オウンドメディアの立ち上げ費用はどれくらい?内訳や相場を解説
オウンドメディアを構築する費用は、数万円〜300万円ほどと幅広い価格帯で見積もられます。それは、作りたいメディアの規模によって、費用の差が出てくるためです。
また、オウンドメディアを成功させるためには、Webマーケティングの知識が必要です。社内にWebマーケティング知識を持っている人材がいれば、外注する範囲を減らして節約できるでしょう。しかし、マーケティング知識がないのであれば、プロである会社に外注するのがおすすめです。
オウンドメディアとは
オウンドメディア(Owned Media)とは、自社で運営しているメディアのことです。一般的には、自社の情報を発信するWebサイトやブログ、SNSの公式アカウントなどを指すことが多いですが、広義ではパンフレットや広報誌などもオウンドメディアに分類されます。自社で運営するブログやコラムのようなWebサイトを専用に作り、オウンドメディアとしてコンテンツマーケティングを展開する企業が増えています。
オウンドメディアはお役立ちコンテンツを多数載せることで、その分野に興味のある潜在顧客を確保したり、商品の魅力を伝えて優良顧客を保持したりといったマーケティングツールになります。
オウンドメディアの特徴は、第三者に依存せずに情報をコントロールできる点です。これにより、企業は自分たちのメッセージを正確に伝えることができ、長期的なブランド構築や顧客との関係強化に貢献できます。
オウンドメディアでかかる2つの費用
オウンドメディアを立ち上げる際には、主に以下の2つの費用がかかります。
- 構築費用
- 運用費用
詳しく説明します。
構築費用
オウンドメディアを開発して、公開までする工程を構築と呼びます。オウンドメディアを構築するためには、戦略立案や企画から始まり、デザイン、コーディング、コンテンツ制作など、多くの工程を踏まなければいけません。この構築費用を外注する場合は、構築費用として請求されます。
運用費用
オウンドメディアの運用とは、サイト公開後に目的に合ったオウンドメディアに成長するように管理・運営することです。例えば、新規記事を作成したり、集客状況を分析して改善案を出したりといった業務にかかる費用です。
また、サイトを保持するために、保守費やサーバー代、ドメイン代などの費用もかかります。集客の戦略をするための、コンサルタント料もかかることがあります。オウンドメディアの運用費は、月や年単位でずっとかかり続けるため、構築費より高くなるでしょう。
オウンドメディアの立ち上げ費用
オウンドメディアを立ち上げにかかる費用は、サイトの規模や外注する範囲で差が出やすいです。以下の金額がおおよその費用です。
立ち上げ費用 | 20万円~300万円 |
一般的な見積り金額 | 100万円~300万円 |
立ち上げ費用が20万円〜300万円と差があるのは、自社で簡易的なメディアを作成すれば、それほど金額がかからないためです。外注すると、見積り額は100万円を超えてくることが多いでしょう。
費用をかけても外注したほうが良いケース
本格的なオウンドメディアを制作したい場合や、社内にWebマーケティング知識を持った人材がいなければ、外注することをおすすめします。費用を節約したくて内製化しても、Webマーケティングに精通していないと、成功が難しいからです。
安易に社内でオウンドメディアを立ち上げるよりも、制作会社に外注して作りこんだ方が、良い結果をもたらす可能性が高まるでしょう。予算に合わせて制作会社と相談することを、おすすめします。
オウンドメディアの見積もり内訳
制作会社にオウンドメディア制作を外注する際の見積り金額は、最初から100万円を超えることが多いです。安くはない金額のため、しっかり検討するためにも、見積もりの内訳について知っておくと良いでしょう。
オウンドメディア立ち上げにかかる外注費の見積もり内訳は以下です。
- 戦略立案(マーケティング・調査)
- 企画・ディレクション費用
- デザイン・コーディング費用
- コンテンツ制作費
- 運用費
それぞれ詳しく解説します。
戦略立案(マーケティング・調査)
オウンドメディアを立ち上げるために、最初に行うのが戦略立案です。メディアの骨子になる部分なのでしっかり戦略を立てなければならず、マーケティング知識が必要になります。
この段階は、「誰に」「どのような情報を提供するか」「どのように集客するか」などを調査しながら決めていきます。
具体的には、
- 調査
- ペルソナ設定
- カスタマージャーニーマップの作成
- メディアのコンセプト設計
- 集客設定
- サイトの構造設計
- コンテンツの方向性
などを決めていきます。
企画・ディレクション費用
企画・ディレクション費用は、実際にどのようなコンテンツ構成にするかを企画して、納期までに進行管理をする費用のことです。企画段階は決まった戦略に合わせて、「メディアのデザイン」や「コンテンツの構成」を考えます。
例えば、オウンドメディアの視覚的なテーマを決めたり、記事作成やホワイトペーパー作成のリスト作りだったりなどです。
また、ディレクション費は、デザイナーやライターなどを選出して指示を出すなど、メディアの完成まで進行管理する費用のことです。
一般的に企画・ディレクション費用は、見積り全体の約10%の金額がかかります。
デザイン・コーディング費用
デザイン・コーディング費用は、オウンドメディアを作りこむ作業にかかる金額です。企画で決まった仕様に合わせて、サイトのトップページやコンテンツページ、問い合わせフォームなどを作りこんでいきます。
デザイン・コーディング費は、WordPressなどの無料のCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)にあるテンプレートを使うのか、オリジナルのデザインなのかによって、かなり金額に差が出てきます。
一般的な相場は、10万〜100万円前後とかなり幅があります。作成するメディアの規模やページ数に合わせて、デザインやコーディング費は変わってくるからです。
また、いろいろな機能をつけたいときは別途カスタマイズが必要になり、追加金額がかかることも多いでしょう。
コンテンツ制作費
コンテンツ制作費とは、オウンドメディア内の記事や動画、ホワイトペーパーなどの制作にかかる金額のことです。メディア公開までにかかるコンテンツ制作費の目安は、100万円前後と考えておくと良いでしょう。
コンテンツの種類や数によって、コンテンツ制作費は異なってきます。ブログ記事やPR記事などの文字のみのコンテンツだけなら、1記事1〜5万円程度です。監修が必要になるような専門的な記事の場合は、記事単価が上がる場合が多いでしょう。
また、動画を作成する場合は、1件数十万円〜と高くなります。他にも、メディア内の画像をプロのカメラマンに撮ってもらうなどをした場合も、別途料金がかかります。
運用費
運用費はメディアのサーバー代や保守、アクセス解析と施策の実行、追加のコンテンツ制作などにかかる金額です。メディアの運営は中長期的に行う必要があるため、毎月運用するための費用がかかります。
社内でオウンドメディアの運用知識がないのであれば、制作会社や運用代行会社に外注にお願いすることをおすすめします。なぜなら、どこからアクセス流入があるのか解析して、効果的なSEO対策を施したいときのアドバイスを受けられるからです。
運用費は毎月かかり続けるため、構築費より高くなる傾向があります。どの範囲を制作会社に外注するかを決めておくと良いでしょう。
オウンドメディアの規模別の費用相場
オウンドメディアを構築するときの外注費は100万円を超えることも多いですが、規模によって節約することは可能です。予算が決まっているのであれば、以下の規模別の費用相場が参考になるでしょう。
目的 | 構築費 | 最低限の運用・保守費 | 発注先 | 制作期間 | 特徴 |
必要最低限の小規模メディア | ~20万円 | 月1万円程度 | 自社・フリーランス・中小規模の制作会社 | 1週間~1ヵ月 | テンプレートを使用(凝った作りはできない) |
オリジナルデザインのメディア | 20万円~100万円 | 月1~5万円程度 | 中小規模の制作会社・マーケティング会社・広告代理店 | 1~2ヵ月 | 軽いカスタマイズ機能の追加が可能 |
本格的なメディアの立ち上げ | 100万円~300万円 | 月20万円程度 | 中小~大手の制作会社・マーケティング会社・広告代理店 | 2~4ヵ月 | 戦略から細かいカスタマイズまで依頼可能 |
既存メディアの大規模なリニューアル | 300万円以上 | 月20万円以上 | 中小~大手の制作会社・マーケティング会社・広告代理店 | 3~6ヵ月 | 戦略から運用まで総合的にサポート |
~20万円|テンプレート使用の小規模メディア
特徴
- デザインはテンプレート(凝った作りはできない)
- 記事や画像などコンテンツは自社で用意
- 自社制作 or フリーランス・中小規模の制作会社に依頼
- 制作期間:1週間~1ヵ月
- 最低限の運用・保守費:月1万円程度
必要最低限の小規模サイトでオウンドメディアを制作したい場合は、20万円以下の費用で作成が可能です。予算が少ないため、自社で制作するか、フリーランスや中小規模の制作会社に依頼するかになるでしょう。
低コストの小規模サイトだと、WordPressなどの無料のCMSを使うことが多いです。デザインに凝ることが難しいため、テンプレートのデザインを活用します。
また、コンテンツ制作を外注する費用が捻出できないため、自社で記事や画像などのコンテンツを用意しなければいけません。その後の運用工程も、自社で負担が多いです。
毎月にかかる運用・保守費は最低限の見込みで、1万円程度が目安です。
20万円~100万円|オリジナルデザインが可能
特徴
- オリジナルデザインが可能
- 軽いカスタマイズ機能の追加可能
- 記事や画像などのコンテンツは自社が用意
- 中小規模の制作会社に依頼
- 制作期間:1~2ヵ月
- 最低限の運用・保守費:月1~5万円程度
100万円程度の予算があれば、オリジナルデザインのオウンドメディアを構築することが可能です。無料や格安のCMSを利用することがほとんどですが、カスタマイズしてオリジナル要素を追加できます。また、資料のダウンロード機能などの軽めのカスタマイズなら、対応してくれる制作会社も多いです。
ただし、記事や画像などのコンテンツ制作に回せる予算がないため、コンテンツは全て自社で用意が必要でしょう。オリジナルデザインになるため、制作期間は1〜2ヵ月と少し時間がかかります。
構築後の運用費は最低限の保守などだけで、月1〜5万円程度となるでしょう。コンテンツ追加なども依頼する場合は、運用費が多額になると考えておくと良いです。
100万~300万円|新規の本格的なメディア立ち上げ
特徴
- 戦略からカスタマイズまで依頼可能
- 本格的なオリジナルデザイン
- さまざまな機能を付けられる
- コンテンツ制作の一部を依頼できる
- 中小~大手の制作会社に依頼
- 制作期間:2~4ヵ月
- 最低限の運用・保守費:20万円程度
100万円以上かけられれば、メディアの戦略から最適なSEO施策などのカスタマイズなど、本格的なオウンドメディア構築が可能になります。新規のオウンドメディア構築で最も多い見積り価格が、この価格帯です。
この予算なら調査や戦略など、オウンドメディアの成功のための土台になる部分を、経験豊富な制作会社に任せることができ、安心できるでしょう。
また、動的コンテンツなど、よりカスタマイズした機能を追加することも可能です。ただし、コンテンツ制作に関して一部は制作会社が準備してくれますが、基本は自社で用意が必要になる場合が多いです。
運用に関してのアドバイスももらえるなど、本格的なオウンドメディア運営にも携わってもらうことも可能です。しかし、運用に関しては、長期で分析などが必要になるため、運用費が別途かかります。
メディアの最低限の運用・保守費は20万円程度です。追加で運用も依頼すると、かなりの金額が長期でかかることになるでしょう。場合によっては1,000万円以上運用にかかる場合もあるので、どこまで依頼するかは事前に決めておくことをおすすめします。
300万円~|大規模なリニューアル
特徴
- 既存のメディアの大規模リニューアル
- CMSのフルカスタマイズ or 独自開発
- 戦略から運用まで総合的にサポート
- 中小~大手制作会社に依頼
- 制作期間:3~6ヵ月
- 最低限の運用・保守費:20万円以上
すでにオウンドメディアを運用しているがリニューアルをして、より目的に合ったメディアにしたい場合は、新規で構築するより高額な費用がかかります。既存のメディアの分析や、リニューアル後のコンテンツの再投入など、新規でメディアを構築するより工程が必要だからです。
また、集客やブランディングなどの目的に合ったメディアになるように、戦略から運用まで総合的にサポートしてくれます。使用するCMSも既存のものをフルカスタマイズするか、独自開発するなど、よりオリジナリティを出す手法を選ぶことが多いです。
そのため、制作期間も長くかかり、だいたい3〜6ヵ月は構築までに時間がかかるでしょう。そして運用費も保守だけでなく、その後のコンテンツ追加制作などを依頼すると、かなり高額になることが予想されます。
大規模リニューアルの場合はかなりの金額が必要になりますが、成果の出ない既存のメディアを運用し続けるよりかは、効果があるでしょう。
オウンドメディア制作でおさえておきたい6つのポイント
成果を上げるオウンドメディアを制作するためには、以下の6つのポイントをおさえておきましょう。
- オウンドメディアの目的を明確にする
- 何を外注するか決める
- 金額だけで外注先を決めない
- 外注先とのコミュニケーション
- 社内でのチェック体制を整える
詳しく説明します。
オウンドメディアの目的を明確にする
どのような規模のオウンドメディアを作るにしても、目的がしっかり決まっていなければ、満足できる成果を上げることができません。
そのため、なんのためにオウンドメディアを運営するのかを決めておきましょう。メディアの目的が明確に決まっていないと、戦略も立てられません。戦略なしにメディアの運営を始めても、ターゲットに情報が刺さらず集客もできずに、ただ費用だけかかってしまいます。
何を外注するか決める
オウンドメディアの構築から運用まで全て外注すると、かなりの費用がかかります。外注費用を節約するためにも、自社でできることと、外注する範囲をしっかり決めておきましょう。
例えば、コンテンツ制作は自社で行えるが、Webマーケティングの知識がなく、戦略などは外注してプロの意見をもらいたい、などです。他にも、各工程で外注したい部分と自社で賄える部分を確認し、外注する範囲を決めましょう。
金額だけで外注先を決めない
外注先を決めるときは費用だけではなく、サポート面や実績などトータルで考えて選びましょう。オウンドメディア制作は高額な費用がかかる場合が多く、コストを下げたいと考えがちです。
しかし、費用が安い会社は最低限のサポートしかしてくれず、満足できるサポートが受けられない場合があります。また、SEOなどのWebマーケティング知識が乏しい場合もあり、成果を上げにくい状態になる可能性も。
そのため、外注先を決めるときは、いままでの実績や得意とする分野などを確認する必要があります。
外注先とのコミュニケーション
理想的なオウンドメディアを作るためには、依頼する外注先とのコミュニケーションは積極的に行いましょう。
メディアを構築する際は、レイアウトを決めたり、コンテンツをどうするかなど、確認事項が多くあります。外注先とのコミュニケーションを怠ってしまうと、確認しなければいけない事項が保留になり、イメージしていたメディアにならないなど不具合が生じてしまいます。
そのため、外注先とはこまめにコミュニケーションを取り、双方の解釈の違いが起きないように気を配ることが必要です。
社内でのチェック体制を整える
オウンドメディアをしっかり運営するためには、自社でしっかりチェックする体制を整えることが重要です。
外注先から納品されたメディアやコンテンツ等が、依頼した内容通りに仕上がっているかのチェックはどうしても必要だからです。
そのため、オウンドメディアを運営するための専用人員を確保して、すぐにチェックができる体制を整えておきましょう。
弊社のオウンドメディア実績
弊社が手掛けたオウンドメディアの実績を2つ紹介します。
株式会社リブワークス|MADOPRO
引用:MADOPRO
板ガラスや建材の卸売り・施工を行う株式会社リブワークスが運営する、住宅の窓に特化したオウンドメディアです。窓のリフォームや補助金についての解説コラムなどが掲載されています。
また、リフォームの流れを丁寧に解説しているので、窓のリフォームをしたいけれどなにから始めれば良いかわからない人に向いているでしょう。商品情報だけでなく、防犯などの生活に役立つコラムも充実しています。
アイユー株式会社|アプリメンバーズ
引用:アプリメンバーズ
店舗などの独自のアプリを作るサービスのメディアです。店舗や商品情報の発信だけでなく、ポイントや決済機能、顧客管理などマーケティング機能も付いているアプリの開発が、低価格で可能になるサービスです。
メディア内にはお役立ちコラムやサービス内容だけでなく、店舗の種類別の導入事例を豊富に載せています。店舗アプリを手軽に作れるサービスを、わかりやすく伝えているメディアです。
よくある質問(Q&A)
オウンドメディアを構築・運用するときは、専門用語を使うことが多くなります。ここでは、オウンドメディアに関する、よくある質問について解説します。
Q:CMSとは
Answer)CMSとはContents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)の略です。Webサイト内のデザインや記事、画像などを一元的に保存して管理するシステムのことを指します。
Webサイトを構築するためには、HTMLやCSSなどでコーディングが必要です。CMSを利用すれば、そういった知識がなくても簡単にWebサイトの構築ができます。
無料で使えるWordPressは、代表的なCMSです。
CMSを使えばスマホやPCなどのデバイスに合わせたページ表示ができたり、記事を簡単に更新できたりと、メリットが大きいです。
Q:コーディングとは
Answer)コーディングとは、Webサイトなどをイメージ通りに表示させるために、プログラミング言語を使ってソースコードを書くことです。
Webページ内の文字を太字にしたり、背景に色を付けたりするためには、HTMLやCSSといったプログラミング言語で指示が必要です。
CMSでは簡単にWebサイトの装飾ができますが、裏側ではHTMLなどでコーディングが行われています。
オリジナルのオウンドメディアを構築する際は、より複雑な作業が必要になるため、依頼に合わせたコーディングが必要です。
Q:コンテンツとは
Answer)コンテンツとは、情報の中身のことを指すことが多いです。
そしてユーザーに、「価値ある情報を提供するツール」としての意味合いが大きいでしょう。
オウンドメディアの場合、ブログ記事や動画、導入事例やホワイトペーパーなどがコンテンツです。
コンテンツは、ユーザーのニーズに応えるものや、プラスαの情報を与えてくれるものを作成することが求められます。
まとめ