スパムリンクとは?確認方法と対処法、SEOへの影響について解説
スパムリンクとは、Googleの検索ガイドラインに違反する悪質な外部サイトから自社サイトへのリンクを指します。もちろん良質な被リンク獲得は自社サイトのSEO評価を向上させる効果があります。しかしスパムリンクを得ると自社ページのランキングが低下する危険性があるため対策が必要です。
スパムリンクとは
スパムリンクとは、Googleの検索ガイドラインに違反するサイトや、ユーザーのメリットにならない低品質ページから自社サイトへリンクを貼られることを指します。自社サイトがスパムリンク被害を受けると検索順位の低下といったリスクがあるため、迅速な対処が必要です。
本来良質な被リンク獲得は、検索エンジンから「コンテンツ情報の信頼性に客観的根拠がある」と認識されるためSEO評価の向上が期待できます(Googleが掲げる10の事実「4.web上の民主主義は機能する」)。
対してスパムリンクのような悪質な被リンクを受けたサイトは、検索エンジンから「不正にランキング操作を図っている」と判断されかねないためSEO評価が低下する危険性があります。
詳しくは後述しますが、現在の検索エンジンは精度が上がり、被リンクを悪用した不正なランキング操作に影響を受けない仕組みとなっています。
Googleが定義するスパムリンクとは
Googleはウェブマスター向けガイドラインにて、リンクを悪用した不正なランキング操作の対象となる手法を明示しています。自社サイトでのスパム行為だけでなく、外部サイトへのスパムリンク攻撃も同様にガイドライン違反となります。悪質リンクの対象となる具体的な手法は以下の通りです。
- 金銭授受などの利害関係によってリンクを貼り付ける
- 過剰に相互リンクを貼り付ける
- ソースコードに記述するリンク先ページ内容の説明にキーワードを大量挿入する
- 自動生成されたページに自サイトへのリンクを貼り付ける
- 外部サイト所有者に対してソースコードへのリンク属性記述を強制する
参考:リンク プログラム
上記5つの手法は、コンテンツの質を向上するのではなく故意にランキング操作を図っている点で共通しています。ウェブマスター向けガイドラインは上記のようなスパム行為を行うのではなく、閲覧者が他の人に紹介したくなるような有益なコンテンツの提供を推奨しています。
ナチュラルリンクとスパムリンクの違い
ナチュラルリンクとスパムリンクの違いは、自社ページのリンクを貼り付けた外部サイト運営者の「目的意識」にあると言えます。
ナチュラルリンクのような良質な被リンクは、外部サイト運営者が自社ページのコンテンツ内容に共感や敬意をもって参照、引用するものです。つまり自社ページの内容が有益で優れているため「自然に」貼られる善意のリンクなのです。
一方で悪質なスパムリンクは、外部サイト運営者が自社ページのランキングを低下させる目的で貼り付けられます。したがって上位を獲得している自社サイトのSEO評価を攻撃する悪意に満ちた迷惑行為と言えます。
善意によるナチュラルリンクと悪意によるスパムリンクの見分け方は、被リンク先ページと自社ページとの関連性がポイントです。ナチュラルリンクは同業、競合のサイトが「第三者目線で参考になるページ」をユーザーに提示するものです。つまり信頼できるページを参照、引用することでコンテンツの根拠が強まりユーザーのメリットになるのです。
対してスパムリンクは被リンク先ページと自社ページの間に関連性を持ちません。詳しくは後述しますが、スパムリンクでよく使われるページはクローキングサイトや単なるリンク集などの低品質ページです。
低品質ページに関連性のない自社ページのリンクが貼られていてもユーザーのメリットにはなりません。ユーザーの利便性を妨げるものであるため、検索エンジンはスパムリンクを取り締まっているのです。
Googleがスパムリンクを取り締まった背景
スパムリンクを用いた他サイトのSEO評価に対する迷惑行為は、現在Googleによる取り締まりの対象となっています。
Googleがスパムリンクの取り締まりにいたるまでには、悪質リンクによるランキング操作が横行していた背景がありました。
Googleの検索結果にはユーザーのニーズを満たすページが表示されず、ユーザーの利便性が担保されていないプラットフォームだった過去があるのです。
ここではスパムリンクが取り締まり対象となるまでの過程を追っていきましょう。Googleがユーザーファーストを最優先にしている理念を再確認することができます。
2010年頃までスパムリンクを用いたランキング操作が横行していた
2010年頃までは低品質ページを使用した過剰な相互リンクなど、悪質リンク挿入による上位表示が可能でした。なぜなら検索エンジンは被リンクの「量」をSEO評価の基準としていたからです。
悪質リンクによる手法に限らず、キーワードの不自然な大量挿入やクローキングなどといったブラックハットSEO(不正なランキング操作を図る施策)も同様に横行していました。
ユーザーのニーズに応えていない低品質ページでもブラックハットSEOによる悪質な手法で上位表示が可能だったのです。
本来検索結果に表示されるページはユーザーファーストな高品質ページでなければなりません。しかし高品質ページの作成にはニーズの調査といった相応の手間がかかります。
そのためブラックハットSEOに効果があった2010年頃までの検索エンジンでは、ページ作成の手間をかけず上位表示できることでユーザーの流入が得られる状態だったのです。
低品質ページが上位表示されることによるユーザー離れを懸念
Googleは低品質ページの上位表示が可能な事態を受け、検索エンジンからユーザーが離脱することを懸念しました。検索エンジンの利便性をGoogleが担保できなければ、情報収集のツールとしてユーザーは利用してくれません。
検索エンジンからユーザーが離れてしまえば、SEOによってユーザーを集客するサイト運営者が損害を被ることになります。
ユーザーの利便性と検索エンジンの集客力の双方を担保するために、GoogleはスパムリンクなどのブラックハットSEOによる低品質ページの上位表示を退ける必要がありました。
そこでGoogleは「ペンギンアップデート」と呼ばれるSEO評価基準の改定を行ったのです。
Googleが実施したリンクスパムアップデート「ペンギンアップデート」とは
「ペンギンアップデート」とは、ウェブマスター向けガイドラインに違反するサイトを上位表示から退けるべく、Googleが2012年から実施したSEO評価基準の改定を指します。
主な改定内容はリンクの「量」から「質」に評価基準が変わったことです。「ページの品質を白黒はっきりさせる」ための改定であることから「ペンギン」の名がつけられました。
ペンギンアップデートによりリンクスパムなどのブラックハットSEOを行うサイトは、検索順位下落やインデックス削除といったペナルティを受けています。
こうして不正なランキング操作で上位表示されていた低品質ページは検索結果から除外されていったのです。
しかしペンギンアップデートの実施によって、新たにアップデートを逆手にとったスパムリンク攻撃が横行しました。スパムリンク攻撃とは、検索上位のページの順位下落を目的に、故意に低品質ページからリンクすることで、そのページもしくはサイトをペナルティの対象にする行為を指しています。
Googleはこの事態を鑑み、7回目のアップデートとなる「ペンギンアップデート4.0」を実施しました。これにより現在の検索エンジンは、スパムリンク攻撃を受けているサイトに制裁を課すのではなく、リンクの効果を「無効化」するという対処に留めています。
とはいえ先述したような検索エンジンの被リンクを評価する仕組みを考慮すると、Googleが全ての低品質なリンクを認識し、効果を無効化しているとは考えにくいです。
したがって自社サイトに発行されているリンクのうち、低品質なリンクと断定されるリンクは「放置する」のではなく「否認する」ことが大切となります。
パンダアップデートとの違い
低品質ページを検索結果から除外するためのアップデートとして「パンダアップデート」も行われています。「ペンギンアップデート」がリンクの品質を評価するのに対し、「パンダアップデート」はコンテンツ内容の品質を評価する点に違いがあります。
スパムリンクの特徴は?
自社ページコンテンツの品質を向上していく中で増加した被リンクは、SEO評価を向上させるか低下させるか紙一重と言えます。しかしスパムリンクには特徴があるため自社ページの順位が変動する前に対処できるかもしれません。
スパムリンクを受けているサイトは被リンクが突然増えるケースが多く見られます。定期的に被リンクのチェックを行い、不自然に急増した場合はスパムリンクを疑ってください。
そしてスパムリンクで使用されやすい低品質コンテンツは以下の2種類が挙げられます。
- ユーザーとクローラーに異なったコンテンツを表示するクローキングページ
- 外国ドメインのリンク集ページ
クローキングページはユーザーやクローラーをだます行為であり、リンク集ページはユーザーのメリットが少ないものです。上記2種類はどちらもウェブマスター向けガイドラインに違反する低品質ページです。
自社サイトのSEO評価に悪影響が出る可能性があるため、被リンクを受けた際は早急に対処しましょう。
自社のスパムリンク確認方法
自社がスパムリンクを受けているかどうかは「Google Search Console」の「リンク」から確認できます。被リンクチェック以外にも様々な機能があるため、使用していない担当者はぜひ導入してみてください。
Google Search Consoleで自社サイトの被リンクを確認する手順は以下の通りです。
- サーチコンソールにログインして左側にある「リンク」をクリックする
- 表示されたページの左側中央にある「上位のリンク元サイト」の詳細を表示する
- 海外ドメインや過剰に発リンクしているサイトなど、不審なサイトがないかをチェックする
- 2と3の流れを「上位のリンクされているページ」でも実施
- スパムリンクの数が多い場合は「外部リンクをエクスポート」からリンク元をダウンロードする
- リンク元を確認し対処する
リンクを選択すると様々なカテゴリのリンクが表示されますが、「上位のリンク元サイト」と記載されているタブがチェックの優先順位が高くなります。
なぜなら攻撃意図のあるスパムリンクは同じサイトの複数のページからリンクを発している可能性があるからです。
また「上位のリンク元サイト」を確認した後は「上位のリンクされているページ」も確認しましょう。自社ページのうち、大量の被リンクをもらうページは上位表示されているページに多い傾向にあります。
その理由として、質の良いコンテンツを多くのサイトが引用しているケースと、大量の被リンクに隠れてスパムリンクを張っているケースがあるからです。いずれの項目でもスパムリンクと断定できるリンクがあれば、リンク否認のプロセスへと移る必要があります。
スパムリンクを否認する方法
サーチコンソールや被リンクチェックが可能なSEOツールでスパムリンクを特定したら、速やかにスパムリンクを否認するための方法を検討しましょう。
先述したように検索エンジンはペンギンアップデートによってスパムリンクを無効化するアルゴリズムを採用しています。自社サイトへの被リンクを解消することは、サイト全体のSEO評価を下げるリスクもあるため今一度慎重になりましょう。
ただしリンク元の運営者に連絡が取れず、スパムリンクが増え続ける場合には、Googleが提供するリンク否認ツールの利用を余儀なくされます。
明らかにスパムリンクと分かるのにその状況を放置してしまうと、検索順位の大幅な下落や、インデックス削除といったペナルティを被る可能性があるため、いざという時のために否認方法は心得ておく必要があります。
リンク元サイトの運営者に削除依頼を送る
スパムリンクの否認方法でまず検討したいのは「リンク元のサイト運営者に削除依頼を送る」というものです。スパムリンクとは主にGoogleのリンクプログラムに該当するリンクを指しますが、中には自社サイトにとって好ましくないサイトからの被リンク(質の低いアフィリエイトサイト、個人ブログ、テーマの関連性がないサイト、等からの被リンク)も存在します。
これはリンクプログラムには明記されていないものの、自社サイトのSEOに影響を与える可能性があるリンクのため、サイトSEO評価を落とさないために否認することがポイントとなります。
こうした自社サイトにとって好ましくないサイトからの被リンクは、運営者に連絡することでリンクを削除してもらえる可能性があります。この場合のスパムリンクは「自社サイトへの攻撃」が目的ではないケースがほとんどのため、削除依頼に応じてもらえる確率も高くなります。
Googleが提供するリンク否認ツールを使用する
自社サイトに対するスパムなリンクが悪質なものと断定できる場合、Googleが提供するリンク否認ツールを使用します。
サーチコンソールの画面から簡単な手順でスパムリンクの否認が可能です。Google提供のリンク否認ツールを使用する具体的な方法は下記の記事で詳しく解説しています。
関連:リンク否認ツールへの内部リンク設置
運営期間が長いサイトや検索上位を多く獲得しているサイトの場合、膨大な数のスパムリンクを受けている可能性があります。すべてのスパムリンクを否認するのは手間に感じるかもしれませんが、自社サイトを守るために必要な工程と認識しましょう。