WEB(ウェブ)解析士とは?上級WEB解析士の具体的なアクセス解析事例をご紹介
WEB(ウェブ)解析士は、サイトのトラフィックの分析をする有資格者です。主に、アクセス分析やヒートマップ分析などを通してコンバージョンを上げるためのサイトの改善点を発見します。WEB解析の資格には、上級WEB解析士やGAIQ資格などがあります。
WEB解析士とは
WEB(ウェブ)解析士とは、デジタルマーケティングを通じて事業の成果を導くための専門家です。具体的には、アクセス解析やウェブ解析データを活用し、ユーザーの行動を分析して、ビジネス戦略やウェブサイトの改善に役立てるスキルを持つ人材を指します。
ウェブ解析士の資格は、一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)によって運営・認定されています。資格には3つのレベルがあり、初級から順に「ウェブ解析士」「上級ウェブ解析士」「ウェブ解析士マスター」とステップアップしていくことができます。また同様の資格にGAIQがあります。
GAIQ(Google Analytics Individual Qualification)とは、Googleが提供するウェブ解析ツール「Googleアナリティクス」に関する知識とスキルを証明する資格です。この資格を取得することで、Googleアナリティクスを利用したデータ分析やウェブサイトのパフォーマンス改善の能力があることが公式に認められます。
WEB解析士はこれらの資格を取得することで、デジタルマーケティングの知識を体系的に学び、実務に活かすことができます。
WEB解析とは、パソコンやスマートフォン等のデジタル端末に表示されるWEBサイトの解析です。WEBサイトに訪れるユーザーの行動データを分析して活用します。最終的にはWEB集客を成功させ、売り上げに貢献し事業拡大の成果に貢献することが目的です。WEB解析を専門としてデータに基づく根拠でWEBサイトを改善していき事業を改善していくのがWEB解析士です。
WEB解析士の仕事
ヒアリング | 分析ツールの選定 | 解析 | 施策の提案 |
独自ヒアリングシートを用いたヒアリングでUSP(商品やサービスが持っている独自の強み)の洗い出し。 | ヒートマップ、マウスムーブ、Google Analitics、Googleサーチコンソールなど様々な分析ツールの設定。 | サイトの解析 | 解析結果をもとに貴社の予算やリソースを加味した上で最適な改善案をご提案いたします。 |
では、WEB解析士はどういう仕事をするのでしょうか。4つのポイントをご紹介します。
Check1 サイト構築力
W3Cに準拠したコーディングでサイトはきちんと作られているか。ディレクトリ階層、クローラビリティ、Googleアルゴリズムにペナルティなどうけていないか確認します。サイト構築に問題がないかチェックします。
Check2 デザイン力
サイトデザインは、UI(user interface)とUX(user experience)に基づいた、ユーザビリティ(ユーザーの使いやすい設計)を高めたサイトデザインになっているか検証します。
UIとは、ユーザーインターフェイスの略で、WEBサイトやアプリと情報をやりとりするサイト表示部分を指すのでPCやスマホに表示される画像やテキストすべての情報がUIです。
UXとは、UIを通してユーザーがサイト上で体験することをユーザーエクスぺりセンスと言います。ユーザビリティの高いサイトはコンバージョン率が高く成約につながりやすいデザインと言えます。
信頼性を損ねないデザインになっていないか、コンバージョンが高くなる導線設計がされたサイトになっているか検証します。
Check3 SEO対策
WEB解析でも重要なのが、SEOで集客できる設計のサイトになっているかどうかチェックします。検索キーワードで検索に引っかかるサイトはSEO設計が必要です。
デザイン力が高いだけではユーザーにサイトを見つけてもらうことさえできません。
SEO対策のキーワード選定は、PPC広告(リスティング広告)でまずはテストマーケティングしていくのが良いでしょう。具体的な戦略を決めていきます。
Check4 集客力
集客力が高いサイトであるかどうか解析します。SEOで上位表示し、サイトセッション数が増えても実際の問い合わせに繋がらなくては意味がありません。集客力の高いサイトにするためのノウハウもたくさんあります。問い合わせしやすいように常に問い合わせボタンを画面に入れておくのも一つの方法です。集客できるサイトに育てていきます。
Check5 接客力
ECサイトでは、特にサイトに訪問したユーザーに様々な商品を見てもらえるような仕掛けが重要です。欲しい商品の情報をテキストと画像で分かりやすく伝える、またそれ以外の商品も検討できるようにユーザーに訴求してあげる、AMAZONのECサイトにはたくさんのノウハウが詰まっています。そういったノウハウを具体的に対策サイトのWEB解析と照らし合わせて実行していきます。
アナリティクス分析
では、具体的なWEB解析士による分析で何をやるかご紹介します。
アナリティクス分析1 ユーザー分析
ユーザーの属性を正確に把握します。具体的には、サイトに訪れているユーザーの性別や地域、訪問時間、使用しているデバイス、興味関心の内容などを把握することで、ターゲティングを最適化し、効果的なコンテンツや企画を検討する材料とすることができます。
さらに、新規ユーザーと再来訪者の割合も重要で、全体の中で新規ユーザーがどの程度を占め、リピーターがどの程度いるのかを把握します。リピーターには常に新しい情報を提供して、興味を持ち続けてもらう工夫が必要です。リピーターが特に好むコンテンツをデータで分析し、その情報をもとに広告やコンテンツの改善が可能です。また、新規ユーザーを再来訪させるための施策も併せて検討できます。
実際に購入に結びついているユーザーの属性は、事前に設定しているペルソナと実際の購入者層に乖離がないか確認し、購入に繋がっている層をターゲットにした施策を講じることで、売上の向上が期待できます。
購入に繋がるユーザーの来訪回数も重要なデータです。何度目の訪問で購入に至っているのか、また、どのページを経由して購入に至ったのかを把握することで、追客やリターゲティング施策に活かすことができます。
最後に、ユーザーがいつ来訪し、購入に繋がっているのかを把握し、平日と休日での違いを確認します。コンバージョンに結びつきやすい時間帯を見極めることで、キャンペーンや広告の配信タイミングを最適化することが可能です。
アナリティクス分析2 検索クエリ
サイトへの流入キーワードは「検索クエリ」と呼ばれます。この検索クエリを把握することで、SEO対策における適切なキーワードの選定が可能となります。また、PPC広告を通じてさまざまなキーワードを試すことにより、テストマーケティングとしての役割も果たします。
ユーザーがどの経路からサイトに流入しているのかを把握し、効果が高い経路と、逆に効果が低い経路を明確にすることで、訪問者がどの経路を通っているかを分析し、最適な導線設計を再検討することができます。
広告に関しても、詳細な分析が必要です。どの広告が最も効果的で、どの広告が効果を発揮していないかを具体的なデータに基づいて確認し、その結果をもとに広告の改善を図り、最大限の効果を引き出す施策を行うことが求められます。
アナリティクス分析3 ページ分析
各ページの訪問セッション数を把握することで、どのページに多くのアクセスがあり、どのコンテンツが人気があるのかを理解することができます。これにより、人気のあるコンテンツを基にした新たな企画や、同様のコンテンツの量産に役立てることが可能です。
一方で、ユーザーは訪れているものの効果が期待できていないページについても把握が必要です。なぜ効果が悪いのか、その理由を分析することにより、既に集客できているページでも優先して改善すべき箇所を洗い出し、効率的にサイト全体の改善を進めることができます。
売り上げに貢献しているページを特定し、そのページに問い合わせフォームやコンバージョンを促す導線を設置することで、更なる売り上げの増加を目指すことが可能です。
さらに、各ページにおいて遷移が滞っている箇所を確認し、特定のデバイスで問題が発生しているかどうかも分析します。これにより、サイト内での回遊を円滑にし、ボトルネックを解消するための具体的な改善策を講じることができます。
ページ読み込み速度の改善も重要な要素です。読み込み速度が遅いページを特定し、どのように改善すべきかを分析することで、直帰率を下げ、ユーザーの離脱を減らすことができます。
ユーザビリティチェック
実際にユーザーがどのようにサイトを使っているかヒートマップ分析やマウス録画で把握することができます。ユーザーが想定通りにサイトを使っているか、離脱しているぺーじはどこか、どんなページコンテンツに興味を持っているか分析します。
ヒートマップ分析1 アテンションマップ分析
サイト内のどこのコンテンツにユーザーが関心を持っているかがわかります。人気のコンテンツは配置を修正したり量産したりなどの改善に役立てます。ユーザーが良く見ていた個所をその滞在時間から総和して濃い赤になっています。
ヒートマップ分析2 スクロールマップ分析
ユーザーがどこまでスクロールしたか、どこで離脱したかといったスクロールヒートマップのデータをグラフで定量的に分析ができます。ページのどの部分までスクロールしているのか、その位置を色やファネルで視覚化したものです。そのデータをもとにコンテンツの配置修正などを行います。
ヒートマップ分析3 クリックヒートマップ分析
クリックヒートマップは、ユーザーがページ内でクリックした箇所を表示する機能です。ユーザーがサイト内のどこをクリックしたかがわかります。人気のコンテンツやリンクがないところをクリックしているといったサイトの改善に有効な発見ができます。ユーザビリティに優れたサイトとは、ユーザーが行いたい行動を簡単な操作で実行できるサイトと言われています。
マウス録画
ユーザーのマウスの動きを録画しユーザーがサイト内でどんな動きをしているか、どのコンテンツに興味を持っているか、どこで離脱しているかを確認します。導線設計に役立てます。
ユーザーテスト
被験者を集めて実際にターゲットユーザーにサイトを使ってもらい、サイトの良い点や悪い点、サービスを検討する上で重要視しているポイントなどをヒアリングします。
競合市場調査
ツール、知恵袋、掲示板、総務省、競合商品LPなど様々な手法を駆使し市場と競合サイトの分析を行うことができます。ツールを使い競合サイトの流入キーワードや集客方法、平均滞在時間などをリサーチします。
貴社と競合のサイトを徹底的に分析・比較します。競合に勝るポイントやサービス、どこもやっていないことなどが明確になりUSP(Unique Selling Proposition)策定に繋がります。USPとは、自社の強みを明確に定義して自社の強みを集約し、顧客に伝わりやすくしたものが「USP」です。
ユーザーアンケート
ユーザーアンケートを使ってサイトの問題点やサービスの要望などを直接ユーザーに聞きます。ユーザーが何を求めているのか、売り手目線ではなく買い手目線になることがとても重要です。ユーザーアンケートを行うことにより今まで気づかなかったユーザーのインサイトを知ることが可能です。
WEB解析事例
弊社のGAIQ資格保持者によるWEB解析事例をご紹介します。
競合分析
SEOを始める時にも弊社では、競合分析を綿密にします。この時の競合分析は、DA(ドメインの強さ)Linking Domain(被リンク数)インデックス数を比較して、そのサイトドメインのパワーとキーワード順位を計測します。
競合に比べてどのキーワードでの対策が欠けているか、被リンクとページコンテンツ数がどれくらい足らないか等、SEOで上位表示していくのに必要な施策を打ち出すために行う競合分析です。
では、Googleアナリティクスによる競合分析とは、何かと言いますと弊社では、下記の5つをまずは行います。
- 過去2年間の集客推移
- 検索トレンド調査
- 同業他社との流入元比較
- SNSの活用状況比較
- 参照サイトからの同業他社へのアクセス状況
詳しく見ていきます。
過去2年間の集客推移
Googleアナリティクスのデータよりサイトに訪れているユーザーがどういった経緯でサイトに来訪していたかが出せます。この上図データでは、流入元は、大きく分けて、SEO:56%、お気に入り:24%、リスティング広告:10%だとわかります。
検索トレンド調査
Googleトレンドでも同じ検索ワードでのアクセス数を確認します。例年、10月と3月にアクセスが増加していることがわかります。検索トレンドと対策サイトへの流入数の増減が同じことがわかります。こういった場合、PPC広告の投資は需要の高い月に集中投下をした方が費用対効果がいいなど施策を打てることがわかります。
同業他社との流入元比較
他社とアクセス数元を比較検討すると何が欠けているかが見えてきます。上図のケースでは、参照元別の内訳の構成比は大きな違いはなく、各チャネルそれぞれを伸ばしていく案を提案できます。
SNSの活用状況比較
SNSからの流入の内訳も競合と比較します。対策サイトは、競合と比べてFacebookからの流入の割合が多いことがわかります。商品の特性上、Facebookの年齢層にあっていることが推測できます。
参照サイトからの同業他社へのアクセス状況
サイトへの流入元の割合がわかります。Googleアナリティクス以外のツールも使います。上図データは、similarwebのデータです。
ターゲット分析
競合と自社の対策サイトとの違いや差がわかったところで、次に対策サイトの分析に入ります。サイトに訪れているユーザーの属性、エリア、セッション数、閲覧されているページ等、事細かにデータを抽出します。さらに、実際のCVボタン(コンバージョン)までいったユーザーの行動分析をして、サイトの改善点を洗い出していきます。
- 顧客属性分析
- 閲覧が多いページ
- 顧客行動分析
顧客属性分析
顧客属性として年齢と性別の内訳データを抽出します。上図からは、アクセス数が多いのは、男性25~44歳の層で、予約数、コンバージョン率が高いのは女性35~44歳の層であることがわかります。改善案として、コラムの女性向けコンテンツを増やしたりターゲティング広告の女性向けキャンペーンでの訴求などが考えられます。
閲覧が多いページ
ページごとに属性をセグメントして、ページ数や滞在時間、離脱率を出すことができます。ページ閲覧数が多いのに離脱率が高いページは、ページに何らかの問題があります。滞在時間が長く離脱率が少ないページはよく見られているページですので、CVボタン(コンバージョンボタン)を入れてお問い合わせまでの導線を上手に作っていくと良いでしょう。
顧客行動分析
ユーザーでコンバージョンまで行った顧客の行動分析をいくつもします。顧客行動を分析すると具体的なカスタマージャーニーが見えてきます。
最初のセッションに至る経緯(タッチポイント)後、コンバージョンまで何回サイトを訪れたのか、また、最後のコンバージョンまで行ったときはどういう動きをしていたのかを全て見える化していきます。何件も分析を重ねていくと、共通の事象が洗い出せます。
例えば、コラムやよくある質問を何回も見ているのであれば、そこにCVボタンを設置してみたり、長期間コンバージョンにいたららにケースでは、リターゲティング広告でユーザーを追ってみてコンバージョンさせて見たり、具体的な施策を打つことができます。
UI・UXの改善
UIとは、User Interface(ユーザーインターフェース)の略で、「ユーザー接点」です。ユーザー接点とはユーザーが目に触れる全ての要素を意味します。UXとは、User Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略で、「ユーザー体験」です。ユーザー体験とは、Webサイトを利用することで得られる経験や感想を意味します。
詳しくはこちら:SEOとユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスとの関係性とは
コンバージョン率を高めるために、UIとUXの視点からも改善点を探ります。そのために、ヒートマップ分析やEFO改善案を出します。
- EFO改善
- ヒートマップ分析
EFO改善
EFOとは、入力フォーム改善化の事です。コンバージョンしやすいような作りに改善するようにご提案します。上図は、全て黒い背景でしたので、予約フォームの敷居を少しでも下げるために、白色の背景にして入力しやすくしてもらうような提案です。
ヒートマップ分析
訪れたユーザーがページの中野どこに興味があるかマウスクリックや熟読エリアをもとに、顧客ニーズを発見してメニューやコンテンツの充実に活かします。
もっと詳しくはこちら:ヒートマップとは?アクセス解析との違いと分析できること
サイト改善案
最後に、対策サイトの改善案をまとめます。参照サイトからのアクセス増加施策として、ターゲティング広告でGoogle広告のプレースメント指定して配信したり、サイト内導線の修正を提案します。
サイト内検索窓が無いサイトでは、サイト内検索窓を追加することにより、お客様の検索ワードをGoogleAnalyticsのサイト内検索で計測し、お客様のニーズをもとにしたコラム作成のネタに活かしたり、実際の具体的なGoogleAnaliticsのデータから様々な改善点のご提案が可能です。
また、成功しているポイントも抽出できますので、それを他のページ等に横展開して、サイト全体のWEB集約のコンバージョン率を上げる対策が可能です。
まとめ