トピッククラスターとは?実践手順や効果、注意点など解説
近年、SEOのコンテンツ戦略として、単一のキーワードにフォーカスするのではなく、トピック全体を網羅的にカバーして対策をおこなうトピッククラスターに注目が集まっています。トピッククラスターとは、ピラーページとクラスターページを組み合わせ、戦略的にコンテンツを構築することで、WEBサイト全体の専門性やSEO効果を高める手法です。
実際、東京SEOメーカーでは、熱交換器のメーカーであるMDI株式会社様のサイトに対してトピッククラスターのアプローチを実施し、最初の2年間で30倍のトラフィック増に成功しています。その後の2年でトラフィック数がさらに5倍増えています。このように、コンテンツ戦略ではその威力を発揮します。
トピッククラスターとは?
トピッククラスターとは、WEBサイト内のコンテンツを戦略的にまとめ、SEO評価を高める手法の1つです。
「トピック」は英語で「話題」を、「クラスター」は「群れ・集まり・集合体」を意味し、メイントピックであるピラーページと、それを補足するクラスターページで構成されます。ピラーページではトピック全体の概要を網羅し、クラスターページではより専門的な内容や関連情報を提供します。近年注目されているこの手法は、SEOにも効果的だとされています。
また、この手法が拡がった背景としては、2010年中盤以降、検索エンジンのアルゴリズムが進化し、コンテンツの質や関連性がより重視されるようになったことが影響しています。それまではキーワード中心のSEO対策が主流でしたが、トピック全体を包括的にカバーする手法の方が上位表示されやすくなりました。
さらに、1つのトピックを各ページで包括的に解説するトピッククラスターの分類方法は、ユーザーエクスペリエンスの向上にも役立つため、多くのWEBサイトで採用されるようになったのです。
HubspotのMatthew Barbyが提唱した概念
トピッククラスターを初めて定義したのが、インバウンドマーケティングなどのセールスソフトウェアで知られているHubspot社のMatthew Bardyです。Matthew BardyはHubspot社の顧客獲得ディレクターでありながら、SEOの専門家でもありました。
HubSpotでは、マーケティングやセールス、カスタマーサービスに関するさまざまなトピックで膨大な数のブログ記事を書いていましたが、分類はされておらず似通った内容になってしまうものもありました。そのため、検索結果のページで似通った内容のコンテンツがトラフィックを奪い合っており、結果としてSEOに悪影響を与えていたのです。
そこでMatthew Bardyは、具体的でニッチなキーワードで上位表示されるコンテンツを書くよりも、別の手段に力を入れた方が効率的ということを考え、トピッククラスターを提唱しました。
トピッククラスターの効果
トピッククラスターはSEO効果があるとされていますが、具体的にどのような効果があるのでしょうか。まずはその代表的なものを取りあげ解説します。
ユーザーの利便性が高まる
トピッククラスターを導入することで、ページ同士の関連性が高まり、ユーザーの利便性が向上します。一般的に、ユーザーは必要な情報が見つからない場合、再検索して別のサイトに移動してしまいますが、ピラーページとクラスターページを組み合わせることで、WEBサイト内で効率的に必要な情報を見つけやすくなります。この結果、ユーザーの離脱を防ぎ、ページビューの増加につながるため、SEO効果が高まります。
コンテンツを管理しやすい
WEBサイト内の記事をトピッククラスター形式に分類することで、情報の整理がしやすくなります。トピッククラスターを活用すれば、どのテーマの記事が不足しているかを即座に判断でき、WEBサイト全体の構築やコンテンツ拡充に役立ちます。
また、コンテンツ同士の内部リンクも最適なページ同士を効果的に組み合わせやすくなり、ユーザーの回遊率を高めることができます。
WEBサイトの専門性が高まる
トピッククラスターを活用することで、1つのテーマに対して複数のページでより絞り込んだコンテンツを提供できるため、WEBサイトの専門性が高まります。結果として、検索エンジンもWEBサイト全体のテーマを明確に認識しやすくなり、評価が向上しやすいです。
また、この手法を用いることで、ロングテールキーワードに対するSEO対策が自然と強化され、ドメインパワーが比較的弱いサイトでも、複数のページで上位表示される可能性が高まります。
トピッククラスターの実践手順
トピッククラスターは特別なスキルが必要となるわけではないですが、正しく理解したうえで作成していく必要があります。そこで、ここではステップバイステップで実践手順をお伝えします。
Step1.目標キーワードの選定
最初に、ピラーページのキーワードを決め、それに対してのクラスターページで狙うキーワードをリストアップします。例として、ピラーページのターゲットキーワードを「学習塾+費用」とします。
この場合、下記のようにクラスターページで狙うキーワードの候補を整理します。これらのキーワード候補を挙げるには、Googleキーワードプランナーなどを早うすると便利です。また、この時点でページのタイトルなどもあらかじめ決めておくと後々の記事制作もよりスムーズになります。
ピラーページのターゲットキーワード:「学習塾+費用」
クラスターページのキーワード | ページのタイトル |
学習塾 費用 中学生 | 中学生の学習塾にかかる費用は? |
学習塾 費用 相場 | 学習塾に通う場合、費用の相場は? |
学習塾 大手 費用 | 大手の学習塾に通う場合、費用はいくら? |
塾 費用対効果 | 塾に通う場合の費用対効果について |
中学生 夏期講習 費用 | 中学生の夏期講習で必要な費用を解説 |
学習塾一年間 費用 | 塾に一年間通えば、どれだけ費用がかかる? |
小学生 英語 塾費用 | 小学生の英語塾にかかる費用を解説 |
塾 費用 比較 | 塾の費用を徹底比較! |
参考ページ:SEOキーワードの選び方とは?WEB集客に成功する効果的なキーワード選定のコツなどを徹底解説!
Step2.ピラーページを制作
ピラーページは、トピッククラスターの中心となる主要なコンテンツで、設定したテーマについて幅広く網羅する記事を作成することが重要です。例えば「学習塾+費用」をテーマにする場合、このトピックを全体的にカバーする記事を作ります。
ピラーページで設定するキーワードは、クラスターページでさらに詳しく掘り下げることができる程度の広さが必要です。逆に、ピラーページのキーワードが狭すぎるとクラスターページで扱える内容が少なくなります。
例えば「学習塾+教材費」では範囲が限定されすぎてクラスターページを作るのが難しく、一方で「学習塾」ではテーマが広すぎてピラーページで十分にカバーしきれません。「学習塾+費用」のように適度に幅広いキーワードをピラーページのターゲットキーワードとすることが大切です。
関連記事: ピラーページとは?メリットや作成する方法を解説
Step3.クラスターページの作成
クラスターページは、ピラーページの内容を補完し、より詳細で専門的な内容を扱うページとして作成します。クラスターページを作成する際の重要なポイントは、ターゲットキーワードに焦点を当て、関連する具体的な情報を記述することです。
例えば、「学習塾+費用+中学生」というキーワードでは中学生の学習塾の費用についてのみ言及し、ページの専門性を保つようにしてください。
Step4.内部リンクの構築
クラスターページからピラーページへ、またはピラーページからクラスターページへとリンクを張りますが、いずれの場合も文中に自然な形でリンクを組み込むことが重要です。さらに、コンテンツの内容によっては、クラスターページ同士をリンクでつなげることも有効です。これにより、ユーザーがWEBサイト内で関連情報をスムーズに見つけやすくなり、回遊率の向上やSEO効果にもつながります。
トピッククラスターの事例
インバウンドマーケティングで有名なHubSpotでは、マーケティングやセールス、カスタマーサービスに関する多くのブログ記事を作成していましたが、これらは体系的に分類されておらず、内容が似通ってしまうこともありました。その結果、検索結果ページで同じテーマの記事が互いにトラフィックを奪い合い、SEOのパフォーマンスが低下していたのです。
この問題を解決するために、HubSpotは、個別のニッチなキーワードで上位表示を狙うよりも、トピッククラスターの手法を導入する方が効果的だと判断。これにより、ピラーページとクラスターページを組み合わせたコンテンツ構成を作り、各ページが効率よく検索エンジンに評価されるようにしました。トピッククラスターの作り方としては下記のような事例があります。
トピック:Instagramを使ったマーケティング
ピラーコンテンツ:インスタグラムマーケティング完全ガイド
クラスターコンテンツ例:
- 【2020年最新版】Instagramの統計データまとめ|フォロワー数の平均は?
- 【2020年最新版】Instagram広告の完全ガイド | 出し方の基本9ステップ
- 知っておくと便利なInstagram(インスタグラム)の裏技28選
トピッククラスターを実践する際の注意点
トピッククラスターを効果的に活用するには、次の点を守って実践するようにしてください。注意点を守って実践することで、トピッククラスターでの成果を上げやすくなります。
ページ同士が競合しないようにする
トピッククラスターを実践する際は、まずピラーページとクラスターページで狙うキーワードを事前にリストアップし、全体の構造を設計することが重要です。最初の段階でこの設計が適切におこなわれていないと、各ページで内容が重複してしまい、結果としてページ同士が競合し、SEO効果が低下する恐れがあります。各ページがそれぞれ異なる視点や深掘りした情報を提供できるよう、キーワードやコンテンツの役割を明確にして作成する必要があります。
役割に応じたコンテンツを書く
ピラーページは、そのテーマ全体の基盤となるコンテンツで、設定したテーマについて広く浅く解説することが重要です。こうすることで、ユーザーはトピック全体の概要を把握しやすくなり、検索エンジンに対してもWEBサイトの網羅性を示すことができます。
一方で、クラスターページは「狭く深く」の姿勢で、ピラーページで扱ったトピックを専門的に掘り下げて解説します。このように、それぞれのページには異なる役割があり、それに応じてたページ作りをする必要があります。
よくある質問(Q&A)
ここでは、トピッククラスターについてよくある質問を取りあげ解説します。トピッククラスターはコンテンツを作成する際に非常に重要な戦略なので、この機会に疑問点を解消しておいてください。
Q:キーワード候補を挙げる際に役立つツールは?
Answer)トピッククラスターでターゲットにするキーワードを決める際には、Googleキーワードプランナーを活用することをおすすめします。また、キーワード候補を整理・管理する際には、スプレッドシートやマインドマップツールが役立ちます。これらのツールを使うことで、キーワードの優先順位をつけたり、関連性を視覚的に確認することができます。
参考ページ:Googleキーワードプランナーの使い方をわかりやすく解説
Q:既存のコンテンツをトピッククラスターで整理できる?
Answer)既存のコンテンツをトピッククラスターの戦略に沿って、整理し直すことは可能です。その場合は各ページのターゲットキーワードとタイトルをすべてスプレッドシートに書き出し、どのような分類をすれば良いかを検討してください。WEBサイトにカテゴリを設定して、ページを分類している場合は、比較的簡単にトピッククラスター形式で構築し直しやすいです。
Q:注力したいテーマはどう対策すべき?
Answer)WEBサイト内に複数のトピッククラスターを作成し、その中でも特に注力したいテーマがある場合は、クラスターページを増やすことを検討してください。こうすることで、そのテーマに関する関連情報をさらに深掘りできるので、Googleがそのテーマにおける専門性を評価しやすくなります。ただし、ページを増やす際は、重複コンテンツを避け、各ページが異なる情報を提供するようにしてください。
Q:c内部リンクを張るコツはありますか?
Answer)トピッククラスター内で内部リンクを設定することは、ユーザーにとってもGoogleにとってもコンテンツの関連性を理解しやすくするために有効です。ただし、リンクを設置する際は、自然な形でおこなうことが重要です。ユーザーが「この部分をもっと詳しく知りたい」と感じる箇所にリンクを張ることで、利便性が向上します。無理にリンクを増やすのではなく、ユーザーのニーズに応じたリンク構築を心がけてください。
参考ページ:内部リンクとは?SEO強化のための内部リンクのポイント
まとめ