CMOとは?CEOやCOOとの違いや役割、スキル、年収を解説
近年、グローバル企業を中心にCMOという言葉が注目を集めるようになってきました。経営戦略とマーケティングをつなぐ重要な役職です。
競争優位性を保つために、CMO(マーケティング最高責任者)の設置を考えている企業も増えているのではないでしょうか。
CMOとは
CMOとは、Chief Marketing Officer(チーフマーケティングオフィサー)の略で、マーケティング最高責任者のことです。マーケティングという立場から経営に参画します。
.日本ではまだなじみがありませんが、フォーチュン誌が選定する米国優良企業1000社の内、47%がCMOのポジションを設置しています。一方日本では、大企業を含めて5%未満に留まっています。
CMOが生まれた背景
アメリカでは最初に企業戦略を打ち出し、それに応じた販売・マーケティングをおこなっていくことを常としていました。そのため、企業戦略と販売・マーケティングをつなぐ役割として、CMO(マーケティング最高責任者)が最初から重視されていたのです。
一方、日本企業においては、企業戦略が現場の営業部門に左右されやすく、営業組織が独立王国のようになり強い権限を持っていることがあります。そのため、営業部門が売上を伸ばすために過度の割引をおこなったり、販促費をむやみに増幅させたりといったことも生じます。
しかしこれは、営業部門単体でみれば最適であったとしても、企業全体としては逆に収益が圧迫されます。
そのため、アメリカ企業のように、まずは明確な企業戦略を先に打ち立て、それを現場に浸透させていくことが日本の企業改革として期待されています。
そういったことを背景に、日本においてもCMO設置の気運が高まっています。
CMOに求められる役割とは
CMOは米国企業の役職において、もっとも重視されているポジションの1つです。なぜこのようにCMOが重視されるのかというと、その期待されている役割が企業活動の根幹をなすものだからです。
そこで、ここではCMOの役割について詳しくお伝えします。
マーケティング部門を牽引する役割
CMOは、マーケティング部門を牽引する役割があります。
これまでマーケティング部門が戦略を考えても、現場レベルではそれとズレが生じることが多いといわれていました。あるいは、現場担当者が個々に判断するため、その場では適切に対処できていたとしても、会社全体としては一貫性を欠くというケースも頻発しています。
このような現場主義の対応も重要ですが、それでは人・モノ・資金・情報などが効率的に活用されないという課題が残ります。
そこで、CMOが戦略と現場をつなぎ牽引することで、課題を解決していきます。
経営との融合
これまで経営の意思決定や戦略と、マーケティング活動とは必ずしも融合されていませんでした。そのため、CMOは経営戦略をマーケティング活動に活かし、そこで知り得た知見を再び、経営戦略に引き継ぐという役割があります。
また、経営陣からみるとマーケティングでおこなっている活動はブラックボックスになっていました。そのため、CMOが経営陣に対してマーケティングの成果などを可視化できるよう説明責任を負っています。
他部門との連携
マーケティング部門は従来、企業活動全体の周辺的な役割を負っていましたが、現在では中心的な役割を負うようになりました。
利益を上げるための活動が、マーケティング部門を中心におこなわれるのです。
しかし、激しい市場環境の変化により、企業が収益を上げるためにマーケティング部門単独でできることは多くありません。技術部門や商品開発部門などとの連携を図り、情報共有しながら収益を追求しなければ競争優位性を保つのが困難です。
そこで、CMOは横断的なコミュニケーションをとり、他部門との連携をとる役割を負っています。
社外への役割
マーケティング部門は企業の中心的な存在です。そのため、社外に対して会社の顔という役割があります。
例えば、広告代理店と取引する際にも、受け身で対応していたり、現場ごとに対応が異なっていれば企業イメージとして望ましくありません。そのため、CMOが代表としてそのコミュニケーションをとり、中心的な役割を担う必要があります。
CMOに必要なスキル
CMOは、マーケティング部門に対してだけ責任を負えば良いのではなく、組織のタテ・ヨコに対してさまざまな役割があります。そのため、求められるスキルの種類も多いです。ここでは、それらのスキルを整理しておきます。
データ分析
CMOは、データを起点としたマーケティング戦略を立てる必要があります。CMOは、マーケティング活動の旗振り役として、希望的観測や期待だけで話しを進めるわけにはいきません。
また、マーケティング活動に他部署を引き込むためには、最終的に数字で納得してもらう必要もあります。こういった理由から、CMOにはデータ分析力が必要です。
情報への敏感さ
CMOには、情報に対して敏感である必要があります。
毎日のように新しい手法やツールが世の中に誕生し、市場のトレンドも常に流動的です。そして、それに乗り遅れることは企業の成長を遅らせることにつながります。
そこでCMOはこういった情報をいち早く掴み、新しいものを積極的に学ぶ必要があります。
会社全体の最適化を考える力
CMOはマーケティングのことだけを考えるのではなく、企業戦略を現場に落とし込む役割があります。そのため、経営者視点の判断が必要です。
つまり、マーケティング部門だけの最適化を図るのではなく、会社全体の最適化を目指す視点が必要です。
例えば、マーケティング部門がキャンペーンを企画しても、それが会社全体にどう影響を及ぼすのかまでを考慮して進める必要があります。
リーダーシップ
CMOは組織におけるタテ・ヨコの連携を担っています。経営陣に対しての説明能力や他部門の意見をまとめるリーダーシップが必要です。
ときには部署ごとに意見が異なりますが、それらの調整をおこない組織全体が1つの目標に向けて活動を進められるようまとめていきます。
混同しがちなCEOやCOOとの違い
CMOには、類似したさまざまな言葉があります。混同しないようにここで代表的なものとの違いをお伝えします。
CEO
CEOとはChief Executive Officerの略で、簡単に言えば社長や会長のことを指します。呼び方はそのまま「シー・イー・オー」です。取締役会の委託を受け、会社の事業戦略を立てることが主な仕事です。また、企業活動におけるすべての責任を負っています。
COO
COOとはChief Operating Officerの略で「シー・オー・オー」とそのまま呼びます。CEOが決定した方針や戦略に基づいて実際の業務を執行し、同時にその責任者です。
CFO
CFOはChief Financial Officerの略で最高財務責任者のことです。企業内の財務経理に関する責任者で、企業に対してお金の面から戦略立案に関わります。また、資金調達も主な仕事の1つです。
CTO
CTOはChief Technology Officerの略で企業の技術部門に関する最高責任者です。そのまま「シー・ティー・オー」と呼びます。技術面から経営戦略に対してサポートやアドバイスをおこないます。具体的な仕事としては、企業のIT化やDXなどについて意見を伝えるなどのことが挙げられます。
CIO
CIOとは、Chief Information Officerの略で最高情報責任者のことです。ITの視点から経営戦略に関して意見したり、社内での情報蓄積システムの構築、情報を活かした業務改善計画の立案などがあります。
日本でCMOが定着しにくい理由
日本では、CMOの役職は設置されていないことが多いです。ここではなぜCMOの設置が定着しないのかについて理由をお伝えします。
プロダクトアウトの発想から抜け出せない
2000年頃までは、企業が独自視点で商品を作り、それを市場に対して提供するというプロダクトアウトの考えが一般的でした。良い物をつくれば売れるという発想です。
そして、プロダクトアウトの考えで事業を展開するのであれば、CMOの役職は必ずしも必要ありません。市場の動向など考慮せず、企業が思ったものをつくれば良いからです。
一方、市場のニーズを調査し、それを満たす商品を作ることをマーケットインといいます。こちらは、マーケティングを起点としたものづくりですから、CMOの重要性は非常に高いといえます。
日本でもこのマーケットインの考えが少しずつ浸透してきていますが、まだプロダクトアウトの発想から完全に抜け出せているわけではありません。
そういった事情から、日本においてはCMOが十分に定着していません。
ジェネラリスト重視
日本では数年おきに人事異動がおこなわれ、ジェネラリスト養成に主眼がおかれています。これは逆に言えば、スペシャリストが育ちにくい環境ということです。
そのため、仮にCMOを設置したとしても、マーケティング部長のような役割で終わってしまい、本来のCMOとしての仕事がおこなえているわけではありません。
このようなジェネラリスト重視の理由から、日本ではCMOの設置が難しい環境にあります。
CMOの定義が正しく伝わっていない
これまで日本においては、マーケティングといえば広告出稿し管理することという意味で捉えられてきた背景があります。そのため、CMOといえば広告戦略の専門家といった程度のニュアンスが今でも残っています。
しかし、CMOは広告を運用したり管理する人ではありません。マーケティング視点で企業課題を解決するのが本来の役割です。
ただ、日本においてはまだCMOについての正しい定義が伝わっていないため、定着が遅れています。
日本企業でもCMOの重要性は今後さらに高まる
市場環境が大きく激変する昨今、マーケティングは1つの部門だけで解決できるものではなくなりつつあります。
戦略との統合や他部門との連携が益々求められるため、日本企業でもCMOの重要性は今後さらに高まると思われます。
CMOへのキャリアパスと年収
CMOは、日本企業で設置している数が少なく統計的にいくらの年収になるということはいえません。しかし、役員なのでおおよそ1,000万円以上と考えておけば良いと思います。
また、どういったキャリアを積めばCMOになることができるのかについても断定的なことはいえませんが、下記にいくつか例を紹介したいと思います。
マーケティング部門からCMOを目指す
CMOは、マーケティング観点から経営戦略に関わります。そのため、マーケティング部門でキャリアを積んで、CMOに就任することはもっとも自然な流れです。
営業職からCMOを目指す
マーケティングの基本は営業です。そのため、営業職からキャリアを積み、途中でマーケティング部門にキャリアを変えることも1つの方法です。その後、マーケティング部門での昇進を果たし、CMOを目指すということが考えられます。
商品企画からCMOを目指す
商品企画部門が市場調査や消費者調査などのマーケティング活動を兼ね備えていることもあります。その場合、その経験を活かしてマーケティング部門にキャリアチェンジすることが考えられます。その後は、マーケティング部門での昇進を果たしCMOを目指すことができます。
経理・財務部門からCMOを目指す
企業活動はキャッシュフローを無視しては成り立ちません。そのため、財務の知識がなければ、正しい経営判断をすることは困難といえます。そこで、経理・財務の経験を積み、途中でマーケティング部門へのキャリアチェンジを考えるというのも1つの方法です。その後は、マーケティングと財務の知識を活かして、CMOを目指すことができます。
まとめ
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