direct/noneとは?原因と対処法を解説
「direct/none」とは、Googleアナリティクスで、「ユーザーがどこを経由して、サイトを訪れたか特定できない状態」を示す指標です。
Googleアナリティクス(UA)でよく使われていた表記ですが、GA4では、トラフィックの計測方法やレポートが異なり、direct/none の表記自体はあまり使われません。
GA4では参照元が不明な場合に「direct」や「none」が表示されます。directもdirect/noneも参照元が不明なトラフィックを意味します。direct/noneが表示されると、ユーザーの流入元が特定しづらくなりますが、一部の動向や属性は把握できる場合があります。
direct/noneとは
Googleアナリティクスにおいて、「サイト訪問者がどこから来たか特定できない」状態を示す指標です。
次の操作をすると、ユーザーの流入経路を一覧で、確認できます。
- Googleアナリティクスにログイン
- 「集客」を選択
- 「トラフィック獲得」を選択
- 「Direct」を選択
主なチャネルグループは、次のとおりです。
項目 | 意味 |
Affiliates | アフィリエイトからの流入 |
Organic Search | GoogleやYahoo!など検索エンジンからの流入 |
Paid Search | リスティング広告からの流入 |
Display | ディスプレイ広告の流入 |
Social | SNSからの流入 |
Direct | ブックマークからの流入 |
Referral | 他のサイトからの流入 |
メールからの流入 | |
Other Advertising | 他の広告からの流入 |
Other | 分類できない流入 |
参照元:[GA4] デフォルト チャネル グループ – アナリティクス ヘルプ|Google Help
例えば、Googleの検索エンジンを利用して、サイトへ訪れた利用者は「google/organic」と表示がでます。しかし流入元が不明な場合は、すべてdirect/noneと表示がでるため、ユーザーの動向や属性を分析することが難しくなります。
direct/noneによって生じる影響
表示頻度が増えるとアクセス解析の精度が低下します。1日に数件の流入元不明なユーザーは問題ありませんが、参照元不明の割合が増加すると、正確な分析が困難になります。急激に表示件数が増えた場合は、WEBマーケティングを円滑に進めるため、原因を特定し対処する必要があります。頻繁に出現する状態では、サイト訪問者の動向や属性を可視化ができません。そのため、自社サイトの問題点や強みを把握することが難しくなります。
direct/noneの表示がでる原因
WEBマーケティングを効果的に実施するためには、原因を把握し、適切に対処する必要があります。
サイト訪問者の流入経路が不明になる主な原因は、以下の10種類です。
- リンクを直接入力した場合
- スマートフォンアプリから訪問した場合
- QRコードから訪問した場合
- ブックマークから訪問した場合
- サイトがSSL対応していない場合
- リダイレクトによるアクセスの場合
- セッションが中断された場合
- トラッキングコードを設けていない場合
- リファラースパムの影響を受けている場合
- 訪問者が情報提供を拒否している場合
それぞれの原因を解説します。
リンクを直接入力した場合
ブラウザのアドレスバーに直接入力して、自社サイトにアクセスした場合、参照元がないためdirect/noneと表示がでます。この場合、流入元は存在しません。
また、アドレスバーにURLの一部を入力し、表示された候補から選択した場合も、「参照元不明のユーザー」として扱われます。流入元の特定が可能なのは、主に検索エンジンや他のサイトを経由して訪問したユーザーです。
スマートフォンアプリから訪問した場合
自社サイトにスマートフォンアプリから訪問したユーザーの流入元は通常特定できません。LINEやInstagramなどのアプリからサイトにアクセスした場合、多くの場合流入元が取得できないためdirect/noneと表示されます。
一方で、GmailやGoogleマップなどのブラウザを使用して、サイトにアクセスした場合は、クッキーによってユーザーを識別できます。アプリ経由で、サイトに訪問するとクッキーが取得できないので、流入元が不明なユーザーとして扱われます。
ただし、一部のアプリでは他サイトへの移動後に参照元を自動的に転送することがあります。
QRコードから訪問した場合
QRコードからアクセスした訪問者は、デフォルトでは他のサイトや広告を経由していないため、参照元が特定できません。そのため通常は、direct/noneとして記録されます。QRコードにパラメータを付与すれば、参照元の特定が可能です。
ブックマークから訪問した場合
自社サイトに、ブックマークからアクセスした訪問者は、他のサイトや広告を経由していないため、参照元が特定できません。これは、検索エンジンや他サイトを介さずに、直接自社サイトに訪れるため、Googleアナリティクスでは、利用者の流入経路を把握することができません。
そのため、参照元の特定ができず、direct/noneとして表示されます。
サイトがSSL対応していない場合
自社サイトがSSLに対応していない場合、SSL対応サイトからの訪問者の流入元情報が失われる可能性があります。これは、セキュリティ上の理由から、ブラウザがSSL対応サイトからSSL未対応サイトへのリファラー情報の送信を制限することがあるためです。
そもそもSSLとは、「Secure Sockets Layer」の略で、「通信の暗号化」を意味します。URLの先頭に「https://」と表示される場合はSSL化されており、「http://」の場合はSSL未対応です。SSLは、ユーザーの個人情報やクレジットカード情報などを暗号化し、情報漏えいを防ぐ役割があります。ただし、SSL対応サイトから未対応サイトへの遷移時に、セキュリティ上の理由からブラウザがリファラー情報の送信を制限することがあります。これは情報の連携や引き継ぎの問題ではなく、ブラウザの安全性確保のための動作です。
リダイレクトによるアクセスの場合
リダイレクトとは、サーバーサイドの設定やJavaScriptなどを使用して、ユーザーを自動的に別のURLに転送する仕組みです。リダイレクトを経由したアクセスの場合は、元の参照元情報が失われることがあり、その結果direct/noneとして記録されることがあります。
PCサイトやモバイルサイトで異なるリンクを使用する際にリダイレクトが利用されます。リダイレクトによるアクセスでは、自動的に転送される前のサイト情報が取得できず、direct/noneと表示されます。
転送前のURLにパラメータを追加すれば、リダイレクトでも流入元を特定することが可能です。
セッションが中断された場合
利用者がサイトにアクセス中にセッションが中断されると、正確な流入経路の情報が失われ、direct/noneと表示されることがあります。ウェブ解析におけるセッションとは、ユーザーが、サイトを訪問してから離脱するまでの一連の行動を指します。ユーザーがブラウザを途中で閉じたり、自社サイトの表示スピードが遅かったりすると、セッションが中断されます。通信が最後まで正確に行われなければ、情報を取得できません。
自社サイトの表示速度が遅いと、ユーザーが「戻る」ボタンを押したり、諦めてブラウザを閉じたり、離脱率が増加します。セッションが中断されないよう対処するには、自社サイトの表示速度を改善させることが大切です。
トラッキングコードを設けていない場合
自社サイトにトラッキングコードが設置されていない場合、Googleアナリティクスを通じてサイト訪問者の詳細な情報を取得することができません。
自社サイトにトラッキングコードを設置すれば、次のような情報を取得できます。
- ユーザーの流入元
- 検索キーワード
- 閲覧ページ
- サイトの滞在時間
- 回遊したページ
WEBサイトへのアクセス状況や訪問者の属性を把握するためには、トラッキングコードの設置が不可欠です。トラッキングコードがないと、利用者の流入経路を把握できないため注意が必要です。
関連記事:Googleアナリティクスでトラッキングコードを設置する流れや確認方法を徹底解説
リファラースパムの影響を受けている場合
リファラースパムとは、アクセス解析に偽のリファラー情報を意図的に送信する迷惑行為を指します。サイトがリファラースパムの影響を受けている場合、実際のユーザー情報が偽のデータに埋もれ、正確なアクセス解析が困難になります。ただし、必ずしもdirect/noneの増加につながるわけではありません。
リファラースパムは、アクセス解析が妨害されるだけでなく、サイトの管理者がウイルス感染するリスクがあるため注意が必要です。
訪問者が情報提供を拒否している場合
訪問者がリファラー情報の送信を拒否している場合、ユーザーの正確な流入元を取得できません。サイトを訪れた利用者が、ブラウザやセキュリティソフトの設定で「リファラー情報の送信」を無効にしている場合、参照元の情報が、direct/noneとして記録されることがあります。
Googleアナリティクスは、利用者のブラウザが発するReffererヘッダの情報から参照元を特定します。利用者側で、Reffererヘッダの情報を取得できないよう設定されると、流入元が不明なので、direct/noneが表示されます。
ユーザー設定は、プライバシーの問題となるため、サイト側で実施できる対策はありません。
direct/noneを防ぐ対処法
より正確なアクセス解析を行うためには、キャンペーンパラメータを付与する方法があります。
ユーザーの流入元を取得すれば、アクセス解析の精度を向上します。キャンペーンパラメータを付与することで、参照元が不明なトラフィックをなくします。
キャンペーンパラメータとは、アクセス解析を正確に実施するために、リンクの末尾につける変数のことです。キャンペーンパラメータを付与すれば、アクセス解析の精度を向上します。
具体的には、次のような種類があります。
パラメータの区分 | パラメータの種類 | 必要性 | 内容 | 活用例 |
参照元 | utm_source | 必須 | 検索エンジンやサイトなど流入元の媒体名を入力 | utm_source=google |
メディア | utm_medium | 必須 | メールや広告メディアなど媒体の種類を入力 | utm_medium=cpc |
キャンペーン | utm_campaign | 必須 | キャンペーンコードなどを指定 | utm_campaign=spring_sale |
キーワード | utm_term | 省略可 | 有料広告における検索キーワードなどを指定 | utm_term=spring_coat |
コンテンツ | utm_content | 省略可 | 複数の広告を区別するために使用 | utm_content=text_link |
キャンペーンID | utm_id | 省略可 | 特定のキャンペーンIDを識別するためのIDを指定 | utm_id=spring2025 |
キャンペーンパラメータを設定すれば、パラメータごとの参照元を識別し分析できます。そのため、パラメータごとに応じたアクセス解析を実施し、より正確なデータを収集や分析ができます。
まとめ