ヘルプフルコンテンツシステムとは？更新情報や対策などについて解説
2023年9月、多くのWEB担当者が注目するヘルプフルコンテンツシステムのアップデートが行われました。この変更が具体的にどのようなもので、それに伴う対策はどうおこなうべきなのか、疑問に感じているのではないでしょうか。
そこで今回は、ヘルプフルコンテンツシステムの基本から最新の更新内容、そして評価が下がった際の具体的な対応など、わかりやすくお伝えします。
ヘルプフルコンテンツシステムとは？
ヘルプフルコンテンツシステム（Helpful Content System）とは、Googleの検索結果をより使いやすく、ユーザーにとって有益なものにする仕組みです。具体的には、検索エンジンで上位表示されることだけを目的とした内容ではなく、ユーザーに役立つ、質の高い情報を提供するWEBサイトを優先的に表示させるものです。
ヘルプフルコンテンツシステムのアップデートは「ヘルプフルコンテンツアップデート」とも呼ばれ、年に数回大規模におこなわれます。その都度、検索結果の順位に大きな変化が生じます。
参考ページ: Google 検索のヘルプフル コンテンツ システムとウェブサイト – Google検索セントラル
【2023年9月】ヘルプフルコンテンツシステムの更新
2023年9月のヘルプフルコンテンツシステムのアップデートでは、Googleの評価方法にいくつかの大きな変更が加えられています。これらの変更は、ユーザーにとって有益なコンテンツを提供することが重要であるというGoogleの方針を反映したものです。
実際、2023年9月15日以降、ヘルプフルコンテンツアップデートの影響で、通常より大きな順位変動を確認できます。
参考ページ：Semrush
東京SEOメーカーの分析では、8月のコアアップデートで順位が下がったWEBサイトは、9月のヘルプフルコンテンツアップデートでさらに順位が落ちる傾向があると考えています。それでは具体的な特徴をお伝えします。
コンテンツ重視
これまでは、大学や政府機関、大企業などの権威性の高いWEBサイトが上位表示に有利でした。しかし、2023年8月のコアアップデートおよび、2023年9月のヘルプフルコンテンツアップデートによってこれらの重みが下がりました。代わりに、コンテンツ力が高く、WEBサイトのアクセス数やエンゲージメント率が高いWEBサイトが上位表示されています。
検索意図を重視
ユーザーの検索意図を無視して、SEO対策のみを考えたページは順位を落としています。具体的には、文字数だけを追求したページや焦点の絞れていないコンテンツを作っている場合、順位が下がる傾向があります。逆に検索意図を重視して、ユーザーの疑問点を解決するのに必要な情報だけに絞ったページは上位表示されています。
リンクの妥当性
ユーザーファーストのリンクではなく、自社の都合だけで過剰なリンクを貼っている場合、順位が下がる傾向にあります。例えば、自社のセールスページに誘導したいからという理由だけで、1ページ内に何度も同じリンクを貼っているようなケースが該当します。
実体験・独自性重視
すでに他のWEBサイトで公開されている情報を、ただ整理しただけのページは順位が下がる傾向にあります。逆に、実体験を踏まえ書いているページは上位表示しています。今回のヘルプフルコンテンツアップデートでは、高い精度で著者の実体験の有無を判別できるよう進化しています。
また、UGC型（一般ユーザーが投稿できるWEBサイト）のWEBサイトも実体験や独自性という点で高く評価されているため、上位表示しています。
低品質ページの影響
コンテンツの価値を判断する「クラシファイア」という仕組みが更新されました。これにより、低品質なページがあると、そのWEBサイト全体の評価が下がる可能性があります。低品質なページというのは、文字数が極端に少ないページやほとんどアクセスのないページなどが該当します。一定数、品質の低いページがあるとWEBサイト全体に影響が及ぶ点に注意してください。
参考ページ: Page Quality（ページ品質）とは？検索品質評価ガイドラインの情報を基に解説
ヘルプフルコンテンツシステムの更新で評価が下がった場合の対応
ヘルプフルコンテンツアップデートにおいてサイトの評価が下がった場合、適切な対応策をとることで再び評価を向上させることも可能です。そこでここでは、評価が下がった際の具体的な対応策を解説します。
参考ページ:2022 年 8 月の Google の有用なコンテンツの更新についてクリエイターが知っておくべきこと – Google検索セントラル
無用なページを削除
無用なページや誰の役にも立っていないページは削除したり、記事を更新するなどの対応をおこないます。実際「Google 検索のヘルプフル コンテンツ システムとWEBサイト」に下記のように記述されています。
有用でないコンテンツ自体だけでなく、そうしたコンテンツを比較的多く含むと判断されたサイトにあるコンテンツも、ウェブ上の他のコンテンツを優先して表示すべきと判断されて、検索での掲載順位が下がります。そのため、有用でないコンテンツを削除することで、他のコンテンツのランキングが改善する場合があります。
参考ページ: ヘルプフル コンテンツ システムの仕組み – Google検索セントラル
ユーザーファーストでコンテンツを作る
検索エンジン対策だけに特化したWEBページは長期的には効果が薄く、場合によっては逆効果になる可能性もあります。なぜなら、Googleはユーザーにとって価値のある、役立つコンテンツを高く評価するようアルゴリズムが進化しているからです。
例えば、キーワードを無理に詰め込んだり、他のWEBサイトですでに記載してある内容を再度、整理して掲載するような手法は評価されません。自社独自の知見でユーザーの抱えている問題を解決できるようコンテンツを作り直してください。
参考ページ: 検索エンジンを第一に考えたコンテンツ作成を回避する – Google検索セントラル
トピックを絞る
検索結果の上位に表示させることだけを目的として、自社WEBサイトと関連の薄いトピックでコンテンツを制作することは避けてください。検索エンジンはテーマが分散しているWEBサイトをユーザーにとって役立つ情報源とは認識しづらいため、専門性がないと判断されます。
例えば「健康と美容」に特化したサイトがあるとします。このサイトが世間で話題になっていて、実際に検索されているからという理由だけでChatGTPの記事を掲載すれば、そのサイトが何に特化しているのか不明瞭になります。
結果として、検索エンジンはこのWEBサイトのテーマを正しく判断できず、順位が下がる可能性があります。WEBサイトには、一貫性と専門性が求められます。アクセスを増やすためだけに無関係なトピックは避け、自社の軸となるテーマに絞ってコンテンツを作ってください。
独自性を追求
検索エンジンはユーザーにとって有益でオリジナルなコンテンツを高く評価します。他のサイトを要約したり、整理しただけのコンテンツは、検索エンジンから低く評価されます。他のWEBサイトと同じテーマを扱うとしても、自社独自の知見や情報を加えたコンテンツにしてください。
ヘルプフルコンテンツシステムに沿ったWEBサイトの作り方
今後もヘルプフルコンテンツシステムのアップデートは、継続することが予想されます。長期的な成功を求めるなら、ヘルプフルコンテンツシステムの目的に沿ったサイト作りを心がけてください。具体的には、次の5項目を重視してください。
参考ページ:2022 年 8 月の Google の有用なコンテンツの更新についてクリエイターが知っておくべきこと
専門性を高める
WEBサイトには明確な目的やテーマを設定することが重要です。その目的やテーマに沿ったコンテンツを増やすことで、自社の専門性と権威性を証明することができます。また、そういったWEBサイトなら、ユーザーは自分の求める情報を迅速に見つけることもできます。このようなユーザーファーストなWEBサイトは、検索エンジンから高く評価されます。
検索意図を熟考する
特定のユーザー層を設定し、その層が求めるコンテンツを提供するようにしてください。このように検索意図を満たしたコンテンツは、ヘルプフルコンテンツシステムの目的に合致しています。
例えば、ベビーケアに特化したWEBサイトがあるとします。そして、親が「赤ちゃんの夜泣き対策」といったキーワードで検索をした場合、信頼性の高い夜泣き対策を独自の視点で紹介すれば、検索意図にマッチしたコンテンツとして上位表示される可能性が高くなります。
参考ページ: 検索意図とは？SEOにおける検索意図の重要性！調べ方から利用方法まで解説
ユーザーの問題を解決する
ユーザーが自社のページで十分な情報をえられないと感じた場合、Googleなどで再び検索を行い、他のページを訪問することがあります。これは「再検索」と呼ばれる行為で、自社のWEBサイトがユーザーの疑問点や要望に対応できていないことを示しています。そのため、ユーザーが再検索せずに満足できる十分な情報をWEBページに掲載する必要があります。
例えば、誰かが「スマートフォンのバッテリー寿命を延ばす方法」と検索したとき、そのニーズを満たすためのすべてのトピック（バッテリーの種類、使用環境、設定変更など）について解説されていれば、ユーザーは満足して他の情報源を探す必要がなくなります。このように、ユーザーが一度検索するだけで、すべての疑問が解決できるコンテンツを目指してください。
経験を踏まえたコンテンツ
WEBサイトのコンテンツは、経験や深い知識に基づいている必要があります。そういった情報は、一般的なものよりもユーザーにとって価値があり、ユーザーの問題を解決できる可能性があるためです。
例えば、ユーザーが「アメリカの旅行準備」について検索するとします。この場合、実際にアメリカを訪れた経験のある人が書いた記事は、単にインターネットで集めた情報を元にした記事よりも有益です。なぜなら、現地の習慣や文化、独自の視点やアドバイスを提供することができるからです。ヘルプフルコンテンツシステムは、このように経験のある記事を高く評価します。実体験を踏まえたコンテンツを制作してください。
有益な時間にする
ユーザーが自社のWEBサイトに訪問した際、有益な時間を過ごせるようにコンテンツをつくります。有益な時間を過ごせたと感じてもらうには、ユーザーの検索意図に合致したコンテンツであることはもちろん、ユーザーが理解しやすい形で情報提供する必要があります。
例えば「健康的な朝食レシピ」について検索したユーザーに対して、栄養バランスの取れたレシピを簡潔かつ具体的に提供することはもちろん、そのメリットや栄養素についても言及することが考えられます。さらにレシピを活用した調理場面を動画で公開すれば、ユーザーは内容についてより深く理解することができます。
ヘルプフルコンテンツシステムの質問
ここでは、ヘルプフルコンテンツシステムについて寄せられる質問の中から、代表的なものをとりあげ解説します。
Q:サイト単位で評価されますか？
Answer）ヘルプフルコンテンツシステムは、サイト単位で評価されます。つまり、サイト内に低品質なページがある場合、WEBサイト全体の評価が下がります。
Q:ユーザーファーストにするには？
Answer）ユーザーファーストとは、ユーザーの検索意図を満たすコンテンツを、ユーザーが理解しやすいように制作することを指します。具体的には次のようなポイントがあります。
検索意図を満たす
ユーザーが検索する際、必ずそこには意図があります。例えば、「犬のしつけ方」で検索する人は、具体的なしつけの方法やポイントを知りたいという意図があります。そのため、この意図を満たすためのコンテンツを提供する必要があります。
理解しやすい言葉や表現を使う
検索意図を満たしていたとしても、専門用語ばかりで解説されていれば、多くのユーザーは意味が理解できず離脱します。そのため、多くの人が理解しやすい言葉や表現を使い、情報をできるだけわかりやすく伝えるようにしてください。専門的な言葉や業界用語を避け、日常生活でよく使われる言葉で説明することが望ましいです。検索するキーワードについて、まだ十分に知識のない人が、WEBページに訪問することを前提にコンテンツを作ってください。
使いやすいデザイン
検索意図を満たし、わかりやすい言葉で書かれていたとしても視認性が悪いデザインだと、ユーザーファーストとはいえません。WEBサイトに訪問した人が、簡単に目的の情報にアクセスできるよう設計してください。
例えば、明確なメニュー、読みやすい文字サイズ、直感的な操作ボタンなどがポイントです。さらに、色彩やレイアウトも、情報を効率的に伝えるのに重要です。
参考ページ: ユーザーファーストとは？なぜSEO対策にユーザーファーストが必要なのか解説
Q:過剰な検索エンジン対策とは、どのようなことを指しますか？
Answer）過剰な検索エンジン対策とは、WEBページが検索エンジンで高い順位をえることを目的に、極端に最適化された状態のことです。例えば、キーワードの過度な繰り返し、不自然なリンクの配置、内容が薄いページを大量に生成するなどが該当します。これらのテクニックは、実際のユーザーにとって価値の低い情報であるため評価が下がります。
まとめ
今回は、2023年9月のヘルプフルコンテンツシステムのアップデートに関する情報を中心に詳しく解説しました。システムの基本的な概念から、最新の更新内容、評価低下に伴う対応方法など、この情報を参考にWEBサイトの質を向上させてください。ヘルプフルコンテンツシステムは、ユーザーに有益なコンテンツを高く評価するGoogle検索のアルゴリズムアップデートです。これからも、ユーザーファーストを考えてコンテンツ作りをおこなってください。
この記事の監修者
日本大学法学部卒業、広告代理店で12年間働いている間、SEOと出会い、SEO草創期からSEO研究を始める。SEOを独学で研究し100以上のサイトで実験と検証を繰り返しました。そのノウハウを元に起業し現在、11期目。営業、SEOコンサル、WEB解析（Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持）コーディング、サイト制作となんでもこなす。会社としては今まで2000以上のサイトのSEO対策を手掛けてきました。
