オウンドメディアとホームページの違いとは?運用メリットや作り方のコツを解説
オウンドメディアとホームページは、運営目的や想定読者などに違いがあります。サイト内のコンテンツや更新頻度にも影響するため、新たに自社サイトの運営を検討している方は、両者の違いを適切に把握しておくことが欠かせません。
オウンドメディアとホームページの概要
各サイトの概要を把握していないと、両者の違いを説明しても深く理解できないかもしれません。そこで最初の章では、それぞれの概要について簡潔に解説します。
オウンドメディアとは?
オウンドメディアとは、自社が所有するメディアの総称です。具体的には、コーポレートサイトやSNSなどのメディアがこれに該当します。
ただ上記は、オウンドメディアと聞いてイメージするものとは少し異なるかもしれません。というのも一般的には、企業が運営するブログのようなものと認知されているからです。
後述した狭義のオウンドメディアは、見込み客となるユーザーに事業と同ジャンルの情報を提供して成約につなげたり、自社のブランディングをしたりするために活用されます。自社サイトの運営を検討している方は、オウンドメディアの本来の定義と現実的な使われ方について正しく認識しておきましょう。
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ホームページとは?
ホームページとは、会社の基本情報や事業内容についてまとめたサイトのことです。会社名を検索した際に表示されるサイトであり、会社概要や自社商品・サービスなどについて説明されることが一般的です。
ホームページは、広い意味ではオウンドメディアに含まれます。しかしサイトにたどり着くのは自社をすでに認知しているユーザーのみであるなど、いくつか違いがあります。
オウンドメディアの運営経験がない方でも、感覚的にコーポレートサイトとの違いは理解できるかもしれません。次章では、両者の具体的な違いについて解説します。
オウンドメディアとホームページの違い
オウンドメディアを狭義のサイトと仮定して、両者の4つの違いを紹介します。
- 運営目的
- 想定読者
- サイト内のコンテンツ
- サイトの更新頻度
それぞれ詳しく確認していきましょう。
1. 運営目的
1つ目の違いは、サイトの運営目的です。
- オウンドメディア:見込み客を集めたりブランディングしたりすること
- ホームページ:会社概要や事業内容などについて説明すること
前者の目的は会社によって異なりますが、多くの場合新たな顧客を獲得するために運営されています。つまり、集客や自社の価値観を伝えることを目的とするケースが多いです。
一方で後者は、すでに自社を認知しているユーザーに情報提供することを目的としています。成約を獲得する上では、セールスをするための媒体ともいえるかもしれません。
2. 想定読者
2つ目の違いは、想定読者です。
- オウンドメディア:自社を認知していない潜在層
- ホームページ:自社を認知している顕在層
前者は見込み客となるようなユーザーに有益な情報を提供することで、自社や提供サービスに興味を持ってもらうことを運営目的としています。よって想定読者は、将来的に自社の顧客になり得る潜在層です。
対して後者は、基本的に会社名で検索をかけるような顕在層しか閲覧しません。そのため想定読者は、すでに自社を認知しているユーザーといえます。
3. サイト内のコンテンツ
3つ目の違いは、サイト内のコンテンツです。
- オウンドメディア:潜在層が必要とする有益な情報
- ホームページ:会社概要や事業内容といった固定的な内容
前者は集客や価値観教育などを目的としているため、サイトの中身も決まりきった内容ではありません。潜在層が必要とし、かつ自社の集客などにつながるコンテンツを掲載します。
一方で後者は、ある程度内容が固定された情報しか掲載しません。運営目的や想定読者が異なる両サイトはコンテンツにも当然違いがあるので、適切に認識しておきましょう。
4. サイトの更新頻度
4つ目の違いは、サイトの更新頻度です。
- オウンドメディア:高頻度
- ホームページ:低頻度
自社の潜在層をターゲットとする前者は、頻繁にコンテンツを更新します。有益な情報を多く提供するほど、見込み客の獲得につながると考えられるからです。
対して固定的な内容しか掲載しない後者は、サイトの更新頻度が自然と低くなります。オウンドメディアは、コーポレートサイトより高頻度で更新する必要があると理解しましょう。
オウンドメディアを運用するメリット
オウンドメディアの運営にはどんな利点があるのでしょうか。ここでは、サイトを運営する主なメリットを4つ紹介します。
- ブランディングにつながる
- 読者をファン化できる
- コンテンツが資産になる
- 広告費を削減できる
順に確認していきましょう。
1. ブランディングにつながる
専門性の高い有益な情報を提供すると、読者はサイト運営者に対して好印象を抱きます。信頼感が高まり、同分野で悩みが発生したときには運営会社に相談しようと考える可能性も十分あるでしょう。
つまりメディアを通じて信頼関係を築くことで、自社のブランディングにつながるのです。自社の専門性や価値観を伝える手段として、オウンドメディアは優れた媒体といえます。
2. 読者をファン化できる
有益なコンテンツを提供して信頼関係が築けると、読者は自社のファンになってくれます。特定の情報を調べた際、非常にわかりやすく内容がまとめられていて満足した経験がある方は多いのではないでしょうか。専門性の高い分野で満足度の高い体験をすると、同ジャンルのスペシャリストとして運営者に信頼感を抱くものです。
会社概要や事業内容などしか掲載しないコーポレートサイトでは、読者をファン化できることは基本的にありません。顧客のロイヤリティを高められることは、オウンドメディアならではのメリットといえます。
3. コンテンツが資産になる
オウンドメディアに投稿したコンテンツは、削除しない限りサイト内に残ります。有益なコンテンツであれば継続的にアクセスが期待できるため、過去に投稿した記事が無駄になってしまうこともありません。
Web上のコンテンツは24時間閲覧できるので、営業時間外に自社の潜在層となるユーザーを集められる可能性もあります。基本的にアップロード直後しか見られないSNSなどとは異なり、コンテンツが資産になることはメリットといえるでしょう。
4. 広告費を削減できる
オウンドメディアの運営には、サーバー代やサイト構築代などが必要です。しかしコンテンツの制作や管理を自社でおこなえば、広告費に相当する支出は発生しません。
SEO対策をして検索エンジンからアクセスを集められれば、資産化したコンテンツから安定的にユーザーを獲得できます。広告費に多くの予算をかけられない場合には、オウンドメディアの運営を検討するとよいでしょう。
オウンドメディアと混同される他媒体との違い
しばしば混同される媒体として、アーンドメディアとペイドメディアがあります。オウンドメディアの理解度を深めるために、これらとの違いも確認しておきましょう。
アーンドメディアとの違い
アーンドメディアとは、口コミや評判を獲得するための媒体です。具体的にはTwitterやFacebookなどのSNS、利用者のブログに掲載される自社に関する記事などが該当します。
アーンドメディアの特徴は、投稿されたコンテンツの信頼度が高いことです。ポジティブな投稿であれば宣伝効果がありますが、ネガティブな内容では炎上するリスクもあります。
事業者が運営するとユーザーと近い距離でコミュニケーションを取れますが、扱い次第では自社の評判を落としかねません。オウンドメディアと比べて運用コストは低いですが、炎上リスクがある点は確実に把握しておきましょう。
ペイドメディアとの違い
ペイドメディアとは、出稿費を支払うことでコンテンツを掲載できる媒体です。具体的には、リスティング広告やディスプレイ広告といったあらゆる広告が該当します。
ペイドメディアの特徴は、短期的な集客に向いていることです。期間やターゲットを限定できるため、適切に出稿すれば効率的に見込み客を獲得できます。ただし、広告費がかかるゆえに長期的な集客に向かない点には注意が必要です。
自社の売上を最大化するには、これら3つのメディアを有効活用することが欠かせません。各媒体の相互採用によって集客効果は高まるので、オウンドメディアと合わせて効果的に活用することが大切です。
オウンドメディアの具体的な作り方
次にこの章では、オウンドメディアの作り方を3ステップで紹介します。
- 目的やターゲットを決める
- コンテンツを掲載するサイトを作る
- 記事を制作する
各ステップについて、順に見ていきましょう。
1. 目的やターゲットを決める
メディアを立ち上げる上でまずすべきは、目的とターゲットを決めることです。これらが不明確な状態では、どんなサイトでどんなコンテンツを投稿していくべきかが定まりません。
オウンドメディアの目的には、以下などがあげられます。
- リードの獲得
- ブランディングの強化
- 採用候補となる人材の集客
メディアの運用は短期的にできるものではありません。軸が曖昧な状態では成果にもつながりにくいので、着手前に目的とターゲットを明確にしておきましょう。
2. コンテンツを掲載するサイトを作る
基盤となる軸が決まったら、次にすべきはコンテンツを掲載するサイトの制作です。まずはデザインやSEO対策をどのようにおこなうか、CMSは何を使うかなどを決めます。更新頻度が高いオウンドメディアでは、管理画面の使いやすさにこだわることも重要です。
初めてメディアを立ち上げる場合などサイト制作の知見がない場合には、外部の制作会社に委託するのが無難かもしれません。必要とする機能がいまいちわからない場合にも、予算を含めて一度相談してみるとよいでしょう。
3. 記事を制作する
サイトが完成したら、実際に入稿する記事を制作します。まずは、想定読者が検索すると予想されるキーワードを選定してください。その上で既存の上位記事を参考にしたり、読者が求める情報を独自に予想したりしてコンテンツを作成します。
読者が自社に興味を持ってくれるように、コンテンツの質を高めるだけでなく自社商品が目に入るような導線を考えておくことも大切です。社内で記事を制作するリソースが足りない場合は、外部ライターへの依頼も検討しましょう。
オウンドメディアを制作する際のポイント
最後に、成果につながるメディアを制作するためのポイントを紹介します。
- 目的を明確化する
- ペルソナを設定する
- 導線を設計する
- 検索キーワードを意識して記事を作る
- ユーザーファーストを徹底する
それぞれ詳しく確認していきましょう。
1. 目的を明確化する
オウンドメディアを運用する上で明確な目標は必須です。目的が不明確な状態でのメディア運用はゴールのないマラソンのようなものであり、目標達成に向けて何に手をつけるべきかがわからず苦戦してしまいます。
ゼロからメディアを運用するときは疑問点が多いかもしれませんが、それでも明確な目的を設定しておくことは大切です。リード獲得や自社のブランディングなど、メディアを通じて実現したいことを明確にしておきましょう。
2. ペルソナを設定する
ペルソナとは、オウンドメディアでターゲットとする人物像を指します。想定読者が詳細なほどユーザーが求めるコンテンツを考えやすくなるため、ペルソナの設定は欠かせません。
- 年齢・性別
- 出身地・居住地
- 職業・役職・年収
- 家族構成
- 生い立ち
- 趣味・休日の過ごし方
- 現在 /将来の悩み
たとえば上記の項目を設定すると、読者像を深くイメージできるはずです。読者に刺さるコンテンツを作成するためにも、詳細なペルソナを考えておきましょう。
関連記事: ペルソナとは?マーケティングに必要な理由と設定方法
3. 導線を設計する
自社商品に興味を持ってもらえるような導線を設計していないと、メディアにアクセスしたユーザーは情報収集だけおこなって離脱してしまいます。運用目的が読者の課題解決なら問題ありませんが、基本的にはリード獲得などにつなげないとあまり意味がないでしょう。
よってオウンドメディアでは、資料請求や問い合わせにつなげるボタン・リンクなどを設置する必要があります。しかし単純にボタンなどを設置するだけでは、高いコンバージョン率は期待できません。ユーザーが必要とするタイミングで適宣リンクにアクセスできるように導線を設計し、成果につながるコンテンツを制作しましょう。
4. 検索キーワードを意識して記事を作る
記事を制作する際には、検索キーワードを意識することが大切です。検索キーワードとは、Googleなどの検索エンジンに入力する単語を指します。
検索エンジンは、各キーワードを入力した読者の悩み解決につながると判断した記事を上位表示します。ゆえに何らかの単語を意識して記事を制作しないと、そもそも検索結果で上位に表示されません。また仮に上位表示されても読者の悩みを解決できないため、すぐに離脱される可能性が高いです。
つまりアクセスを集める記事を作るには、検索キーワードを意識することが欠かせません。闇雲に記事を書いても上位表示される可能性は低いので、コンテンツ制作時には毎回検索キーワードを意識しましょう。
関連記事: ユーザーインサイトとは?その重要性と検索意図との関係性
5. ユーザーファーストを徹底する
いくらリード獲得などが目的でも、自社サービスを押し売りすると読者は違和感を覚えて離脱してしまいます。実際、検索エンジンで情報収集している際、広告や商品の宣伝が多くて不快な気持ちになった経験がある方は多いのではないでしょうか。
メディアでは直接ユーザーと話すことはありませんが、読者は自身の感覚と照らし合わせながら記事を閲覧しています。まずはユーザーに価値提供することを第一にメディアを運営し、その先の結果として当初の目的達成を目指すようにしましょう。