SPAとは?メリット・デメリットや、SEO対策で重要なポイントも紹介
SEO対策を考えている会社が「SPA」という言葉を耳にする機会もあるでしょう。SPAとは、ユーザーの快適性を向上させるためのWebサイト構築のことを指します。
SPAとは
SPAとは、単一のアプリケーションのみで構成されたWebサイトのことを指します。SPAは「Single Page Application(シングルページアプリケーション)」の略です。
SPAの最大の特徴は、ページを遷移せずにコンテンツやページの切り替えが可能な点です。従来のアプリケーションの場合、ユーザーの入力や操作などをサーバーが読み込み、検索結果を反映したブラウザが読み込むのが一般的です。
一方でSPAは、ユーザーの必要な箇所のみを更新する特徴があります。ユーザーの入力や操作などがあったあと、必要な部分のみをサーバーに要求します。そして返ってきたデータは、JavaScriptで処理します。
つまり、更新するたびにページの再読み込みをしていた従来のアプリケーションとは異なり、ブラウザ側でのみJavaScriptの処理を終わらせます。SPAでは更新の度に必要な部分のみを更新するので、快適に操作できるのが特徴です。
WebサイトにSPAを導入するメリット
WebサイトにSPAを導入するメリットとしては、次の4つがあげられます。
- 表示速度が速くなる
- ネイティブアプリのようなアプリを作れる
- デザインが良くなる
- アニメーションのUIがよくなる
各メリットについて解説していきます。
表示速度が速い
冒頭でも伝えていますが、SPAの最大のメリットは、ページやコンテンツの切り替えが、従来のアプリケーションよりも速くなる点です。Googleはページ速度を重視しており、またユーザーも速くページが表示されることを望んでいます。
そこで役に立つのが、このSPAです。必要な部分のみを読み込むため、最低限の通信量で閲覧できるようになります。この結果動作速度は上昇し、ユーザーの快適性を上げることが可能になります。
関連記事: ページスピードの計測方法とページ表示速度の改善方法/Page speed insight
ネイティブアプリのようなアプリを作れる
SPAを構築することによって、ネイティブアプリのようなアプリケーションを作れるのもメリットです。
そもそもアプリケーションには、Web上で動く「Webアプリ」と、端末にダウンロードする「ネイティブアプリ」があります。このうち「ネイティブアプリ」で代表的なのが、スマホアプリです。
スマホアプリのようなネイティブアプリは、プッシュ通知やオフラインのページ閲覧など、非常に便利な機能が搭載されています。一方でネイティブアプリの場合、AppleStoreやGooglePlayストアなどの審査を通過しないといけないデメリットがあります。
一方でSPAの場合、当然審査は必要とせず、ネイティブアプリのような便利な機能を使えるようになります。このようにユーザーの快適性を向上させられるのが、SPAならではの魅力です。
デザインが良くなる
SPAWebサイトはページの遷移がなくなるため、1つの整ったデザインが出来上がります。SPAで代表的なFacebookやGoogleマップのように、デザインが美しくなるのがSPAの特徴です。
アニメーションのUIがよくなる
SPAにはアニメーションを実装するケースも多くあります。動画やアニメーションを使ったSPAWebサイトは、ほかのWebサイトと比べてもユーザーの快適性や満足度を下げるメリットがあります。
WebサイトにSPAを導入するデメリット
SPAにはメリットだけでなく、デメリットも存在します。具体的には、次の2つのデメリットがあげられます。
- 初期のページ読み込みに時間がかかる
- 実装コストが高い
それぞれのデメリットについて解説していきます。
初期のページ読み込みに時間がかかる
SPAではページやコンテンツの切り替えが高速になるメリットがあります。一方で、JavaScriptのコード量が増えることから、初期のローディングに時間がかかってしまうデメリットがあります。
従来のアプリケーションでは、サーバー側で行っていたHTMLの生成をブラウザ側で行うため、どうしても初期のページ読み込みに時間がかかってしまうのは仕方ありません。
実装コストが高い
SPAでは、これまでブラウザに任せていた処理をプログラム実装する必要があります。従来の機能であればすでに実装されたライブラリもありますが、アプリケーションの要件に合わせて独自で実装する部分もあります。
一般的なアプリケーションに比べて、ブラウザ処理を任せていた部分をプログラム実装で対応しないといけないため、どうしても開発工数がかかり、実装コストが高くなる原因となります。
SPAを実装しない場合ユーザーのUXに悪影響を与えるケースも多々ありますから、実装は不可避と言えます。
SPAを扱える開発者が少ない点に注意
SPAは比較的新しい技術のため、そもそもSPAを扱える開発者が少ない点がデメリットとなっています。SPAにはWeb制作の技術に加えて、JavaScriptの知識が必要になるため、両方に対応できる開発者が少ないのです。
加えて、SPAを構築するには、JavaScriptだけでなくライブラリやフレームワークへの理解も不可欠です。SPAでは大規模なコードを書くことも多く、相当な経験者・知識者が求められます。
SPA導入で効果が期待できるWebサイト
SPA導入で効果が期待できるWebサイトは次の2つのWebサイトが該当します。
- 滞在時間が長いWebサイト
- 直帰率が低いWebサイト
それぞれのWebサイトの特徴について解説していきます。
滞在時間が長いWebサイト
SPAのメリットは、ページやコンテンツの切り替え速度が速くなる点です。つまり、滞在時間が長いページほど、SPAを構築することで利便性を向上させられるメリットがあります。
滞在時間が長いWebサイトでは、1つひとつのページの遷移に、ユーザーが不快になるケースもあります。それだけ世の中には快適性を追求したWebサイトが多くあり、1つの障害によってユーザーはすぐに離脱してしまうのです。
一方でSPAならば、ユーザーのストレスを極限まで減らせます。つまり滞在時間が長くても快適なWebサイトというのは、得てして成約率の向上にもつながるのです。
直帰率の低いWebサイト
SPAは初期ローディングに時間がかかるため、もとから直帰率の高いような、すぐに消費したいコンテンツには向いていません。たとえばブログは、初期の読み込みが長い時点ですぐに離脱してしまいます。ブログをSPAにするメリットはありません。
そのため、SPAWebサイトを構築したい場合は、直帰率の低いページに導入するのがおすすめです。
関連記事: 直帰率の目安や高くなる原因、改善方法など
SEO対策におけるSPAのポイント
SPAはJavaScriptを活用することから、GoogleのクローラーはWebページを正しく認識されず、インデックスがされないといったことが起こり得ます。このような状態を避けるために、事前にサーバー側でレンダリングをする必要があります。
SEO対策においては、次の3つのレンダリングの対策が可能となります。
- ダイナミックレンダリング(Dynamic Rendering)
- サーバーサイドレンダリング(SSR)
- プリレンダリング(Prerendering)
各レンダリングについて解説していきます。
ダイナミックレンダリング(Dynamic Rendering)
ダイナミックレンダリングとは、JavaScriptによって生成されたコンテンツをインデックスさせるための仕組みを指します。
具体的には、クライアント端末側でレンダリングされるコンテンツとプリレンダリングされるコンテンツを切り替える操作のことをいいます。
ダイナミックレンダリングは、JavaScriptを使うSPAWebサイトに向いています。JavaScriptを使っているとクローラーが実行できず、インデックスするまでに時間がかかるケースがあります。そこで静的HTMLで対応するのが、このダイナミックレンダリングです。
ただし、ダイナミックレンダリングはクローラー向けの回避策である点には注意しましょう。のちのサーバーサイドレンダリングと比べると、あまり有効な策とは思われていません。
サーバーサイドレンダリング(SSR)
サーバーサイドレンダリング(SSR)とは、Webサイトのレンダリングをブラウザの代わりにサーバー上で行う、有効なアプリケーションの機能です。SSRとは、サーバー上でHTMLを出力するのが特徴です。
サーバからクライアントのJavaScriptコードに移るため、サーバがURLごとにに異なるHTMLを返せなくなり、SEOのクローラとの相性が悪い問題がありました。そこでJavaScriptをサーバ上のNode.jsでも動かして、HTMLを返してしまう手法をSSRと呼びます。
プリレンダリング(Prerendering)
プリレンダリング(Prerendering)とは、事前にHTMLファイルを生成してレンダリングする手法です。
一般的な方法の場合、ユーザーがページにアクセスする場合にレンダリングが行われます。一方でプリレンダリングの場合、ユーザーのアクセス時にはすでに生成済みのHTMLファイルを使用します。
つまり表示速度が速くなるので、SEOの観点からもプリレンダリングを使用しているWebサイトは、SEOに強くなるメリットがあります。
関連記事: レンダリング速度とは?レンダリング速度が遅い原因と対策を解説
まとめ