バイラルメディアとは?成功のポイントや今後の展望を徹底解説
バイラルメディアとは、SNSなどの、オンラインプラットフォームの拡散力を活用し、多くのユーザーの興味を引くコンテンツを発信して、急速な集客を目指すメディアの総称です。
短期間で、注目を集めるマーケティング戦略の一つとして、知られており、適切に運用すれば、収益化の可能性もあります。
その一方で、類似したメディアの乱立や、コンテンツの盗用といった、様々な問題点も見逃せません。オリジナルのコラム記事を作成するなど、他のメディアとの差別化を図ることが、成功のポイントです。
バイラルメディアとは?
バイラルメディアとは、主にSNS上で、ユーザーの興味を引く話題性の高いコンテンツを発信し、自然な拡散を通じて、急速な集客を目指すメディアの総称です。
「バイラル」は「ウイルス性の」「感染的な」を意味する英語で、コンテンツが口コミのように、急速に広がる様子を表現しています。ただし、必ずしもSNSに限定されず、様々なオンラインプラットフォームで、展開されることもあります。
バイラルメディアの特徴は、以下の2つです。
- SNSでバズるために作成されるメディア
- 新規メディアの参入が比較的簡単
それぞれ詳しく解説します。
SNSでバズるために作成されるメディア
近年よく耳にする「バズる」という言葉は、英語の「buzz」が語源です。「buzz」は、もともとは「ハチがブンブンと飛び回る様子」を意味します。SNSに当てはめると、あるコンテンツが注目を浴びて、多数の人びとから関心を集め、大量のいいねや、リツイートを獲得する現象を「バズる」といいます。
バイラルメディアのコンテンツは、SNSで「バズる」ことを目的に作成されるのが特徴です。いったんSNSで発信されたコンテンツは、ユーザー間でリアルタイムに共有されていきますので、バズりさえすれば、即座に集客につなげられます。
「おもしろい」「驚く」「生活に役立つ」「感動的」といった要素を含むネタは、特にユーザーの関心を集めやすく、SNSで拡散されやすい傾向があります。一方、マイナーな話題でも、特定のニッチな層に強く訴求するコンテンツは、時として、予想外の拡散力を持つことがあります。コンテンツの質と、ターゲット層との適合性が重要です。
新規メディアの参入が比較的簡単
バイラルメディアの立ち上げ自体は比較的容易です。基本的な手順は、コンテンツ掲載用のウェブサイトを開設し、話題性のある画像や動画を選定し、魅力的なタイトルやアイキャッチを付けて公開することです。
しかし、単にコンテンツを投稿するだけでは不十分で、効果的なSNS戦略や独自の視点が必要です。また、著作権や倫理的配慮も重要です。成功には、継続的な努力と戦略的なアプローチが不可欠です。
このように、コンテンツをゼロから作成する必要がなく、参入のハードルが低いのが特徴です。話題性さえあれば、あらゆるジャンルからネタを見つけられます。個人の珍しい体験談や絶景を収めた画像、可愛らしい動物の動画といったように、人びとの注目を集めそうなテーマは、すべてコンテンツ化可能です。
キュレーションメディアとの違い
バイラルメディアとよく混同されがちなものに、キュレーションメディアが挙げられます。キュレーションメディアとは、インターネット上にある膨大な情報を、ジャンルに沿ってまとめ、発信するメディアの総称です。話題性の有無にこだわらず、ジャンルに沿った情報を幅広く発信します。
バイラルメディアが、SNSでの急速な拡散を主な目的とするのに対し、キュレーションメディアは、検索エンジンからの持続的な流入を、重視する傾向があります。
多くのキュレーションメディアは、SEO対策を重視し、時間をかけて質の高いコンテンツを作成する特徴があります。ただし、検索エンジンのアルゴリズム変更に影響を受けやすく、常に最新のSEO戦略の適用が必要です。質の高いコンテンツは、長期的に評価される可能性が高いものの、上位表示の保証はありません。
関連記事:キュレーションサイトとは!? SEOの注意点やポイントを解説
バイラルメディアの問題点
バイラルメディアが抱える問題点は、次の4つです。
- 収益化できないケースも多い
- 類似したメディアが乱立しやすい
- コンテンツが盗用される問題
- 大手SNSに依存するリスク
詳しく解説します。
収益化できないケースも多い
バイラルメディアの主な収入源は広告収入ですが、持続可能な収益化には課題があります。
多くの媒体が、既存コンテンツの引用や組み合わせに依存し、オリジナルコンテンツが少ないのが現状です。また、個別コンテンツの拡散を重視するあまり、メディア全体の価値構築が不十分な場合があり、広告主からの評価が得にくいケースも見られます。
そのため、長期的な収益化に成功するメディアは限られています。
広告主の多くは、メディアの人気を利用して、自社をPRしたいと考えています。そのため、収益化を目指すのであれば、メディア全体への集客率を高めて価値があり、信頼できるサイトとして、広告主から評価してもらうことが重要です。
類似したメディアが乱立しやすい
参入障壁が低いため、類似したコンテンツが氾濫しやすい傾向があります。
これにより、個々のメディアの独自性や、価値が希薄化するリスクがあります。メディアとしての価値を、維持と向上させるためには、単にバズるネタを発信するだけでなく、独自の視点や、付加価値を提供することが重要です。
オリジナルコンテンツの制作や、特定のニッチ分野への特化など、差別化戦略が成功の鍵となります。
コンテンツが盗用される問題
バイラルメディアの競争激化により、著作権侵害や倫理的問題が、生じやすくなっています。
オリジナルのバズるコンテンツを、継続的に制作するのは困難です。そのため、一部のメディアが、他者のバズったコンテンツを無断で使用したり、著作権を考慮せずに、コンテンツを流用・拡散したりする事例が増加しています。
こうしたパクリ行為は、法的問題だけでなく、メディアの信頼性低下にもつながる、重大な課題となっています。
大手SNSに依存するリスク
バイラルメディアは、大手SNSの動向に依存するリスクを孕んでいます。たとえば、以前のFacebookでは、動画+動画の簡単な説明がついたコンテンツがよく見られていました。しかし、2013年12月にアルゴリズムが変更されてからは、より独自性が高く、質の高い外部コンテンツを重視するようになったといわれています。
参照:Helping You Find More News to Talk About|Meta
Facebookのアルゴリズム変更はアメリカの大手バイラルメディア「ViralNova(バイラルノバ)」に打撃を与え、それまでよりもトラフィックが激減してしまいました。このように、SNSの動向は大きな影響を与える可能性があります。
バイラルメディアを成功させる3つのポイント
バイラルメディアを成功させるためのポイントは、次の3つです。
- 独自性を出して他のメディアと差別化
- 良質なコンテンツのブラッシュアップ
- ユーザー視点に立った操作性を意識
一つずつ、詳しく解説します。
独自性を出して他のメディアと差別化
バイラルメディアは、既存のコンテンツを活用する傾向があるため、類似した構成に、なりやすい課題があります。そこで、独自の視点やテーマを打ち出すことで、差別化を図ることが重要です。
例えば、「ペット」というジャンルに特化し、バイラルコンテンツに加えて、専門家監修のしつけコラムを提供する方法があります。また、人気コンテンツを独自の解釈で再創造し、オリジナリティある動画を、制作するのも効果的です。
こうした差別化戦略により、メディアの価値向上と、長期的な視聴者獲得が期待できます。継続的な工夫と独自性の追求が、競争激化するバイラルメディア市場での、生存戦略となります。
良質なコンテンツのブラッシュアップ
ユーザーが、自発的に共有したくなるコンテンツを制作するには、テキスト、画像、動画を効果的に組み合わせ、魅力的かつ価値ある内容を提供する必要があります。
SNSでの反応が期待を下回る場合、コンテンツの改善や最適化を検討すべきです。時には、パフォーマンスの低いコンテンツを、一時的に非公開にし、改善を図ることも重要です。このように、継続的な品質向上と最適化によって、メディアの価値を高め、長期的な評価につながります。
量より質を重視し、各コンテンツの内容を、十分に精査することが重要です。無計画に、多数のコンテンツを発信するのではなく、戦略的に、ターゲットオーディエンスのニーズに、応える高品質なコンテンツを制作することで、メディアの信頼性と価値を、向上させることができます。
ユーザー視点に立った操作性を意識
多くのユーザーが、モバイルデバイスで、コンテンツを閲覧する現状を踏まえ、スマートフォンや、タブレットに最適化されたデザインが重要です。例えば、コンテンツの適切な位置に、シェアボタンを配置することで、ユーザーの自発的な拡散を促進できます。
同時に、ユーザー体験を阻害しない広告配置も重要です。過度な広告表示は、ユーザーの離脱を招く可能性があります。ユーザーを中心に据えた、メディア運営を心がけ、直感的で快適な操作性を追求することが、長期的な成功につながります。
バイラルメディアの倫理的側面
バイラルメディアの運営には、著作権問題への対応が不可欠です。他者のコンテンツを、無断使用することは著作権侵害となり、法的責任を問われる可能性があります。
画像、動画はもちろん、タイトル、文章、デザインなども著作権の対象となるため、使用には細心の注意が必要です。適切な引用や許諾取得など、法的に認められた方法でコンテンツを利用することが重要です。
同時に、社会的責任も重要な課題です。話題性を追求するあまり、誹謗中傷や特定の個人・団体を不当に批判するコンテンツは、法的リスクだけでなく、メディアの信頼性低下にもつながります。
発信内容の社会的影響を慎重に検討し、倫理的な基準に基づいてコンテンツを選別することが、持続可能なメディア運営には不可欠です。
バイラルメディアの今後の展望
バイラルメディアの持続的成功には、明確な理念と戦略が不可欠です。現在、多くのバイラルメディアは一時的な流行に依存し、表面的な興味を引くコンテンツを、単にカテゴリ分けして提供しています。
しかし、このアプローチでは長期的な成功は難しく、ユーザーの興味が移れば、急速に衰退する可能性があります。差別化と独自性を欠くメディアは、競争の激しい市場で、生き残ることが困難になっています。
そこで大切なのが、確固たる理念です。何を伝えたいのか、という運営方針が定まっていれば、自然とコンテンツが厳選され、内容に一貫性が生まれます。次にご紹介する国内外の成功事例を参考にしながら、戦略立案に役立ててください。
国内でのバイラルメディアの事例一覧
国内におけるバイラルメディアの事例を、3つご紹介します。
- 笑うメディア クレイジー
- Pocketti!(ポケッチ)
- BuzzFeed Japan(バズフィード ジャパン)
それぞれのメディアの特徴や、取り扱っているジャンルについて、詳しく解説します。
笑うメディア クレイジー
笑うメディア クレイジーは、「笑えるメディア」をコンセプトに運営されています。
SNSのトレンドを反映した「旬ネタ」、日常生活の出来事を扱う「ライフ」、ユーザー投稿による「おもしろ画像」、共感を呼ぶ「あるある」など、多様なカテゴリで構成されています。ユーモアと共感を重視したコンテンツが特徴で、読者を楽しませることを目指しています。
Pocketti!(ポケッチ)
Pocketti!(ポケッチ)は、「スキマ時間を埋める」をコンセプトに運営されています。
通勤時や休憩時間など、短い時間で楽しめるコンテンツが豊富です。「画像」「動画」「まとめ」などのカテゴリがあり、さらに動画は長さによって「ショート」「ミディアム」「ロング」に分類されています。
エンタメから実用的な情報まで、幅広いジャンルのコンテンツを提供しています。
参照:ポケッチ – スキマ時間を埋める動画&画像メディア –
BuzzFeed Japan(バズフィード ジャパン)
BuzzFeed Japanは、グローバルなデジタルメディア企業BuzzFeedの日本版として、2016年1月に運営を開始しました。
「インターネットを通じて喜びと真実を届ける」という理念のもと、シェアされやすいニュースや、エンターテインメント情報を発信しています。エンタメ、ライフスタイル、お買い物情報を中心に、SDGsやウェルビーイングなど、社会的に関心の高いテーマも積極的に取り上げています。
よくある質問(Q&A)
バイラルメディアに関する、よくある質問をまとめました。
Q:バイラルメディアとは?
Answer)バイラルメディアとは、ユーザーの興味を引く、話題性の高いコンテンツを発信し、主にSNS上での自然な拡散を通じて、急速な集客を目指すメディアの総称です。コンテンツが広く共有されれば、短期間で大量のトラフィックを獲得できる可能性がありますが、持続的な収益化には戦略的なアプローチが必要です。
Q:バイラルメディアの現状の問題点は?
Answer)バイラルメディアの主な課題は、独自性の欠如によるメディア価値の低下と、持続可能な収益モデルの構築の難しさです。参入障壁の低さから、類似コンテンツの氾濫が起こり、著作権侵害のリスクも高まっています。また、多くのバイラルメディアが、大手SNSのアルゴリズムに依存しているため、プラットフォームの方針変更が、集客に大きな影響を与える可能性があります。これらの課題に対応するため、質の高いオリジナルコンテンツの制作と、多様な集客チャネルの確立が重要となっています。
Q:バイラルメディアの成功の秘けつは?
Answer)バイラルメディアの成功には、主に3つの要素が重要です。1つ目は独自性で、オリジナルコンテンツの制作や、特定テーマへの特化により他メディアとの差別化を図ります。2つ目は高品質なコンテンツの継続的な改善で、データ分析に基づいて、コンテンツを最適化します。3つ目はユーザー体験の重視で、直感的な操作性、効果的なシェアボタンの配置、適切な広告表示などが含まれます。また、効果的なSNS戦略の構築も成功の鍵となります。
まとめ