新規顧客開拓の手法とは?実施プロセスやポイントについて解説
企業の売上向上に欠かせない要素が新規顧客の開拓です。とはいっても「新規顧客の営業は難しくて成果が出ない」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
新規顧客開拓とは?
新規顧客開拓とは「自社から商品やサービスを購入したことがない顧客」を獲得するための営業活動を指します。例えばWebサイトで情報発信することや訪問営業を行なうなど、自社と関係性がなかった顧客に向けてアプローチする流れです。
対して「自社で商品やサービスを購入したことがある顧客」のことを既存顧客といいます。
企業にとって顧客は欠かせない存在ですが、大きく分けると上記で説明した新規顧客と既存顧客の2種類です。
新規顧客開拓が必要な理由
新規顧客の開拓営業が必要な理由は、企業として事業を成長させるためや、不測の事態による業績低迷のリスクを避けるためです。
企業にとって最も重要な売上を左右する要素のため、新規顧客の獲得は欠かせない要素となります。また人材育成の観点でも必要とされる事が多く、営業力のある企業は積極的に新規顧客の開拓を行っていると考えられます。
ここでは、新規顧客開拓が必要な理由について解説していきます。
事業を成長させるため
新規顧客の獲得が必要な理由は、主に企業の事業を成長させるためです。
企業が成長するためには売上を伸ばす必要があり、新規顧客と既存顧客から獲得しなければいけません。
しかし既存顧客ばかりに営業していては売上を大きく伸ばすことは難しいといえます。
なぜなら既存顧客では商品やサービスの成約数が一定になりやすく、急に成約数が急増する可能性は低いためです。またビジネスモデルや顧客単価によって異なりますが、そもそも既存顧客から継続して契約を取ることは簡単ではありません。
対して新規顧客であれば契約数次第で限界無く売上を高められるため、事業の成長には不可欠な要素となります。そのため事業を成長させ企業を大きく発展させるためには、新規顧客の開拓が重要な役割をもちます。
業績低迷のリスクを回避するため
新規顧客の開拓は、事業の成長以外にも業績が低迷した際のリスク回避として重要です。
現状が既存顧客のみで売上を維持できていたとしても、不測の事態によって顧客が離れていく可能性は十分に考えられます。
例えば新規企業の参入です。自社よりも優れたサービスによって顧客が奪われてしまうケースは珍しくなく、むしろ常に対応しなければいけません。
しかし既存顧客のみであれば売上は下降していく一方となり、業績は低迷してしまう。
したがって仮に既存顧客が離れたとしても売上の維持やリスク回避を行なうために、新規顧客は獲得しておく必要があります。
営業人材を育成するため
新規顧客の開拓は、企業の事業を支えることが主な理由となりますが、営業人材を育成する効果もあります。
なぜなら既存顧客へのアプローチより新規顧客へのアプローチのほうが難易度が高く、スキルや経験が求められるからです。実際、関係性のない相手に向けて営業を行い、契約を取ってくることは非常に難しい仕事といえます。
そのため企業としてもスキルアップや営業力を身につけさせる目的として、新入社員を新規開拓の営業にあたらせることは多い傾向にあります。したがって人材育成の観点でも新規顧客の開拓は重要な役割となります。
新規顧客開拓の手法
ここでは新規顧客開拓の手法について、プッシュ型とプル型の2種類から解説していきます。
プッシュ型
プッシュ型の営業は企業が自ら顧客へアプローチする方法となり、積極的に押していくスタンスが由来となります。
企業が顧客のニーズを考え営業先をターゲティングするため、購入意欲が高いと仮定した顧客に向けて営業することが基本といえます。
ここではプッシュ型の営業について、以下の3つの手法を解説していきます。
- 飛び込み営業
- テレアポ営業
- DM、FAX営業
飛び込み営業
飛び込み営業とは、顧客との日時指定(アポイント)を行わずに、企業や個人宅に訪問し営業活動を行なう手法です。
初対面の人といきなり会話を始めるため、どの程度信頼関係を構築できるかが重要なポイントといえます。
仮に良好な関係が構築できた場合、そのまま商談や契約にむすび付きやすいことが飛び込み営業の強みとなります。
しかし顧客によっては不快に感じる人も多いため、迷惑に感じさせない範囲内で活動することが重要です。
テレアポ営業
テレアポ営業は「テレフォンアポイント」の略となり、契約の見込める相手に電話をかけアポイントを獲得する手法です。
飛び込み営業では訪問先で商談を行なうこともありますが、テレアポでは電話越しに商談を行なうことはありません。
あくまでアポイントを取ることが目的となるため、1日で多くの架電を行ない、複数のアポイントを獲得することを目指します。また昔から活用されることが多い手法となり、現在でもテレアポ営業を行っている企業は比較的多いといえます。
DM、FAX営業
DM、FAX営業とは、FAXでDM(ダイレクトメール)やチラシなどを送る手法となります。同時に多くの顧客へアプローチできるため、プッシュ型のなかでも最も効率の良い手法といえます。
ただし飛び込み営業やテレアポ営業と比べ、商談や成約につながる可能性は低く、顧客からの反応を得づらい点が弱点です。
またFAXを受け取る側がインクトナーや紙を受け取る仕組みのため、クレームが発生しやすい点には注意をしましょう。
プル型
プル型の営業は顧客に自社製品やサービスへの興味を持たせ、自発的に行動させる営業スタイルです。基本的には自社の認知拡大から始まり、自社のサイトや広告ページへと誘導させる仕組みとなります。
ただし注意すべき点が、テレビCMや新聞はプル型の営業ではないことです。あくまで顧客自らが行動し自社を認知する必要があるため、一方的に情報発信する媒体は別物となります。
ここではプル型の営業について、以下の5つの手法を解説していきます。
- サイト運営
- SNS運営
- 広告運用
- オンラインセミナー
- プレスリリース
サイト運営
サイト運営はプル型営業のなかでも軸として活用する手法になります。なぜなら他の手法を活用した場合でも最終的には顧客が自社サイトに訪れることが多く、会社の顔として見られる要素になるからです。
基本的には自社サイトから顧客に役立つ情報をコンテンツとして発信し、検索エンジンからアクセスを集め集客する流れとなります。
ただし多くのアクセスを集めるためには検索エンジンで上位表示される必要があり、SEO対策(検索エンジンに向けた対策)が必須です。
SEO対策で成果を出すには長期的な対策が欠かせないため、他の手法と組み合わせながら活用するようにしましょう。
SNS運営
SNS運営は企業用アカウントとしてSNSアカウントを作成し、自社に関する情報や顧客に役立つ情報を発信する手法です。
主なSNSの種類はこちら。
- LINE
- YouTube
自社に興味を持ったユーザーは、SNSのプロフィールや掲載URLへ移動させる導線となります。そのため一般的な企業では自社サイトのURLを掲載し、小売業などであればECサイトのURLを掲載する流れです。
またSNSによっては直接商品を販売することも可能なため、さまざまな方法で顧客の興味を引ける点が特徴といえます。
広告運用
広告運用は性別や地域などを絞ったうえで広告を出稿し、顧客にクリックされたら専用の広告ページや自社サイトへ誘導する手法です。
主な広告の種類はこちら。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- リターゲティング広告
- アフィリエイト広告
- SNS広告
他の手法とは異なり、広告運用では明確なターゲティングを行える点が強みです。また近年では動画を活用した広告なども増加しており、顧客の興味を引きやすい手法といえます。
ただし広告出稿には費用が発生するため、自社の予算を考えながら活用するようにしましょう。
オンラインセミナー
オンラインセミナーはWebセミナーやウェビナーとも呼ばれ、インターネット上で開催するセミナーのことです。ビデオ通話できるアプリを活用し、資料を画面共有しながらセミナーをすすめていく流れとなります。
オンラインセミナーは開催前に告知をする必要があるため、サイトやSNSを活用し積極的に情報発信しましょう。
またセミナーでは基本的に多人数を相手にしますが、セミナー終了後に任意参加で個別面談を実施し、最終的な商品やサービスへの契約へとクロージングすることも可能です。
プレスリリース
プレスリリースは企業の新商品や新サービス発表時に、マスコミや報道機関に向けて情報をまとめた文章のことです。また実際に報道関係者にむけて文章を発表することをプレスリリース配信といいます。
Web広告と同様に配信には費用が発生しますが、報道関係者に限定して配信するため、拡散力は非常に高いことが特徴です。
ある報道機関が自社のプレスリリースを取り上げれば、他の報道機関や多くの顧客へと広まっていきます。
そのため少ない労力で短期的に情報を拡散したい場合には、プレスリリースの配信をおすすめします。
新規顧客開拓の実践プロセス
新規顧客を開拓する際の実践プロセスは、以下の手順で行ないましょう。
- 自社のターゲットを明確にする
- 見込み客を獲得する
- 見込み客の購買意欲を高める
- 購買意欲の高い見込み客へアプローチする
各々、解説していきます。
自社のターゲットを明確にする
どんなに価値のある商品だとしても顧客が欲しいと思わない限りは、売れる可能性は低いと考えましょう。そのため、まずは自社のターゲットを明確にすることが大切です。
市場や顧客のニーズを調査し、自社製品に意欲的な顧客層から具体的なターゲットを考えましょう。
最初にターゲットが定まらないと、その後は的確な手法を選べません。したがって事前調査には時間をかけ、具体的にターゲット選定することが重要です。
見込み客を獲得する
ターゲットを明確化した後は、実際に新規顧客を開拓し、見込み客を獲得していきましょう。ただし見込み客の獲得で重要な点は、ターゲットに適する手法を選択することです。
仮に10代の女子学生をターゲットとした商品の場合、Facebook広告で認知拡大を行なったとしたらいかがでしょうか。
Facebookは30〜40代のビジネスマンがメイン層のため、ターゲットとなる層には一切届かない可能性があります。そのため10代の女子学生であればInstagramやTikTok広告など、ターゲット層へしっかりと情報を届けられる手法を選択しましょう。
見込み客の購買意欲を高める
見込み客の獲得後は、自社製品への購買意欲を高める段階に移ります。ターゲットへの認知拡大に成功したとしても、すぐに商品やサービスを購入する顧客が多いわけではありません。
まずは商品の特徴を知り、徐々に興味が強くなって最終的に購入へとすすんでいく流れです。そのため購買意欲を向上させる際も、一度や二度のアプローチで大きく変化しないと考えておきましょう。
ホームページの定期的コンテンツやメルマガの配信をとおして、長期的な関係を構築し、少しずつ購買意欲を高めることが重要です。
購買意欲の高い見込み客へアプローチする
見込み客へ購買意欲を向上させる施策を行っている内に、自社や商品への興味を強く持ち始める顧客が現れます。
このように購買意欲が高い顧客が現れた際は、直接的なアプローチを行ない、商品の購入へと促していきましょう。購買意欲の高さを見極める具体的な基準は存在しないため、問い合わせ件数やサイトのアクセス数など、自社で条件を定める必要があります。
そのため新規顧客に関する営業データは蓄積し、日々改善に向けて分析することが重要です。
新規顧客開拓を成功させるポイント
新規顧客の開拓は難しい営業と言われていますが、ポイントを押さえるだけで成功確率は高められます。またテクニック面だけでなく顧客の意思も重要なため、誠意のある行動を意識しましょう。
ここでは、新規顧客開拓を成功させるポイントについて解説していきます。
顧客視点で営業する
新規顧客へアプローチする際は顧客視点で物事を考え、自社への信頼を勝ち取ることが重要です。
新規顧客は初対面ということもあり、顧客の大半は企業や営業マンへ不信感を抱いています。しかしこのような状態で顧客の立場を考えずに、無理に契約へ促したらいかがでしょうか。
基本的には顧客は不快に感じ、いい印象は持たないはずです。
もちろん営業として数字は重要な要素となりますが、あくまで顧客がいるおかげで売上が成り立つことを忘れずに、誠意のある対応を重視することが大切です。
過去の事例を参考にする
新規顧客はコミュニケーションを取るまでどのような人物であるのか、どのような性格であるのかは分かりません。
そのため難易度が高い営業と言われていますが、成功率を高めるためには過去の事例を参考にすることが効果的です。
自社で行った似ている施策や競合が行った施策の結果など、調査次第では多くの情報を入手できます。仮に過去の事例で失敗が多ければ、新たな施策に取り組むなど別の選択を取れるはずです。
このように事例からは学べる点が数多くあるため、かならず参考資料として活用することをおすすめします。
複数の営業手法を組み合わせる
前述で何度が触れてきた内容ではありますが、新規顧客では複数の営業手法を組み合わせていきましょう。
例えばプル型のなかで考えると、サイトの立ち上げと同時にWeb広告を短期間出稿し、アクセスを集めるなどの弱点を補う組み合わせが取れます。
他にも、サイトに問い合わせがあった顧客には、テレアポやオンライン商談でアプローチするなど、プル型とプッシュ型の組み合わせも効果的です。
他にも多種多様の組み合わせが存在するため、活用しやすく効果の見込める手法を見つけていきましょう。