クロスドメイントラッキングとは?導入すべきケースや設定方法などを解説!
2つ以上のドメインを使用して、WEBサイトを運用している場合、クロスドメイントラッキングを設定することで、ユーザー行動をより正確に把握することができます。例えば、ブログとオフィシャルサイトでドメインが異なっている、決済ページがECサイトのドメインと異なっているなどの場合に有効です。
クロスドメイントラッキングとは?
GA4においてクロスドメイントラッキングとは、ユーザーが複数の異なるドメインを移動する際に、その一連の行動を追跡するための設定です。
GA4では1つのドメインに対してのユーザー行動を追跡します。そのため、ユーザーが異なるドメインに遷移した場合、ユーザーのセッションが切断され、正確なデータ収集が困難です。その点をカバーするために、クロスドメイントラッキングを設定する事が可能で、実装すればユーザーが複数のドメインをまたいでも、1つのセッションとして計測が可能です。
例えば、1人のユーザーが「aaa.com」のWEBサイトを訪問し、さらに「aaa.com」にリンクされた「bbb.com」に遷移した場合、通常は2人のユーザーとしてカウントされます。しかし、クロスドメイントラッキングを設定しておくと、同じユーザーが「aaa.com」から「bbb.com」に変移しても1人のユーザーとしてカウントできます。
もちろん、1つのドメインでWEBサイトを運用している場合などは必要ありませんが、決済ページやブログが別ドメインの場合、設定することを検討してください。
クロスドメイントラッキングを設定した方が良いケース
ここでは、クロスドメイントラッキングを設定した方が良いケースをいくつか取りあげ解説します。自社の状況と照らし合わせて、設定すべきか検討してください。
CVまでに別ドメインを遷移する必要がある場合
クロスドメイントラッキングを設定した方が良いケースとして、ユーザーがコンバージョン(CV)するまでに別のドメインに遷移する場合が挙げられます。例えば、メインサイトから外部の決済ページや予約システムなど、異なるドメインに一度でも遷移する場合、クロスドメイントラッキングを設定する必要があります。
例えば、ホテルのWEBサイト(例:aaahotel.com)で宿泊情報の閲覧や空室状況を確認してもらい、実際の予約は外部の予約システム(例:bbbhotel.com)で対応しているとします。この場合、クロスドメイントラッキングがなければ、どのユーザーが予約に至ったのかを正確に追跡できません。しかし、正しく設定していれば、閲覧から予約完了までを一連の動きとして追跡できるようになります。
オフィシャルサイトとブログで別ドメインの場合
オフィシャルサイトを制作した時期と、ブログを始めた時期が異なっている企業では、ドメインが異なっていることがよくあります。そして、それぞれのWEBサイトをリンクでつなぐことが多いのですが、双方のWEBサイトでユーザーが行き来するのなら、クロスドメイントラッキングの設定が必要です。
例えば、オフィシャルサイトとブログでドメインが異なる場合、ユーザーがこれらのWEBサイト間を行き来すると、ユーザーのWEBサイト内での動きを正確に計測できにくくなります。一貫したユーザーデータを収集するためにも、クロスドメイントラッキングを設定してください。
支店や店舗ごとにドメインを変えている場合
企業が支店や店舗ごとに異なるドメインを使用しており、さらにユーザーが各店舗のWEBサイトを行き来することが多いなら、クロスドメイントラッキング設定をしておくことをおすすめします。
設定をすれば支店や店舗で別ドメインを使用していても、その行動を一貫して追跡することが可能になります。ユーザーがどの経路をたどって最終的な購入や予約に至ったのかを把握することができます。
商品ジャンルごとに別ドメインの場合
商品のジャンルごとで、ドメインを分けて運用している場合、クロスドメイントラッキングの設定を検討してください。ただし、顧客のターゲットがまったく異なっており、一貫したユーザー行動を追跡する必要がない場合は、クロスドメイントラッキングの設定は必ずしも必要ありません。
クロスドメイントラッキングがマーケティングに与える影響
ここでは、クロスドメイントラッキングを設定することで、マーケティングにどのような影響を与えるのかについて解説します。
CV改善に役立つ
コンバージョンするまでのユーザー行動を正確に把握できるので、WEBサイトの改善に大いに役立ちます。もしクロスドメイントラッキングを設定していなければ、GA4は別ドメインに遷移した時点で離脱したことになり、その間のユーザー行動がブラックボックスになります。(同じユーザーがとった行動と認識できません)このように、正しくトラッキングできることで、コンバージョンまでの過程を見える化し、正しい改善策を実施できます。
正しいセッション数を把握できる
異なるドメイン間をユーザーが移動しても、正確なセッションを把握することが可能になります。セッションは、マーケティングを考える上で重要な要素で、これが途中で途切れたり、「離脱した」と間違って計測されたりすると、正しい施策を検討できません。そのため、2つ以上のドメインを使用してWEBサイトを運用しているのであれば、クロスドメイントラッキングの設定をおこなうことが、施策決定のうえで重要です。
GA4のクロスドメイントラッキング設定方法
GA4のクロスドメイントラッキング設定をおこなえば、複数のドメインをまたぐユーザー行動を一元管理し、より正確なデータ分析が可能になります。そこで、設定方法を詳しく解説しますので、自社のGA4管理画面を開けて、照らし合わせながらお読みください。
管理者画面に入る
GA4にログイン後、画面左下にあるギアのマーク(管理)をクリックします。すると、管理者画面に移動するため、画面右下にある「データの収集と修正」を選択してください。
データストリーム
データストリームの画面が開きますので、該当するWEBサイトを選択します。すると新しいパネル「ウェブストリームの詳細」が開きます。画面中央に「データの収集と修正」「同意設定」「イベント」「Google タグ」の4種類のメニューが表示されていることが分かります。この中の「Googleタグ」を確認してください。そして「タグ設定を行う」があるので、これを選択します。
ドメインの設定
先ほどの「タグ設定を行う」を選択すると、「Google タグへようこそ」という画面が開きます。画面上部に「設定」「履歴」「管理」の3つのタブがありますので、「設定」を選択します。更に「設定」という枠の中に「ドメインの設定」があるので、これを選択してください。
ドメインの設定管理画面
「ドメインの設定」画面が開くので、「設定」という枠の中を確認してください。ここには、「マッチタイプ」「ドメイン」という項目がありますので、「マッチタイプ」に「含む」を指定します。
ドメインの欄には、クロスドメインでトラッキングしたい2つ以上のURLを入力します。例えば、1つ目のドメインが「aaa.com」で、2つ目が「bbb.com」であれば、それぞれをドメイン欄に入力します。最後に「条件を追加」という青色のボタンを押せば完了です。
正しく計測できていない場合の確認ポイント
クロスドメイントラッキングを設定したのに、なぜか正しく計測できていない場合、1つ以上の誤りが発生している可能性があります。次の点を確認してください。
設定したドメインの確認
基本的な間違いとして、設定したURLが正しくない可能性があります。GA4の管理画面でクロスドメイントラッキングを設定する際、追跡する複数のドメインを指定しますが、このとき入力したURLに誤りがあると、トラッキングは正常におこなわれません。ハイフンやアンダバー、数字、記号など間違って入力している箇所がないか、確かめてください。
リダイレクトが影響していないか
リダイレクトとは、ユーザーが特定のURLにアクセスした際に、自動的に別のURLに転送される仕組みのことです。クロスドメイントラッキングが正しく計測できない場合、このリダイレクトに原因があることが考えられます。
リダイレクトがかかっていると、ユーザーが本来訪れたページの情報が正しく認識されず、トラッキングが途切れてしまうことがあります。そのため、トラッキングをおこなう際には、リダイレクト設定がないか、またはリダイレクトが適切に処理されているかを確認してください。
クロスドメイントラッキングのよくある質問
ここでは、GA4のクロスドメイントラッキングについて、よくある質問をとりあげ解説します。できる限り入門者向けに分かりやすく解説しましたので参考にしてください。
Q:サブドメインの場合でも、設定する必要がありますか?
Answer)サブドメインとは、主ドメインの前に追加された文字を含むドメインのことです。例えば、「aaa.com」が主ドメインである場合、「blog.aaa.com」や「shop.aaa.com」といったドメインがサブドメインに該当します。「aaa.com」の前に「blog」や「shop」が含まれている点に注目してください。
このサブドメインにつては、クロスドメイントラッキングの設定は必要ありません。GA4は、メインドメインとそのサブドメイン間でユーザーが遷移しても自動的に追跡できます。主ドメインが異なる場合(例: 「aaa.com」から「bbb.com」へ移動する場合)に、クロスドメイントラッキングを設定してください。
Q:設定が正しくできているか確認するには?
Answer)クロスドメイントラッキングの設定が正しくできているかを確認するには、最初のドメイン、たとえば「aaa.com」にアクセスしてください。そこから、リンクをクリックして別のドメインへ移動します。移動後、ブラウザのURLを確認し、URLに「_gl=XXXX」といったパラメーターが追加されているかを確認してください。
このパラメーターが含まれていれば、クロスドメイン設定が正しく機能しており、ユーザーの動きを異なるドメイン間で追跡できるようになっています。
Q:クロスドメイントラッキングの設定をしないとどうなりますか?
Answer)2つ以上のドメインを計測対象にしたいのに、クロスドメイントラッキングを設定しなければ、各ドメインで別々のセッションとして扱われてしまいます。これにより、一貫したユーザーのデータを得ることができません。
GA4は1つのドメインに対して計測するのが前提のため、ユーザーが別ドメインに遷移した時点でセッションが切れ、離脱したことになります。
Q:クロスドメイントラッキング設定において注意点は?
Answer)クロスドメイントラッキング設定をおこなう際には、トラッキング対象となるドメインが多すぎないよう注意してください。4つも5つもクロスドメイン設定をすることは不可能でありませんが、設定や管理が複雑化し、誤ったデータ収集のリスクも高まります。この場合、ドメイン設計に問題がある可能性があるため、サブドメインでの運用や同一ドメイン内への統合を検討することが肝心です。
Q:クロスドメイントラッキングの仕組みは?
Answer)ユーザーが1つ目のドメインから2つ目のドメインに遷移する際、URLの末尾に「_gl=XXXX」というパラメーターが自動的に追加されます。このパラメーターは、GA4がユーザーを識別するための情報を含んでおり、異なるドメイン間でこのパラメーターが一致している場合、GA4はそれが同一ユーザーの行動であると判断します。この仕組みによって、異なるドメインをまたぐユーザーの行動を1人のユーザーとして追跡でき、コンバージョンまでの流れを正確に把握することが可能になります。
Q:過去に遡ってデータ収集できますか?
Answer)データの計測ができるのは、クロスドメイントラッキングの設定完了後になります。そのため、過去に遡ってデータを修正することはできません。設定の必要がある場合は、できる限り早いタイミングでおこなってください。
まとめ