エフェメラルコンテンツとは?魅力と具体的なマーケティング施策を解説
エフェメラルコンテンツは、限られた時間だけ公開されるコンテンツで、視聴者に「今しか見られない」という特別感を与えます。
近年、この一時的な特性を活かしたマーケティングが注目を集めています。

エフェメラルコンテンツとは
エフェメラル(Ephemeral)とは「儚い」「一時的な」を意味し、エフェメラルコンテンツとは、一定時間で自動的に消えるコンテンツを指します。主に写真や動画形式で投稿され、24時間後に自動削除される仕様が一般的です。
これは、ユーザーに限定感やリアルタイム性を感じさせることで、視聴率やエンゲージメントを高める効果があります。
多くのSNSでは、動画や写真などを投稿すると、投稿者が意図的に削除しない限りハイライトとして残り続けます。しかし、エフェメラルコンテンツは24時間のみ視聴可能であるなど、指定された時間が経過すると自動で削除されます。
エフェメラルコンテンツは、限定配信という位置付けであるため、貴重なコンテンツとして配信できることが特徴です。
エフェメラルコンテンツを投稿できるSNS
エフェメラルコンテンツを投稿できるSNSを紹介します。
Snapchat
エフェメラルコンテンツの投稿サービスを最初におこなったSNSがSnapchatとされています。
Snapchatに投稿された画像や動画は、閲覧すると自動で投稿内容が削除されるという特徴を持つSNSです。そのため、面白い投稿内容が限定的に楽しめるという特別感もあり、多くの若年層の支持を集めています。
投稿内容を閲覧しなくても24時間以内に削除されたり、通知機能でプッシュ通知されたりなど、緊急性を装うことにより利用頻度を高める仕掛けがされています。
海外ユーザーを多く抱える人気のSNSです。
Instagramが、投稿した画像や動画を永続的に残すサービス以外に、エフェメラルコンテンツの投稿サービスとして提供しているコンテンツがInstagramストーリーズです。
Instagramストーリーズは、画像や動画などの投稿内容を24時間のみ公開するサービスで、24時間以内であれば何回でも閲覧できます。
投稿内容を永続的に残せるサービスとエフェメラルコンテンツを併用することにより、ユーザーのさまざまなニーズに対応できると考えられます。
SNOW
SNOWは写真や動画を加工するために利用するアプリですが、24時間限定で公開できるエフェメラルコンテンツの投稿も可能なSNSという側面もあります。
SNOWでつながる知人にエフェメラルコンテンツとして公開することや個別にメッセージとして送信もできます。
エフェメラルコンテンツの魅力
エフェメラルコンテンツの特徴からマーケティング施策を考える場合、プッシュ通知に対するエンゲージメント率(反応されやすさ)の高さを利用することが重要です。
例えば、限定的なキャンペーン情報や商品やサービスの隠された要素についての情報などの配信が考えられます。ユーザーに話題を提供するという視点で、他のSNSで拡散されやすい情報を配信することが大切です。エフェメラルコンテンツで全てのマーケティング施策を完結させるのではなく、自社サイトや他のSNSと併用するマーケティング施策を考えてください。
エフェメラルコンテンツの魅力をマーケティングの視点で解説します。
- プロモーションとして利用可能
- 顧客獲得チャネル
- 貴重な内容による付加価値の提供
- 簡単な内容でPRすることが有効
- エフェメラルコンテンツの特別感
プロモーションとして利用可能
エフェメラルコンテンツは、永続的に保存されるコンテンツと同様に、商品やサービスなどのプロモーションとして利用できます。
企業アカウントからキャンペーンや商品、サービスの情報発信、制限時間付きという特徴を活かしてアンケートの実施も可能です。また、顧客が商品やサービスを利用した感想などを伝えるコンテンツの投稿も期待できます。
Instagramではライブ配信をおこなうことができ、ライブ配信終了後にアーカイブをエフェメラルコンテンツとして24時間限定で投稿できます。この機能を活かして、ライブ配信中にアンケートを実施したり、視聴者の反応を分析することも可能です。
通常のプロモーションにエフェメラルコンテンツの特徴を組み合わせることにより、効果的なマーケティングが可能です。
顧客獲得チャネル
一時的に視聴できるコンテンツは、多くのユーザーが特別感を抱くため、とても好まれやすいです。そのため、多くのユーザーに視聴されて接点を持つことができ、ユーザーに商品やサービスのプロモーションがおこなえます。
海外企業がエフェメラルコンテンツを利用して商品やサービスのプロモーションをおこなう場合、ユーザーとの関係性を良くするために、制限時間付きという特徴を活かして製品やサービスを提供する人物に関係のある画像や動画を配信することが多いです。
製品やサービスを提供する側がどのような人物であるのかなど、背後の情報を配信することにより、信頼できる企業というプロモーションが可能です。
しかし、日本では匿名性が好まれる傾向があるため、従業員の姿を配信することが必ずしも良い判断であるとは言えません。海外企業のようなプロモーションを日本でおこなう場合は、WEBサイトなどで姿を露出していることが多い代表者の出演などで、信頼できる企業としてのプロモーションが可能です。
そのほかにも、24時間以内に視聴したユーザー限定でキャンペーンを実施するなど、顧客獲得のためのさまざまなマーケティング施策が考えられます。
貴重な内容による付加価値の提供
エフェメラルコンテンツの特別感を利用し、商品やサービスを購入することによりえられる付加価値を提供できます。
例えば、商品が製作されるまでの注目すべき過程をエフェメラルコンテンツとして投稿し、製作工程から商品に付加価値を与えることが可能です。
企業が取り組んでいるさまざまな内容を限定的に公開することにより、貴重な情報を提供する企業として、ブランディングにもつなげられます。
また、Instagramのようなライブ配信と併用できるSNSを利用することにより、限定的で特別な体験をユーザーへ提供するさまざまなプロモーションが考えられます。
簡単な内容でPRすることが有効
エフェメラルコンテンツは、視聴回数や時間に制限があるため、比較的ラフな感覚でコンテンツの投稿ができます。
入念な計画で作り込まれたコンテンツを投稿することがとても重要ですが、限定的に親近感を抱かせるコンテンツの投稿もプロモーションとして効果的です。
例えば、商品やサービスを従業員が使っている様子などを綺麗な編集などおこなわずにラフな感覚で投稿することにより、ユーザーは親近感を抱きやすいです。結果として、企業と顧客の距離が縮まり、多くのユーザーへ効果的にPRできます。
また、永続的に残るコンテンツはさまざまな工夫を施したものが好まれやすいですが、エフェメラルコンテンツは貴重性や特別感を与える内容であることが重要です。そのため、NGシーンや失敗する様子などが、ユーザーに親近感を与えることが多いです。
エフェメラルコンテンツを作成する場合、貴重性や特別感を意識した作成をおこなってください。
エフェメラルコンテンツの特別感
エフェメラルコンテンツは、時間が経過すると消えるという特徴から価値を見出せます。そのため、マーケティング施策としてエフェメラルコンテンツを利用する場合、今しかできない貴重な体験ができるということを思わせることが大切です。
Instagramストーリーズは24時間経過するとコンテンツが消えることにより、ユーザーは以下のようなことを考えます。
- 消える前に限定公開されたコンテンツを見たい
- 保存したい
- 限定情報を多くの人に教えたい
このような心理状況は、他のSNSで情報を発信する行動に結びつきやすく、マーケティングとして重要な奨励がユーザー間でおこなわれます。そのため、限定的な配信でも多くの消費者の認知につながります。
エフェメラルコンテンツは貴重性や特別感を抱きやすい仕掛けを容易に生み出すことができるため、マーケティング施策に導入することにより、大きな成果を生み出す可能性が高いです。
エフェメラルコンテンツをマーケティングとして導入する注意点
エフェメラルコンテンツをマーケティング施策として効果的に活用するために、注意すべき点があります。
各プラットフォームの特徴に応じた方法で投稿
エフェメラルコンテンツは、比較的新しいコンテンツであるため、SnapchatやInstagramなどの各プラットフォームで最適な提供方法を模索している状態です。
例えば、Snapchatではさまざまな企業アカウントや個人アカウントが存在し、動画の投稿をおこなっていますが、検索機能が十分ではありません。そのため、Snapchatでエフェメラルコンテンツを利用したマーケティングをおこなう場合、動画を認知してもらうまでの取り組みが重要です。
Instagramでは、ユーザーが作成した魅力的な画像や動画が多いため、広告の内容を多く含むコンテンツはわかりやすくユーザーが避ける傾向にあります。そのため、広告の内容が多くなりすぎないコンテンツの投稿をする必要があります。
エフェメラルコンテンツの配信ができるプラットフォームによって特徴やユーザー層が異なることが多いため、各プラットフォームの分析をしたうえで、マーケティング施策を考えることが重要です。
少ない視聴回数でPRする必要がある
エフェメラルコンテンツは、視聴回数は視聴期間に制限があることが特徴です。そのため、マーケティング施策として活用する場合は、少ない視聴回数でユーザーにPRする必要があります。
例えば、定期的に閲覧することでPR効果を高めるエフェメラルコンテンツは、マーケティング施策として効果を発揮することなくコンテンツが視聴できないという状況が発生します。エフェメラルコンテンツで完璧なプロモーションをおこなう必要はありません。
自社サイトのURLやキーワード、独自のハッシュタグをコンテンツに入れ込む事により、WEBサイトへの流入経路を確保するという考え方が一般的です。
エフェメラルコンテンツは、一定期間をすぎると視聴できなくなるという特徴を意識して、コンテンツの制作をしてください。
リソースを割いても一定期間で消える
前述しているとおり、エフェメラルコンテンツは完璧な内容で作り込むよりも、ラフな感覚で作成することによりえられるメリットが多いです。また、一定期間で消えてしまうコンテンツであるため、多くのリソースを割けば割くほど費用対効果が減少します。
永続的に残り続けるコンテンツは、構成や内容を作り込むことが重要であることが多いですが、エフェメラルコンテンツは少し違います。
リソースを割いても配信が限定的であるという点を意識した制作をおこなうことが大切です。
効果測定が難しい
エフェメラルコンテンツは公開される回数や期間が限定的であるため、効果測定がとても難しいです。
エフェメラルコンテンツのマーケティング効果を測定するツールがほとんど存在しないため、各プラットフォームで提供している分析サービスを利用し、独自の方法で効果測定をおこなう必要があります。
マーケティング施策としてエフェメラルコンテンツを効果的に活用できている企業がとても少ないため、独自のノウハウを蓄積することにより、他の企業とは異なるマーケティング施策を考えられる可能性もあります。
まとめ
エフェメラルコンテンツの緊急性を活かしたマーケティングをおこなうことにより、一定以上のエンゲージメント率を期待してプロモーションできます。しかし、視聴回数や視聴期間が限定であるため、マーケティング施策としてリソースを割けば割くほど費用対効果が下がります。
費用対効果をある程度維持した状態で、エフェメラルコンテンツをマーケティング施策に組み入れる場合、自社サイトへの流入や他のSNSでの拡散を狙うことが重要です。エフェメラルコンテンツをマーケティングとして利用している企業は少ないため、独自のノウハウを蓄積して、他の企業と差別化されるプロモーションをおこなってください。