スラッグとは?WordPressの設定から正しい活用とSEO効果を解説
スラッグとはURLの一部のことで自由に管理することができます。適切に設定することでSEOの効果も期待できますが、それ以上に管理しやすさという点に注目して設定したほうが効果的です。
設定方法は非常に簡単ですが、一度設定したあとは安易に変更することは推奨されませんのでスラッグの基本を十分に理解したうえでWEB管理に臨んでください。
スラッグとは
スラッグとは、URLの一部の文字列のことで、WordPressのようなCMSで自由に設定できるものです。大きく分けるとカテゴリのスラッグと各ページのスラッグに分かれており、「https://www.switchitmaker2.com/wordpress/seo/seo2022years/」のようなURLの場合には、/seo/がカテゴリーのスラッグ、seo2022yearsがページのスラッグです。
スラッグは自由に設定することができますが、自身で設定しない場合にはCMS側でページIDを自動的に設定します(WordPressの場合)。大規模なメディアになるとスラッグを設定せずにIDのままということもありますが、設定することでユーザーやWEB担当者がページを把握するのに役立ちますので、可能な限り設定するようにしてください。
スラッグとパーマリンクの違い
スラッグとパーマリンクは似ているので混合されることがありますが、まったく別のものです。スラッグはURLの一部であることに対して、パーマリンクは各ページに与えられたURLのことを意味します。
例えば、https://www.switchitmaker2.com/wordpress/seo/seo2022years/というURLであれば、次の表に名称が分かれます。
ドメイン | switchitmaker2.com |
カテゴリーのスラッグ | seo |
ページのスラッグ | seo2022years |
パーマリンク | https://www.switchitmaker2.com/wordpress/seo/seo2022years/ |
パーマリンク(Permanent Link)は恒久的なリンクという意味ですので、リニューアルやページ統合などを除き、基本的に変わることはありません。
※手動で変更することはできますが、変更することで不利益を被るため推奨いたしません。事情により変更する場合には必ず301リダイレクト設定をするようにしてください。
スラッグによるSEO対策
スラッグはURLの一部の情報ですが、SEO対策に役立ちます。ただし、弱いシグナルでしかありませんので、スラッグを検討することがSEO対策になるというよりも、ユーザーのためであったり、管理のしやすさを考えて設定するようにしてください。
スラッグによるSEO対策としては以下の3つが挙げられます。
- 検索エンジンにコンテンツ内容を伝えられる
- ユーザーのクリックを促す
- スラッグに対策キーワードを入れる
検索エンジンにコンテンツ内容を伝えられる
検索エンジンはロボットが自動的にWEBサイトをクロールして、データベースに登録します(インデックス)。その後、インデックスされたページのなかからランキング付けをおこないますが、その際にスラッグの情報を参照にするといわれています。
スラッグにより、コンテンツの内容がどのようなものかが正しく検索エンジンに伝われば、それだけ関連性が高いと判断される可能性が高くなり、SEO対策につながります。
ユーザーのクリックを促す
Googleの検索結果にはドメインだけではなく、カテゴリーやスラッグなどが表示されるためタイトル、descriptionと合わせてユーザーの目に入りやすく、クリックにつながる可能性があります。
Googleも公式でシンプルでわかりやすい単語やローカライズした単語、場合によっては UTF-8エンコードを利用したURLにすることを推奨しています。
スラッグに対策キーワードを入れる
スラッグに対策キーワードを入れることで、コンテンツの内容が正しく検索エンジンに伝わる以外にも、対策キーワードを入れることそのものにSEO効果があるといわれています。
ただし、イグザクトマッチドメインアップデート(キーワードをそのままドメインに使用している低品質のドメイン評価を下げるアップデート)で起こったように、キーワードを使っているだけでプラスの評価を受けるわけではなく、前提として優れたコンテンツである必要があります。
また、スラッグによるSEO効果は軽微なものであり、スラッグを変更したことで検索順位が大きく上げることも見込めません。スラッグを変更することには大きなリスクがありますので、新規で公開する記事に対してキーワードを意識する程度にとどめてください。
スラッグを設定するメリット
スラッグの設定は自由にできますが、可能な限りシンプルに、コンテンツの内容を表した文字で表記してください。
スラッグの設定を最適化することでSEO効果がありますが、それ以上にユーザーにとって、検索エンジンにとって、そしてWEB担当者にとってわかりやすくなるというメリットが生まれます。
ユーザーにとってわかりやすい
スラッグの設定でコンテンツ内容を端的に表すことができれば、ユーザーはURLを見ただけでページの想像ができ、検索結果ではタイトル、descriptionと合わせて情報が伝わるためクリック率が上がる可能性があります。
また、検索結果に限らず、メールや匿名掲示板、外部リンクなどでもクリック前にページの内容が想像できるため、ユーザーに対するわかりやすさが向上します。
検索エンジンにとってわかりやすい
スラッグで端的にコンテンツを表すことで、検索エンジンがコンテンツを正しく理解するのに役立ちます。ランキングシグナルは非常に多く、一説には200以上といわれていますが、URL(スラッグ)もその1つになっています。活用できるものはできるだけ活用してください。
WEB担当者にとってわかりやすい
WEB担当者であればGoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールの管理画面を見ることが頻繁にあるはずです。その際に、どのページがアクセスが多いのか、どのページに回遊しているのか、どのページの順位が高いのかなどを分析する必要があります。
この際に、URL一覧と数値だけが表示されますので、スラッグを適切に付けることで、どのページがどういう状況なのかが非常にわかりやすくなります。後々の管理の手間を考えればスラッグの最適化は初期段階から怠らないようにしてください。
スラッグの設定方法
WordPressでは投稿、固定ページ、カテゴリー、タグの4種類のスラッグが設定できますが、管理画面では投稿と固定ページの設定方法は同じであり、カテゴリーとタグの設定方法は同じです。
投稿スラッグの設定方法
WordPressでは旧エディタを使っているか、ブロックエディタGutenberg(グーデンベルグ)を使っているかでスラッグの設定方法が異なります。
旧エディタを使っている場合にはタイトルの下にパーマリンクが表示されていますので、「編集」をクリックすることでスラッグ(上図赤枠)を変更することができます。
ブロックエディタGutenbergを使っている場合には、右側のメニュー「パーマリンク」のなかにスラッグを入力する項目がありますので(下図赤枠)、ここから設定可能です。
カテゴリースラッグの設定方法
カテゴリーのスラッグはWordPress管理画面の左メニューの「投稿」から「カテゴリー」をクリックし、新規カテゴリーの場合にはスラッグを入力して「新規カテゴリーを追加」することができます。
既存カテゴリーの場合には、右側の一覧からクリックすることで同様に編集可能(下図赤枠参照)です。
スラッグを設定する際のポイント
スラッグの設定は簡単ですが、わかりやすく、かつ、SEO効果を期待するには以下の4つのルールを守って設定するようにしてください。
- 半角英数とハイフンで設定する
- 検索キーワードを使う
- シンプルにする
- 重複しないようにする
半角英数とハイフンで設定する
スラッグは基本的には半角英数とハイフン(-)で設定するようにしてください。ローマ字または英語で設定し、スペースの代わりにハイフンを使うと考えてもらえればわかりやすいはずです。
NGなスラッグ設定の例1 | howtoseo |
NGなスラッグ設定の例2 | how to seo |
推奨スラッグ設定 | how-to-seo |
上記の例1ではハイフンを使っていないため、区切りがわかりづらく推奨されません。また、例2ではスペースを使っているため避けた方がよい表現です。推奨スラッグ設定のように端的に単語とハイフンを使うことでわかりやすいスラッグ設定ができます。
スラッグは日本語でも可能ですが、日本語を設定するとピュニコードと呼ばれる非常に読みづらい表現に変わってしまい、わかりやすさがなくなりますので、こちらも推奨できません。
例えば、「検索エンジン最適化」という日本語は、「xn--ick6a7lb9084b67ya4cdx16cfjzb」という文字列に変換されてしまい、意味がわからず、わかりにくいコードになってしまいます。ただし、Googleは公式でUTF8エンコードのURLを認めています。つまり、日本語スラッグを付けることによりSEO上の悪影響はありません。あくまでわかりやすさや視認性の問題です。
※区切りに使うハイフン(-)は半角で使ってください。全角(ー)もピュニコードに自動変換されるため(「xn--wek」と変換されてしまう)ので推奨されません。また、アンダーバー(_)やアンダースコア(_)よりもハイフン(-)が推奨されていますので、可能な限り徹底してください。
検索キーワードを入れる
スラッグには対象となるテーマキーワードを入れてください。例えば、how-to-seoであれば「SEOの方法」ということが端的に伝わります。キーワードを適度に使うことでSEO効果が狙えます。
シンプルにする
スラッグにキーワードを入れるということから、タイトルを英語にしてそのまま入れたり、長文を入れたりすることを考える方がいますが、原則NGです。シンプルにわかりやすいスラッグになるように設定してください。
例えば、「SEOの方法」であれば、how-to-search-engine-optimizationよりもhow-to-seoのほうがシンプルでわかりやすいため推奨されます。
また、公式サイトであれば会社概要、企業理念、サービスのような項目がよくありますが、それぞれabout、philosophy、serviceのように簡単に表現するほうが伝わりやすく、望ましい形です。
重複しないようにする
インターネット上ではWEBページとURLは必ず1対1で対応するため、スラッグの重複は厳禁です。WordPressでは既存スラッグと同じスラッグがついた場合には自動的に2、3、4・・・とナンバリングされていきます(例えば、seoというスラッグがあった場合には、次は自動的にseo-2、その次はseo-3と変換される)が、望ましい形ではありません。
短すぎるスラッグを付けると重複することがありますが、コンテンツの内容がわかるスラッグを付けていれば重複することはまずありません。それでも重複しないように注意はしてください。
スラッグを変更する際の注意点
スラッグはパーマリンク(恒久的なリンク)に影響しますので、リニューアルでもない限りは原則変更すべきではありません。しかし、それでも変更する必要があるときは次の3点に注意してください。
- SEO評価を失う
- 分析ができなくなる
- 外部リンク評価を失う
なお、すべての評価を捨てて最初から評価され直したいことを理由にスラッグを変更する場合も考えられますが、ほとんどの場合、うまくいきませんので推奨されません。
SEO評価を失う
コンテンツを検索エンジンのクローラーに巡回してもらったあとは、検索エンジン側でページの評価が進みます。ここでうまく評価がつけば検索結果に表示されるようになりますが、このページはURLで管理していますので、スラッグを変更するということはページ評価がゼロに戻ることを意味します。
301リダイレクトを使うことで変更前の評価を引き継ぐことができますが、100%正確に引き継ぐわけではないため、SEO評価の一部は確実に失い、再評価までには時間を要するリスクがあります。
分析ができなくなる
GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールでは特定のURLの数値や推移を確認することができます。しかし、スラッグを変更してしまうと、変更したタイミングで数値がゼロになってしまい、新しいURLではあるときを境に突然数値が増えることになりますので、分析の連続性が失われます。
1つ2つの変更であれば、担当者の記憶やメモで対応できますが、複数のスラッグを変更した場合には事実上、分析ができなくなる恐れがあります。
外部リンク評価を失う
スラッグを変更するとURLが変わります。つまり、外部サイトからのリンクの受け皿がなくなることになります。301リダイレクトを使うことで外部リンクの評価は引き継ぐことができますが、外部リンクが旧URLとつながっている限りはリダイレクトを外すことができなくなりますので単純に手間が増えます。
まとめ
スラッグとはURLの一部の文字列のことで、自由に設定できるものです。特にWordPressの普及が進んだ現在は、WEB担当者は誰しも触れたことがあるはずの領域です。スラッグを最適化することでSEO効果が期待できますが、それ以上にわかりやすさや視認性をもとに設定したほうが良い結果を生みます。スラッグの変更は常におこなうことができますが、安易に変更してしまうと大きな損失につながる可能性があり、その意味では記事公開の時点から手を抜けません。しかし、管理方法がむずかしいわけではありませんので、スラッグの基本を十分に理解したうえで正しい管理を心がけてください。