グローバルマーケティングとは?メリットやローカライゼーションについて解説
世界でビジネスを展開するうえで欠かすことのできないマーケティング施策がグローバルマーケティングです。
事業を拡大するためには、日本だけの市場では限界であることが多いため、積極的に世界を視野に入れたマーケティング施策を考える必要があります。
海外SEOやPPC広告は、日本にいながらでも施策を打つことができます。
グローバルマーケティングとは
グローバルマーケティングとは、世界各国のさまざまな市場をターゲットとしたマーケティング活動です。全ての国をターゲットにするわけではなく、世界中の複数の国をターゲットとすることが一般的です。
アジア、太平洋、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アフリカ、中東などに分けてマーケティング施策を考えます。複数の国や地域でそれぞれ別のマーケティング施策を考えるのではなく、統一性を持たせて考えることが重要です。
グローバルマーケティングの目的
グローバルマーケティングの目的は、統一性をもたせて、予算の削減とブランディングを高め、各国でのマーケティングをスムーズに行うことです。国によって、文化や市場が全く異なるので、国ごとに深いリサーチが必要です。
その中で、統一性を持たせることができる項目は、
- ブランドの統一
- 商品やサービス
- 広告内容
- 価格設定
- キャンペーン内容
- 商品投入時期の統一
などです。コスト面からブランディングや商品、サービス内容、広告内容などに一定以上の統一性を図ります。統一性のあるマーケティング施策によるコスト面でのメリットがとても大きいです。マーケティング活動のリソースの削減やパッケージングに伴う費用の削減、多言語化に伴うコストの削減がおこなえます。また、プロモーション内容を地域で使い回すことも可能です。
しかし、各国によって、文化や市場が全く異なるので、個々のマーケティング施策が各地域のニーズと一致しないことが発生します。
よって、ある程度、マーケティング施策を統一する部分と各国において柔軟に変えていく部分を作ることが重要です。
グローバルマーケティングによるメリット
次に、グローバルマーケティングにおいて、標準化された商品やサービスのメリットを紹介します。
コスト削減
前述のとおり、標準化した商品やサービスはコストを削減できます。
同じ内容の商品やサービスを大量に製造するため、工程が均一化されて製造コストを削減できます。また、同じ工程で商品やサービスを製造するため、改善を繰り返して品質を向上させることが容易です。
長期的な視点で考えると、製造工程や材料などに投資をして、地域のニーズの変化に応じた品質管理も可能となります。
ブランディングにつながる
グローバルに展開しているという点で、商品やサービスなどのブランディングにもつながります。
商品やサービスを展開している地域の特性に応じたブランディングができるため、日本でのマーケティング施策に組み入れることも可能です。
例えば、環境に配慮した取り組みを重点的におこなっている国や地域で商品やサービスを展開しているとします。
その場合、環境に配慮するという統一されたニーズにそった商品やサービスを展開していることが多いです。商品やサービスを展開している国の数が多ければ多いほど、環境に配慮したものであるというブランディングがおこなえ、プロモーションとして組み入れることが可能です。
商品やサービスをグローバル化するデメリット
商品やサービスの標準化がデメリットとなることもあります。その代表的な内容として、地域差により統一が難しい商品やサービスはマーケティング活動が難しいということです。
例えば、食品などは文化や天候によって好みが微妙に異なることが多いため、地域によって調整が必要です。そのため、食品の統一性を維持して各地域でマーケティング活動をおこなうことはとても難しいと判断できます。
また、統一性が崩れると、グローバルマーケティングのメリットとなるコスト削減の恩恵を受けられません。食品などのように地域の事情によってニーズが異なるものについては、統一性が崩れない地域の選定や分類が必要です。
セグメンテーションとポジショニングについて
グローバルマーケティングにおいて、セグメンテーション(顧客、地域の分類)やポジショニング(市場における商品やサービス、企業の立ち位置の決定)が重要です。
セグメンテーション(顧客、地域の分類)
世界中の類似地域をグループ化し、さらに細分化したグループに分けられる属性を見出します。顧客のニーズや文化、好みが類似している市場を確認してください。
一般的な商品カテゴリは、アパレルやブランド高級品、エンターテイメントなどの市場が確認できることが多いです。これらの商品カテゴリは、誰もがグローバルに定格化された商品を求めるため、市場として参入できる場合はチャンスといえます。
しかし、食品や飲料品などは地域や文化によって好みの傾向が異なるため、統一性を維持してマーケティング活動がおこなえないことが多いです。
地域に新しいニーズを入れ込むというマーケティング施策もあり、成功すると市場を一定期間独占し、ある程度自由に事業展開がおこなえます。
地域の分類をおこない、さまざまな視点で分類することにより、グローバルマーケティングの可能性を大きくします。
ポジショニング(市場における商品やサービス、企業の立ち位置の決定)
商品やサービス、企業の市場における立ち位置の決定がとても重要であるといえます。また、ポジショニングを統一させるかの判断はとても難しいです。
マーケティング施策のさまざまな要素で統一性があっても、国によってポジショニングが異なってしまう事態は発生しやすいです。
例えば、ヨーロッパではリンゴはヘルシーなおやつというポジショニングですが日本ではギフトとして扱われることがあり、パッケージや価格などの高級感を維持したポジショニングが考えられます。
食品というカテゴリで分類できても、経済的な背景や文化によってはポジショニングの統一が難しいことは少なくありません。ポジショニングを複雑にすることにより、統一性を崩すことにつながります。
そのほかに、各地域の競合の強さもポジショニングに影響します。マーケティング活動の対象となる地域の競合が強い場合、海外ブランドはその他の地域で実績があってもニッチなターゲットを狙うことが一般的です。
各地域の市場は、すでに企業同士のポジショニング争いが繰り広げられていることが多く、市場が成熟している場合はポジショニングが一定の状態に保たれていることが多いです。
例えば、ポジショニングがある程度維持されている自動車業界について考えます。自動車メーカーは地域によって認知度が異なり、購入サイクルも異なりますが成熟された市場であるため、ポジショニングが維持されています。
グローバルバーケティングにおいてポジショニングを統一させるかの判断は、各地域のニーズや文化などを配慮して考える必要があります。
ポジショニングを複雑にしないために、海外向けの情報発信を常に意識し、グローバルなブランディングが重要です。
ローカライゼーションについて
グローバルマーケティングでは、ローカライゼーションというマーケティング活動がとても重要です。
ローカライゼーションとは
ローカライゼーションとは、展開する商品やサービスを、ターゲットとする国や地域の市場に対応させる過程のことです。対象とする国や地域のニーズやトレンドなどをマーケティング施策に組み入れる活動です。
単純に商品やサービスに関係する資料を地域に応じた言語に翻訳するだけでなく、国や地域の価値観や経済の動向、法律などに対応させる活動をおこないます。
市場に新規参入をおこなう場合、国や地域に対する理解度が高いほど国民からの信頼を得られやすいです。
ローカライゼーションは世界で事業を成功させるためにはとても大切な活動です。
ローカライゼーションの具体的な活動
ローカライゼーションの具体的な活動は以下のとおりです。
- グローバルマーケティングの施策内容を国や地域に対応させる
- 市場での差別化や事業を成長させるための要素を特定
グローバルマーケティングの施策内容を国や地域に対応させる
最初にやるべきことは、WEBサイトの多言語化やキャンペーン内容の現地対応、商品やサービスの提供方法の対応などの施策内容の全ての要素をターゲットとする地域に対応させることです。
全ての要素を全て対応させることが難しい場合は、国や地域の消費者に良い影響を与える要素から対応させてください。
市場での差別化や事業を成長させるための要素を特定
市場での差別化に必要な要素や事業を成長させるために必要な要素などを特定する活動も国や地域に対応させる活動であるといえます。そのために必要なことがマーケティング・ミックスです。
マーケティング・ミックスとは複数の視点からマーケティング施策を組み立てることです。代表的な内容として、以下の要素から組み立てます。
- 製品(Product)
- 価格(Price)
- 場所(Place)
- 販促(プロモーション)
この4つの要素から市場での差別化や事業を成長させるための要素を特定します。4P分析とも言います。
- 製品(Product)では、統一性・標準化を維持させた状態で対応させることです。製品やサービス内容を変更するのではなく、国や地域の法律などに対応させることなどが考えられます。
- 価格(Price)は通貨に応じた価格設定や、社会情勢に対応させてください。また、商品やサービスを提供することによるコストの変動にあわせることも考えられます。
- 場所(Place)は、提供する場所を考えます。地域で主流である購入方法が異なるため、主流の購入方法を分析・確認してください。
- 販促(Promotion)は販売する場所と同時に検討する内容ですが、WEBサイトやSNSなどを利用して、プロモーション方法を考えます。国や地域によってユーザーの多いSNSが異なるなどの状況があるため、プロモーションの方法についても対応させてください。
以上の内容でマーケティング施策を組み立てることにより、ローカライゼーションとして、市場での差別化や事業を成長させるための要素の特定などがおこなえます。
トランスクリエーションについて
トランスクリエーションとは、「翻訳(トランスレーション)」と「創造(クリエーション)」からなる造語で、文章を主としたコンテンツを対象に、各国ごとに文化やニーズに合わせて文章を書き換えることを指します。
一方、ローカライゼーションは、言語や文章コンテンツだけでなく、ビジュアル、ユーザーエクスペリエンス(UX)、価格戦略なども含めた、幅広い要素を対象とした施策を指します。
トランスクリエーションが必要なシーンは、コンテンツの中でもとくにクリエイティブな要素を現地の文化に適応させる必要があるときです。
たとえば、英国でおむつを売るには、赤ちゃんの話として使うには、日本で有名な桃太郎の話を使ったマーケティングよりも、西洋で有名なコウノトリが赤ちゃんを運んでくる話の方が受け入れられます。
このように、現地に適したストーリーへとトランスクリエーションすることで、その地域にあった広告キャンペーンを展開できます。
グローバルマーケティング成功のポイント
グローバルマーケティングで成功するためのポイントを紹介します。
- 可能な限りローカライゼーションをおこなう
- ローカライゼーションを一元管理
- ローカライゼーションの適合性を評価
- フィードバックから分析・改善
- テクノロジー投資
- マーケティング担当者の育成
- WEBマーケティング
可能な限りローカライゼーションをおこなう
前述している内容ですが、グローバルマーケティングにおいて成功させるためのポイントとして、実施できるローカライゼーションは全ておこなってください。国や地域に順応することにより、マーケティングにおける弊害を減らすことが可能です。特に個々の国にあったマーケティングリサーチが重要です。
ローカライゼーションを一元管理
ローカライゼーションをおこなう際、担当チームを配置して、ローカライゼーションのための活動を一元管理してください。一元管理することにより、ファーストステップから現地の消費者の反応に応じたアプローチまで、計画段階の狙いが揺らぐことなくローカライゼーションできます。
ローカライゼーションの適合性を評価
ローカライゼーションが国や地域に順応しているかなどの評価をおこなってください。評価については、スコア化すると分析や改善の精度をあげられます。評価する部門とローカライゼーション部門を分けて問題ありませんが、協力しておこなうと評価から改善までがスムーズにおこなえます。
フィードバックから分析・改善
国や地域でアンケートを実施し、フィードバックから分析・改善をしてください。内容によっては、ローカライゼーションの見直しやキャンペーン内容の改善などをおこないます。
成果が順調にあがっているとき、あがっていないとき問わず定期的なアンケート調査の実施をしてください。
テクノロジー投資
商品やサービスを制作する工程をバージョンアップできる場合、予算範囲内で積極的にバージョンアップしてください。長期的な視点で、時間と労力、賃金の節約につながります。
マーケティング担当者の育成
ターゲットにする国が決まったら、現地のネイティブの人材を雇用して、ネイティブの視点からマーケティングリサーチを進めることが重要です。進出したい国ごとに現地のマーケティング担当者を育成することが必要です。
WEBマーケティング
日本にいながら、各国に進出する方法として、WEBマーケティングを展開することが挙げられます。しかし、ここでいうWEBマーケティングの展開とは、主にGoogleが進出して、Google検索がその国でWEB集客としての市場を獲得できていることが前提です。世界各国にGoogleは展開しており、Google検索を使うユーザーがいる国では、検索エンジンのURLが違えども同じ、Googleのロボットのアルゴリズムは同じです。
よって、SEO対策やPPC広告であるGoogle広告を出稿することができます。WEBマーケティングにおいては、日本を拠点に、日本で操作しながら現地のSEOやWEB広告での集客が可能です。
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まとめ