マーケティングにおけるデータの重要性や活用手順について解説
インターネットを活用したマーケティングで欠かせないことが、データの活用です。顧客情報を表すデータやWebサイト内のユーザー行動を表すデータなど、現代では収集できないデータが存在しないといえるほど、多種多様な情報を得られます。
マーケティングにおけるデータとは?
マーケティングにおけるデータとは、顧客の情報を示す顧客データや、Webサイトにおいて閲覧ユーザーの動きを示す行動・アクセス解析データなどさまざまです。
従来までは店舗型のビジネスが一般的だったため、扱うデータにも限りがありました。しかし現代ではITの発展に伴い、収集できるデータは膨大といえるでしょう。
しかしデータを収集したからといって、すべてに関連性があるわけではなく、事細かに分類されているようなことはありません。
そのためマーケティングでデータを活用するためには、データの種類や活用方法を正しく理解することが重要です。
マーケティングにおけるデータ活用の重要性
マーケティングにおいてデータ活用は、顧客の行動を可視化するためや既存顧客の満足度を高めるためなど、さまざまな面で重要になります。また企業として安定した販売活動を行うためにも、データの活用は欠かせない要素といえるでしょう。
ここでは、マーケティングにおけるデータ活用の重要性について詳しく解説していきます。
顧客行動が複雑化しているため
まず1つ目の理由が、市場における顧客の行動が複雑化しており、データを活用した分析が必須のためです。
従来まではテレビや新聞などマスメディアと呼ばれる媒体を通して宣伝することで、ほとんどの顧客に自社商品やサービスの認知を広げることが可能でした。
しかし現代ではスマートフォンの普及に伴い、多くの商品を比較することが一般的となっています。また第三者の口コミを重視する顧客も多く、従来と比べて確実に顧客行動が読みづらいといえるでしょう。
そのため「どの媒体からアクセスしてきたユーザーが、どのような行動を経て購入に至ったのか」など、データから顧客の具体的な行動を分析することが重要です。
顧客の行動を分析することで複雑化した動きを可視化し、顧客に合わせた戦略立案や、マーケティング施策の実行が可能となります。
安定した販売活動を行うため
2つ目の理由は、安定した販売活動を行い、企業を長期的に成長させるためです。
企業を運営する以上、利益はかならず求めなければいけません。しかし永続的に取引相手となる企業や、商品を購入し続ける顧客と巡り合うことは難しく、新たな販売や営業活動は欠かせない要素といえるでしょう。
そのため顧客の行動や情報をデータとして集めて分析することで、新しい施策の制度を向上させられ、安定した売上をつくれます。
また営業活動の工数やコスト削減など業務の効率化にもつながるため、企業の生産性を高めることも可能です。
このように企業として経営を成長させる過程では、データの活用は非常に重要な役割をもちます。
顧客の満足度を高めるため
3つ目の理由が、自社の商品やサービスを利用している顧客の満足度を高め、良好な関係性を構築するためです。
企業のあるべき姿として、売上ばかりを追うのではなく既存の顧客へのサポートも欠かせない要素になります。
しかし顧客へのサポートといっても、従来までの営業であれば、担当者しか詳細な顧客情報を認知していないということも珍しくはありません。そのため新しい担当者に変わる度に、再度顧客情報を収集する必要がありました。
しかしデータとして管理することで、社内の人間であれば容易に共有することが可能となります。マーケティング施策においても「誕生月のクーポン」や「顧客が多い立地でも店舗拡大」など、新しい取り組みに幅も広がるでしょう。
自社の重要な顧客だからこそ、データを活用したサポートやマーケティング戦略は重要な要素といえます。
マーケティングデータの種類
データと一口にいっても、扱う情報にはさまざまな種類が存在します。なかでもマーケティングで活用すべきは以下の5種類です。
- 顧客データ
- 購買データ
- 行動・アクセス解析データ
- 定量データ
- 定性データ
各々、解説していきます。
顧客データ
顧客データとは、顧客の属性情報や活動情報のことです。顧客の属性情報は氏名や住所などの個人情報のことをいい、活動情報はWebサイトの閲覧状況や購入情報のことをいいます。
また顧客データには、以下の3種類に分類できます。
- 1stパーティーデータ:自社がユーザーから集めた顧客データ
- 2ndパーティーデータ:他社がユーザーから集めた顧客データ
- 3rdパーティーデータ:自社と他社が集めた顧客データ
一般的な顧客データとは、自社がユーザーから直接集める「1stパーティーデータ」を指します。
購買データ
購買データとは、顧客が購入した商品やサービス情報のことです。
例えばコンビニエンスストアの場合、以下の情報となります。
- 購入した日時
- 購入した商品名
- 購入した個数
- 購入した価格
購買データのみでも活用はできますが、他のデータとの組み合わせによって詳細なデータ分析が可能です。仮に上記のデータと天気に関するデータを組み合わせると、30℃以上の日はどの商品が売れているのかや、雨の日はどの時間が来店されやすいのかを判別できます。
このように購買データは、顧客の具体的な分析を行う際に役立つデータです。
行動・アクセス解析データ
行動・アクセス解析データとは、Webサイトにアクセスしてきたユーザーに関する情報のことです。
例えば以下のような情報になります。
- PV数:Webサイトが閲覧された数
- UU数:Webサイトにアクセスしてきたユーザー数
- 離脱率:Webサイトからユーザーが離脱した割合
- 直帰率:ユーザーがアクセスした最初のページで離脱した割合
- 平均滞在時間:ユーザーがWebサイトを閲覧している時間
行動・アクセス解析データを活用することで、Webサイトにおけるユーザーの行動や、改善点の把握が行えます。
定量データ
定量データとは、人数や割合など明確な数値で表される情報のことです。
例えば「一日の平均睡眠時間に関する質問」というアンケートを実施した場合、
- 3時間以内
- 3〜5時間以内
- 5〜8時間以内
- 8時間以上
という選択肢のように、明確な数字で回答する場合が定量データになります。
定量データであれば具体的な集計が行えるため、複数人で分析するうえでも共通認識を持てる点が特徴です。また複数の定量データを組みわわせることで、より詳細な絞り込みやデータ分析が行えます。
定性データ
定性データとは、数値では表せない自由な記述などによる情報のことです。
例えば「一日の平均睡眠時間が3時間以内の理由は何ですか?」というアンケートを実施した場合、
- 仕事が忙しいから
- 複数回に分けて寝ているから
など、回答者によってさまざまな答えが出てくるでしょう。このように明確な数値ではない回答が定性データになります。
定性データは答えが無限に存在するため、さまざまな意見や分析パターンが考えられます。従来までは異なる価値観から分析を行うしかありませんでした。しかし近年ではAIの発達によって機械学習が一般的となり、よりデータにもとづく分析が可能となっています。
マーケティングデータの活用手順
データを活用する際はいきなり分析を行うのではなく、目的の明確化やデータ収集など、段階を踏んで実行することが重要です。
具体的には以下の手順ですすめましょう。
- 活用目的の明確化
- データ収集
- データ整理
- データ分析
- 改善の実行と効果検証
各々、解説していきます。
活用目的の明確化
まずは「何のためにデータを活用するのか」活用目的の明確化から行いましょう。
目的が定まらないまますすめると、必要のないデータを収集してしまうことや関係のない結果を求めてしまうなど、無駄な労力をかけてしまう恐れがあります。
特にマーケティングに関するデータは多種多様なため、事前にデータを絞っておかなければ膨大な量を扱うことになるでしょう。
そのため「Webサイトの平均滞在時間が短い原因を考えるために、行動・アクセス解析データを活用する」など、具体的な目的設定が重要になります。
また目的を考えるうえではKPIツリーを利用し、重要目標達成指標である「KGI」や重要業績評価指標の「KPI」の設定もおすすめのため、ぜひご活用ください。
データ収集
続いて必要なデータの収集を行っていきましょう。
前述の「Webサイトの平均滞在時間が短い原因を考えるために、行動・アクセス解析データを活用する」を例に挙げると、Google AnalyticsやGoogle Search Consoleなどの解析ツールから収集できます。
必要なデータによって収集方法は異なるため、解析ツールをはじめ後述の「マーケティングのデータ活用に役立つツール 」も参考にしてください。
またデータを活用する度に一から収集すると、毎回手間となってしまいます。そのため自動でデータ収集できる環境を構築し業務の効率化を図りましょう。
データ整理
データを収集した後は、必要なデータと不必要なデータに分類するなど整理することが大切です。
膨大なデータを扱う場合、整理をとばして分析を行うと不要なデータについても処理しなければいけません。
活用目的の明確化でも触れたとおり無駄な労力をかけてしまうため、データ整理の段階で、今後分析に必要なデータをしっかりと分類しましょう。
またデータ整理においてもBIツールや解析ツールによって、効率良く業務をすすめることが可能です。
データ分析
データ活用の軸ともいえる段階が、データ分析です。
データ分析では、ただデータの結果を判断すれば良いわけではありません。
さまざまな分析手法が存在するため、目的に適した手法を選択し実行することが重要になります。
データ分析で活用すべき手法例はこちら。
- クロス集計:データを属性別の集計
- アソシエーション分析:ビックデータを活用し商品やサービスの相関関係を分析
- クラスター分析:類似性から分類し属性を分析
- 因子分析:複数のデータから共通因子を見つけ関連性を分析
- ABC分析:商品やサービスの要素を重要度に分けて分類し分析
データ分析の組み合わせが効果的な場合もあるため、目的に合わせて複数の方法から実践しましょう。
改善の実行と効果検証
データ分析の実践後は、最初に定めた目的と比較し改善点を考えましょう。
データ分析のメリットは、具体的な数値にもとづいて戦略を考えられる点です。そのため目標数値に少しでも近づけるための策を実行し、改善を繰り返すことが重要になります。
またマーケティングにおいてデータを活用するうえでは、データに関する知識以外にも、マーケティング戦略や市場分析などさまざまな知識が欠かせません。
したがってデータ面だけに囚われず、どのようにマーケティングに落とし込んでいくのかといった幅広い視点を持って取り組んでいきましょう。
マーケティングのデータ活用に役立つツール
マーケティングのデータ活用において、効率的なデータ収集や分析にはツールの導入は欠かせません。特に膨大なデータを扱う場合には、業務ミスや効率化を図るためにもツールの活用をおすすめします。
ここでは、マーケティングのデータ活用に役立つツールについて詳しく解説していきます。
DMP
DMPはデータマネジメントプラットフォームの略となり、インターネット上のデータや1stパーティーデータから、ユーザーごとの属性や傾向を抽出するツールです。
従来までは大衆をターゲットにするマーケティング手法が一般的でした。しかし現代ではデータを活用することで、ターゲットを絞った戦略やユーザー一人ひとりに合わせたマーケティングが可能となります。
DMPであればデータ収集・分析からマーケティングの実行までを一貫して行えるため、ユーザーに合わせたアプローチを行う際は非常に役立つツールといえます。
BI
BIとは膨大な量のデータから必要となる情報を集約し、分かりやすくレポーティング化、分析するためのツールです。
もともとはExcelなどに情報を手入力することが多かったのですが、BIを活用することで効率的に情報を扱えます。
またBIは、主に4つのツールに分類されます。
- レポーティングツール:日々のデータ収集や問題点の発見を目的としたツール
- OLAP分析ツール:蓄積データから問題の原因追求や検証を目的としたツール
- データマイニングツール:クロス分析や回帰分析を活用し問題点への対処を目的としたツール
- プランニングツール:実績データの分析・シミュレーションから予算編成を目的としたツール
MA
MAとは、新規顧客・見込み顧客の獲得や育成を行う際のマーケティング施策をサポートするツールです。
顧客データの収集だけにとどまらず、顧客の育成を行える点が強みといえるでしょう。
具体的には以下のような機能が活用できます。
- リード管理:自社が得た見込み顧客(リード)の情報を管理するための機能
- スコアリング:見込み顧客の行動から、スコアを割り当てる機能
- メールマーケティング:見込み顧客の情報からリスト化し、メールを配信する機能
- キャンペーン管理:条件にあてはまる見込み顧客に対して、自動でマーケティング施策を実行する機能
見込み顧客に関するアプローチはマーケティングで重要な要素のため、自動でリスト化から施策の実行を行える点は魅力的なポイントです。
Web解析
Web解析はその名のとおり、Webサイトにアクセスしてきたユーザーに関する情報を分析するためのツールです。
Google AnalyticsではWebサイト内でのユーザーの行動を分析でき、Google Search Consoleではユーザーが検索からWebサイトにアクセスするまでの行動を分析できます。
他にも競合他社の情報を分析できるツールも存在するため、Webサイトを活用したマーケティング施策には欠かせないツールといえるでしょう。