SEOポイズニングから考えるSEOの現実と理想について解説
世の中にスパム行為はあふれていますが、ほとんどは迷惑なだけで実被害にはそこまで遭わないかもしれません。しかし、SEOポイズニングでは実際に被害が出ている人が多数いるようです。
SEOポイズニングはスパム行為により検索上位に自サイトを表示させ、そこから詐欺ページに飛ばすという悪質な行為のことを指します。もちろん、こういった行為は見つかり次第、Googleにぺナルティを受けます。
SEOポイズニングについて
SEOポイズニング(SEO poisoning)とはスパム行為により作成されたページを検索上位に表示させ、検索から流入したユーザーの個人情報を取得したり、詐欺サイトに飛ばしたり、ウィルスに感染させたりといった悪質な行為のことを意味します。
Googleはユーザーファーストを徹底していますので検索結果に悪質なサイトは出したくありません。しかし、現実には検索結果に悪質なサイトが出てくるケースもまだ残っています。
これはSEOポイズニングを行う側がSEOに精通していて、検索エンジンの穴をついているということです。
SEOポイズニングについて、平成29年秋の応用情報技術者の試験でも取り上げられました。
問い:SEOポイズニングの説明はどれか。
答え:Web検索サイトの順位付けアルゴリズムを悪用して,検索結果の上位に,悪意のあるWebサイトを意図的に表示させる。
SEOポイズニングの手法
SEOポイズニングは以下の流れで行われます。
- 自動生成でSEO記事を量産し上位表示をする、または、上位表示されているサイトをクラッキングする
- 検索ユーザーがクリックした際に別サイトにリダイレクト(転送)する
- 転送先のサイトで不正行為を行う
サイトに流入したユーザーをリダイレクトすることは簡単な手続きで行うことができます。また、不正行為を行うサイトを作ることもそれほど難しいことではありません。
問題は1.の上位表示です。
上位表示されるということは多くの人の目に触れるということであり、必然的にアクセスも集まりやすくなります。逆を言えば詐欺サイトを作ったとしても上位表示が難しいのでアクセス数が非常に少なく、詐欺に引っかからなくて済むことになります。
Googleは悪質なサイトを排除するように動いていますし、コンテンツを評価して順位を決定しますので一般的に上位表示は簡単にはできません。なぜ悪質なサイトは上位表示ができるのでしょうか。
悪質なサイトが上位表示できる理由
悪質なサイトが上位表示できる理由はいくつかありますが、大きく分けると次の3つです。
- 正常なサイトがクラッキングにより悪質なサイトになった
- クローキングにより検索エンジンを騙している
- SEOの盲点を突いている
1つ目の正常なサイトがクラッキングされるのはサーバーやCMSなどにセキュリティホール(セキュリティ対策が万全ではない穴)があることに起因します。つまり、セキュリティの穴をついてサイトを書き換えたり、勝手にページを追加したりするということです。
SEOではドメインの強さがページ評価に強く影響することがありますので、ドメインが強いサイトを改ざんすれば上位表示は難しくないということです。
WEBサーバーの対策は自分ではできないことも多いですが、CMS(WordPressやMovableTypeなど)を使っている場合にはバージョン管理を徹底することである程度の対策はできます。
2つ目のクローキングというのは、実際のユーザーとクローラーで見られるページを差し替えているという場合です。ユーザーには不正ページを見せ、検索エンジンにはあたかも正常なサイトであるように偽装をすることで一定の評価を受けることができます。これは不正行為ですが、現実的に起こりうることです。
3つ目のSEOの盲点については、キーワードや対策方法によりますが、競合が少ないワードやスモールワードなどであればSEOで上位表示しやすいのが実際です。
例えば、2021年6月時点で2021年のクリスマス特集の記事を作るとします。検索需要が高くなるのは11月~12月ですので、今の時点では競合記事はほとんどなく、「クリスマス 2021」のようなキーワードで上位表示をすることは比較的容易です。
SEOの悪用の助長することが目的ではありませんので詳細は省きますが、このような行為の切り口を変えることでアクセスを集めることは可能です。
SEOポイズニングから考えるSEO
さて、SEOポイズニングの手法について解説してきましたが、東京SEOメーカーはセキュリティ会社ではなくSEO会社です。SEOポイズニングをSEOの視点で見ると興味深い事実が見えてきますのでご紹介いたします。
SEOの現実
SEOポイズニングからクローキングとスパム行為が有効なケースがあるということがわかります。
クローキングとはユーザーと検索エンジンに別のページを見せる行為です。検索エンジンにだけ正常なページを見せるということは検索エンジンを騙せるということに他なりません。もちろんGoogleでは、ガイドラインに違反した行為としてぺナルティを科します。
また、上位化するために大量のSEOコンテンツを作るために、ネットから関連ワードをひっぱってきたり、既存サイトの記事をコピーしても有効になるケースがまだあるということです。
エゴサーチをすると日本語として成り立っていない不自然なページが出てくることがありますが、まさしくSEOポイズニングではこのようなサイトを作って順位を取っています。これはワードサラダと呼ばれる主語、述語、修飾語などの文法は正しいものの意味をなさない文章であっても評価対象になるということを意味します。
SEOの現場では、こういったことはかなり少なくなってきたと感じています。
Googleの検索エンジンは相当精度が高くなっていることは間違いありませんが、現実的にはクローキングも、コピーコンテンツも、ワードサラダも有効(な場合もまだある)ということがわかります。
SEOの理想
スパム行為が現在でも有効になってしまうという事実はSEO会社としては残念ですが、10年以上前の無法地帯から考えれば相当によくなったことは間違いありません。
Googleの対策は望まれますが、セキュリティの問題はいたちごっこになることがほとんどですので完全になくすことは難しいでしょう。結局は自サイトでしか対策できないので限られてきますが、次のことは徹底しましょう。
- セキュリティホールはなくす
- 被害を拡大させないためにもセキュリティは確認する
- 他サイトに負けないだけのコンテンツを作り込む
セキュリティホールをなくすというのはサーバーやCMS(特にWordPress)のバージョンを細心に保つことで対応可能です。WordPressであれば本体は自動更新がありますがプラグインの更新があるかどうかは随時確認が必要です。
セキュリティを確認するにはサーチコンソールの「セキュリティの問題」から現況が確認できます。
そして、スパムで上位化を狙ってくるサイトがあれば不正行為では上位化できないだけのコンテンツを配信することでスパムサイトを押し下げることができます。
つまり、業界内でコンテンツを作り込むことでスパムが入り込む余地がなくなるということです。これは優れたコンテンツが複数出来上がるということですのでユーザーファーストの理念にも適っています。
まとめ