ベニスアップデートとは?ローカル検索に対する対処方法を解説
Google検索エンジンは、過去にたくさんのアップデートを実施してきました。そのなかの1つに、ベニスアップデートと呼ばれるアルゴリズムの変更があります。
しかし、ベニスアップデートのことを詳しく知らない人もいるかと思います。こうした知識をえることで、Google検索エンジンに対する理解を深められます。その結果、正しいSEO施策を進められるようになります。
ベニスアップデートとは
ベニスアップデート(ヴェニスアップデート / Venice Update)とは、Google検索エンジンの検索結果に検索ユーザーの位置情報を反映するために実施したアップデートのことです。
このアップデートによって、地域名を入れずとも、施設名をキーワードとして検索した際に、検索結果にローカルパックと呼ばれる特殊な掲載枠が表示されるようになりました。
アップデートとは
アップデート(Update)は、直訳すると「更新」という意味になります。転じて、SEO用語としては、Google検索エンジンのアルゴリズムの更新を指します。
Google検索エンジンは、時代の流れとともに変化する検索ユーザーに合わせて、より利便性が高い検索体験を届ける努力をしています。検索エンジンのアルゴリズムアップデートは、こうした目的で実施されています。
なお、アルゴリズムとは、検索結果を表示するためのルールのことです。
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ベニスアップデートを実施した背景
ベニスアップデートが実施された背景には、下記のような経緯があります。
- iPhoneを皮切りに、モバイル端末が世界中で普及した
- Googleがモバイル検索の利便性を強化した
1.iPhoneを皮切りに、モバイル端末が世界中で普及した
2007年にアメリカのApple社が発売したiPhoneは、国内外を問わず、急速に普及していきました。
総務省が2017年に発表した平成29年版 情報通信白書 によると、国内におけるスマートフォンの個人保有率は2011年から2016年にかけて急速に伸びていたことが明らかになっています。具体的には、下記のような推移でスマートフォンが普及していました。
西暦 | スマートフォンの保有率 |
---|---|
2011年 | 14.6% |
2012年 | 23.1% |
2013年 | 39.1% |
2014年 | 44.7% |
2015年 | 53.1% |
2016年 | 56.8% |
さらに、タブレット型端末の世帯保有率も2010年には7.2%だったものが、2016年には34.4%にまで増加しています。こうした、モバイル端末の急速な普及は、世界中で発生しました。
2.Googleがモバイル検索の利便性を強化した
モバイル端末の普及したことから、外出先で検索エンジンを利用するシーンが増えていきました。とくに、Googleマップを利用して目的地を探すといった検索ニーズが増加しました。
そこで、Google社は、モバイル端末による検索の利便性を高めようとして、さまざまな取り組みを進めました。
まず、Google社は、ピジョンアップデート(Pigeon Update)と呼ばれるアップデートを2014年7月に実施しました。このアップデートでは、「東京」や「都内」といった同一の地域名や施設名で検索されたときに、同じような検索結果が表示されるようにしました。この施策により、「東京 カフェ」や「都内 喫茶店」のように検索意図が合致する場合に、適切な検索結果を提供できるようになりました。
そして、Google社は、さらにモバイル検索の利便性を強化しようと、2014年12月にベニスアップデートを実施しました。
ベニスアップデートの影響
これまで検索ユーザーは、地域名+施設名といった形でローカル検索していました。しかし、ベニスアップデートが導入されたことで、地域に関連性が高いキーワードで検索すると、検索者の居場所により検索結果が変化するようになりました。そして、この変化によって、ローカル検索の利用機会が増加しました。
こうした変化は、検索ユーザーやWEBサイト運用者に対して、さまざまな影響を与えました。具体的には、下記のような影響が出ました。
- 検索エンジンが地図の代用品になった
- 地域キーワードで上位表示していたページのアクセスが減った
- ローカルSEOの重要性が増した
検索エンジンが地図の代用品になった【検索ユーザーに対する影響】
これまで、一般の生活者は、紙メディアの地図を持って目的地を目指していました。しかし、検索エンジンが地図の役割を担えるようになったことから、地図の代用として検索エンジンを用いるケースが一般化しました。さらに、ベニスアップデートの影響で、その利便性が高まりました。
たとえば、都内の港区にて、スマートフォンを利用して「喫茶店」というキーワードで検索したとします(事前に端末設定で位置情報を取得している必要があります)。すると、下記画像のような検索結果が表示されます。
このときに反映されている情報は、東京都港区における、喫茶店情報と地図情報です。検索ユーザーとしては、好みの喫茶店を選択して、店舗へ向かうことになります。
地域キーワードで上位表示していたページのアクセスが減った【サイト運用者に対する影響】
ベニスアップデート後は、地域キーワードで上位表示していたページに対するアクセス数に変化が起こりました。
ベニスアップデートを導入したことで、ローカルパックと呼ばれる掲載枠の露出機会が増えました。ローカルパックとは、ローカル検索した際に表示される施設情報とマップ情報のことです。一方、通常の検索結果として表示されるWEBページの情報をオーガニック検索結果と呼びます。
このローカルパックの露出機会が増えたということは、オーガニック検索結果が検索結果上で目立たちにくくなることを意味しています。つまり、地域キーワードで上位表示していたWEBサイトのアクセス数は下落することになります。
ローカルSEOの重要性が増した【サイト運用者に対する影響】
ベニスアップデートの影響で、施設名単体でキーワードを検索した際に、検索結果にローカルパックが表示されるようになりました。そうすると、WEBサイトの運営者としては、自社のWEBページをローカルパックに掲載することが重要となってきます。そして、この課題をローカルSEOと呼ばれる手法を用いて解決していくことになります。
ローカルSEOとは、地域名を含む複合キーワードを設定して、オーガニック検索結果の上位表示やローカルパックの掲載などを図る施策のことです。たとえば、東京SEOメーカー(本サイト)では、ローカルSEOを取り入れています。その結果、下記画像のとおり、ローカルパックに東京SEOメーカーの情報が掲載されています。
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ベニスアップデートの対策について
ベニスアップデートによって、ローカル検索の需要が増しました。そこで、次のようなローカルSEOの対策が重要となりました。
- Googleビジネスプロフィールに登録する
- 地域名をキーワード設定する
- サイト内で最新情報の掲載を維持する
- 口コミや評価を増やす
下記リンク先の記事にて、ローカルSEOの具体的な進め方を説明していますので参考にしてください。
関連記事:ローカルSEOとして対策すべきこと
ローカルSEOを対策すべきWEBサイト
ローカルSEOを対策すべきWEBサイトとして、店舗ビジネスを展開しているケースが挙げられます。
ローカル検索の機能が充実したことで、スマートフォンやタブレット端末のWEBブラウザで目的地を探す検索ユーザーが増えました。これは、店舗ビジネスを展開する企業にとっては、重大な社会の変化に該当します。たとえば、WEBサイトをローカルパックに掲載することで、実店舗に消費者を呼び込む機会が生まれるわけです。
とくに、下記のような業界の企業は、しっかりとローカルSEOを抑えてください。
ベニスアップデートのよくある質問
ベニスアップデートについて、よくある質問をFAQ形式でご紹介しています。
Q:ベニスアップデートとはどのような意味ですか?
Answer)Google検索エンジンのアップデートのことです。
ベニスアップデートによって、検索エンジンの検索結果に検索ユーザーの位置情報が反映されるようになりました。そして、このアップデートには、モバイル端末で検索エンジンを利用するユーザーが増えたといった背景があります。Google社は、モバイル検索の利便性を高めるために、さまざまなアップデートをしました。ベニスアップデートは、その一環の施策と位置付けられています。
Q:ベニスアップデートはいつのアップデートですか?
Answer)2014年12月に実施されたアップデートです。
Q:ピジョンアップデートとの違いは?
Answer)検索エンジンに与えた影響が異なります。
ピジョンアップデートとは、「東京」や「都内」のような同義語で検索されても、同様の検索結果を表示することを目指したアップデートのことです。一方、ベニスアップデートとは、検索結果に検索ユーザーの位置情報を反映することを目指したものです。
ただし、両アップデートは、「モバイル端末におけるローカル検索時の利便性を高める」という共通の目的で実施された施策です。それぞれ、検索エンジンに与えた影響は異なりますが、目的が同じという面では関連性が高いアップデートに該当します。
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まとめ