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Google、サードパーティCookie廃止を見送りに!プライバシーサンドボックスの新たな施策を発表

Google、サードパーティCookie廃止を見送りに!プライバシーサンドボックスの新たな施策を発表Google社は、プライバシーサンドボックスのアプローチを変更する旨を2024年7月22日(現地時間)に発表しました。

 

参考(外部):A new path for Privacy Sandbox on the web

 

近年では、WEBにおけるプライバシー問題が世界中で取りざたされています。こうした背景から、Google社は、WEB利用者の行動を追跡できる、サードパーティCookieの廃止を進めてきました。

 

その一方では、サードパーティCookieを廃止するとなると、WEBのネットワーク広告に大きな影響を与えると業界内で囁かれていました。今回発表された内容は、サードパーティCookieの完全廃止の代案として導入されるものです。

 

今回発表された内容や、その経緯について解説します。新システムが導入される背景のほか、WEB広告業界に与える影響について推察を交えて説明しています。とくに、WEB広告に関する業務の担当者は本記事をチェックしたうえで、今後の動向にも注目してください。

 

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プライバシー問題でサードパーティCookie廃止の論調が強まる

時を遡ると、2017年ごろからサードパーティCookie(3rd Party Cookie)がWEB利用者のプライバシーを侵害しているのではないかと問題視されはじめました。

 

そもそも、サードパーティCookieとは、ユーザーが訪問したWEBサイトとは別のドメインが管理するCookie(ブラウザとサーバー間で共有されるデータ)を指します。そして、サードパーティCookieは、WEB広告会社がWEB広告を適切なターゲットに配信することを目的に利用されます。

 

この仕組みは、ユーザー視点でいうと、自身のアクセス履歴が意図せずに第三者(広告会社など)へ伝わってしまうことを意味しています。そして、プライバシー保護の観点で問題がある仕組みなのではないかと言われはじめることになっていきます。

 

この問題を受けて、2017年には、Apple社が同社のブラウザサービスであるSafari(サファリ)において、サードパーティCookieを用いたトラッキングを制限したとして話題を呼びました。その後、2018年には、EU(欧州連合)は、Cookieを規制する法として、EU一般データ保護規則(GDPR / General Data Protection Regulation)を施行しました。この時期から、本格的にサードパーティCookie廃止の論調が加速することになっていきます。

 

そして、2019年に、Google社は、同社が提供するブラウザのChrome(クローム)において、サードパーティCookieを廃止するプロジェクトにあたる、プライバシーサンドボックスを発表しました。一方でWEB広告業界では、サードパーティCookieの廃止が進むとなると、WEBのネットワーク広告業界全体のビジネス面において、重大な悪影響を及ぼすことが懸念されています。

 

プライバシーサンドボックスの軌道修正を発表

Google社は、2024年7月22日(現地時間)にて、プライバシーサンドボックスのアプローチを変更すると発表しました。

 

参考(外部):A new path for Privacy Sandbox on the web

 

それによると、Chromeに新たな機能を追加して、サードパーティCookieの利用をユーザーの判断に委ねるといったものです。いつでもユーザーがオンオフを切り替えられるものにするとのことです。あわせて、当初予定していたサードパーティCookieの完全廃止を見送るとしています。

 

なお、本発表は、Google Japan Blogでも公開されています。発表内容が日本語訳されていますので、参考にしてください。

 

IP情報を保護する機能を追加する予定

プライバシー保護を目的として、プライバシーコントロールと呼ばれる機能をChromeに導入するとしています。具体的には、ChromeのシークレットモードのブラウザにIP情報を保護する機能を追加する予定があるとのことです。

 

IPアドレスは、第三者(広告会社など)がユーザーを特定する情報として利用されています。そのため、ユーザーのIPアドレスを匿名化することで、第三者によるトラッキング(ユーザー履歴の追跡)を制限できるとGoogle社はいいます。

 

参考(外部):IP Protection

 

WEB広告に与える影響を考慮し、サードパーティCookie廃止の代案として導入される

Google社は、WEB広告のビジネスとともに、現代のインターネット環境を維持するために新たな機能を開発したと言及しています。

 

この決定を下した理由としては、サードパーティCookie廃止にともない、WEB広告のビジネスに影響を与えると懸念されていた背景があります。もともと、プライバシーサンドボックスとは、サードパーティCookieを廃止するために立ち上げられたプロジェクトでした。

 

そして、これまでに、プライバシーサンドボックスをつうじて、メディアや広告業界などのほか、イギリス政府機関のCMA(Competition and Markets Authority)などの関係者とプライバシー保護について協議を重ねてきました。そのうえで、サードパーティCookieを完全に廃止することのWEBビジネス上のリスクを考慮し、その代替案として、Chromeに新たにプライバシーを保護する機能を追加すると提案したとのことです。

 

サードパーティCookieの制限で受ける影響

サードパーティCookieが制限されるにあたり、WEBや広告業界はさまざまな影響を受けます。たとえば、広告配信時において、扱えるユーザーに関するデータが減少します。すると、下記のような影響が出ます。

 

  • リターゲティング広告の精度が落ちる
  • 広告効果の測定が困難になる

 

リターゲティング広告の精度が落ちる

サードパーティCookieに制限がかかると、リターゲティング広告の精度が落ちることが懸念されます。さらに、リターゲティング広告の精度が落ちるWEBのネットワーク広告の効果や価値が低下します。この影響は、WEB広告会社だけでなく、メディアと広告主の収益にマイナス効果を与える可能性があります。

 

広告効果の測定が困難になる

ユーザーの行動履歴が閲覧できなくなると、メディアや広告主は広告効果を測定することが困難になります。

 

このうち、メディアとしては、どの広告枠に効果があるのか、またどの記事がコンバージョンにつながるのかを特定できなくなります。これは、収益性を高めるためのサイト改修の施策を打てなくなることを意味しています。

 

一方、広告主としては、どの広告商品に効果があるのかがわからなくなります。そのため、効率的な広告予算の配分ができなくなります。つまり、同じ予算を使っても、えられるコンバージョン数(自社商品の販売数)の減少につながります。

 

ChromeでサードパーティCookieが制限されることの重大性

ChromeでサードパーティCookieに制限がかかるとなると、大半のブラウザでトラッキングが無効になることを意味します。

 

Statcounter Global Statsの調べによると、2023年6月から2024年6月における、ブラウザシェア率の平均値(全世界の全デバイスが対象)は、1位=Chromeで65.69%、2位=Safariで17.98%になっていることがわかっています。そして、Safariでは、すでにサードパーティCookieを制限しています。Chromeまで制限するとなると、全体の8割以上のブラウザでトラッキングが困難になります。

 

ChromeでサードパーティCookieを制限すると、大きな経済的影響が見込まれる

まず、過去の事例でいうと、2017年から2018年にかけてSafariでサードパーティCookieが制限されたときには、複数のWEB広告業界の関連企業で売上の減少が報告されています。

 

たとえば、フランスに本社を置く広告会社のCriteo社は、2018年第3四半期の決算報告にて、「トラフィック獲得コスト(TAC)を除く実質売上高」が前年対比で5%減少(日本円換算で数十億円程度の損失)したと発表しています。この要因として、Safariの影響を受けたためと同社は述べています。

 

今度は、Safariに加えて、Chromeの影響を受ける格好になります。そのため、WEB広告業界の関連企業は、大きな経済的影響を受けることが見込まれます。

 

サードパーティCookieの制限に対する施策が必要

サードパーティCookieの制限は、WEB広告の関連会社の売上に影響を与えます。そのため、WEB広告に関連するWEB広告会社、WEBメディア、広告主は、対策を練る必要があります。

 

たとえば、広告会社のCriteo社では、SafariがサードパーティCookieを制限した際に、次のような対策をとりました。

 

  • リターゲティング広告以外の商材に力を入れた
  • AIで広告配信する仕組みを開発した

 

結果として、近年では、同社の売上が順調に推移しています。このことから、リターゲティング広告のマイナス分を、ある程度カバーできていると読み取れます。

 

WEBサイトがとるべき対策

WEBサイトとしては、サードパーティCookieの制限に対して、下記のような施策をとることが推奨されます。

 

  • ファーストパーティCookieを利用する
  • コンテクスチュアル広告を導入する

 

ファーストパーティCookieを利用する

広告効果のデータ解析においては、ファーストパーティCookieを利用してください。

 

ファーストパーティCookieとは、ユーザーが訪問したサイトが発行するCookieのことです。サードパーティCookieと異なり、ユーザー履歴が第三者に漏れることがありません。ファーストパーティCookieは、サイトのサーバーに残りますので自社で管理できます。そのため、このCookieを利用することで、WEB広告のアクセス解析が可能になります。

 

コンテクスチュアル広告を導入する

配信する広告商品においては、リターゲティング広告に代わるコンテクスチュアル広告の導入を検討してください。

 

コンテクスチュアル広告(コンテキスト広告)とは、コンテンツに合わせて配信されるWEB広告を指します。自社サイトが扱うテーマや記事と相性がよい広告を配信できますので、リターゲティング広告に代替する広告商材として注目を集めています。

 

プライバシーサンドボックスのよくある質問

プライバシーサンドボックスに関する、よくある質問をまとめています。
 

Q:プライバシーサンドボックスとはなんですか?

Answer)プライバシーサンドボックスとは、ChromeでサードパーティCookieを廃止することを目標とした、Google社のプロジェクトを指します。同プロジェクトが立ち上げられた背景としては、近年問題視されている、WEB上でのユーザーのプライバシーが起因しています。

 

Q:GoogleがサードパーティCookie廃止を見送った背景は?

Answer)Googleは、WEB広告やWEBコンテンツが作られる環境を維持するために、サードパーティCookieの完全な廃止を見送ることを決めました。

 

サードパーティCookieは、ユーザーをターゲティングして、適切なWEB広告を配信するために利用されています。そのため、サードパーティCookieを完全に廃止してしまうと、リターゲティング広告の仕組みが成り立たなくなり、WEB広告業界に経済的ダメージを与えます。

 

そもそも、WEB広告でえた収益は、WEBコンテンツを作成するための運転資金に回されることが多々あります。その収益源に損失を与えるとなると、WEB全体に多大な影響が出ると懸念されています。

 

Q:なぜ、ChromeでサードパーティCookieの制限がかかると問題なのですか?

Answer)Chromeは、WEBブラウザのなかでトップのシェア率を誇り影響が大きいことから、その動向が注目を集めています。シェア率2位のSafariでは、すでにサードパーティCookieの制限が課されています。これにChromeが加わるとなると、全体で8割のブラウザに対して、トラッキングができなくなることを意味しています。

 

 

まとめ

amano_portraitGoogle社は、プライバシーサンドボックスのアプローチを変えることを発表しました。具体的には、サードパーティCookie廃止の代替として、Chromeに新たなプライバシー保護のための機能を追加するといったものです。しかし、サードパーティCookieの廃止は見送られたものの、依然としてWEB広告に与える影響は多大といえます。そのため、WEB広告に関連する広告会社、メディア、広告主は、それぞれ対策が必要です。ユーザーのプライバシーを守りつつ、WEB業界が発展するためにも、新たな広告商材、ターゲティングの手法などの導入を検討してください。

 

 

監修者:アドマノ株式会社 代表取締役 天野剛志
マーケティングのエキスパート。Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持。大学では経営法学を専攻。オーストラリア・イタリア・フランス・タイ・カンボジアなど世界各国を旅した後、イギリスで1年半生活し語学力と国際的視野を磨く。日本帰国後は広告代理店で営業を12年経験。SEOは草創期から独学で研究し、100以上のサイトで検証しつつノウハウを蓄積。2012年にSEO専門会社のアドマノを設立。
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