一次情報とは?獲得するポイントや具体的な事例を解説
ビジネスにおいて、他社との差別化や自社商品が売れる仕組みを考えることは大切です。ですので、下記のような取り組みは、企業にとって日常茶飯事でおこなわれています。
- 自社の顧客情報をマーケティング活動に応用する
- メディアが独自取材でえたニュースを発信して視聴者や読者を集める
このときに活動の軸となる、顧客情報やニュースといった貴重な情報は、一次情報と呼ばれています。
一次情報とは
一次情報とは、実体験や独自の調査によってえられるオリジナルの情報を指します。さらに、すべての情報の起源となるもので、引用される対象にあたります。具体的には、下記のようなものが一次情報にあたります。
- 独自調査でえたアンケートや統計データ
- 独自取材でえたインタビュー情報
- 新商品発表会や記者会見で公開された情報
- 学問における研究成果
一次情報は、主に、ビジネスや学術の場で重宝されます。とくに、前者の場合では、一次情報を取り扱うことで企業の利益に直結するケースさえあります。
二次情報とは
二次情報とは、一次情報を情報源として生まれる情報のことです。
わかりやすく説明すると、たとえば、Apple社が新商品発表会を開いて、iPhoneの新機種情報を発表したとします。まず、これは一次情報にあたります。そして、この一次情報を基に、マスコミが新機種の情報をメディアに掲載します。このとき、メディアに掲載された情報は発表会で発信された情報ですので、二次情報に該当します。
また、Apple社の企業サイトに掲載されているiPhone情報をメディア掲載する場合、引用として扱われます。こうしたケースも二次情報にあたります。ただし、「Apple社の企業サイトから引用したこと」を明示しておかないと、無断転載として問題に発展することがありますので注意してください。
三次情報とは
三次情報とは、二次情報以降の情報を基にした情報を指します。わかりやすい言葉で表現すると、又聞きや噂話といった情報は三次情報に該当します。そして、一般的には、三次情報の情報源を特定することは困難とされています。
たとえば、「どこかで見聞きした気がする情報」を他者に伝えたとします。このとき、他者に伝えた内容は、三次情報に該当します。
ビジネスにおける一次情報の扱い方
ビジネスにとっての一次情報は、利益につながるケースがあることから重宝されています。ただし、企業の業種によっても、一次情報の扱われ方が異なってきます。代表的な一次情報の扱われ方としては、下記のようなものがあります。
- 企業にとっての一次情報
- メディアにとっての一次情報
企業にとっての一次情報
一般企業にとっての一次情報とは、主に、自社で蓄積した社内データを指します。そして、こうしたデータを一次データと呼びます。具体的には、下記のようなものが一次データにあたります。
- 自社商品の購入履歴
- 顧客情報
- WEBサイトのアクセスデータ
- 市場調査の結果
こうしたデータは、一次データであるとともに、社外秘情報にもあたります。そのため、自社内で厳重に管理されています。そして、新商品の開発やマーケティング活動に応用して役立てています。
メディアにとっての一次情報
メディアとしての一次情報とは、第一報のことを指します。第一報とは、最初に報じられる情報のことです。そして、メディアは、この第一報を発信することを業務上の重要なミッションに位置付けています。
たとえば、Apple社がiPhoneの新機種情報を発表したとします。そして、インタビュー取材を申し込んで、新機種の詳細な情報を聞き出しました。この情報はまだ公にされていないものなのですが、掲載許可をもらいました。すると、「新機種の詳細な情報」という切り口においては、第一報の情報となります。
ビジネスで一次情報を扱うメリット
ビジネスで一次情報を扱うと、さまざまなメリットがあります。共通しているのは、最終的に自社のマネタイズ施策につながるという点が挙げられます。
企業が一次データを扱うメリット
一般の企業が一次データを取得すると、データ分析や解析に応用できるといった利点があります。
たとえば、自社商品の購入履歴と顧客リストを保有していたとします。両データを組み合わせて分析することで、商品の購入層に対する仮説を立てることが可能です。そして、こうした購入層のことをペルソナと呼びます。
ペルソナとは、自社商品を購入する典型的な人物像のことです。ですので、ペルソナを特定すると、自社の売上を伸ばすための施策を練りやすくなります。ペルソナが判明すると、具体的には、下記のようなマーケティング活動に応用できます。
- 新商品の開発
- 販売チャネルの選択
- 広告宣伝の設計
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マスコミが一次情報を扱うメリット
一次情報は、ニュースになります。そもそも、ニュースとは、メディアで取り上げておらず、一部の関係者を除いて知られていない情報のことです。そんなニュースをメディア掲載することで、さまざまなメリットがあります。
もともと、メディアの役割は、主に情報を伝達することにあります。そのため、どのようなジャンルを扱うメディアであろうとも、ニュースを取り上げるために活動しています。そして、こうしたニュースを第一報という形で扱うことで、下記のような利点が生まれます。
- 目玉のニュース記事になる
- 競合メディアと差別化できる
- メディアとしての位が上がる
まず、ニュースを取り上げると、メディアとして注目を集めます。世間の関心を集めるような、大きなニュースを第一報として取り上げることができると、メディアの目玉となるニュース記事として扱えます。すると、テレビであれば視聴率が、新聞や雑誌であれば発行部数や売上が伸びます。
さらに、第一報のニュースはオリジナル情報ですので、競合メディアとの差別化につながります。このように、ニュースを取り上げる頻度が高いほど、「自社の取材力」が評価されていきます。結果として、メディアとしての位が上がります。
近年の例を出すと、出版社の文藝春秋社が発行する週刊文春といった雑誌が注目されています。週刊文春では、独自の取材力を通じて、さまざまな芸能ニュースを発信しています。世間では、週刊文春に芸能人のゴシップ情報が掲載されることを「文春砲」などと揶揄しています。これは、いかに世間が週刊文春の取材力と情報のインパクトを評価しているかという表れとみてとれます。
WEBメディアが一次情報を扱うメリット
これはWEBメディアに限ったことですが、一次情報とSEO(Search Engine Optimization)施策は、非常に相性が良いとされています。
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SEOとは、自社のWEBページやサイトを検索エンジン上で上位表示するための施策のことです。そして、WEBページ上でオリジナル情報に該当する一次情報を扱うと、高いSEO効果を期待できます。一次情報をいち早くWEBページに掲載すると、関連するキーワードで検索結果の上位表示を奪取しやすくなる傾向にあります。とくに、新商品やサービス名といった、新たな検索ニーズが生まれる際に絶大なSEO効果を発揮します。
たとえば、独自の取材で、Apple社からiPhoneの新機種が発売されることを事前にキャッチしたとします。さらに、新機種の呼び名がiPhone Xだったとします。このとき、iPhone Xに関する記事をできるだけたくさん作成して、事前にストックしておきます。そして、「iPhone X」というキーワードの検索ニーズが高まった段階で、すべての記事を一斉に公開していきます。
一方、競合メディアは、iPhone Xの記事を作りはじめるところからスタートします。つまり、新たな検索ニーズとして生まれた「iPhone X」というキーワードにおいて、いち早く記事を公開した自社のWEBページが検索結果で上位表示されるということです。すると、一手にアクセスを稼ぐことができます。
このように、第一報となる記事を作り続けてアクセス実績を蓄積していくことで、WEBメディアとしての権威性が上がっていきます。SEOでは、こうした実績や権威性が重視されますので、WEBメディアの成長として好ましいスパイラルを描けるというわけです。
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一次情報を取り扱う際のリスク
一次情報の特徴として、オリジナル性が高く、差別化につながる点が挙げられます。ただし、その一方で、一次情報を取得するためには、下記のようなリスクがあります。
- コストがかかる
- 時間がかかる
- 取材力や調査力が求められる
まず、一次情報を取得するためには、調査や実体験することが前提条件として挙げられます。調査の度合いにもよりますが、ここで人件費や経費が発生します。さらに、調査して結果が出るまでには、一定の時間が必要です。
仮に、新商品を販売するためにマーケティング活動を取り入れることになったとします。マーケティングには、事前の市場調査が必須です。通常、このときの調査結果に基づいて、その後に「どのような施策を展開するのか」が決定していきます。つまり、このときの市場調査の結果に誤認やミスがあると、マーケティング活動そのものに大きな影響を与えかねません。
マーケティングの事例では、市場調査の結果が一次情報に該当します。そして、適切な市場調査の結果をえるためには、コストや時間のほか、ある程度の調査能力が求められます。
一次情報の集め方
一次情報を獲得するためには、取材力や調査力といったスキルが不可欠です。まずは、こうした点を抑えていくことが、一次情報を獲得するための大きなポイントです。たとえば、下記のような点を意識して学んでください。
- 特定ジャンルで強みを作る
- 業界のコネクションを作る
特定ジャンルで強みを作る
取材や調査する役割の人間は、ヒアリングや体験を通じて、一次情報を探していきます。そのためには、一次情報が属するジャンルに対する知識が必要です。そもそも、知識がないと、「どのような情報が価値ある一次情報なのか」といった判断ができません。
たとえば、インタビュー取材することになったとします。インタビュアーに知識がないと、質問すべき内容や引き出すべき回答をイメージできません。さらに、インタビューを受ける側は、知識や経験不足のインタビュアーに対して、嫌悪感を抱く傾向があります。つまり、最低限の知識や経験値を持つことで、はじめてインタビューが成立するということです。
業界のコネクションを作る
取材と調査のいずれにおいても、業界関係者にヒアリングをして、一次情報への糸口につながるケースが多々あります。そこで、業界内でコネクションを形成しておくと、思わぬところから非常に高い価値の情報が降りてくることがあります。
業界コネクションを形成するために、下記のような手法を用いるケースが見られます。
- 業界に関連性が高いイベントや祭典に出席して名刺交換する
- フェイスブックで自身のアカウントを作成して、ビジネスパーソンの友達を増やす
一次情報の例
広告会社においては、広告案件に対する最新情報が高い価値を持ちます。そして、こうした情報は、業界関係者や自社のクライアントにヒアリングすることで取得できます。ただし、貴重な情報であるほど、情報を握っている人物が限られますので、一次情報としてキャッチすることが困難になります。
たとえば、インスタント食品会社の日清食品がカップヌードルのレギュラー品として、新商品を全国発売することになったとします。このとき、主力のカップヌードルだけに、大規模な広告予算が組まれると予測できます。発表前にこうした情報をキャッチできたメディアや広告会社の営業部門は、日清食品に対してアポイントをとり、自社の広告商品をアピールするチャンスが生まれます。
このように、ヒアリングを通じて事前に一次情報を入手できると、さまざまな利用用途が発生します。そして、大きなビジネスチャンスにつながるケースもあります。
一次情報のよくある質問
一次情報について、よくある質問をFAQ形式でご紹介しています。
Q:一次情報のことを英語でなんといいますか?
Answer)Primary Data(プライマリーデータ)と訳されます。
Q:一次情報の言い換えは?
Answer)新情報、新事実、一次データなどさまざまな言葉に言い換えられます。
原則として、一次情報とは、手が加えられていない生の情報そのものを指します。そして、情報の利用用途によって、さまざまな言葉に言い換えられます。
下記は、あくまで一例ですが、一次情報を扱う立場によって表現方法が異なります。
- 調査会社:一次データ
- マスコミ:ニュース
- WEBメディア:オリジナルコンテンツ
- 学者:研究成果や論文
Q:一次情報とニュースの違いは?
Answer)ニュースとは、報道の対象を指します。そのため、厳密には、一次情報とニュースでは、概念が異なります。
ニュースとは、まだ知られていない新事実や情報で、世間に伝達される対象のことです。つまり、ニュースは、一次情報の1つのあり方という位置づけになります。
Q:一次情報とビジネスの関係性は?
Answer)企業にとって一次情報とは、他社と差別化を図るための重要な情報です。
ビジネスの場では、他社と差別化を図り、自社の優位性を保持することが重要です。この差別化とは、独自の取材や調査方法、または体験でえた一次情報がネタとなり、生みだされることが多々あります。
まとめ