音声検索最適化(VSO)とは?具体策や役立つツールなどを解説
グランドビューリサーチのレポートによると、2023年には音声検索の市場が約30億5,000万ドルに達しました。そして、2024年から2030年にかけては、毎年平均で23.8%ずつ成長すると予想されています。
音声検索最適化(VSO)とは?
スマートフォンやスマートスピーカーは、ユーザーが音声で検索した際、その情報をサーチする「音声検索システム」を備えています。そして、WEBマーケティングの世界において、この音声検索で自社のコンテンツが、読まれやすいよう対策することを音声検索最適化(VSO)と呼びます。
音声検索は、ユーザーがテキスト検索の場合よりも自然な話し言葉を使用するため、VSOでは長いキーワードや質問形式のキーワードに対して対策を施すなど独自の手法が必要です。
音声検索と通常の検索との違い
音声検索と通常の検索では、ユーザーの検索方法、検索クエリの形式、検索結果の提供方法など、いくつかの違いがあります。そこで、比較して理解できるよう一覧にしましたので、特徴を掴むためにもご確認ください。
特徴 | 通常検索 | 音声検索 |
検索方法 | キーボード入力 | 音声入力 |
検索クエリの形式 | キーワード中心 | 会話的、長い、質問形式 |
検索結果 | リンクのリスト形式 | 1つまたは、上位3つだけ情報提供 |
検索意図 | ある程度予測する必要がある | 文やフレーズで検索されるため明確 |
音声検索最適化の重要性
音声検索には、従来の検索とは異なる特徴があります。例えば、車で移動中にも使用できるなどの点です。こうした手軽さから、音声検索の利用者数は年々増加しています。そこで、ここでは音声検索最適化がWEBマーケティングにおいてなぜ重要なのか、そのポイントを解説します。
音声検索の利用者数増加
Statistaによると、2024年までにスマートスピーカーなどの音声アシスタントの台数が84億台を超え、世界人口を上回ると予想されています。 これは、1人の人間が複数個の音声アシスタントを使用していることを意味します。
2023年には世界中で42億台の音声アシスタントが使用されていたことを考えると、わずか1年で2倍に膨れあがる計算となります。このように、音声アシスタントは飛躍的な普及を果たしており、企業としても音声検索に対応することが急務となっています。
参考ページ:Number of digital voice assistants in use worldwide from 2019 to 2024 (in billions)
ローカル検索との相性が良い
音声検索は、ローカルビジネスの情報を検索する際に頻繁に使用されます。例えば、ユーザーが車を運転しながら「近くのレストランを教えて」や「近くのガソリンスタンドを教えて」など、現在地に基づいた検索をおこないます。そのため、地元密着型のビジネスを営むオーナーにとっては、VSOが必須といえます。
実際、Adobeの音声技術に関する調査によると、48%の消費者が一般的なWEB検索に音声を使用していると報告しています。このように、ローカルビジネスを展開する場合、新規顧客獲得のためには、VSOが欠かせないマーケティング施策となります。
競争優位性の獲得
音声検索の利用が急激に増えているにもかかわらず、それに最適化している企業はまだ多くありません。実際、Adobeの音声技術に関する調査では、音声検索をしても満足のいく応答は 69% に留まっていると伝えています。
これは、音声検索の技術的な問題もありますが、同時に、多くのWEBサイトにおいてVSOが十分に施されていないということでもあります。こういった背景から、今からVSOに取り組む企業は、競争優位性を獲得することができます。
音声検索最適化の具体的方法
音声検索の普及に伴い、SEO対策の一環としてVSOを取り入れることが、WEBマーケティングにおける新たな課題となっています。そこで、音声検索で自社の存在感を高める具体的な方法をお伝えします。
ロングテールキーワードへの対策
音声検索は、通常の検索クエリよりも長く、会話的な傾向があります。例えば通常の検索では「カレー+レシピ」という検索になりますが、音声検索では「美味しいカレーの作り方は?」などに変わります。そのため、VSOでは、3語以上の単語で構成されるロングテールキーワードをベースにした対策が効果的です。
例えば、通常の検索キーワードに「なぜ」「いつ」「どこで」「どのような方法で」などの要素を含めて対策をおこなってください。こうすることで、音声検索において自社のコンテンツが上位案内される可能性が高まります。
参考ページ: ロングテールキーワードとは? ツールを使った探し方や選び方のコツ
ローカルSEOの強化
音声検索の多くは「近くのレストランを教えて」や「近くのスーパーまで案内して」など、現在地に基づいた検索場面で使用されます。そのため、ローカルSEO対策が重要です。
例えば、Googleビジネスプロフィールを最適化させるなどは代表的な施策です。Googleビジネスプロフィールでは、名前、住所、電話番号だけでなく、営業時間や価格、写真などを追加し、充実した情報を提供するようにしてください。
その他、WEBサイトのコンテンツに、地域名を含むキーワードを加えることも有効です。例えば「松本市+学童保育」などのようにです。こうすることで、ローカル検索がされた際に自社のWEBサイトが読まれやすくなります。
参考ページ: ローカルSEOとは?地域のSEO対策をするべきケースについて解説
会話的な自然言語の使用
音声検索をするユーザーは、会話的な表現を使用します。例えば「この近くにある中華料理店を教えて」などのようにです。そのため、WEBサイトのコンテンツも自然な言葉で記述することが有効です。
逆に、専門用語や複雑な文章は音声検索において適切ではありません。分かりやすく簡潔な文章を心がけてください。
質問に直接答えるコンテンツの作成
ユーザーは、音声検索をする際、質問に対して明確でコンパクトな回答を求めます。そのため、WEBサイトにはFAQページなどを用意し、質問に対してピンポイントで答えることが有効です。
まずは、ユーザーが特定のトピックに対して、どのような疑問点を持つかを洗い出し、それに対して簡潔な答えを用意してください。
構造化データマークアップの使用
構造化データマークアップとは、検索エンジンがWEBサイトのコンテンツの意味をより正しく理解するためのコードのことです。 WEB担当者が、自社WEBサイトに構造化データマークアップを使用すれば、検索結果にリッチスニペットを表示したり、音声検索結果で読みあげられる可能性を高めることができます。VSOでは特に次の2つが重要です。
1.FAQPage
FAQページに構造化データを追加してください。音声アシスタントがユーザーの質問に対する回答として、自社のFAQページの内容を読みあげる可能性が高まります。
2.LocalBusiness
ローカルビジネスに関する情報を構造化データでマークアップしてください。こうすることで自社の存在感を高め、音声検索で読まれる可能性が高まります。
参考ページ: 構造化データとは?メリット・デメリットやマークアップ方法を解説
ページ読み込み速度の向上
ページの読み込み速度は、VSOにおいて重要な要素です。読み込み速度が遅いWEBサイトは、音声検索結果で読まれない可能性が高まるからです。そのため、WEBサイトの読み込み速度を向上させるためのあらゆる対策を講じてください。例えば、画像の圧縮、キャッシュの利用、コードの簡素化などが挙げられます。
参考ページ: サイトスピード(ページ表示速度)とは? チェックツールや改善方法を解説
音声検索最適化に役立つツール
音声検索最適化ではユーザーの検索意図を深く理解し、それに合わせたコンテンツを作成することが重要です。そこで、さまざまなツールを活用することで、より効果的にVSOを進めるようにしてください。 ここでは、いくつかの役立つツールをお伝えします。
Googleキーワードプランナー
このツールは、キーワードを入力することで、月間検索ボリュームを調べることができます。ボリュームを調べることでVSOに適したキーワードを効率的に見つけることができます。VSOでも、引き続き検索ボリュームを踏まえた対策をおこなってください。
参考ページ: Googleキーワードプランナーの使い方をわかりやすく解説
Google検索のオートコンプリート機能
Googleの検索バーにキーワードを入力すると、関連する検索候補が表示されます。 このオートコンプリート機能は、ユーザーが実際にどのようなキーワードで検索しているのかを知るヒントになります。特定のキーワードとよく一緒に使われるフレーズや単語を確認してください。
Answer the Public
このツールは、キーワードを入力することで、ユーザーがそのキーワードを使ってどのような質問をしているのかを確認できます。例えば「ホットケーキ」と入力すると「なぜ」という疑問形のフレーズとよく一緒に使われていることが判明します。
そこで、WEBサイトでも、ホットケーキに関するFAQを作成し「なぜ」に対応する回答を増やします。例えば「なぜ、ホットケーキはふわふわになるのですか」という質問を作り、それに回答します。
Googleの構造化データテストツール
これはGoogleが提供する無料ツールで、WEBサイトに実装した構造化データが正しく認識されているかどうかを確認するためのものです。 エラーがあれば修正することで、検索エンジンから正しく認識されます。
参考ページ: 構造化データテストツールとは?ツールの使い方とSEOの関係について解説
よくある質問(Q&A)
ここでは、音声検索最適化についてよくある質問を取りあげ解説します。音声検索最適化は、今後のWEBマーケティングにおけるトレンドの1つです。ぜひQ&Aを確認し、知識を深めてください。
Q:音声検索の将来はどうなりますか?
Answer)今後、AIを搭載したスマートスピーカーなど、音声対応端末が普及することは確実です。そのため、音声検索はますます成長し、多くの企業で対策が求められます。WEBマーケターとしては、音声検索で読まれやすい会話調のコンテンツを増やすなど、早めの対応を進めてください。
Q:音声検索をするユーザーのメリットは?
Answer)音声検索は、声を出せる環境であれば手を使わずに検索ができる点が便利です。パソコンやスマートフォンの画面に触れることなく検索できるため、掃除や運転をしながらでも使用できます。
また、パソコンで作業中に別のウィンドウを開いて検索するのが面倒なときも、音声検索を使えば画面を切り替えずに情報をえることもできます。このように「何かをしながら同時に物事を調べられる」という点において、音声検索は非常に便利です。
Q:音声検索が注目される理由は?
Answer)音声検索が注目される理由の1つは、音声対応端末の普及が挙げられます。スマートフォンが普及するだけでなく、スマートスピーカーなども利用者数が増えており、いつでもどこでも、インターネットから情報を手に入れられる時代になりました。このような背景から、今後ますます音声検索の利用が増え、VSOの重要度も高まっていくと考えられます。
Q:VSOとSEOは両立できますか?
Answer)VSOは、これまで進めてきたSEO対策に、追加的におこなう施策です。まったく違うことをする訳ではありません。そのため、VSOとSEOの両方に取り組む必要があります。具体的には、FAQページ作成や会話形式のキーワードの活用、ローカルSEOやモバイル対応の強化などが挙げられます。
Q:モバイルフレンドリーなWEBサイトは音声検索にも効果的?
Answer)モバイルフレンドリーなWEBサイトはVSOにも効果的です。 これは、多くのユーザーが音声検索をする際、スマートフォンを使用するためです。Googleなどの検索エンジンは、モバイルフレンドリーなWEBサイトをランキングで優先します。 そのため、モバイルでのユーザビリティを向上させれば、それだけ音声検索で読まれる可能性も高まります。
参考ページ: モバイルSEOとは?スマホSEO対策方法とモバイルフレンドリーの確認方法を解説
まとめ