SEOスターターガイドをリニューアルへ、なにが変わったのかを解説
Google社は、WEBマスター向けにSEOのトピックをまとめたガイドのSEOスターターガイド(Google検索エンジン最適化スターターガイド)をリニューアルしたと2024年2月2日にGoogle検索セントラルで発表しました。
参考(外部):SEOスターターガイドを刷新しました | Google検索セントラルブログ | Google for Developers
本発表では、SEOスターターガイドをリニューアルした目的として、これからSEOを学び始めた人にとって知ってほしいことをまとめなおした旨が語られています。具体的には、高度な技術を要する項目や古い項目を削除しつつ、説明内容をわかりやすく再編集しています。さらに、初心者が知っておくべき項目が追加されました。
SEOスターターガイドの更新頻度と役割について
Google社は、初心者のWEBサイト運用者に向けて、SEOスターターガイド(Google検索エンジン最適化スターターガイド)を2008年にリリースしました。
参考(外部):SEOスターターガイド
そして、本ガイドのリリース時に、WEBサイトのオーナーから検索結果を上げるためのポイントに対する質問を多数受け付けたと述べています。そこで、これからSEO対策を学ぶ方に向けて、参考資料を作ることにしたと語っています。
本ガイドがリリースされてから15年ほど経過しましたが、本ガイドが更新されるケースは滅多にありませんでした。履歴によると、これまでに大きく変更されたのは、2010年9月、2017年12月の2度のみのようです。
参考(外部):SEOスターターガイドの発表記事
リニューアルで変更されたポイント
Google社は、SEOスターターガイドをリニューアルした旨を2024年2月2日に発表しました。それによると、今回の改定では、次のようなポイントに重点をおき修正したとのことです。
- 業界用語や冗長な説明を削除して、すばやく要点に入れるようにした
- 項目の核となる部分に凝縮して説明を簡素化した
- 「なぜ、そのテクニックが必要か」という疑問に対して、詳しく説明するようにした
参考(外部):SEOスターターガイドの刷新発表
そして、新規項目の追加、既存項目の削除、既存項目のリライトの3つの切り口でガイド内容が変更されました。
新規項目の追加
新規で追加された項目は下記の4つです。
- 「重複コンテンツを減らす」について
- 「動画を最適化する」について
- 「検索結果への反映にかかる時間」について
- 「Googleが重要でないと考えること」について
「重複コンテンツを減らす」について
SEOスターターガイドに、新規項目「重複コンテンツを減らす」が追加されました。本項目では、重複コンテンツの概要と修正方法について解説されています。
まず、Google社がいう「重複コンテンツ」とは、異なるURLで同じコンテンツが表示される状態を指しています。そのため、外部サイトのコピー記事などは、また別の問題ですので説明の対象外となります。混同しないように注意してください。
そして、修正の必要性に関しては、次のように述べています。
サイトに重複コンテンツがあっても Googleのスパムポリシー違反にはなりません 〜中略〜 自分でURLの正規化をしなくても、Google が代わりに正規化を試みます。
引用:Google公式SEOスターターガイド | Google検索セントラル | ドキュメント | Google for Developers
つまり、WEBサイト内の重複コンテンツを修正せずとも、大きな問題には発展する可能性が低いということです。
さらに、修正の手法として、リダイレクトやcanonicalの設定を紹介しています。
関連記事:重複コンテンツとは?コピペ率を確認する方法や取るべき対策をわかりやすく解説
「動画を最適化する」について
新たな項目「動画を最適化する」が追加されました。本項目では、Google検索で動画の検索結果に表示するためのポイントが紹介されています。それによると、次のようなコツがあるようです。
- 高画質な動画コンテンツを作成する
- WEBページに埋め込み、関連テキストを動画近辺に掲載する
- 動画タイトルと説明文として、適切なテキストを用意する
関連記事:動画SEOとは?VSEOの得られるメリットや注意したいポイントを解説
「検索結果への反映にかかる時間」について
新規項目として「検索結果への反映にかかる時間」が追加されました。本項目では、WEBサイトの更新がGoogle検索エンジンに反映されるまでにかかる時間について説明されています。この項目のポイントは、次のとおりです。
- すぐに反映されるケース、数時間〜数ヶ月かかるケースがある
- 必ずしも、更新内容が反映されるとは限らない
また、更新作業から数週間経過後に、更新内容が反映されているか確認することを推奨されています。
「Googleが重要でないと考えること」について
新規項目「Googleが重要でないと考えること」が追加されました。本項目では、SEO対策として重要性が低い施策がまとめられています。
Google検索エンジンは、これまでに数多くのアップデートを繰り返してきました。過去では効果がみられた施策でも、現在のGoogle検索エンジンには通用しないトピックが多数あります。具体的には、次のようなトピックは、「的外れで効果的ではない」とGoogle社が語っています。
トピック | 解説文の要約 |
---|---|
メタキーワード設定 | Google検索では、キーワードのメタタグが利用されていない。 |
キーワードの乱用 | 同じことを繰り返して伝えることの意味が薄い。度が過ぎるとスパムポリシー違反になる。 |
URL内のキーワード設定 | サイト内容に合ったドメイン名が適切である。ただし、ランキングに与える効果はほぼない。 |
文字数の量 | 上位表示を目的に文字数を調整しても無意味である。ただし、テキストの表現を高める(品質向上)すると、複数のキーワード検索結果に表示されるチャンスが生まれる。 |
サブドメインとサブディレクトの | どちらを採用してもよい。コンテンツの性質によっては、サブドメインに分割することに意味が生まれるケースもある。 |
ページランク対策 | Google検索エンジンのアルゴリズムに利用されているものの、数多く存在するランキングシグナルの1つにすぎない。 |
重複コンテンツ対策 | 複数のURLで同一のページが表示される現象は、問題ないので気にする必要はない。ただし、外部サイトのコピーコンテンツを有している場合は話が別。 |
見出しの数 / 見出しの数列 | 理想的な見出し数は存在しない。また、見出しの数列(h2,h3など)を順番通りに使わなくとも問題ない。(誤ったHTMLの使い方をするサイトが多く、Googleは気にしていない) |
E-E-A-Tをランク要因と捉える | 誤っている。E-E-A-Tは、優れたコンテンツを探すための1つのシグナルにすぎず、直接的にランキングに影響を与えることはない。ただし、YMYL領域においてはE-E-A-Tを重視している。 |
※上記表の解説文は、「Googleが重要でないと考えること」の内容を要約したものです。
既存項目のリライト
ガイド内容を修正した項目は次のものです。
- 「Googleへのサイトの登録」について
- 「SEO専門家が必要かどうかを検討する」について
- 「検索結果のタイトルリンクとスニペットを制御する」について
- 「画像を最適化する」について
- 「リンクを上手に使う」について
- 「ウェブサイトを宣伝する」について
- 「サイトの階層を整理する」について
「Googleへのサイトの登録」について
既存項目「Googleへのサイトの登録」が「Googleがコンテンツを見つけられるようにする」に変更されました。また合わせて、次のトピックに焦点を当て説明文に修正しました。
- 自社サイトが検索結果に表示されているかを確認する方法
- 検索結果に表示されていない場合にすべきこと
「SEO専門家が必要かどうかを検討する」について
既存項目「SEO専門家が必要かどうかを検討する」がコンパクト化されました。別ページの説明と重複していたため、項目自体を削除して、下記の内部リンクが設置されました。
参考(外部):SEO業者の利用を検討する
「検索結果のタイトルリンクとスニペットを制御する」について
既存項目「検索結果のタイトルリンクとスニペットを制御する」が「タイトルリンクに影響を与える」と「スニペットを制御する」に分解されました。項目のテーマを整理しつつ、わかりやすい説明に修正されました。
「画像を最適化する」について
既存項目「画像を最適化する」が「最適化した画像をサイトに追加する」に変更されました。初心者にとって重要な代替テキスト(alt属性)に関する説明を中心としました。
「リンクを上手に使う」について
既存項目「リンクを上手に使う」が「関係のあるリソースにリンクする」に変更されました。リンクが有用である点を強調しつつ、「なぜ重要なのか」の説明に特化しました。
「ウェブサイトを宣伝する」について
既存項目「ウェブサイトを宣伝する」の記事内容が修正されました。
「サイトの階層を整理する」について
既存項目「サイトの階層を整理する」が「サイトを整理する」に変更されました。説明内容を簡潔に済ませつつ、詳細な情報を提供するため、下記ページにリンクを設置しました。
参考(外部):Engage and find your fans
既存項目の削除
今回のリニューアルで削除された項目は下記のとおりです。
- 用語集
- 構造化データのマークアップを追加する
- 検索のパフォーマンスとユーザーの行動を分析する
- モバイルフレンドリー
このうち、既存項目「用語集」の項目を削除して、それぞれ該当箇所にて説明文が追加されました。同「構造化データのマークアップを追加する」「検索のパフォーマンスとユーザーの行動を分析する」に関しては、高度なトピックで、初心者には不向きであるため、項目を削除されました。「モバイルフレンドリー」においては、現在のWEBサイトでは、標準で実装されており、情報として価値が低いため削除されたようです。
SEOスターターガイドに目をとおして、WEBサイト運用のヒントをえる
SEOスターターガイドが大幅に更新されるケースはまれです。そのため、修正されたポイントに対しては、Google社が大きな課題として捉えていると推測されます。
たとえば、新規項目として「動画を最適化する」が追加されています。これは、近年では、YoutubeをはじめとするWEB上の動画コンテンツの存在感が高まり、SEO対策としても注目を集めているため加筆されたという仮説が立てられます。
また、新規項目「Googleが重要でないと考えること」では、WEB上でサイトオーナーが悩んでいるトピックに対する答えを提示しています。つまり、本項目では、初心者が勘違いしやすいトピックの正しい知識をえられるということです。
このように、SEOスターターガイドの「どの点が」、「どのように変更されたのか」に考えを巡らせることで、サイト運用上における貴重なヒントとなる可能性があります。
SEOスターターガイドのよくある質問
SEOスターターガイドに関する、よくある質問をまとめています。
Q:SEOスターターガイドとはなんですか?
Answer)SEOスターターガイドとは、主に初心者のWEBサイトオーナーに向けて作成された、Google社が提供する公式のSEO対策に関する資料のことです。
Q:SEOスターターガイドは、なぜリニューアルされたのですか?
Answer)これからSEO対策をはじめる方にとって、これまで以上にわかりやすい資料に変更するためです。具体的には、次のような点が変更されています。
- 業界用語や冗長な説明を削除して、すばやく要点に入れるようにした
- 項目の核となる部分に凝縮して説明を簡素化した
- 「なぜ、そのテクニックが必要か」という疑問に対して、詳しく説明するようにした
まとめ