コンバージョン率最適化(CRO)とは?CRO施策について詳しく解説
SEOやWEB広告を行うのはサイトへのアクセスを増やすためです。しかし、SEOもWEB広告も手段であって目的ではありません。
最終的な目的にはほとんどの場合で売上が絡みます。そして、WEBで売上を上げるためには問い合わせを増やす必要があります。つまり、SEOやWEB広告は問い合わせを増やすための手段に過ぎず、WEB担当者はコンバージョン数をいかに増やすかが大きな課題になります。
コンバージョン率最適化(CRO)とは
コンバージョン率最適化(Conversion Rate Optimization)とは、名称のとおりにコンバージョン率を最適化(増加)させることです。つまり、コンバージョン数を増やすことをWEB施策のことをCROといいますが、CROを理解するためにはCVとCVRの理解が必須です。
CV(コンバージョン)とは
コンバージョン(Conversion)の意味は、デジタルマーケティングでは目的(ゴール)を達することを意味します。ECサイトでは商品の購入がゴールになりますし、企業の公式サイトでは問い合わせ、会員登録、資料請求、採用サイトでは採用エントリーなどがゴールになるはずです。
また、コンバージョンを達成するための中間ゴールとして、ホワイトペーパーのダウンロードやメールマガジン登録などのマイクロコンバージョンを設置するWEBサイトも増えてきています。
CVR(コンバージョン率)とは
コンバージョン率(CVR、Conversion Rate)とは、WEBサイトにアクセスしたユーザーのなかのコンバージョンに至った比率のことです。
100ユーザーのアクセスがあり、そのなかで5ユーザーがコンバージョンすればCVRは5%になります。
SEOやWEB広告でアクセスしてもコンバージョンに繋がらなければ意味がありません。そのため、WEB担当者はSEO、WEB広告と並行してCVRを上げるための施策を考える必要があります。
なお、CVRは目的や業界によって大きく異なりますが、一般的なCVRでいえば1%(100アクセスにつき、1コンバージョン)あればそこそこ取れているといわれています。
CVs(コンバージョン数)を増やすために
WEBサイトの目的はコンバージョン数(CVs)を増やすことです。そして、コンバージョン数を増やすための方法は大きく2つしかありません。
- SEOまたはWEB広告
- CRO
SEOやWEB広告はサイトへのアクセスを増やす手法です。アクセス数が多くなれば必然的に問い合わせする確率も高くなるのでコンバージョン数が上がるわけです。
しかし、SEOは効果を上げるまでに一定期間かかりますし、WEB広告は出稿し続けるためにはコストがかさむことになります。そのため、費用対効果を高めるためにはCRO(コンバージョン率最適化)を施すことにより問い合わせを増やすことが望まれます。
CROと同時におこなうべき施策
広い意味ではCROに内包されるものですが、CROと同時に行うべき手法としてはLPOとEFOがあります。どちらも重要な用語ですので覚えておいてください。
LPO(ランディングページ最適化)
LPO(ランディングページ最適化)とはLP(Landing Page)を最適化することです。
LPとは検索エンジンからの自然検索やWEB広告などからの着地するページ、つまり最初に訪れるページのことです。LPのファーストビューでユーザーの気を引いて、キャッチーなフレーズでコンテンツを読ませコンバージョンまで誘導します。
読みづらい、見づらい、わかりづらいなどネガティブな印象を受けてしまえば、ユーザーは直ちに離脱してしまいますのでLPの最適化はコンバージョンを増やすためにも非常に重要な手法です。
EFO(エントリーフォーム最適化)
EFO(Entry Form Optimization)とはエントリーフォームを最適化することです。
お問い合わせや資料請求などでは入力フォームがありますが、フォームがわかりづらい、項目数が多すぎるなどのネガティブな作りをしてしまうと見込み顧客を取り逃がすことになります。
エントリーフォームまで進んでいるユーザーを取り逃がすことは非常にもったいないため、ユーザーに対してストレスを与えない作りを検証することはコンバージョン数を増やすためには有効な手法です。
代表的なCRO施策
CRO施策は数多くありますが、代表的な手法として3つご紹介いたします。
- A/Bテスト
- コンバージョン経路改善
- CTA改善
A/Bテスト
A/Bテスト(エービーテスト)はページの特定の一部だけを変更したほとんど同じ2パターンのページを用意し、どちらがよりCVRが高いかを検証するテストのことです。
コンバージョンボタンの色が違う、場所が違う、文言が違うなど細かな変化であってもCVRに大きく影響する可能性があり、試行回数を増やすことで精度を高め、勝ちパターンを見つけることが目的です。
コンバージョン経路改善
コンバージョン経路改善とは、既にコンバージョンしたユーザーの経路を確認し、どういう経路をたどったユーザーのコンバージョンが多いのかを分析することです。
SEOにしろ、WEB広告にしろ、ランディングしたページからコンバージョンするまでに間にどういうページを遷移したのかを分析することで特定のページを経由したユーザーのCVRが高いという有意な数値が出ればランディングページからの誘導やコンテンツ改良によりCVRを伸ばすことが可能です。
CTA改善
CTAとはCall to Action(コールトゥーアクション)の略です。サイトにはコンテンツの最初、中間、最後、サイドバー、追尾ボタンなど、ユーザーにアクションさせるためのバナー、ボタン、文言があるはずです。
このCTA部分の色、文言、配置などを見直すことでエントリーフォームへの誘導数を増やし、CVRを高める手法です。
コンバージョン数を増やすための改善ポイント
コンバージョン数を増やすためには、さまざまな施策を行う必要がありますが、大規模ページであるほど、対策すべきページ数が多くなり非効率です。
そのため、ポイントを押さえ、優先順位を決めて対応する必要があります。サイトや業界によって対応すべきポイントは異なりますが、ほとんどの場合、見るべき優先順位が高いページは以下のとおりです。
- トップページ
- 誘導導線
- 経由ページ
- エントリーフォーム
- チャットボットの導入
トップページ
多くのサイトでもっとランディング数が多くなるのがトップページになるはずです。すなわち、トップページでどれだけユーザーの求めるページに誘導するかが非常に大きなカギを握るということです。
トップページから主要ページへの導線をわかりやすく設置することは必須ですが、それ以外にも経由したユーザーのCVRが高いページへの正しい誘導をすることでサイト全体の最適化が行えます。
誘導導線
通常のサイトであればランディングページから別ページをいくつか経由した後にコンバージョンします。その際にどのようなページを経由したかが非常に重要です。
ユーザーは悩みを抱えて検索し、サイトへのアクセスをしますが、情報収集だけをして離脱してしまうようでは非常にもったいないことです。ユーザーが最初から情報収集だけが目的であれば仕方がない点もありますが、誘導する導線が設計されていないという場合であれば遷移先を用意するだけでCVRが向上する可能性があります。
経由ページ
サイトに導線を設置し、ユーザーが遷移するようになった場合、欲しい情報への遷移ができているか、導線がわかりやすいかなどがポイントになります。ユーザーにとって使いやすいUI/UXを意識できているかということは非常に大きな導線設計ですので、いかにCVRの高い経由ページにアクセスさせるかを検討してください。
エントリーフォーム
サービス内容や料金に納得した場合にはエントリーフォームに移動しますが、エントリーフォームまで来て項目数の多さやわかりづらさから離脱されては元も子もありません。せっかくフォームまで来てもらっているユーザーですので漏れなくコンバージョンさせるように改善が必要です。
チャットボットの導入
チャットボットに限りませんが、WEB接客ツールがCVR改善に役立つ事例は多数報告されています。特にチャットボットのCVR改善は目覚ましいものがあり、業界によっては入れるか入れないかで売上が大きく変わるということもあります。
チャットボットを入れることが正解というよりも、どうやったらユーザーにとってストレスのない設計ができるのかを考え抜くことが求められます。
CROの流れ
CROを成功させることはむずかしいですが、基礎を押さえてコツコツを積み上げることが何よりも重要です。1回、2回で失敗して諦めるようではまったくダメで100回、1000回と繰り返すことで自社なりの勝ちパターンを作ることができるようになります。
そのためには、仮説と検証を次の流れで繰り返してください。
仮説を立てる
最初に行うべきは仮説を立てることです。正しい現状認識から次の施策を検討し、実施するための根拠を得てください。
そのために把握すべきは以下のような事柄です。
- PV:ページビュー。表示されたページ数のこと
- UU:ユニークユーザー数
- CVs:コンバージョン数
- 直帰率:アクセスしたユーザーが何もせずに離脱した率
上記の項目の何を改善するために何を行ったのかを控えておき、次の仮説に活用します。
A/Bテストを行う
仮説を立て、改善点を見つけたら実際に試してみて数値を見ます。A/Bテストですので、一部だけを変更したページを2種類用意して結果がどうなるのかを比較します。
ここで注意すべきなのはどちらの結果がよかったにしろ、計測期間または計測期間中のアクセス数です。計測期間を決めて行っても十分な数値が得られなければ計測期間が短いということです。ではアクセス数だけで判断してよいかといえば、時期要因でアクセスの多寡が決まる場合には正しい示唆が得られないかもしれません。
解析を行う
A/Bテストを終えたら数値をもとにデータがどのように変化したのかを見比べます。有意な数値が出ることもあれば出ないこともあり、出た場合でも出ない場合でもなぜなのかを追求することが重要です。
繰り返す
CROは決して1回では終わりません。試行回数を上げることで精度が向上しますので仮説が出る限りは繰り返し行うことが重要です。
CROの注意点
CROは間違いなく行った方がよい施策ではありますが、注意点があります。
短期で判断しない
CROは短期では決して終わりません。効果が出るまで継続することが原則であり、効果が出ても、さらに改善できないかを考えるのがCROです。
リソースが必要
CROは細かい修正を繰り返すことになりますので、最初の仮説が重要です。仮説を考え、実施、解析をするには資金的にも人員的にもリソースが必要です。
そもそも正しい知見がなければCROを成功させることはできませんので、適切な人員配置が必要です。
CROとSEOは並行すべき
ここまでCROの解説を行いましたが、CROはサイトにアクセスしたユーザーへの対処法であり、アクセス数を増やすことも非常に重要なコンバージョン数増加施策です。
アクセス数を増やすには広告とSEOが代表的ですが、長期目線で考えた場合やランディングページを量産できるという点でSEOと並行して行う必要があります。
アクセスを増やし、検索ニーズごとにページを作成、ページごとにコンバージョンさせる手法を検討することでより強いサイトができるはずであり、ユーザー導線の最適化を計ることはSEOに繋がることも多いため、片方だけではなく双方を並行して行うことが求められます。