オウンドメディアで外注できる内容は?メリットや費用相場、注意点など
オウンドメディア運用を考える企業のなかには、一部業務の外注を検討しているところもあるでしょう。今まで外注したことがないと、どのような業務を依頼できるのかがわからない企業も多いと思います。
オウンドメディアを1から構築・運用する手順
オウンドメディアで外注できる内容を知るには、まず構築・運用がどのような流れで進むのかを理解するのが大切です。そうすることで、オウンドメディアの一連の流れで、どの部分を外注するのかの判断につながります。
オウンドメディア構築・運用は、主に次のような流れで進めます。
- 戦略を立案する
- サイトを制作する
- コンテンツを制作する
- サイトの内部・外部の調整を繰り返す
ここでは、各手順について詳しく解説していきます。
1. 戦略を立てる
まずはオウンドメディアを構築する前に、戦略を立てます。
運用目的が不明確なオウンドメディアは、ゴールが見えないままコンテンツを制作し続けるだけなので、コストに対し成果を得られず途中で挫折するのが関の山です。意外にも「なんとなくオウンドメディアを運用してみた」という企業が多いので、特に注意したい点です。
オウンドメディアの戦略を決めるといっても、特別難しいことをするのではありません。企業が新たに商品を開発・販売するのと同じやり方です。そこでオウンドメディア運用において、立てておきたい代表的なマーケティング戦略を紹介します。
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もちろんこれらがオウンドメディア戦略設計のすべてではありません。ほかのマーケティング戦略を駆使して、より自社が提供できる価値を掘り下げることも重要です。
2. サイトを制作する
オウンドメディアの戦略を設計したあと、サイトを制作します。サイトを制作する方法は、主に次の3つにわけられます。
サイト制作方法 | 特徴 | |
自社 | CMS(WordPressなど) | CMSと呼ばれる無料のホームページ作成ツール。「WordPress」は世界でもっとも利用されるCMSで、最低限のソースコードの知識があれば簡単にサイトを制作できる。 |
1から作成 | 「HTML・CSS・JavaScript・PHPなどの言語」「Webデザイン全般」「サーバーやFTPソフト」これらの知識があれば、自社で1からサイトを制作することも可能。 | |
外注 | 制作を依頼する | 外部にサイト制作を依頼する方法。自社の望むようなサイトデザインやUIデザインなどの設計が可能。発注先は主に「Web制作会社」「フリーランス」の2つがある。 |
サイトを立ち上げるには、自社の知識や予算と照らし合わせながら、どの方法で制作するか判断するようにしましょう。
3. コンテンツを制作する
サイトを制作したあとは、検索ユーザーを獲得するためにコンテンツを制作します(コンテンツとは、主に記事のことを指します)。
コンテンツは、検索キーワードに対して制作するのが一般的です。検索キーワードとは、GoogleやYahoo!などの検索ボックスに、ユーザーが入力する単語(の組み合わせ)です。検索ユーザーはなにかしらわからないことや不安、悩みなどをもっており、それを解決するために検索ボックスに単語を入力します。
その検索キーワードの意図を汲み取ったコンテンツを制作することで、検索ユーザーから信頼を獲得できます。そしてコンテンツによって自社製品の価値を訴求し、購入・リピートまでつなげるのがオウンドメディアマーケティングの理想型です。
4. サイトの内部・外部の調整を繰り返す
オウンドメディア運用は、コンテンツの制作だけではありません。内部・外部の調整を繰り返して、より検索ユーザーが快適に利用できるオウンドメディアをつくっていきます。
インターネット検索からオウンドメディアへの訪問を増やし、成約までつなげるマーケティング手法を「SEO対策」といいます。このSEO対策は、主に「内部対策」と「外部対策」の2つにわけられます。内部対策で実行することは、主に次のとおりです。
内部対策の主な施策
- ページの表示速度を上げる
- スマホ対応のページにする
- 内部リンクを入れてサイトの回遊性を上げる など
内部対策はHTMLやCSS、PHPなど言語の理解、Googleのクローラーに対する知識が必要である点から、エンジニアの領域となるのが一般的です。
関連記事: SEOの内部対策で最低限行うべき10個のチェックポイントをご紹介
一方外部対策では、次のような施策を実行します。
外部対策の主な施策
- 被リンク(外部に貼られた自社サイトのURL)を増やす
- SNSで情報を拡散して共感を集める
- メルマガで情報を発信してオウンドメディアへ誘導する など
このように被リンクやサイテーション※を増やす外部対策は、企業だと「広報部」の役割を担っています。そのためオウンドメディアを運用するには、広報部との連携も欠かせません。
※サイテーション…インターネット上で企業名やサイトなどに言及される行為のこと。検索順位にも影響を与える。
関連記事: SEOあるある外部リンク対策「難しい外部対策とリンク獲得」
オウンドメディアで外注する内容
オウンドメディア構築・運用の一連の流れを紹介したところで、次に外注できる内容を紹介します。当然ですが、どこまで外注するかによって、自社で用意するリソースや予算などが異なります。
ぜひ自社の状況と照らし合わせながら考えてみてください。
サイトの立ち上げから外注する
まずは、サイトの立ち上げから外部に依頼する方法です。サイト立ち上げについて知見のない企業が選択する、一般的な外注の方法です。依頼先にもよりますが、Web制作会社に依頼した場合、次のようなフローで進めます。
サイト制作の一般的なフロー
- 企画・要件定義…現状の課題の洗い出しや、目的・ターゲット設定など
- 計画…サイトの仕様やデザイン方針などの作成、共有
- 制作…コーディングやデザイン、場合によっては動画制作やライティングなども
- テスト…サイトが正常に動くか動作を検証
- 公開…サイトを公開する
- 保守・運用…サイト運営やコンテンツ制作、SNS運用など
このように、サイト構築や運営に必要な作業をすべて巻き取ってくれるので、サイトに関する知識のない企業に最適な方法です。
オウンドメディア運用を外注する
日々のオウンドメディアの運用のみを外注する方法もあります。オウンドメディア運用では、主に次のような内容を依頼できます。
- メディアの戦略設計
- コンテンツ企画・制作
- アクセス解析・改善提案
- SNSの運用
- メルマガの情報配信 など
このようにオウンドメディア運用のリソースやノウハウが不足する場合、運用代行会社に依頼するのもおすすめです。SEOに関する専門知識をもっている運用代行会社は、Googleのアルゴリズムに対し最適な対応を取ってくれます。
記事制作のみを外注する
SEOに関する知識があるものの、コンテンツ制作のリソースやノウハウが不足する場合、記事の執筆のみを外注する方法もあります。記事制作を外注するには、サイト制作と同様「制作会社」または「フリーランス」の2つの依頼方法があります。
担当者 | メリット | デメリット |
制作会社 | ・自社サイトにあったライターを用意してくれる
・企画立案からSEOコンサルまで巻き取ってくれるところも多い |
・個人ライターに比べて費用が高い
・少数の発注ができないケースもある |
フリーランス | ・コンテンツ制作会社に比べて費用が安い
・自社の要望に柔軟に対応してくれる |
・ライターによって質が左右される
・ライターを探す手間がある |
こちらも記事制作のノウハウや予算によって依頼先は異なるので、自社の状況を考慮しながら決めるようにしましょう。
オウンドメディアの構築・運用を外注するメリット
オウンドメディアの構築・運用を外注するメリットはなにでしょうか?主なメリットを3つ紹介します。
- リソース不足でもオウンドメディアを構築・運用できる
- 専門知識がなくてもSEO対策ができる
- 多くのコンテンツを投稿できる
リソース不足でもオウンドメディアを構築・運用できる
社内のリソースが不足していても、オウンドメディアを構築・運用できるのが外注のメリットです。オウンドメディア運用には常にメンテナンスが必要であり、放置していると検索順位を落とすどころか、情報の古さや間違いで顧客からの信頼を失いかねません。
社内にオウンドメディア運用の専門部署を設置するのが理想ですが、ない場合は外注も検討してみてください。オウンドメディアは会社の顔となるため、リソース不足で運用できないくらいなら、多少コストがかかっても外注するのがおすすめです。
専門知識がなくてもSEO対策ができる
サイトの検索順位を上げるSEO対策には、Googleのアルゴリズムの理解や、長年メディアを運営してきたノウハウが不可欠です。SEO対策には専門知識が必要ですが、ノウハウがなくともSEO対策ができるのが外注のメリットです。
運用代行会社は、たいていSEOの専門知識をもっています。特に、長年オウンドメディアを運用してきた会社にはSEOのノウハウが蓄積されており、それをクライアントの成果を上げるために惜しみなく使います。
SEOの知識がないままオウンドメディアを運用する場合、よっぽどコンテンツの質が高くない限り、検索上位を獲得するのは困難です。そのためSEOのノウハウがない場合は、外注先に依頼するのがおすすめです。
多くのコンテンツを投稿できる
外注すれば、オウンドメディアのコンテンツを量産できます。
コンテンツをつくったことのある方ならわかるでしょうが、ふだん書き慣れていない方が1つの記事を書くにも、相当な時間がかかります。一般的に会社が本業でリソースは限界なことが多く、コンテンツ制作のための人材を用意できないのが実情でしょう。
オウンドメディアの検索順位を上げるには、コンテンツの質に加えて、ある程度の量も必要です(目安として週2〜3本程度)。そのためコンテンツを多く投稿したい企業は、ぜひ外注も検討してみてください。
関連記事: コンテンツマーケティングの記事制作のやり方は?ポイントや外注について
オウンドメディア構築・運用の費用相場
オウンドメディアの構築・運用の費用相場を、次の3つの観点から説明します。
- サイトの立ち上げ
- 運用費用
- 記事制作のみ
サイトの立ち上げ
サイトの立ち上げ費用は、依頼先やサイトの規模によってかなり異なります。目安として相場を載せますが、詳しくは依頼先に料金を確認するのがおすすめです。
担当者 | 費用相場 |
Web制作会社 | 10万~300万円以上 |
フリーランス | 10万~20万円 |
運用費用
オウンドメディア運用を外注する場合も、内容によって費用は異なります。そこで代表的な運用代行の相場を紹介します。
項目 | 費用相場 |
簡単な保守のみ | 0~1万円 |
保守・運用(問い合わせ対応やCMSのアップデートなどを含む) | 1万5000円~5万円程度 |
保守・運用(上記に加えレポート作成やコンサルティングも含む) | 20万円以上 |
記事制作のみ
記事制作の費用は「文字単価」と「記事単価」の2つがあります。また依頼先によっても費用は異なります。ここでは文字単価で、記事制作の相場を見てみましょう。
担当者 | 費用相場(文字単価) |
コンテンツ制作会社 | 1文字10円~(場合によっては100円も) |
フリーランス | 1文字1~10円 |
オウンドメディア構築・運用を外注する際の注意点
オウンドメディアの構築・運用を外注する際の注意点を3つ紹介します。
- なかには悪質な業者がいる
- すべて丸投げすると社内にノウハウが蓄積されない
- 直接ライターに発注する場合は質に注意する
なかには悪質な業者がいる
この業界に限った話ではありませんが、なかには悪質な業者も存在します。SEOはブラックボックスである側面も強く、依頼先を間違えると相場よりも高い依頼料を支払ったまま、成果を出せない可能性が高くなります。
そのため業者に外注する場合は、次のような点に注意してみてください。
業者に依頼する場合に見るべきポイント
- 料金体系が明確か
- 制作実績が豊富か(自社の業種に近い実績を見るのがベスト)
- 制作会社自身もオウンドメディアで検索上位を獲得しているか など
特にサイト制作は数十万〜数百万円にもなるので、3社程度から見積りをもらって比較検討するのがおすすめです。
すべて丸投げすると社内にノウハウが蓄積されない
オウンドメディア構築・運用が失敗する原因の1つに、外注先にすべて任せっきりになっていることがあります。サイトやコンテンツ制作では、自社の目標や戦略を外注先と共有しながら進めるのが大切です。そうしなければ、自社の意図とズレた制作物が納品されることになります。
またすべて丸投げしていると、いつまでも自社にオウンドメディアのノウハウが蓄積されません。特にSEO対策は専門知識が必要なので、自社も積極的に関わりながらノウハウを増やすようにしましょう。
直接ライターに発注する場合は質に注意する
企業によっては、コンテンツ制作のために直接ライターに発注することもあります。その場合、ライターの選定には注意しましょう。
個人ライターはコストを抑えながら依頼できる一方、質はピンキリです。ライターの選定を間違えればいつまでも成果は出ません。むしろコスト損になるので、ライターは慎重に選んでください。
個人ライターを選定する際は、次のような点をチェックしてみましょう。
個人ライターに依頼する場合に見るべきポイント
- 制作実績(ポートフォリオ)が豊富
- 成果物が読みやすい(記事制作の素人が見て読みやすいのが理想)
- コミュニケーションコストがかからない(返信が早い、要点のみを伝える) など