オウンドメディアでブランディングを成功させるポイントや手順を解説
企業にとってブランドイメージは欠かせない要素となり、企業への信頼や見込み客の獲得には重要な付加価値といえるでしょう。特にブランディングを目的としたオウンドメディアの活用は、無駄な広告費用をかけないことからどの企業にもおすすめできる施策です。
オウンドメディアのブランディングとは?
オウンドメディアとは企業が自社で保有するメディアのことをいい、見込み客へのアプローチや顧客のファン化などさまざまな活用方法が存在します。
なかでも企業や商品イメージの定着化を行うための方法が、オウンドメディアを活用したブランディング戦略です。ブランディングは幅広い意味で活用されますが、企業ブランドを印象付けることが主な目的になります。
新しい商品やサービスの認知拡大を考えた際、一般的には広告が活用されますが、コストが必要なうえ効果は一時的です。しかしブランディングから企業イメージを定着させると、広告と同程度の宣伝効果が長期的に得られます。
このように企業そのものの価値を伝える方法がブランディングとなり、現在では欠かせないマーケティング施策の一つといえるでしょう。
オウンドメディアでブランディングを行う目的
ブランディングでは企業ブランドを印象付けることが主な目的ですが、より深堀りすると、企業の信頼獲得やリピーターの増加が挙げられます。また独自のブランドイメージがあると価格競争を避けられるため、無理に価格を下げるような戦略も少なくなるでしょう。
ここでは、オウンドメディアの運営によってブランディングを行う目的について解説していきます。
企業の信頼を獲得するため
まず1つ目の目的が、専門性をアピールし企業の信頼を獲得することです。
オウンドメディアによってユーザーに役立つ情報を発信し続けると、専門的な内容を網羅しているWebサイトというイメージを持たせられます。Webサイトのイメージは運営している企業にも持たれるため、最終的には専門性が高く信頼できる企業というブランドイメージに変化するでしょう。
また専門性だけでなく、悩みを解決できるようなコンテンツであれば、一気に企業への信頼を獲得することも可能です。このように発信内容によって運営企業へのイメージを持たせられるため、信頼を獲得するためにもオウンドメディアのブランディングが効果的となります。
競合との価格競争を避けるため
2つ目の目的は、企業独自のイメージを持たせ、競合との価格競争を避けることです。
市場を独占していない限り、基本的にどの企業にも競合が存在し、価格競争が繰り広げられています。価格は一度下げてしまうと引き上げることが困難になるため、安ければ良いというわけではありません。しかし競合との明確な差別化がない場合、価格を下げずに勝ち続けることは難しいでしょう。
このような場面でもオウンドメディアを活用すれば、企業独自のイメージを持たせられ、競合との差別化につながります。価格を下げなくても価値を見出している顧客は購入するため、価格競争を避けながら売上の増加を目指せるでしょう。
リピーターを増やすため
3つ目の目的が、顧客を企業や商品のファンへと育成し、リピーターを増やすことです。
ブランディングで得られる効果として、ファンにつながりやすいことが挙げられます。もちろんブランドイメージがない場合でもファンになる顧客は存在しますが、イメージが確立されていると応援してくれる顧客も多く、ファンへと育成しやすいことが特徴です。
ファンとなった顧客は定期的に購入する可能性が高いため、リピーターとして継続した売上が見込めます。またリピーターの共有や拡散にも期待が持て、さらなる新規客の獲得にも効果的といえるでしょう。
オウンドメディアでブランディングを成功させるポイント
ブランディングを成功させるためには、主に以下のポイントを意識しましょう。
- 企業のビジョンを伝える
- 一貫性のあるコンテンツを制作する
- 顧客目線で求める内容を考える
- ユーザービリティを高める
各々、解説していきます。
企業のビジョンを伝える
まずは企業のビジョンを伝えることがポイントです。ブランディングとは企業に対する印象付けのため、そもそもどのようなイメージを持たせたいのかが重要な要素になります。
仮に企業のなかでイメージが決まっていなければ、顧客へ共通した印象を持たせることはできず、ブランディングを成功させることは難しいでしょう。
しかし一度イメージを浸透できれば一気に拡散するため、新たな顧客に対しても効果を発揮します。そのためブランドイメージを明確化し、企業のビジョンとして積極的に伝えることを意識しましょう。
一貫性のあるコンテンツを制作する
つぎに重要なポイントは、一貫性のあるコンテンツを制作することです。一貫性のあるコンテンツとは、企業のブランドイメージと合致する内容のことを指します。
仮に市場よりも高価格帯の商品を扱っている場合、発信するコンテンツが安い商品に関する内容ばかりであれば、顧客が抱いているブランドイメージとは離れてしまうでしょう。
発信内容の信憑性も薄まり、最悪の場合は企業へのイメージが悪化する可能性もあります。
そのためブランドイメージを考える際は扱っている商品やサービスとの関係性を意識し、コンテンツを発信する際に矛盾が生じない状態にしましょう。
顧客目線で求める内容を考える
オウンドメディアを運営する際に忘れてはいけないことが、顧客が求めている内容を発信することです。
ブランディングばかりを意識していると、企業側が良いイメージを持たせようと発信内容が限定的になりがちです。
しかしオウンドメディアで重要なことは、ユーザーに役立つ情報を発信することになります。企業の目線で発信しても顧客の満足度は高められず、良いブランドイメージを植え付けることはできません。
あくまで顧客目線で必要なコンテンツの内容を考え、ユーザーが価値を感じるオウンドメディアの運営を行いましょう。
ユーザビリティを高める
前述ではコンテンツの内容でしたが、顧客目線で考えるべきことはWebサイトの扱いやすさや見やすさなど、ユーザビリティの面も重要です。
特にオウンドメディアはコンテンツの量が多いため、扱いづらいWebサイトは離脱を促す原因になります。
そのためカテゴリ分けが明確化されていることや、トップページから3クリック以内に求める情報へたどり着く設計など、操作性の面も重要視しましょう。
特にこだわったWebサイトの設計が行えていると顧客の印象に残りやすく、ブランディングではより効果的な対策になります。
オウンドメディアでブランディングを行う手順
ブランディングを目的としたオウンドメディアの場合、コンテンツの発信以前の市場調査や顧客調査は非常に重要です。さらには企業が目指すイメージがズレていると、顧客への定着化がすすまないため、最初の段階は特に重視しましょう。
具体的には以下の手順ですすめていきます。
- 自社の強みや個性を見出す
- 市場で通用するか調査する
- 顧客からのイメージを調査する
- コンテンツを発信する
各々、解説していきます。
自社の強みや個性を見出す
まずは自社の強みや個性を見出し、明確化することからはじめましょう。
ブランディングを行うにあたって最も重要な要素となり、適切なイメージを考えられなければ世の中に浸透させることはできません。
そのため単純なイメージだけが先行するのではなく、自社がどのような価値を提供できるのかや、顧客からどのように映るのかまで考えることが重要です。
ブランドイメージは途中で簡単に変えられるわけではないため、自社の強みを見出す部分では特に力を注ぐようにしましょう。
市場で通用するか調査する
続いて考えたブランドイメージが、実際の市場に通用するかを調査していきます。
仮にまったく同じイメージ戦略を行っている企業がいる場合、後からの参入では「真似している」と考えられるため、競合以上にイメージを定着させることは難しいといえるでしょう。
他にも似たイメージが多ければ新鮮さが感じられないなど、市場によってさまざまなケースが考えられます。
したがって競合との比較を行い、市場でオリジナリティを発揮できるのか、顧客に浸透させられるのかを考えましょう。
顧客からのイメージを調査する
市場のつぎは、顧客からイメージを調査することも欠かせません。
市場調査では主に競合との比較を行いましたが、顧客調査では実際に抱いているイメージを確認することが目的です。なかには良い印象だけでなく、悪い印象を強く持たれている可能性もあるでしょう。
しかしこの段階で気づければ、悪い印象を持たれていた場合でもすぐにイメージチェンジに向けた対策が行えます。
また顧客からのブランドイメージと新しく浸透させたいイメージが大きく異なる可能性もあり、そのまま実行してもイメージの定着にはつながらないと考えられます。
このように現在抱かれているイメージによって今後のアプローチ方法が異なるため、実際にリアルな声を確認したうえで戦略を考えていくことが重要です。
コンテンツを発信する
市場調査や顧客調査によってブランドイメージが定まった後は、実際にコンテンツを制作し発信していきましょう。
コンテンツの発信で注意すべきことは、短期間ではなかなかブランディング効果を得られないことです。
ブランディングだけに限らずオウンドメディアを活用した方法に共通することですが、SEOからの検索流入を軸とする場合、長期的な対策は必須になります。
またイメージの定着を考えると、さらに時間はかかると考えましょう。したがってまずは、ユーザーが求める情報発信に注力して運営することが重要です。
長期運用によって改善を繰り返す
前述のとおり、ブランディングを目的としたオウンドメディアの場合、長期的な運用は必須になります。
具体的には最低でも3ヶ月から半年程は様子をうかがい、反応があまりにも薄い場合には、ターゲットやブランドイメージの見直しをしましょう。
とはいえイメージを頻繁に変えたからといって顧客に定着するわけではないため、ブランドイメージだけでなくコンテンツの質も加味した分析が重要です。
オウンドメディアでブランディングを行う際の注意点
ブランディングを行う際に注意すべきことは、ユーザーとの距離感とブランドイメージの統一です。距離感やイメージの統一性がなければ、企業への印象はブレてしまいブランディング効果は望めません。
ここでは、オウンドメディアでブランディングを行う際の注意点について解説していきます。
ユーザーとの距離感を定めておく
オウンドメディアでは企業側から一方的に情報発信するだけでなく、ユーザーとコミュニケーションを取ることもあります。
企業ブランディングとしてユーザーへの対応は重要な要素ですが、距離感は事前に定めておくようにしましょう。もちろん企業によって距離感の遠さや近さは異なります。
例えば距離感の近いフレンドリーな対応は、すべての企業があてはまるわけではありません。ハイブランドなど高級感のある場合、フレンドリーな対応は悪影響となる可能性があるでしょう。
したがって企業イメージとは明らかに異なる対応であったり、距離感が毎回違ったりすることがないように注意しましょう。
チャネル毎にブランドイメージを統一する
企業がブランディングを目的とする場合、オウンドメディアだけでなくWeb広告やSNSなど、他のマーケティング施策を同時に行うこともあります。
しかし他の施策を行う際、すべてのブランドイメージは統一するようにしましょう。
仮にオウンドメディアでは真面目なキャラクターでコンテンツを発信していたとして、SNS上だけおちゃらけたイメージではいかがでしょうか。特別な意図がある分には問題ありませんが、基本的にはイメージが定まらず顧客もとまどってしまいます。
違和感を感じる企業にはマイナス要素のイメージがついてしまうため、良い印象を与えるうえでもブランドイメージは統一することが重要です。
オウンドメディアでブランディング効果の高い事例3選
ここでは、ブランディングを目的としてオウンドメディアにおいて、効果の高い以下の事例を紹介していきます。
- THE BAKE MAGAZINE
- 北欧、暮らしの道具店
- Red Bull
THE BAKE MAGAZINE
お菓子の製造から販売を行っているBAKE社では、オウンドメディアとして「THE BAKE MAGAZINE」を運用し、人材採用で成果を出した事例です。
お菓子に関する内容以外にも、働く従業員に焦点を当てたコンテンツが数多くあり、BAKE社で働く様子をイメージしやすいことがポイント。
求職者でなくても面白いと感じられるコンテンツが豊富にあるため、企業の認知拡大やファン獲得にも参考にしたい事例といえるでしょう。
北欧、暮らしの道具店
「北欧、暮らしの道具店」は家具や雑貨を中心に販売しているクラシコム社が、ECサイトを活用したオウンドメディア運営を行っています。
自社商品を踏まえ、生活に役立つ商品紹介や豆知識の情報を発信しており、多くのファン獲得に成功した事例です。
ECサイトであればまさに理想形と呼べるほど、コンテンツの企画からユーザーの行動を考えた動線設計が組まれています。
見込み客からリピーター客まで、顧客のフェーズに合わせたコンテンツを知りたい場合はぜひ参考にしましょう。
Red Bull
「Red Bull」は若者を中心とした幅広いユーザーをターゲットにし、アスリートやプロフェッショナルの紹介記事を発信しているオウンドメディアです。
なかでも注目すべき点は、自社商品に関するコンテンツの少なさといえるでしょう。
アスリートの紹介記事では商品について触れることが一切なく、新商品のPRなどでしか自社の話題は出しません。
しかし多くのアクセスやファンを獲得しており、独自のブランディングに成功している事例です。競合との差別化にも効果的な戦略のため、ユーザーへの価値を第一に考え発信していく点は活用すべきポイントといえます。