Googleの検索順位で1位を取るための思考をSEOコンサルタントから学ぶ[中級~上級WEBマーケター向け]
SEOによるWeb集客がマーケティング戦略の中核をなすようになってきました。BtoBマーケティングやBtoCマーケティングにおいても、オンライン施策とオフライン施策を組み合わせるオムニチャネル戦略が重要であると筆者は思います。
オムニチャネル戦略においても中核となるのはSEOです。オンラインからもオフラインからも最後はWebサイトへユーザーを集めてコンバージョンをするのが理想です。
SEOをすべてのマーケティング施策の中心的なポジショニングにおいてすべての施策を展開する思考をすると集客がうまく回り始め、売り上げ拡大につなげることができます。
SEO対策とは
SEO対策というと、SEOで上位表示させるための施策全般を指しますが、今までは、検索件数の多いビックワードを狙うSEO対策からミドルワードや複合ワードのスモールワードを狙うロングテールSEOを思い描くかもしれません。これらはキーワード選定から始まるSEO戦略であり、具体的な戦術は、コンテンツSEOであったり、テクニカルSEOであったりします。
2023年3月現在のSEO対策は、上記SEO戦略だけでは物足りなくなりつつあります。それには、Googleアルゴリズムの進化に加えユーザーの購買まで行くカスタマージャーニーの変化もあります。SEOにおいても顧客経験価値マーケティングの考え方が非常に重要になってきました。それがSEOからSXO(検索体験最適化)への変化です。(読み進めていくとどういうことかわかってきます。)
また、様々な検索結果(SERPs)により、ゼロクリックサーチも増え、単なるユーザーが検索した検索クエリに合致するページコンテンツがSEO枠で表示されればいいのではなく、ユーザーの目に留まるように、強調スニペットやリッチリザルト表示による他社との差別化や今後Google検索に実装されるAIチャットのLaMDAを取り入れたBardとの検索形態の化学反応について対応していかなければなりません。
これらすべての対策を筆者は、SEO対策(検索エンジン最適化の対策)と考えます。これに加えて、SXO(検索体験最適化)対策も行わないとSEOでの順位が上がらないことから、SXOに重要な、UIとUXや検索意図を読んだコンテンツ作成もSEO対策の一部と考えます。
テクニカルSEOは、主に、検索エンジンのアルゴリズム向けのSEO対策であるのに対し、コンテンツSEOは、Googleのコンテンツ評価指標(Page Quality評価、Needs Met 評価、E-E-A-T、YMYL、Core Web Vital)に沿ったSXO対策といえます。
ここまでの文章で、理解が及ばない方は、最後までいったん読んでから、またここの文章を読んでみてください。より理解が深まると思います。
SEOを成功させるために
SEOの成功とは、様々な検索クエリで上位表示(1ページ目以内)させサイトへのセッション数を増やすことです。ミドルワードスモールワードのロングテールSEOで上位表示させながら、最終的にはビックワードでの1ページ目以内を目指したいものです。
ロングテールSEOでの上位表示は、コンテンツSEOで可能です。SEO技術がそこまで高くなくても、Googleのコンテンツ評価指標にあった良質なコンテンツの質を保ちながら量を投下していけば成し遂げられる確率が上がります。
しかし、ビックワードでの上位表示ができなければ、いつまでたっても業界の競争に勝てず苦しい思いをすることになります。ビックワードで1ページ目以内に入ることが自分がいる業界内で生き残れる唯一の道と覚悟をもって施策に挑むことが検索順位のランキングを上げていく強いモチベーションとなります。
強いモチベーションでSEO対策を続けていれば、SEO対策をしているサイトのドメインパワーがサイトの成長に沿って強くなっていきます。ドメインパワーが強くなっていけば、上述した、検索結果以外での表示(強調スニペット・リッチリゾルト)も可能になります。
どういうことかというと、ビックワードの対策を続けていきドメインを強くした上で、強調スニペットやリッチリザルトに表示する構造化データを実装していけば、強調スニペットやリッチリザルトが表示しやすくなるということです。
近い将来、様々なSERPsで対策サイトが表示されるようなSEO対策をしていかなければ、生き残りは難しくなっていきます。よって、SEOを成功させるためにはこういった取り組みが必要になってきます。
さて、SEOを成功させるために、重要な思考内容を項目に分けて前述の言葉を補足して解説していきたいと思います。
- ポジショニングとユーザー行動からSEO対策を考える
- 俯瞰したSEO対策を考える
- クエリとユーザー層からSEO対策を考える
- CVからSEO対策を考える
- オムニチャネル戦略とSEO対策を考える
- 検索アルゴリズムの特徴からSEO対策を考える
- コンテンツ評価指標からSEO対策を考える
ポジショニングとユーザー行動からSEO対策を考える
デジタルマーケティング全体の領域のうち、WEBマーケティングの中核となるのがSEOです。
SEOは、マーケティングの中の施策の1つなので、
と常にマーケティング全体を俯瞰してポジショニングを確認しながら施策を進めることが成功へとつながります。マーケティングのポジショニングの確認とターゲットとなるユーザーの動きを把握します。
SEOで把握しておきたい購買行動モデルはAISCEAS(アイシーズ)です。ユーザーが検索するタッチポイントをユーザーのカスタマージャーニーよりどのフェーズか理解します。検索後に、ユーザーは、満足のいく検索体験を求めています。SXO(検索体験最適化)をしなければすぐにユーザーは離脱してしまいます。
今、マーケティング全体の中のSEOのドットポイント(起点)の確認とユーザー行動のカスタマージャーニー全体の中のSEOのドットポイント(起点)の確認をしました。
全体の流れをつかむことで、SEOと他の施策(オンライン施策とオフライン施策)の打ち手を考える思考のドット(起点)にします。
俯瞰したSEO対策を考える
俯瞰したSEO対策を考えるには、さんざん言及しているように、全体のWEBマーケティング戦略によるポジショニングをアウトプットしますが、その時に、リード獲得(リードジェネレーション)、顧客育成(リードナーチャリング)、受注(リードクオリフィケーション)のフェーズとユーザーのカスタマージャーニーとWeb集客の施策をまとめて把握します。
このように、常に全体を俯瞰してみて、その上でSEO対策に取り組むことが大切です。この視座が、SEO対策に息詰まった時に必ず壁を打破するドットポイント(起点)になってくれます。
また、SEO対策の様々な良いアイデアの発露ともなります。SEOを成功させるためのSEO対策に対してのアプローチと思考は様々な確度とフェーズと視座が必要です。いったん、俯瞰したSEO対策については今はこの程度の理解にとどめておいて次に進みます。
クエリとユーザー層からSEO対策を考える
ユーザー行動のカスタマージャーニーが頭に入ったら、ユーザーを今度は、潜在層・準顕在層・顕在層に分けて理解します。
3つの見込み層からリードジェネレーションを考えます。ユーザーの見込み客のフェーズにより行うSEO対策が異なってくることが分かります。検索クエリもユーザーの見込み層に合わせて、そのタイプを3つにわけることができます。
- ナビゲーションクエリ
- インフォメーションクエリ
- トランザクションクエリ
です。ブランド名や商品名、知名度があるキーワードがこのナビゲーションクエリとなります。トランザクションクエリは、更に具体的な商品購入、サービス申込みなど具体的な行動に繋がる、購入意欲に満ちたクエリです。インフォメーションクエリは、「情報収集」を念頭においた際に用いられるクエリです。
図にしてみると、選ぶキーワードの検索クエリによって狙うユーザーの見込み層が変わっているのが分かります。自分が行う集客の施策がどのターゲットに刺さっているのかよく理解してSEO戦略を練ることが大事といえます。
CVからSEO対策を考える
SEOの成功は、サイトへのセッション数が増えます。しかし、SEOに成功しサイトへの訪問者が増えてもお問い合わせや受注につながるコンバージョンがなければ、売り上げ拡大に貢献しません。そもそもコンバージョンを増やすための施策の1つとしてSEO対策を行っているので、CVがKPIとなり、CVを獲得するためのSEO対策であります。
そこで、CV獲得のための逆算戦略が必要となります。
CV獲得の期待値を上げるには、的確なキーワード選定と検索意図にあったコンテンツSEOに加え、CRO施策が必要です。CRO施策とは、コンバージョンにつながるコンバージョン率を上げるための施策になります。
CV獲得から考えると、ただ単にSEO順位だけを上げるSEO対策をしてもリード獲得はできてもすぐにサイトからの離脱につながってしまうことに気づきます。訪れたユーザーをきちんとCVまでもっていくためのCRO施策の必要性を考え始めます。
CRO施策には、主に、ユーザーを逃がさないためのUI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)の改善があります。そのための細かい施策としてお問い合わせフォームを最適化するEFO施策やお問合せしやすくするためのCTA(Call to action)施策を行います。
オムニチャネル戦略とSEO対策を考える
BtoBのリードジェネレーション(リード獲得)において、オンラインとオフラインの施策を組み合わせるオムニチャネル戦略が有効です。オムニチャネルとは、企業と顧客のタッチポイントや販売経路をすべて統合し、総合的に顧客へアプローチする方法です。
今まで、SEOの様々なポジショニングを見てきましたが、今度は、集客のためのオンラインの施策とオフラインの施策全体からのSEOのポジショニングを確認しました。
次に、オムニチャネルとユーザーのカスタマージャーニーを見てみます。
ユーザーのカスタマージャーニーは、オンライン施策から始まり、オフライン施策と重なり合って購買まで行くことが分かります。「真実の瞬間」とは、マーケティング用語で、顧客が動く瞬間です。オンラインの検索の瞬間と、来店を決める瞬間が真実の瞬間として存在することが分かります。2回の真実の瞬間を経て情報体験とリアル体験を経てユーザーの反応テストに合格したのち、ユーザーは購買まで行くことが見えます。
この真実の瞬間のテストに合格するために、どういうSEO対策をしてユーザーの情報獲得テストに合格し、またユーザーのリアル体験にうまくつなげる誘導をサイトでするかSXO対策部分でも合格しなければなりません。
このように、思考を重ねてSEO対策とSXO対策を進めていきます。
オムニチャネル戦略として、また別の見方をしてみます。
SEO対策を行うサイトを中心にオフライン施策とオンライン施策を展開していくことが図で分かります。情報をサイトへ集約していき、オンライン施策とオフライン施策をサイトからコントロールするイメージです。
検索アルゴリズムの特徴からSEO対策を考える
検索エンジンアルゴリズムから考えるSEO対策は、人間の5段階の欲求の階層(マズローの5段階欲求)を例に理解を深めてください。
マズローの5段階欲求とは、人間には5段階の欲求があるとする心理学理論のことです。人間の欲求は行動に現れますので、その観点ではマズローの法則はビジネスに活かすことができます。マーケティングでは、人間の欲求を理解して、行動を把握することが非常に大事です。
さて、このマズローの法則の階層をSEOにも当てはめて考察していきます。
マズローの法則の階層
- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 社会的欲求
- 承認欲求
- 自己実現の欲求
これをSEOのニーズの階層に当てはめてみます。
SEOニーズの5段階
- クロールアクセシビリティ(クロールされないと始まらない)
- コンテンツの充実(ユーザーが求めるコンテンツがないと始まらない)
- キーワード調査と最適化(検索クエリに対応しないとユーザーに届かない)
- 被リンク獲得(他者に紹介リンクをもらわないと評価が上がらない)
- UX、CROなどの改善(更なる成功への改善をしないとよくならない)
このように、優れたSEOの基盤は、クロールのアクセシビリティを確保することから始まり、そこから段階的に進んでいきます。GoogleのSEOニーズの優先順位を知ることでSEO対策の手順を決めていくことに役立ちます。
コンテンツ評価指標からSEO対策を考える
SEOのアルゴリズムにはないGoogleガイドラインに載ったコンテンツの評価指標があります。昨年12月に、E-A-Tの評価指標が、E-E-A-Tに代わり、E(体験/Experience)が追加されました。これは、コンテンツも体験をもとに書かれたコンテンツが信頼できるコンテンツであるということで評価指標に追加されました。このことから、コンテンツも体験重視、ユーザーも体験重視、検索も体験重視となっていることの気づきを得ることができます。
Googleの評価指標
- Page Quality評価
- Needs Met 評価
- E-E-A-T
- YMYL
- Core Web Vital(コアウェブバイタル)
Googleアルゴリズムアップデート(おさえておきたい4つのアップデート)
評価指標とGoogleアルゴリズムは違います。アルゴリズムのアップデートは随時行われてランキングに大きな影響を与えています。評価指標は、SEOランキングで上位表示するためのコンテンツの方向性を示したものです。
SEOの全体図
様々な視点からSEO対策を見てきました。どの視点も重要で、SEO対策は包括的に行って初めて成功すると今なら腑に落ちるのではないでしょうか。では、ここで、SEOの全体図を見ていきましょう。
今までは、SEO自体を大きく俯瞰したポジションから見てきましたが、ここで初めて、1つのサイトに対するSEO対策を見ています。
そうすると、
①のキーワード選定では、「クエリとユーザー層からSEO対策を考える」時に学んだ思考から深みのある理解ができます。②の内部対策では、「検索アルゴリズムの特徴からSEO対策を考える」時に学んだ思考から優先順位が決められます。
③のコンテンツ作成では、「コンテンツ評価指標からSEO対策を考える」時に学んだコンテンツを作れるアイデアが浮かびます。④のSXO施策では、「CVからSEO対策を考える」時に学んだCROの重要性から腰を添えて対策ができます。
⑤の外部対策も、今までの学習から、プレスリリースによるサイテーションの獲得が考えられ、優先順位を下に持ってくる気づきを得ることができます。
色々な確度から見たSEOにより気付きを得たSEO対策は、そうでない場合のSEO対策と比べると、取り組みと成果が大きく変わってきます。
視点を変えてこちらをも読んでみてください>>SEOとは?SEO対策の最新ガイドとSEOチェックリスト100完全版[初心者~上級者]
SEO対策の未来を考える
ここまで、SEO対策とSEOについて様々な確度から考えてみました。最後にSEOがなくなるかもしれないという思考をしてみます。
OpenAIが公開したチャットAI「ChatGPT」が、Google の主要な検索エンジンビジネスに深刻な脅威をもたらす可能性があり、Googleは急いBard(バード)と名付けた会話型 AI の検索への導入を検討しています。
もし、今後、会話型AI検索が主流になって、ユーザーが検索窓から検索した検索結果を閲覧しなくなれば、SEOは事実上、消滅するといえます。(SEOがなくなるかもしれない思考こまかこまかしかし、Googleは、会話型AIとSEOと広告を併用していく様子がうかがえます。
上図は、Googleの公式ブログの画像の引用です。右側の画像で、Bard(バード)と名付けた会話型 AIに質問している様子が伺えます。よく見ると質問の返答の下に、SEOのオーガニック検索結果が出ていることが分かります。この様子から、Bardが実装後もSEOは残ると推測ができました。
しかし、確実なことは何もわからなので、今回学んできたマーケティングに対する大きく俯瞰した視座でSEO対策を思考していけば、たとえSEOがなくなっても次の打ち手をすぐに見つけることができるはずです。SEOは、Web集客の手段の1つにしか過ぎないからです。
まとめ