オウンドメディアのマーケティングとは?具体的な手順や注意点など
昨今、Webからの集客において積極的に進められているのが、オウンドメディア運用です。しかし、どのように運用したらよいのかわからない方も多いでしょう。
オウンドメディアのマーケティングとは
オウンドメディアのマーケティングとは、その名のとおりオウンドメディアを活用したマーケティングです。具体的には、インターネット上に存在する潜在顧客をオウンドメディアを通じて育成し、商品購入またはリピートまでつなげる手法をいいます。
オウンドメディアを活用したマーケティングにはさまざまな方法がありますが、一般的に考えられるのは、記事や動画などを活用した「コンテンツマーケティング」です。コンテンツを通じて潜在顧客からの信頼を獲得し、自社商品を購入してもらえるように育成します。
対となる「Web広告」について
インターネット上に表示される広告を「Web広告」といいます。SEOとは対で考えられることも多く、広告はサイト上にすぐ表示されるので、即効性のある手法として重宝されています。
一口にWeb広告といっても、その種類はさまざまです。検索キーワードに連動して検索結果のもっとも上位に表示される「リスティング広告」から、メディアやアプリ内に表示される「ディスプレイ広告」など多岐にわたります。
関連記事: オウンドメディアとは?企業に必要な理由や作り方、運用手順など
なぜオウンドメディアのマーケティングが重要なのか
なぜオウンドメディアのマーケティングが重要なのでしょうか?その理由を3つ紹介します。
「広告避け」に対応できるから
現代社会は情報過多であることから、人々は潜在的に広告を避けようとする動きをすることがあります。広告では効果が薄いと感じるときに、役立つのがオウンドメディアのコンテンツです。
たとえばWebサイトで魅力的なコンテンツを1つ作れば、それはインターネット上にずっと残り、長くユーザーを集客し続けるようになるのです。広告は一過性のものが多いですが、コンテンツはインターネット上に残り続けます。
広告が避けられやすい現在社会において、ユーザーから積極的に情報を得ようとするコンテンツは、オウンドメディアのマーケティングにおいて非常に重要です。
潜在顧客の獲得に適した手法だから
コンテンツマーケティングが潜在顧客を獲得できる理由に、ユーザーの悩み・不安を解決できる点が挙げられます。つまり、コンテンツで解決策を提供して悩みや不安を解決することで、顧客から信頼を得られるようになります。
コンテンツSEOでは、GoogleやYahoo!の検索キーワードに対してコンテンツを制作します。たとえば「ノートパソコン 使いにくい」と調べるユーザーは、心のなかで「使いやすいノートパソコンがほしい」と考えている可能性が高くなります。
そこでノートパソコンを販売する企業が、自社メディアで「ノートパソコン 使いにくい」の検索キーワードに対して記事を作成し、その中で「万人に使いやすいノートパソコン」を紹介したとしましょう。
このとき「使いやすいノートパソコンがほしい」と考えるユーザーはその製品に興味をもち、その企業を通じてノートパソコンの購入にいたるケースがあるのです。このようにコンテンツマーケティングでは、コンテンツを通じて潜在顧客と接点をもつことで、成約までつなげるように戦略を練っていきます。
コンテンツが資産となるから
オウンドメディアのコンテンツは、オウンドメディアが閉じることのない限り、将来ずっと残り続けます。つまり、オウンドメディアで一度つくったコンテンツは企業の資産となり、継続して検索ユーザーを獲得し続けられるのです。
世の中の広告は掲載が終了すれば、基本的にそれ以上ユーザーに情報を提供できません。そのため継続して顧客を獲得するのには、広告費を払い続ける必要があります。
一方でオウンドメディアの場合、一度コンテンツをつくってしまえば、それが「資産」となりコンテンツとして残り続けます。広告とは違い、オウンドメディアが閉鎖することのない限り、将来ずっと検索ユーザーを集客する可能性を秘めています。
このように企業の資産を増やせるのも、オウンドメディアマーケティングならではのメリットといえます。
具体的なオウンドメディアマーケティングの手順
具体的なオウンドメディアマーケティングの手順について紹介します。主に次の流れで進めるのが一般的です。
- メディアのゴールを明確にする
- ペルソナを設計する
- カスタマージャーニーマップを作成する
- コンテンツを制作する
- Webサイトの分析と改善を繰り返す
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メディアのゴールを明確にする
オウンドメディア運用で失敗するケースの多くが「サイトを運営すれば儲かると思った」「とりあえずやってみた」のような、ゴールが曖昧なケースです。
またアクセスを解析しても、その数字を活かせないので、貴重なデータを捨てることにほかなりません。そこでオウンドメディア運用を考えるときは、必ずゴールを設計しましょう。ゴール設計はKGIとKPIの設定から始めます。
まずは、次のようにKGIの設定から始めてみましょう。
<KGI設定例>
- 自社製品をWeb上で販売する
- 自社製品に関するお問い合わせが入る
- 資料請求される
- メディア経由で広告収入を得る など
次に上記で設定したKGI設定を、KPIで目指すべき数値に落とし込みます。
<KPI設定例>
- メディア経由の売上月間100万円
- お問い合わせ数月20件
- 資料請求月30件
- 広告収入月200万円 など
このようにまずは「なんのためにオウンドメディアを運用するのか」を明らかにすれば、日頃のメディア運用でなにをすべきかが明確になります。
ペルソナを設計する
ペルソナとは、ターゲットとするユーザー像です。ペルソナ設計は架空人物像を作成し、どんなユーザーに向けてオウンドメディアを運用するのか明確にする作業です。
飲食店が集客する場合、次のようなペルソナを設計できます。
<ペルソナの設計例>
性別 | 女性 |
年齢 | 27歳 |
職業 | 会社員 |
収入 | 350万円 |
会社 | 文房具のメーカー |
既婚・未婚 | 未婚 |
同居家族構成 | 1人暮らし |
居住地域 | 東京都内 |
学歴 | 大学卒 |
仲のよい友達の数 | 10人 |
SNSでの友達の数 | 100人 |
休日の過ごし方 | 友達とカフェやインスタ映えスポットに行くこと |
よく買い物をするお店 | 近くのショッピングセンター |
所持しているPC、モバイル端末 | スマホ1台 |
好きな雑誌 | 女性誌 |
習慣 | 友達と夜に飲みに行くこと |
趣味 | お酒を飲むこと |
ペルソナ設計は詳細に設計するのが理想ですが、あまりにも細かくつくる必要はありません。細かすぎると現実とは乖離したユーザー像ができあがってしまい、実際の顧客から離れることになります。そのため上記の項目数を参考に、ペルソナをつくってみてください。
またペルソナ設計は1人だけでなく、2〜3人で設定するのが一般的です。さらに「自社製品について知らないユーザー」から「もうすぐ購入する顧客」まで、顧客の購買意欲に合わせてペルソナを設計すると、より正確にペルソナを設計できます。
関連記事: ペルソナとは?マーケティングに必要な理由と設定方法
カスタマージャーニーマップを作成する
ペルソナを設計したあとは、カスタマージャーニーマップを設計していきます。カスタマージャーニーマップとは、顧客が自社製品を認知してから成約にいたるまでの一連の流れを、旅(ジャーニー)のように設計したものです。
顧客は商品・サービスを購入するまでに、次のような流れ(ジャーニー)をたどります。
<カスタマージャーニーマップの流れ>
- 認知
- 情報収集
- 比較・検討
- 購入
この一連の流れに、先ほど作成したペルソナをカスタマージャーニーマップに当てはめます。たとえばノートパソコンを販売する企業を例に、カスタマージャーニーマップを作成してみましょう。
<ノートパソコンをカスタマージャーニーマップに当てはめた例>
- 認知(在宅ワーカーには、自由に持ち運びできるノートパソコンがいいことを知る)
- 情報収集(ノートパソコンの特徴や性能、使い方などをインターネットで調べる)
- 比較・検討(15万円の予算でノートパソコンを比較する)
- 購入(家電販売店でノートパソコンを購入する)
このようにカスタマージャーニーマップにマップに当てはめることで、顧客のフェーズごとにコンテンツを企画できるようになります。顧客フェーズを意識したコンテンツは、顧客への訴求ポイントが明確になるメリットがあります。
コンテンツを制作する
カスタマージャーニーマップをつくったあとは、顧客の購入フェーズに合わせてコンテンツを企画・作成します。2で設計したペルソナに向けて、コンテンツをつくってみましょう。
コンテンツは「検索キーワード」に基づいて作成します。検索キーワードとは、GoogleやYahoo!などのインターネットで検索ボックスに入力する単語です(「ノートパソコン 高い」「お腹 痛い 原因」など)。検索キーワードからユーザーが求める情報を分析し、それに合ったコンテンツを作成しましょう。
検索キーワードに応えるコンテンツをつくるには「検索意図」を把握するのが重要です。人はインターネットで検索するとき、なんらかの「知らないこと」や「悩み」「不安」などを解決しようと考えています。
これを検索意図と言い、これに応えられるコンテンツがマーケティングで非常に重要な役割を担っています。
関連記事: SEOにおける検索意図の重要性!調べ方から利用方法まで
Webサイトの分析と改善を繰り返す
コンテンツを公開したらそれで終わりではありません。公開後は定期的にアクセスを解析して、成約までの精度を高めましょう。
Webサイトの解析には「Googleアナリティクス」や「Google Search Console」など、Googleが無償で提供しているツールがあります。これらのアクセス解析ツールを駆使してオウンドメディアの分析を繰り返しましょう。
良い成果が出た施策は繰り返し、成果が出ない成果は原因を分析できれば、より強固なオウンドメディアに仕上がっていきます。
関連記事: Googleアナリティクスの見方を基礎から重要項目まで徹底解説
オウンドメディアのマーケティングの注意点
オウンドメディアでマーケティングを実施する際、いくつか注意点があります。前もって知っておくとイレギュラーも折り込めるので、ぜひ理解しておきましょう。
成果が出るまで通常6ヶ月以上かかる
コンテンツマーケティングは、実施すればすぐに成果が出るものではありません。どんなに早くとも、3ヶ月、通常6ヶ月以上はかかります。成果が出るまで、おおよそ3ヶ月~1年以上かかるのが妥当です。そのため短期的な成果を期待して運用すると、途中で挫折するのが関の山です。
そのためコンテンツマーケティングを実施する際は、数か月単位、1年単位で計画を立てるようにしましょう。費用対効果を上げるためにも、短期での成果に一喜一憂せず、長期で継続することで徐々に成果を上げていくように意識していくのが重要です。
継続がなによりも重要
オウンドメディアのマーケティングは、継続がなによりも重要です。なぜならメディアの成果は、長期間の継続のあとに出るものだからです。
業種や分野にもよりますが、オウンドメディアは成果が出るまでどれだけ早くても3ヶ月、通常6ヶ月〜1年以上かかります。なぜならオウンドメディアのGoogleからの評価を上げるには、質のよいコンテンツを多く公開し続ける必要があるからです。検索ユーザーに読まれる記事が増えていけば、メディアの評価は上がり、検索順位の上位にも上がりやすくなります。
そのためオウンドメディアの運用を考えている場合は、まず継続できる体制をつくりましょう。メディア運用はすべて内製化できるのが理想ですが、リソース不足で難しい場合は、外注も使って対応するのがおすすめです。
自社製品の市場価値が低ければ成果は出づらい
元も子もない話ですが、自社製品の市場価値が低ければ、どれだけオウンドメディアのマーケティングはうまくいきません。オウンドメディアのマーケティングは緻密に戦略を設計していても、自社製品の市場価値が低いせいで、集客しても売れないケースもあります。
マーケティングとは、自動的に売れる仕組みを作るものでもありますが、それにはなによりも商品価値が大切です。オウンドメディア運用に力を入れるばかりで、商品をないがしろにしないようにしましょう。
メディア構築自体を外注する方法もある
実はオウンドメディアのマーケティングのすべて、または一部を外注する方法があります。その方法について、次から詳しく紹介します。
SEO運用を外注する
SEO運用自体を外注する方法です。コンテンツの企画や執筆、効果測定など、オウンドメディアのあらゆる運用をすべて巻き取ってくれます。
自社でSEO運用のノウハウがほとんどない場合は、SEOの運用から任せてしまったほうが成果は出やすいのでおすすめです。一方で月額10万円〜コストもかかるので、コストに対する成果を測ることも忘れないようにしましょう。
コンテンツ制作のみを外注する
オウンドメディアでマーケティングを始めようと思って記事の制作を考えていても、社内にリソースが不足する企業が大半でしょう。リソースが不足する状態でもオウンドメディアでマーケティングを実施したいときは、記事の制作を外注するのがおすすめです。
記事制作の外注先は、主に「コンテンツ制作会社」と「個人ライター」の2つの方法があります。それぞれのメリット・デメリットは次のとおりです。
項目 | メリット | デメリット |
コンテンツ制作会社 | ・自社サイトにあったライターを用意してくれる
・企画立案からSEOコンサルまで巻き取ってくれるところも多い |
・個人ライターに比べて費用が高い
・少数の発注ができないケースがある |
個人ライター | ・コンテンツ制作会社に比べて費用が安い
・自社の要望に柔軟に対応してくれる |
・ライターによって質が左右される
・ライターを探す手間がある |
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