マーケティングファネルは古い?3つの種類と活用例を徹底解説
マーケティングファネルは消費者の行動モデルを図式化したものとなり、段階ごとに適切な分析や戦略構築が行なえます。しかし「現代においてマーケティングファネルは古い」と聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マーケティングファネルとは?
マーケティングファネルとは、消費者の行動モデルをフェーズにあてはめ、図形として表したものです。
消費者の行動モデルとは「認知」から「購入」に至るまでのプロセスとなります。また行動プロセスを表した図形が「漏斗」に似ていることから、マーケティングファネルと呼ばれるようになりました。
しかし逆三角形をしている図形には、明確な意味をもちます。意味とは、市場における行動心理を表していることです。
例えば普段生活している中でも「最初は欲しいと思ったが、後から購入を辞めた」という経験は誰しもがあります。後から購入を辞めるという経験は市場全体でも行われているため「認知」から段階がすすんでいくと、購入に至る人数は減少していく仕組みです。
ここでは、マーケティングファネルの重要性について詳しく解説していきます。
マーケティングファネルの重要性
マーケティングファネルが重要とされている理由は、各段階に応じて消費者からの関心を集めなければいけないからです。
マーケティングファネルが漏斗の形をしているように、消費者の大半が購入にすすむまでの過程で脱落します。理由はさまざまですが、大きな原因は商品や企業へ価値を感じなかったことが考えられるでしょう。
では認知した段階から価値を感じさせる施策を行えば良いかというと、そういうわけではありません。なぜなら関心が十分に高まっていない状況でアプローチしても、消費者は離れていってしまうからです。
あくまで段階ごとに消費者の心理を考え、最適なアプローチを行う必要があります。その消費者心理を考えるうえで必要不可欠なものが、行動プロセスを可視化しているマーケティングファネルです。
しかし近年ではインターネットが普及したことにより、消費者の行動モデルも変化しています。根本的な行動プロセスはマーケティングファネルでも通用しますが、最新のマーケティングではないことを認識しておきましょう。
マーケティングファネルが古いと言われる理由
前述でも触れたように、現代のインターネット社会ではマーケティングファネルは古いと言われています。主な理由は消費者の変化となりますが、その他にもサブスクリプションやシェアリングサービスの増加も原因として挙げられます。
ここでは、マーケティングファネルが古いと言われる理由について、詳しく解説していきます。
消費者の価値観が多様化
まず1つ目の理由は、消費者の価値観が大きく変化したことです。インターネットが普及する以前の日本は、新しい商品を買うにしてもテレビCM・雑誌・ラジオなどから情報を仕入れるのが一般的でした。
情報も限られており、企業としても新商品を開発したら売れる時代です。そのため多くの人が同じ商品やサービスを購入していたといえるでしょう。
しかし現代では商品やサービスを販売する企業が増加し、すべての商品を認知できないほど世の中にモノがあふれています。消費者も商品を選ぶ観点が変化し、皆が買っているからという理由でなく「自分に合っている商品であるか」を重要視するようになりました。
したがって従来までの同じ価値観で構成されたマーケティングファネルでは、現代人の行動はあてはまらないことが多いといえます。
消費者の購入経路が多様化
2つ目の理由は、消費者の購入経路が多様化したことです。従来までは実際に店舗へ来店し、商品を購入することが一般的な流れでした。しかし現代のインターネット社会では、わざわざ店舗に行かなくても、スマートフォン1台あればどんな商品でも手に入れられます。
また商品に興味をもつ流れも企業が出している広告の他に、SNS上のインフルエンサーや友人など、さまざまな要因で考えられます。むしろ広告には苦手なイメージをもつ人がいる時代です。
このように宣伝方法や購入経路が増加した現代では、マーケティングファネルのようにシンプルなプロセス通りにすすまない消費者が多いと考えられます。
サブスクリプションやシェアリングサービスの増加
マーケティングファネルが古いと言われている理由には、ビジネスモデルの変化も挙げられます。近年では月額制や年額制で支払うサブスクリプションや、レンタルで商品を利用するシェアリングサービスが増加しました。
従来までは商品やサービスを買うことが当たり前でしたが、今では買うことから「体験・共有する」の要素が強まったといえます。
実際、消費者にとっても価値観が合わないというリスクを無くし、さまざまな商品を体験できることは多くのメリットがあります。また企業にとっても、サブスクリプションやシェアリングサービスは売上を安定させられるため、重要な経営基盤になるでしょう。
このような時代の流れとともに変化し続けているなかでは、マーケティングファネルに限らず他の行動モデルも通用しない、新しいマーケティング領域が増加し続けるといえます。
マーケティングファネルの3種類
マーケティングファネルには主に3種類のパターンがあります。時代の流れによって消費者の価値観や行動心理は変化しており、合わせてファネルも進化し続けている点が特徴です。
ここでは、マーケティングファネルの3種類について詳しく解説していきます。
パーチェスファネル
パーチェスファネルとは、購入を意味するマーケティングファネルとなり、AIDMAを軸に考えられた行動モデルです。
AIDMAとは消費者の行動プロセスを表したモデルとなり、以下の要素から構成されます。
- Attention:認知
- Interest:関心
- Desire:欲求
- Memory:記憶
- Action:行動
パーチェスファネルはAIDMAの5要素に、マーケティングによる獲得数をあてはめる考え方です。各段階に獲得数をあてはめると、どこかしら急激に数値が減少している箇所があります。減少している箇所は図形も縮小するため、視覚的にも判断しやすいでしょう。
したがってパーチェスファネルは、全体像を捉えたうえで、視覚的にも問題点が分かりやすく活用できます。
インフルエンスファネル
インフルエンスファネルとは、商品の購入後における行動を表したマーケティングファネルです。
以下の3要素から成り立ちます。
- 継続
- 紹介
- 発信
上のステップから下のステップへすすんでいく仕組みとなり、SNSや口コミといった現代に適した行動モデルです。
今までの消費者行動は、パーチェスファネルのように購入までしたら終わりという流れでした。しかし今の消費者行動では購入後に口コミの投稿や、SNSで共有する人も多く、まさにインフルエンスファネルのステップを踏んでいると考えられます。
体験したサービスが良いと他者との共有を行われるため、今後はインフルエンスファネルを重要視し、消費者が良いと思える商品を提供していきましょう。
ダブルファネル
ダブファブルファネルとは、前述で説明したパーチェスファネルとインフルエンスファネルを組合わせたものです。
ダブルファネルの流れはパーチェスファイルの認知から入り、最終的にインフルエンスファネルの発信を行うという、購入から継続までを表したマーケティングファネルになります。
しかし実際はインフルエンスファネルの発信を行った際も、企業へのファンとして残り続けると考えられます。
したがってダブルファネルにおいても、最終的には自社のファンを満足させられる情報やコンテンツの発信が重要です。
マーケティングファネルの活用例
マーケティングファネルを活用する際は、以下の3ステップで行いましょう。
- マーケティングファネルの選択
- フェーズごとの分類
- 結果の分析
各々、解説していきます。
マーケティングファネルの選択
まずはマーケティングファネルの中から、分析に活用するファネルを選択しましょう。マーケティングファネルは3種類ありますが、それぞれ活用目的が異なります。
購入などコンバーションを強化させたい場合はパーチェスファネルを、購入後の共有面を強化したい場合にはインフルエンスファネルを、全体をとおして強化したい場合はダブルファネルをおすすめします。
今回はパーチェスファネルで解説してきます。
フェーズごとの分類
パーチェスファネルでは、消費者の行動プランを3つの段階に分けて考えましょう。
3つの段階とは以下のとおりです。
- TOFU(Top of the Funnel)
- MOFU(Middle of the Funnel)
- BOFU(Bottom of the Funnel)
各々、解説していきます。
TOFU(Top of the Funnel)
TOFUはパーチェスファネルの最上部に位置する部分となり、消費者が最初に自社の商品やサービスを認知する段階になります。まずはTOFUの段階で消費者の興味を引く必要があるため、消費者の役に立つ内容や面白いと思えるコンテンツを発信していきましょう。
またコンテンツの発信はWebサイトだけでなく、SNSやプレスリリースも効果的です。
一つの媒体に絞らなければいけない理由はないため、多くの消費者に認知されるように複数の媒体を活用し、継続して発信することを重視しましょう。
MOFU(Middle of the Funnel)
MOFUはパーチェスファネルの中部に位置する部分となり、自社に興味を持っている段階になります。そのため消費者から自社の「見込み客」に変化したといえるでしょう。見込み客に対しては、より自社の魅力を伝えることが重要です。
質の高いコンテンツの発信はもちろんのこと、SNSを通してコミュニケーションを取り合うなど、長期的な関係性が築けると、自社へのファン化がしやすくなります。
この段階で商品の購入を促してしまうことがありますが、良い関係性を築けていないのであれば、促しは悪影響となるかもしれません。
したがってある程度の関係性を築けるようになるまでは、我慢の期間と考え発信に注力しましょう。
BOFU(Bottom of the Funnel)
BOFUはパーチェスファネルの最下部に位置する部分となり、最も購入に近い存在となります。ここまでに良好な関係性を築けているのであれば、あとは背中を押してあげるような対策が重要です。
例えば商品に関する比較記事や特徴を記載した記事など、安心感を与えることに意識を向けましょう。場合によっては直接商談を行ってクロージングをかける方法もあります。
他には購入の促しばかりに目がいくのではなく、購入後のサポート体制などでも魅力を伝えましょう。どの程度のサポートなのか、どのような対応方法なのかを知るだけで安心感につながるため、より購入に踏み込める状態となります。
無理に購入を促すのでなく、見込み客がポジティブな気持ちで購入できる状態を目指していきましょう。
結果の分析
マーケティングファネルは、最後に結果を分析するまでが活用例の流れです。
結果を細かく分析したい場合はWebサイトとGoogle Analyticsを連動させ、詳細な数値で確認しましょう。数値は行動プロセスの段階ごとに確認し、課題や改善点を探すことが重要です。
仮にWebサイトまでの流入率は高いが、最後のエントリーフォームでユーザーが離脱していれば、EFO(エントリーフォームの最適化)の対策が必要になります。
このように具体的な要因を探し、改善を繰り返すようにしましょう。
マーケティングファネルにおける注意点
マーケティングファネルではそもそも扱う商品やサービスに、市場ニーズがあてはまることが前提の分析手法です。またBtoCビジネスには適さないことも多いため、マーケティングファネルを活用すれば大丈夫という考えには注意をしましょう。
ここでは、マーケティングファネルにおける注意点について詳しく解説していきます。
BtoCビジネスには適さないことがある
BtoCビジネスの場合、マーケティングファネル分析が上手くはてはまらないことがあります。
なぜならマーケティングファネルの行動プロセスでは、認知から購買までが一直線上になっているからです。実際の消費者は一度で購入に到達することは少なく、多少の回り道を行いながら購入へとすすんでいきます。
BtoBビジネスであれば多少は一直線上にすすんでいきますが、BtoCビジネスの場合は綺麗にすすむことが少ないといえるでしょう。したがって行動プロセスのまま考えるのではなく、多少のゆとりを持って考えることをおすすめします。
市場ニーズに合致したサービスでないと効果が見込めない
マーケティングファネル分析では、扱う商品やサービスが市場のニーズと合致していることが前提のうえ成り立ちます。
そのためマーケティングを一から行う場合は、はじめに市場にニーズがあるのかを確認してから取り組みましょう。何も確認しないで取り組むと、後から「マーケティング戦略を変えておけば良かった」という感情が芽生えるかもしれません。
一度商品やサービスを構築し販売し始めると、大幅な修正は簡単には行なえません。したがって最初に市場におけるニーズの確認を行いましょう。
複雑なプロセスを設定しない
マーケティングファネル分析を行う際は、複雑なプロセスでマーケティングを組み立てないように注意をしましょう。
複雑なプロセスの場合、準備や定期的なメンテナンスの負担が大きくなります。慣れていれば問題ありませんが、マーケティングに関する知識が少ないようであれば、最初は簡単なプロセスから組むようにしましょう。
徐々に変更していけば問題ないため、自社だけでなく市場の状況も見ながら考えていくことが重要です。
まとめ