え方ができれば、PDCAを繰り返すことでクライアントが求める成果を出せます。営業職の人材を選考する際には、会話を通じてロジカルな考えができそうかどうかを確認しましょう。
3. コミュニケーション能力
ほかの業界と同様に、Webマーケティング会社の営業職にもコミュニケーション能力が求められます。円滑な会話ができないと、顧客の気分を損ねたり、企画内容を正確に伝えられなかったりするからです。同ポジションを採用する際には、会話力に優れた人材を選ぶとよいでしょう。
Webマーケティング会社の営業職に未経験者を雇う際すべきこと
最後に、Webマーケティング会社の営業職に未経験者を雇う際すべきことを紹介します。
- 書籍やセミナーで基礎知識を習得してもらう
- インプットだけでなくアウトプットの機会を作る
順に確認していきましょう。
1. 書籍やセミナーで基礎知識を習得してもらう
まずは書籍やセミナーを活用して、Webマーケティングの基礎知識を習得してもらうことをおすすめします。基本的な知識が不足していると、人材を確保しても業務がうまく進まないケースが多いからです。
未経験からWebマーケティング会社の営業職を目指す方のなかには、独自に学習を行っている人材も少なくありません。入社後できる限り早く活躍してもらうためにも、独学している人材がいたら積極的に採用を検討するとよいでしょう。
2. インプットだけでなくアウトプットの機会を作る
基礎知識の学習と同様に重要なのが、アウトプットすることです。いくら本などで情報をインプットしても、実際に手を動かしてみないと知識は定着しません。
たとえば、Webマーケティングの支援時にも行う次のような施策は、アウトプットの手段として適しています。
- 広告配信
- SNS運用
- サイト運用
SNSで多くのフォロワーを集めたり、個人ブログで検索エンジンから集客したりした経験がある人材は、未経験でも一定の知見があると考えられます。選考時に実績を提示する候補者がいたら、前向きに採用を検討するとよいでしょう。