SEOの成功率を高める組織戦略のポイントは?
インターネットを活用したオンラインビジネスの競争は年々激しさを増しています。実際、経済産業省の『令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)』では、令和4年のBtoC-ECの市場規模が前年比9.91%増の22.7兆円に達している一方、EC出店数も2017年から比較すると479%増加しています。
オンライン集客のカギとなるのが、検索エンジンでの露出を増やし、自社サイトへのユーザー流入を狙うためのSEO(検索エンジン最適化)です。
2017年 | 2023年 | 増加率 | |
モール | 747,685 | 1,615,607 | 216%増加 |
ショッピングカート | 110,894 | 176,360 | 159%増加 |
インスタントEC | 1,000,000 | 2,700,000 | 270%増加 |
ECパッケージ | 33,058 | 53,074 | 160%増加 |
スクラッチ | 5,000 | 4,550,041 | 910%増加 |
合計 | 1,896,637 | 9,095,082 | 479%増加 |
参考ページ:【2023年最新版】国内のECサイト・ネットショップの総稼働店舗数 – eccLab
企業組織におけるSEOの重要性
SEOは、企業のWEBサイトを検索エンジンで上位表示させ、ターゲットにリーチするための効果的な手段です。検索エンジンで企業の存在感を高めることができれば、ブランド認知度を向上させ、新規顧客の獲得につながります。
なお、SEOはデータ分析に基づいているため、消費者の行動や市場動向を把握するのにも役立ちやすいです。企業の組織戦略を考える際には、SEOを実施する過程で得たデータを活用することが有効に働く可能性もあります。
SEOを成功に導く組織戦略のポイント
組織戦略を決める際には、人材マネジメントや市場分析、リソース配分などを考慮する必要があります。その際、SEOの果たす役割を明確にし、競争力のある戦略を構築してください。ここでは、戦略項目ごとにSEOの役割やポイントを詳しくお伝えします。
人材マネジメント
SEO対策に取り組むには、キーワード調査やコンテンツ制作、データ分析など多様な業務が必要です。そのため、組織戦略を考える際には、専門チームを編成することを検討してください。
参考のため、他社がどれくいらの規模でチーム編成をしているのかお伝えします。2017年におこなわれたseoClarityの調査報告によると、各企業がSEO対策チームに割り当てる人材は2-5人程度が最多となっています。
参考ページ:THE STATE OF ENTERPRISE SEO IN 2017 – seoClarity
人事評価システム
組織戦略では人事評価システムを検討しますが、その際にSEO業務に対しても正当な評価制度を構築しなければいけません。ただし、SEOの評価基準は多岐にわたります。例えば、検索エンジンのランキングやトラフィックの増加率、コンバージョン数などです。自社がどういった項目を重視しているのかを、組織戦略を検討する際に明確にして、公平な人事評価システムにしてください。
リソース配分
企業戦略を決める際にはリソース配分を考えます。SEOにどれだけの費用を割りあてるかを慎重に検討してください。seoClarityの調査報告で示された予算は、1ヶ月あたり2万ドル以上の企業が26.7%を占めています。
参考ページ:THE STATE OF ENTERPRISE SEO IN 2017 – seoClarity
また、リソース配分には、予算だけでなく人材の割りあても重要です。SEOの専門知識を持つ人材やコンテンツ制作をおこなうライター、技術サポート者など、どれだけ外部・内部の人材を割りあてるのか検討してください。
顧客・市場分析
組織戦略を決める際には、市場動向や競合・顧客分析をおこない、それに基づき競争優位性を確保しなければいけません。SEOはこれらの分析において重要な役割を果たします。SEO分析をおこなえば、競合他社がどのようなキーワードで上位表示をしているのか、さらに市場トレンドや消費者の検索行動など、競合他社と顧客について多くの知見をえられるはずです。
具体的には、SearchConsoleやGoogleアナリティクスなどからえられる情報を参考にしてください。
参考ページ:GA4(Google Analytics 4)とは?グーグルアナリティクス4の設定方法や旧GAとの違い等
実行計画
戦略を実行に移すには、詳細な計画を立てます。その際、マーケティング全体の中におけるSEOの重要度に応じて、行動開始タイミングと必要な時間を割りあててください。例えば、SEOの優先度が高いなら早期に開始し、継続的にリソースを投入することが求められます。逆に優先度が低いなら、指名検索や重要キーワードに絞って対策をとるなど、必要最小限の施策になります。
組織戦略に合ったSEOチームの編成方法
組織戦略は突きつめれば、組織のあり方です。そのあり方に沿ったSEOチームを編成しなければいけません。
理想的な組織像にあった人材を選ぶ
SEOチームの編成を考える際には、理想的な組織像にあった人材を選ぶことが重要です。例えば、組織がデジタルマーケティングのリーダーシップを目指す場合、高度なSEO知識や実績のあるSEOコンサルティングの経験者などの専門家を採用する必要があります。このように、理想的な組織像を明確にしておけば、求めるスキルセットや人材を特定しやすくなります。
チームでビジョンを共有する
理想的な組織像や企業が目指すビジョンをSEOチームで共有します。共有することによって、チーム全員が同じ方向に向けた行動をとることができます。具体的には、組織の長期的な目標やSEOの意図を明確に伝え、全員がその重要性を理解することが必要です。
役割と責任を明確化
チーム内での各メンバーが果たす役割と責任を明確化します。各メンバーが具体的な役割と責任を持つことで、チーム全体が効果的にSEO対策を進めることができます。
例えば、技術的なSEO担当者はWEBサイトの最適化やページ読み込みスピードの改善など技術的な問題解決に取り組みます。一方、コンテンツ担当者はキーワードリサーチや一次情報の収集などに取り組みます。このように役割と責任を明確にすることで、各メンバーが自分の職務に集中しやすくなります。
継続研修
SEOのトレンドやアルゴリズムは常に変化します。そのため、チームメンバーが最新の知識とスキルを習得できるよう継続研修が必要です。トレーニングやワークショップを開催し、最新技術やSEOの傾向を学ぶ機会を用意してください。技術進歩の激しい世界では、あらかじめリスキリングの計画を立てておくことが望ましいです。
参考ページ:リスキリングとは?基本的な概念や注目される背景、メリットなど解説
SEOと組織戦略のよくある質問
ここではSEOと組織戦略について、よくある質問をとりあげ解説します。実際に戦略を検討する際に確認してください。
Q:SEOチームを編成する際のポイントは?
Answer)SEOチームを編成する際の重要ポイントは、理想的な組織像に基づいて人材を選定することです。理想的な組織像を決めることは、組織戦略の中でもっとも土台になるものです。SEO対策は、その理想的な組織像を実現するための1つの手段です。SEOチームを編成するときも、このことを起点に進めてください。
Q:SEO施策の見直しはどのようにおこなうべき?
Answer)SEOにおいては頻繁にアルゴリズムが変わるため、数ヶ月に一度は何に重点をおいて対策を進めるべきかを検討してください。また、組織戦略という視点からも、SEO対策の定期的な見直しが必要です。組織全体で、マーケティングのどの課題に優先順位をおくかは、市場環境によって変わるためです。
Q:組織戦略は変更しても良いか?
Answer)組織戦略は頻繁に変えるべきではありません。しかし、自社がデジタルマーケティング中心の場合、市場変化が早いため必要に応じて変更しても良いです。環境の変化や市場の動向、競合状況、技術革新などに注目し、大きな変化が見込まれる場合は、組織戦略を柔軟に見直してください。固定された戦略では、急速に変化するオンラインビジネスの環境に適応できない可能性があります。
Q:組織戦略の決定プロセスには、どのような方法がある?
Answer)組織戦略を決定するプロセスにはトップダウン方式とボトムアップ方式の2つがあります。トップダウン方式は、経営層が戦略を策定し、部下に実行させる方式です。一方、ボトムアップ方式は、現場の従業員から意見を集め、戦略をつくる方法です。それぞれのメリットは次のとおりです。
各方式のメリット
- トップダウン方式:迅速な意思決定ができる点がメリットです。変革や危機対応を迫られているときなどに有効で、スピードが求められる際にはトップダウン方式を使ってください。
- ボトムアップ方式:現場の意見やアイデアが反映されやすいため、現実に即した戦略を構築できる点がメリットです。実行段階で協力が得られやすいため、組織全体の問題解決力が向上することが期待できます。
まとめ