EC物販とは?基本概念からメリット、始め方などについて詳しく解説
オンラインショッピングが日常化している今、自社でもEC物販を始めてみたいと考えているのではないでしょうか。しかし、何をどう始めればいいのかと疑問や迷いがあると思います。
EC物販とは?
EC物販とは、インターネットを介して物品を購入または販売する活動のことをいいます。具体的に扱っている商品例としては次のようなものがあります。
種類 | 具体例 |
家電製品 | スマートフォン、テレビ、電子レンジ |
ファッション | 衣服、靴、アクセサリー |
美容・コスメ | スキンケア製品、メイクアップ、香水 |
家具・インテリア | ソファ、テーブル、照明器具 |
ペット用品 | フード、おもちゃ、ケージ |
顧客はECサイトやアプリを使用し商品を選び、ショッピングカートに追加したあと、クレジットカードや電子マネー、後払いなどの支払い方法を選択して購入を完了させます。その後、商品は運送会社を通じて自宅などに届きます。
参考ページ: A Beginner’s Guide to E-commerce – Concordia University
実店舗との違い
伝統的な実店舗(小売店)では、顧客が店舗に足を運び、商品を直接触れたり試したりしながら購入を検討します。このように実店舗では、商品の見た目や質感、使い心地を実際に確かめられるため、顧客が安心して買い物ができるメリットがあります。また、場所や営業時間に制約があり、店舗に在庫がない商品とは比較できないなどのデメリットもあります。
一方、EC物販の場合はこのような実店舗にはできない、いくつかの特徴があります。例えば、場所や時間に制限されずにショッピングができる点や、他店舗との比較も簡単なため、顧客は自分のニーズにあった適切な商品選びが可能です。
EC物販を始めるメリット
EC物販を始めるという選択は、今の時代において必須ともいえます。なぜなら、実店舗が持つ「壁」を乗り越えることができるからです。それは場所や時間、さらには初期投資などのことが挙げられます。そこでここでは、EC物販を始めるメリットを整理してお伝えします。
参考ページ: How valuable is e-commerce? – Stanford
リーチできる顧客層が広い
EC物販のメリットとしては、リーチできる顧客層を広げられる点が挙げられます。インターネットの普及により、地域や国籍を問わず多くの人々に商品を販売することができるようになりました。
一方で、実店舗はその立地条件、営業時間、駐車場の可否など多くの制限があり原則、来店した顧客にしか商品を販売できません。EC物販はこのような実店舗の制約をうけることなく、日本や世界に向けて商品を販売することが可能です。
コスト削減
通常の実店舗で営業しようとすれば、場所を借りたり、電気や水道などの基本的な設備だけでも多くのコストがかかります。しかし、EC物販なら、これらの維持費用を大幅に下げることが可能です。また、人件費の点でも実店舗よりも負担が少なくて済むケースが多いです。
顧客ごとにカスタマイズできる
EC物販では、顧客に合わせておすすめ商品などをカスタマイズできます。例えば、顧客がどのような商品を見て、何を買ったのかといった履歴データを使い、次に来店したときにその関連商品をおすすめするといった方法があります。顧客の履歴データを使い、自動でカスタマイズできるのはECならではの強みです。
24時間営業
EC物販では24時間営業がおこなえます。インターネットで注文を受け付けるため、休みなくいつでも商品の販売がおこなえます。これは、忙しい顧客にとっても大きなメリットです。対照的に実店舗の場合、開店時間や閉店時間などの制限があります。
また、定休日を設定している場合も、その日は営業ができません、しかし、EC物販ならこういった時間に縛られることなく24時間365日商品を販売することが可能です。
EC物販を始める方法
近年、EC物販がますます人気を集めている中、「自社でもオンラインで商品を販売したい」とお考えではないでしょうか。しかし、どう始めたらいいのかと疑問も多いはずです。
EC物販は、実店舗よりも圧倒的に短期間でスタートできるものの、その一方で失敗する人も少なくありません。そこでここでは、東京SEOメーカーが考えるEC物販の始め方について、ステップバイステップで解説します。
Step1.ビジネスプランを作成
EC物販を始める際にはまず、目標と計画を決めます。これは実店舗を始めるときと同様です。何を売りたいのか、誰に売りたいのかを明確にしてください。今後はこのビジネスプランに沿って細部を決めることになります。
また、EC物販を始める際には市場調査も重要です。他に同じような商品を販売している企業があるか、自社の商品に興味を持ってくれる顧客が存在するのか、存在するとしてもどれくらいの価格で購入してくれるかといったことを調べます。
例えば「健康志向のペットフードを販売したい」という計画があれば、実際にそれをGoogleで「健康志向 ペットフード」などのように入力し検索します。そうすると、さまざまなECサイトが表示されます。そこで、具体的に扱っている商品や価格、顧客層などをリサーチしてください。競合店をリサーチすることで、自社のECサイトをイメージしやすくなります。
Step2.仕入れ先の確保
すでに仕入れ先がある場合は問題ありません。しかし、新規事業としてEC物販に取り組む場合は、仕入れ先を選定する必要があります。
特にEC物販では、商品の品質が重要です。インターネットでは、口コミがすぐに広がるため品質が悪いものを大量に販売してしまうと信頼を大きく損ないます。長期的にEC物販を成功させるためには、商品の品質にこだわるようにしてください。
Step3.ECサイトのプラットフォームを選定
ECサイトをどのように構築するかを決めます。ECサイトの構築方法は大きく分けて2つあります。
1つは、自社専用のECサイトをつくる方法です。もう1つは、既存のショッピングモールに商品を出品する方法です。ECのショッピングモールというのは、複数の店舗が集まる販売プラットフォームのことです。具体的には、AmazonやYahoo!ショッピングなどが該当します。
自社でECサイトを構築する場合は、デザインや機能などを自由に選べるというメリットがありますが、見込み客をゼロから集める必要があるため、軌道に乗るまで時間がかかります。
逆に、モールに出店する場合は、すでにたくさんの見込み客がいるので売りやすいです。ただし、同じ商品を販売する競合が多数いる場合、自社の特徴を打ち出すことが難しいため、価格競争に発展してしまいがちです。
これらのメリット・デメリットを踏まえてEC物販のプラットフォームを選定してください。
自社EC | モール | |
メリット | 利益率が高い、自社のブランディングができる、リピート率を高める施策ができる | 集客しなくて良い、モールの信頼度がある、初心者でも簡単に始められる |
デメリット | 自力で集客する必要がある、成果がでるまでに時間がかかる | 出店料・手数料がかかる、顧客情報がえられない |
Step4.決済手段と配送方法を決める
オンラインで商品を販売するには、クレジットカードや電子マネーなどの決済手段を用意する必要があります。できる限り複数の決済方法を用意することで、顧客の利便性が向上します。
同じように配送についても、どの配送業者を使うか、送料はいくらかといったことを決める必要があります。決済方法や配送方法を適切に決めておかないと、顧客が購入を躊躇して離脱する可能性があるので注意してください。
参考ページ: オンライン決済とは?決済手段ごとのメリットやデメリット、特徴などを解説
Step5.WEBマーケティング
ECサイトに自社の販売したい商品を掲載しても、自動的に商品が売れる訳ではありません。その後、WEBマーケティングに取り組む必要があります。
具体的には、SEO(検索エンジン最適化)やSNSマーケティングなどの手段があります。SEOというのは、Googleなどの検索エンジンで自社のECサイトが上位表示されるよう対策することです。
また、SNSマーケティングでは、自社の商品写真などをInstagramやX(Twitter)などに投稿し、知名度を上げる取り組みです。フォロワーが増えてきたら、キャンペーン情報を告知することも重要です。
Step6.在庫管理とカスタマーサポート
商品を売るだけでなく、在庫管理やカスタマーサポートなどの業務も重要です。在庫管理は、商品がどれだけ残っているのか、いつ新しく商品を入荷する必要があるのかといったことをチェックする作業です。在庫が切れてしまうと、顧客は他のWEBサイトに移動し、競合他社で商品を買う可能性があります。
また、カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせや、返品・交換などの手続きなどをスムーズにおこなう業務です。これによって、顧客満足度が高まり、リピート購入や口コミにつながります。
EC物販のマーケティング戦略
オンラインで商品を販売するのは、今や一般的なビジネスモデルです。多くの企業やお店がECに取り組んでいます。だからこそ、ただ商品をECサイトに出しているだけでは、顧客は集まりません。
EC物販を成功に導くには、WEBマーケティングに取り組むことが必要です。そこでここでは、EC物販に取り組む際のマーケティング戦略についてお伝えします。
参考ページ: ECマーケティングとは? 具体的な施策と成功事例を解説
SEO対策
EC物販で成功するには、様々なマーケティング戦略が考えられますがSEO(検索エンジン最適化)はその中でも特に重要な手法です。SEOとは、自社のECサイトがGoogleなどの検索エンジンで上位表示されるように対策を施すことを指します。検索結果の上位に自社のECサイトが表示されれば、多くの人が自然に自社ECサイトに訪れることになり、それが売上げにつながります。
SEOを始める一歩としては、まず商品名や説明文にキーワードをしっかりと組み込むことが基本です。また、ECサイトの速度を向上させる、モバイルフレンドリーにする、定期的に新しい情報や記事をアップするなどのことも重要です。
参考ページ: ECサイトのSEO対策の重要性やポイントなど解説!
SNS
SNSマーケティングに取り組むことも、EC物販において重要です。例えば、InstagramやFacebookなどのソーシャルメディアを活用し、商品やブランドの知名度を上げるといった活用をします。SNSで新商品の紹介やセール情報を投稿することで、多くの人にその情報を届けられます。
SNSマーケティングを始めるには、まずどのソーシャルメディアプラットフォームが自分のターゲット層に合っているかを考えてください。
例えば、若い女性が多く利用するInstagramは、ファッションやコスメなどの商品に適していることが多いです。こういった各SNSの特徴を理解した上で、活用するプラットフォームを選定します。
次に、定期的に投稿を行い、フォロワーを増やす努力が必要です。投稿の内容は新商品の紹介やお得なクーポン情報、または顧客の声などが考えられます。
参考ページ: SNSでキャンペーンを実施する手順は?実施する目的やおすすめのSNS
商品レビュー
EC物販において「商品レビュー」は非常に重要です。商品に対しての顧客の声や星評価を公開することで、顧客からの信頼を勝ち取ることができます。口コミは顧客が商品やサービスを選ぶ際の大きな判断材料の1つなので、できる限り良いレビューを集める必要があります。
商品レビューを増やすには、商品購入後に顧客からフィードバックを集める仕組みを作ります。例えば、購入後に「商品はいかがでしたか?」というメールを自動送信するなどが考えられます。このような方法で集めた商品レビューはWEBサイトに掲載します。
そして、良いレビューが集まれば、それを積極的にアピールすることで新規顧客が増えるという好循環が生まれます。
EC物販の課題
EC物販は、初期投資を抑えて始められるビジネスとして注目を集めています。しかし、思いもよらない課題に直面することも少なくありません。そこでここでは、EC物販に取り組む際の課題についてお伝えします。
商品を手に取れない
オンラインで商品を販売するため、顧客に商品を手に取ってもらうことができません。特に服や家具、高価な商品の場合、このことが購入に至らない原因となりやすいです。
この問題を解消するには、いくつかの方法が考えられます。例えば、商品ページでサイズや重量などの詳細情報を提供したり、返品保証などの仕組みを設けるなどのことができます。また、過去に購入した顧客のレビューや評価を表示することで、顧客の不安を払拭することも大切です。
配送トラブル
EC物販でよく起こる問題は配送トラブルです。例えば、商品の配達が遅れたり、途中で紛失したり、届いた商品が破損していたりするなどのことです。こういったトラブルが生じれば、顧客の満足度を下げる要因となり、リピート購入や口コミに影響を与えます。
配送トラブルを減らすには、いくつかの対策が考えられます。まず、信頼性の高い配送業者と契約することが基本です。次に商品が出荷されたら、顧客に対して配送状況をリアルタイムで知らせるなどの仕組みも重要です。
また、それでも配送トラブルを完全にゼロにすることは現実的ではないため、問題が発生した場合の対応マニュアルを定めてください。
競合が多い
ECマーケティングの課題として競合が多いという点が挙げられます。インターネットでは、同じような商品やサービスを提供する企業が多く、その結果、競争が激しくなっています。特に独自性や差別化が少ない場合、顧客が自社を選んでくれる確率が低くなります。
競合が多い中で成功するには、いくつかの対策が必要です。例えば、自分の商品に独自性を持たせたり、アフターケアに力を入れるなどの付加価値を付けるなどのことが考えられます。あるいは、顧客にとって魅力的な価格設定やマーケティング施策を考えることも有効です。
参考ページ: 競合サイトの分析におすすめのツール8選!競合分析の確認項目と方法を解説
EC物販のよくある質問
ここでは、EC物販について当社に寄せられる質問の中から、特によくあるものを取りあげ解説します。
Q:始めるには何が必要ですか?
Answer)EC物販を始めるには、まず販売商品が必要です。何を販売し、その商品によって顧客の問題をどう解決するのかを明確にしてください。次に、ECサイトまたはショッピングモールなどの販売プラットフォームが必要です。
これらは、自社商品を販売する「お店」に該当します。この場所がどれだけ使いやすく、見た目に魅力があるかで、顧客の購買意欲に大きく影響します。
その他、決済手段の導入も重要です。クレジットカードはもちろん、デビットカードや電子マネー、銀行振込など顧客が使いやすい決済手段を複数提供することでコンバージョンを高めることができます。
Q:運営費にはどのようなものが必要?
Answer)運営費用はさまざまですが、一例として次のようなものがあります。
- WEBサイトのプラットフォーム料・・・ECサイトの維持費。例えばShopifyや楽天市場の使用料
- ドメイン費用・・・独自ドメインの購入や維持費
- 決済手数料・・・クレジットカードなどで決済がある度に一定額
- 在庫管理・保管費・・・商品の在庫を保管する場所やシステムにかかる費用
- マーケティング・広告費・・・SNSマーケティングやリスティング広告など
- 配送・物流費用・・・商品の出荷にかかる配送料
参考ページ: WEB広告の費用の相場とは?WEB広告のメリットデメリットと効果的な使い方を解説
Q:セキュリティはどうすれば?
Answer)基本的なセキュリティ対策としてはSSL証明書を導入します。これは、ECサイトで安心して購入してもらう手段の1つです。SSL証明書を使うと、顧客がWEBサイトで個人情報を入力しても、その情報が暗号化されます。つまり、第三者による情報のハッキングを防ぐことができます。それ以外にも次のような対策を講じてください。
- ウイルスソフト・・・PCにアンチウイルスソフトをインストールし定期的にスキャン
- データバックアップ・・・ 重要なデータは定期的にバックアップを取り、安全な場所に保管
- アクセス権限の制限・・・ECサイトの管理画面には、必要なスタッフだけにアクセス権限を付与
参考ページ: サイバーセキュリティとは?初心者でも分かる基礎知識を解説!
Q:ECモールに出店するメリットは?
Answer)ECモールに出店する主なメリットは、既存の集客力と信頼性です。多くの人々が日常的に訪れる有名なECモールに商品を配置することで、新規顧客を獲得しやすくなります。さらに、既に確立されたブランドのECモールに出店することで、顧客からの信頼も比較的簡単に獲得できます。
参考ページ: ECモールとは?3つの種類や導入するメリットを徹底解説
まとめ