サテライトサイトの基本を解説!目的や作り方、運用事例など紹介
日々のWEB運営において、トラフィックやコンバージョンの向上は永遠の課題といえます。その課題に取り組む際、メインサイト単独では、どうしても力不足を感じることがあるのではないでしょうか。メインサイトだけでは、どうしてもリーチできないターゲット層が一定数存在するからです。そこで、役立つのが「サテライトサイト」です。
サテライトサイトの概要
サテライトサイトは、メインサイトを補助する小規模なWEBサイトのことです。例えば、メインサイトの検索エンジンランキング向上に役立てたり、これまでリーチできなかったユーザーからのトラフィックを増やすなどの目的があります。
サテライトサイトで提供する情報は、関連するキーワードに特化したコンテンツの場合もあれば、特定の商品情報などのこともあります。どちらにしても、メインサイトを補助する形で運用する点は変わりません。
ただし、サテライトサイトの運用は慎重におこなってください。というのも、サテライトサイトの内容が薄い場合、検索エンジンからスパムと見なされることがあるためです。そのため、高品質なコンテンツを提供し、検索エンジンのガイドラインに従った対応が必要です。
サテライトサイトの役割
サテライトサイトは具体的にどのような目的で作られ、どのような効果が期待できるのでしょうか。ここではその点を整理してお伝えします。
ターゲット顧客の拡大
サテライトサイトは、メインのWEBサイトとは異なる顧客層にリーチするために運用されることがあります。
例えば、ある健康食品のメーカーが中高年向けの商品を販売しているとします。このメーカーが若年層にも関心を持ってもらいたいと考えたとき、同じWEBサイトでそれを実現するのは困難です。顧客の年代が異なれば、訴求ポイントも言葉遣いなども変わるためです。
このような場合、若年層に焦点をあてたサテライトサイトを立ち上げることが有効です。このサテライトサイトで若年層が関心を持ちそうなコンテンツを掲載し、若年層向けのメリットなどを伝えます。このように、サテライトサイトではメインサイトとは異なるターゲットに情報を提供することで、自社の顧客層を拡大することができます。
被リンク獲得
サテライトサイトの目的として、メインサイトに向けた被リンクの獲得があります。
被リンクとは、他のWEBサイトから特定のWEBサイトに対して張られたリンクのことで、検索エンジン最適化において効果が見込めます。なぜなら、検索エンジンは被リンクを人気の指標と解釈し、多くの被リンクを受けたサイトは人気が高く、信頼性も高いと判断するためです。
ただし、被リンクは「良質なサイトから」のものでなければいけません。品質の低いサイトからリンクされた場合、検索エンジンから評価を下げるリスクがあるためです。場合によってはスパムとみなされ、検索結果でのペナルティやランキング低下を招きます。
リンクの数量よりも質を優先し、サテライトサイトの質向上にも手を抜かないようにしてください。
【基本】サテライトサイトの作り方・運用の仕方
ここでは、実際にどのようにサテライトサイトを作ればいいのか詳しい解説をおこないます。具体的なポイントとしては、次の5つがあります。
- 独自ドメインを用意
- 別のサーバーを用意
- 高品質なメディアにする
- 発リンクは慎重におこなう
- 新規追加や更新
独自ドメインを用意
サテライトサイトを作る際には、メインサイトとは異なる「独自ドメイン」を用意してください。メインサイトとは異なるドメインから被リンクを獲得することで、SEOの観点からプラスになるからです。
また、独自ドメインにしておくことで、リスクヘッジをする効果もあります。例えば、万が一サテライトサイトに何らかのペナルティが課された場合でも、その影響がメインサイトに及ぶのを防ぐことができます。同じドメインであれば、両サイトが共倒れになる可能性があります。
その他、独自ドメインにしておくことは、ブランド構築という点からも意味があります。ドメインを分けることで、ユーザーから別ブランドと認知してもらえるからです。
このような理由から、サテライトサイトを運用する際には、まずメインサイトとは異なる独自ドメインを取得してください。
参考ページ:ドメインとは?ドメインの種類や独自ドメインのSEOメリットを解説
別のサーバーを用意
ドメインと同じように、サーバーもメインサイトとは異なるものを用意してください。なぜなら、検索エンジンは同じIPアドレスから複数のリンクがある場合、スパム行為とみなすことがあるためです。
異なるサーバーを利用すると、異なるIPアドレスを持つことになり、リンクの多様性を示していることになるため、SEOにプラスの影響を持たせられます。
参考ページ: IPアドレスとは?IPアドレスの種類とSEOの関係について解説
高品質なメディアにする
サテライトサイトの運用は、単にメインサイトへのリンクを増やすことを目的にしてはいけません。サテライトサイト独自の価値あるコンテンツを提供してください。悪い例としては、メインサイトと同じ内容を繰り返し伝えているなどが挙げられます。ユーザーに新たな価値を提供しなければ、検索エンジンによる評価も低くなります。
サテライトサイトにはメインサイトとは異なる角度からの情報や、独自の見解を伝えた質の高いコンテンツを掲載するようにしてください。品質を高めることにより、WEBサイト自体が価値ある情報源として認識され、ユーザーにとっても有益なメディアになります。
検索エンジンから、サテライトサイトが信頼されるようになると、それ自体が多くのトラフィックを呼ぶようになり、メインサイトとの相乗効果を発揮することができます。
発リンクは慎重におこなう
サテライトサイトの作成・運営において、メインサイトへの発リンクを設けることがあります。そうすることによって、SEO効果が生まれるからです。
ただし、このメインサイトへのリンクは、それがユーザーにとって価値ある情報提供になっている必要があります。WEB担当者が自身の利益のためにリンクの数を増やすことは適切ではありません。
実際にユーザーが求めている情報への道しるべとなるような、有意義で関連性の高いリンクに限定してください。このルールを踏まえることで、サテライトサイトからのリンクは自然で価値あるものと評価されます。メインサイトであっても、サテライトサイトであっても、最終的にはユーザーに有益な情報を伝え、より良い体験をしてもらうことが目的です。
新規追加や更新
新規記事の投稿や既存コンテンツの更新を定期的におこなうようにしてください。なぜなら、検索エンジンは、WEBサイトが更新されることで、新鮮な情報をユーザーに提供していると判断するからです。
長期間にわたって放置されたWEBサイトは、情報が古くなっていると見なされるため評価が下がる傾向にあります。
このように、サテライトサイトの品質維持のためにも、最低限月に一度は内容を更新するようにしてください。そうすることで、ユーザーにとっても検索エンジンにとっても、魅力的で有益なWEBサイトであると判断されます。
ペナルティになる可能性が高いサテライトサイト
Googleは、サテライトサイトの構築を禁止していません。しかし、不適切な運用方法だと、ペナルティになる可能性があります。ペナルティになりやすいサテライトサイトの特徴は次の2つです。
- コンテンツの質が低い
- メインサイトと同じレイアウト
コンテンツの質が低い
運用する際には、コンテンツの質に注意してください。質が低いというのは、例えば単にメインサイトの内容をいい換えただけのものや、ほとんど更新されない場合が該当します。
このようなコンテンツは検索エンジンからの評価が下がったり、ペナルティを受けるリスクがあります。WEB担当者は、発リンクすることのみに焦点をあてるのではなく、サテライトサイト自体に独自の価値を持たせるよう目指してください。
これにより、サテライトサイトは信頼性のある情報源として評価され、ペナルティのリスクを避け、メインサイトへのプラスの影響をもたらすことができます。
メインサイトと同じレイアウト
メインサイトと異なるレイアウトにしてください。デザインを変えることで、ソースコードの類似性を避けるためです。サテライトサイトとメインサイトが類似したソースコードを持っていると、検索エンジンから重複したコンテンツと見なされる可能性があります。
サテライトサイトの運用事例
ここでは、サテライトサイトの運用事例をいくつか紹介します。
リクナビ
求人サイトを運営するリクナビでは、ターゲット層に合わせて、いくつかのサテライトサイトを運営しています。メインサイトは『リクナビ2025』で、こちらは学生や既卒生をターゲットにしています。有益な情報として「就活準備ガイド」や「イベント情報」などを提供しています。
参考ページ:リクナビ2025
サテライトサイトとしては、転職希望者をターゲットとした『リクナビNext』があります。こちらでは「転職成功ノウハウ」や「求人特集」などの有益なコンテンツを提供しつつ、業種や職種で希望する求人を効率的に検索できるサービスを用意しています。
参考ページ:リクナビNext
また、2つ目のサテライトとして『リクナビ薬剤師』を運営しています。こちらは名前の通り薬剤師の転職を支援するものです。このサテライトサイトでは「転職成功事例」などを掲載したり、エリアや希望条件に応じて求人情報を絞り込むことができるようなになっています。
参考ページ:リクナビ薬剤師
このようにリクナビではターゲットごとにサテライトサイトを運用し、効率的な情報提供と幅広い集客を実現しています。
株式会社ベネフィット・ワン
株式会社ベネフィット・ワンは、福利厚生サービスの運営代行をおこなう企業です。官公庁や企業向けに、ヘルスケア、精算代行、CRM事業など幅広いサービスを展開しています。
メインサイトは中心となるサービス『ベネフィットステーション』について詳細を解説したページです。
参考ページ:ベネフィットステーション
一方、サテライトサイトとしてボーグルを運営しています。ボーグルでは、働き方改革や人材育成、ワークライフバランスなどのコンテンツを豊富に用意しています。
参考ページ:ボーグル
また、各コンテンツの最後にはメインサイトへのリンクを張り「お問い合わせ」や「資料請求」などができるようになっています。
サテライトサイトのよくある質問
ここでは、サテライトサイトのよくある質問についてお伝えします。
Q:サテライトサイトのメリットは?
Answer)サテライトサイトのメリットには、特定のターゲット顧客にリーチしやすいという点やメインサイトへの被リンクを獲得できるという点があります。特にサテライトサイトの品質が高ければ、SEOにもプラスの影響があります。
Q:複数のサテライトサイトを持つことは可能ですか?
Answer)同じターゲットに対して、複数のサテライトサイトを運用してもあまり良い効果は望めません。逆に不適切な運営をすると、検索エンジンからスパムと見なされる可能性があります。
本当にWEBサイトを分ける必要があるのかどうか、再検討してください。
また、複数のWEBサイトを運営し、それらを高品質な状態で保つには、時間や人材などのリソースも必要です。その点も注意が必要です。
Q:メインサイトへのリンクはどのように配置すべき?
Answer)サテライトサイトからメインサイトへのリンクは、ユーザーにとって自然な形で配置してください。メインサイトと関連のあるコンテンツを作った際にリンクを配置するのが適切です。どのようなタイプのWEBサイトを運用するにしても、ユーザーファーストであることを忘れないようにしてください。
Q:コンテンツの更新頻度は?
Answer)サテライトサイトの更新頻度は、サイトの目的や業界、コンテンツの種類などによって異なります。ただし一般的に定期的な更新をおこない、新鮮なコンテンツを提供することは、検索エンジンに好まれやすいといえます。基準としては、最低でも月に1回は更新することを目指してください。
Q:メインサイトとの役割の違いは?
Answer)サテライトサイトは、メインサイトの価値を高め、検索エンジンのランキングを改善する補助的な役割として位置づけるのが妥当です。
Q:運用は外注した方が良いですか?
Answer)サテライトサイトの運用を外注するかどうかは、自社のリソースや予算、専門知識の有無などによって異なります。外部の専門業者は、品質の高いサテライトサイトを迅速に構築できますが、一方で追加のコストもかかります。
そのため、社内で出せるリソースと効率などを比較し選択をするようにしてください。
まとめ