モバイルファーストインデックス(MFI)に完全移行 スマートフォン用Googlebotが全サイトのクロールをカバーへ
Google社は、2024年7月5日以降、すべてのWEBサイトをスマートフォン用Googlebotでクロールするようになる旨を6月に告知しました。
参考(外部):Mobile-indexing-vLast-final-final.doc
これまでGoogleが進めてきた、モバイルファーストインデックス(MFI)の計画も完了したとのことで、原則的にはパソコン用Googlebotのクロールを停止するようです。今後、スマートフォン用Googlebotがクロールできないサイトは、Google検索にインデックスできなくなると注意を促しています。
モバイルファーストインデックス(MFI)の計画について
Google社は、2016年にモバイルファーストインデックス(MFI)の計画を打ち出し、WEBサイトのオーナーに対してモバイル対応することを推奨してきました。MFIとは、モバイルに対応しているページを優先的にインデックスする仕組みのことです。
この計画の背景には、モバイル端末でWEBサイトを閲覧する検索ユーザーが急増したことが挙げられます。スマートフォンやタブレット端末の普及により、検索エンジンの利用シーンが多様化しました。このような社会的ニーズに応えようと、モバイル端末で閲覧しやすいサイトを優先してインデックスする仕組みを取り入れました。
そして、2023年10月には、MFTの計画がゴールを迎えたと宣言しています。あわせて、パソコン(PC)用Googlebotによるクロールを徐々に減らしていくとアナウンスしています。
参考(外部):モバイルファーストインデックスが実現 – ご協力に感謝します | Google 検索セントラル ブログ | Google for Developers
MFIが完了し、スマートフォン用Googlebotがすべてのサイトのクロールをカバーすることに
Google社は、モバイルファーストインデックス(MFI)が完了したとして、2024年7月5日からすべてのサイトのクロールをスマートフォン(SP)用Googlebotに移行する旨を発表しました。
参考(外部):Mobile-indexing-vLast-final-final.doc
2024年6月現在、パソコン用Googlebotのクロールを必要とするWEBサイトは少数とのことです。そのうえで、今回のMFI完全移行にともない、大多数のサイトは、影響を受けることがないとしています。
7月5日以降も、一部でパソコン用Googlebotが稼働するケースも
間もなく、すべてのクロールがパソコン用Googlebotからスマートフォン用Googlebotに切り替わります。ただし、パソコン用Googlebotの稼働を完全に停止するわけではなく、一部サイトをクロールすることがあるといいます。そのため、2024年7月5日以降も、パソコン用Googlebotのログが残るケースがありうるとのことです。
スマートフォン用Googlebotの完全移行で影響を受けるサイト
結論だけいうと、スマートフォン用Googlebotの完全移行によって、大半のWEBサイトは影響を受けることがありません。ただし、一部のサイトでは、インデックスが削除される可能性があります。
モバイル対応していないサイトが受ける影響について
モバイル対応していないサイトも、引き続きインデックス対象になります。しかし、スマートフォン用Googlebotがクロールできないサイトはインデックスから削除されます。
Google社でアナリストを勤めるGary Illyes(ゲイリー・イリース)氏は、7月5日以降の影響について、以下の旨をLinkedin(リンクトイン)でコメントしています。
- モバイルフレンドリーでなくとも、Google検索にインデックスされる可能性がある
- スマートフォン用Googlebotがサイトにアクセスできることが大切だ
さらに、同社のJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏は、ゲイリー・イリース氏のコメントを再投稿しつつ、次のように述べています。
- モバイルインデックスは、モバイルフレンドリーと無関係である
- スマートフォン用Googlebotでインデックスできないサイト数は非常に少ない
両氏ともに、インデックスの条件として、WEBサイトがモバイル対応しているか否かは問わないことを強調しています。ただし、スマートフォン用Googlebotにクロールされないと、Googleにサイトが認知されません。そのため、次のようなことがいえます。
- モバイル用GooleBotのクローラーをブロックしないように注意する
- パソコン向けページは、パソコン用GoogleBotの代わりとして、スマートフォン用Googlebotにクロールされるので、インデックスから外れない
ただし、モバイル対応していないサイトがインデックスされるからといって、コンテンツとしての評価をえられるかは別の話です。これまでどおり、モバイルフレンドリーの観点から、モバイルで使いにくいデザインや操作しにくいサイトであれば、検索結果で上位表示することは困難です。
スマートフォン用Googlebotの完全移行に向けた対策
ほとんどのサイトでは、スマートフォン用Googlebotの完全移行に向けた対策は不要です。ただし、次のケースでは対策すべきです。
- スマートフォン用Googlebotのアクセスをブロックしている
- モバイル対応(モバイルフレンドリー)していない
現代のWEB社会では、スマートフォン用Googlebotをブロックしたり、モバイル対応していなかったりするサイトは極めて少数派です。前者の場合は、7月5日以降にインデックスから削除されます。後者の場合は、これまでどおり、コンテンツとしての評価をえられにくい状況が続きます。
スマートフォン用Googlebotのアクセスをブロックしているケース
スマートフォン用Googlebotのアクセスをブロックしていると、7月5日以降にインデックスから削除されます。そのため、スマートフォン用Googlebotのクロールを受け入れるように設定する必要があります。
そもそも、自社サイトでスマートフォン用Googlebotをブロックしているかわからない場合は、Google Search Console(Googleサーチコンソール)で確認できます。下記フローでチェックしてください。
- Googleサーチコンソールにアクセスし、ログインする
- メニュー「設定」→「robots.txt」の「レポートを開く」をクリックする
- robots.txtのURLをクリックする
robots.txtにて、スマートフォン用Googlebotをブロックしている記述をみつけたら、修正が必要です。ブロックしている場合の記述例は下記のとおりです。
User-agent: Googlebot-Mobile Disallow: /
モバイル対応(モバイルフレンドリー)していないケース
モバイル対応していないと、これまでどおり、自社サイトのコンテンツがGoogle検索に評価されにくい状況が続きます。そのため、モバイルフレンドリーを導入してください。そもそも、モバイル対応には、次のような手法があります。
モバイル対応の手法 | 特徴 |
---|---|
レスポンシブデザイン | ・1つのWEBページに対し、HTMLファイルとURLがともに1つのみ
・アクセス端末を検知してデザインが自動で切り替わる ・デザイン知識が必要 |
動的な配信(ダイナミックサービング) | ・1つのWEBページに対し、HTMLファイルは複数で、URLは1つのみ
・アクセス端末を検知してHTMLファイルが自動で切り替わる ・複数のHTMLファイルの管理が必要 |
セパレートURL(個別URL) | ・1つのWEBページに対し、HTMLファイルとURLがともに複数
・アクセス端末を検知してHTMLファイルとURLが自動で切り替わる ・複数のHTMLファイルとURLの管理が必要 |
このうち、モバイル対応として、レスポンシブデザイン(RWD)の導入が推奨されています。動的な配信やセパレートURLでは、1つのWEBページに対して、パソコン用ページとスマートフォン用ページを生成し、さらに2ページとも管理する手間が発生します。とくに、7月5日以降はパソコン用Googlebotのクロールが終了することから、SEO対策の観点から不適切なモバイル対応ですので注意してください。
関連記事:レスポンシブデザインとは? CSSとHTMLの作り方やブレイクポイントの目安も
モバイルファーストインデックス完全移行のよくある質問
モバイルファーストインデックス(MFI)の完全移行に関する、よくある質問をまとめています。
Q:モバイルファーストインデックスの計画とは?
Answer)モバイルファーストインデックスの計画は、モバイル端末の検索ユーザーが増えたことから、モバイルページを優先してインデックスする仕様を導入するもので、2016年に公表されました。2018年に実施され、スマートフォン用Googlebotの稼働を強化しました。さらに、2023年末に、スマートフォン用Googlebotで、ほぼすべてのWEBサイトのクロールを完了したと発表しました。そして、MFIの最終段階として、すべてのクロールをスマートフォン用Googlebotにチェンジするという施策が今回発表されました。
Q:モバイルファーストインデックスとモバイルフレンドリーの違いは?
Answer)両者の違いは、検索エンジンに与える影響が異なる点にあります。モバイルファーストインデックスはモバイルページを優先してインデックする効果がありますが、モバイルフレンドリーはモバイルで使いやすいページの評価を高める効果を持ちます。
たとえば、モバイル対応していないWEBページがあったとします。すると、検索エンジン上では、次のような働きかけをします。
- 優先すべきモバイル向けページがないので、パソコン向けページをインデックスする
- パソコン向けページを使いにくいコンテンツと評価する
Q:モバイルファーストインデックス完全移行により、どのようなサイトが影響を受けますか?
Answer)スマートフォン用Googlebotのアクセスをブロックしているサイトが影響を受けます。具体的には、Google検索エンジンがクロールできなくなりますので、サイトが認知されなくなります。
Q:モバイルファーストインデックス完全移行で検索順位の変動はありますか?
Answer)モバイルファーストインデックスは、検索ランキングに対する影響力を持ちません。そのため、MFI完全移行が直接的な契機となって、ランキングが変動しません。
モバイルファーストインデックスは、コンテンツを収集する方法についての取り組みであり、コンテンツの掲載順位を決定するものではありません。
まとめ