リターゲティング広告とは? 始めるための設定方法やcookieの役割と今後について解説
リターゲティング広告は、一度WEBサイトへ訪れたユーザーに対してPRするWEB広告です。WEBサイトへ訪れたユーザーの行動履歴を元に広告を配信できるため、成約率が高く、無駄なく広告運用できます。
SEO対策で、サイトへのトラフィック数が増えたら、次は、コンバージョン施策です。コンバージョン率を高めるためにリターゲティング広告は有用です。
リターゲティング広告とは
リターゲティング広告とは、WEBサイトに一度訪問したことのあるユーザーに対し、再度広告を配信する広告システムです。商品やサービスなどの販売ページに訪問したことがあるユーザーに対して再度広告を配信することにより、商品やサービスなどについて何度も想起させ、成果につなげるために利用します。
WEBサイトへ集客したけど、成果につながらなかったユーザーに再度アプローチすることは、初めて広告を見るユーザーよりも集客しやすく、成果につながりやすいので積極的に行っていきたい施策です。
WEBサイト訪問時に気になる商品やサービスについて購入を検討したまま、WEBサイトを離脱する人は多く、WEBページを見て即時に購入するユーザーの方が少ないです。特に価格が高いものやBtoBの商品やサービスは購入するまでに期間を要することが多く、リターゲティング広告で、商品やサービスについて何度も想起させることにより、成約につなげます。
リターゲティング広告はナーチャリング(顧客育成)施策として利用するのに最適です。
リターゲティング広告の仕組み
リターゲティング広告はWEBサイトに訪問したことのあるユーザーにアプローチする広告システムですが、その仕組みを知ることにより、成約率を高める利用ができます。
リターゲティング広告はcookieでユーザー追跡
リターゲティング広告はcookie(クッキー)というシステムを利用してWEBサイトへ訪れたことのあるユーザーを追跡します。
CookieはWEBサイトへ訪れたユーザーの使用端末に訪問したことを記録するデータを書き込み、保存する仕組みです。例えば、アカウントを所持しているWEBサイトへ再度ログインするときに、自動でIDやパスワードなどが入力されることがあります。そのシステムはcookieが使われていることが多いです。
ユーザーがブラウザの設定やWEBページ訪問時にcookieの有効化に同意しなければ、使用端末に訪問した履歴となるデータを書き込み保存されません。
配信に必要なタグを埋め込む
リターゲティング広告はcookieの機能を利用してユーザーを追跡します。ユーザーの端末に書き込み保存されたcookieを利用するためには、リターゲティング用のタグが必要です。タグを埋め込むことで、ブラウザのCookieの機能を活用し、サイトを離脱したユーザーを追跡できます。
cookieを元に、ユーザーを追跡し、別のWEBサイトを閲覧しているときに広告枠にリターゲティング広告を掲載します。
リターゲティング広告を活用するケース
リターゲティング広告を活用する具体的なケースを紹介します。
WEBサイトを成約前に離脱したユーザーにアプローチ
WEBサイト内の商品やサービスに関するページを見たユーザーが、成約する前に離脱したとき、もしくは申し込み画面で離脱したときにリターゲティング広告を配信します。成約の一歩手前で離脱したユーザーに対し、広告で商品やサービスを想起させることにより、成果につながりやすいです。サイト訪問したことがあるユーザーをリスト化します。
特定のページを見たユーザーに絞って訴求
WEBサイトの特定のページを見たユーザーにリターゲティング広告を配信します。閲覧したWEBページのニーズに近い別のWEBページに誘導する広告を配信することにより、新たなニーズに気づかせるアプローチが可能です。
購入するかしないかの判断からどちらを購入するかの判断に切り替えることもできるため、成約率があがります。特定ページと連動したバナー広告などを作成し関連性が高い情報を配信すると良いです。
購入ページ閲覧データから商品をPR
購入完了ページにアクセスしたユーザーにリターゲティング広告を配信します。一度商品やサービスを購入したユーザーが違う形で成約することは、新規顧客へアプローチするよりも比較的楽です。過去成約につながった商品やサービスのリニューアル版や関連する新商品をPRする形で広告を配信します。
リターゲティング広告のメリット
リターゲティング広告の活用方法を模索し、可能性を広げるためにメリットを知っておく必要があります。
- 成約率が高め
- 検索機会を待たないでリーチできる
- リストを利用してピンポイントでアプローチできる
成約率が高め
リターゲティング広告は一度WEBサイトへ訪問したユーザーへアプローチするため、すでに商品やサービスに関する内容をある程度把握しています。購入画面などに訪問したユーザーにアプローチできるため、新規ユーザーにアプローチするよりも、成約につなげやすいです。
検索機会を待たないでリーチできる
過去にWEBサイトに訪問したユーザーデータをもとに、広告配信できるため、ユーザーの検索機会を待つ必要がありません。ユーザーが検索して検索結果からWEBサイトへ集客するという流れを省略できるため、迅速でタイムリーなアプローチができます。
リストを利用してピンポイントでアプローチできる
リターゲティング広告の大きなメリットは、WEBサイトへ訪問したユーザーのリストを利用できることです。cookieでデータを書き込み保存したユーザーに限定されますが、WEBサイトに訪問したユーザーの閲覧情報を元に広告を配信することにより、ユーザーのニーズに合った広告を配信可能です。
リターゲティング広告では、一番広いセグメントは「サイトに訪れたすべての人」となります。他には、過去にモバイルアプリをダウンロードしたユーザーや、youtubeチャンネルや動画を視聴したユーザー、独自に収集した顧客データなどリスト化して広告を配信することができます。Googleアナリティクスとの連携でリターゲティング広告のリスト作成ができます。
リターゲティング広告のデメリット
デメリットを知っておくことにより、有効な手段でリターゲティング広告を運用できます。
- ユーザーデータの蓄積に一定時間を要する
- 即決商材には不向き
- 新規顧客開拓には不向き
ユーザーデータの蓄積に一定時間を要する
リターゲティング広告はcookieにより取得したリストを使うことにより、さまざまなアプローチで成約につなげます。リストのユーザー数が少ないとアプローチする方法が限定されるため、広告配信量が少なくなり、成約につながりにくいです。
リストを蓄積するためにはWEBサイトへ一度訪問してもらう必要があるため、一定期間を要します。リスティング広告のように即効性のあるアプローチではないことを理解しておく必要があります。
リストの件数が少ないと「配信するには小さすぎます」と表示され広告配信ができません。
即決商材には不向き
WEBサイトへ訪問した履歴をもとに、広告配信するため、即決商材のPRには不向きです。例えば、修理やトラブル対応などの急ぎの対応が必要なサービスには向いておらず、リターゲティング広告を配信したとしてもタイムリーではありません。
即決商材のPRにはリスティング広告など他の広告運用を検討する必要があります。リターゲティング広告はある程度長期的にリード獲得したユーザーに対してコンバージョンをしていく施策になります。
新規顧客開拓には不向き
cookieを書き込み保存されたユーザーにアプローチするため、新規顧客の開拓は難しいです。新規顧客や商品・サービスの認知を広めるためには、他の方法でディスプレイ広告などを運用する必要があります。
リターゲティング広告の始め方
リターゲティング広告の運用を始める場合、広告掲載するWEBサイトが提携する広告ネットワークを利用します。広告ネットワークはGoogleのGDNとYahoo!のYDAの2つが主なネットワークです。GDNとYDAでインターネット上のほとんどの広告媒体をカバーできます。
リターゲティング広告の配信を始めるなら、GDNもしくはYDAの登録から始めます。
Googleリスティング広告によるリターゲティング広告の設定
まず、Googleリスティング広告の「ツールと設定」の「共有ライブラリ」の中のオーディエンスマネージャーをクリックします。
真ん中のオーディエンスソースを設定をクリックします。次のページで下図のGoogle広告タグをクリックします。
まずは、「ウェブサイトへのアクセスに関する一般的なデータのみを収集して、お客様のウェブサイトの訪問者に広告を表示しますを選び、次へ保存のボタンを押します。
タグを自分で追加するをクリックするとGoogleタグが出てきます。
Google タグを実装すると、サイトを訪れたユーザーがウェブサイト訪問者リストに追加され、ドメインに新しい Cookie が設定されます。Cookie には、サイトにユーザーを誘導した広告のクリックに関する情報が保存されます。このタグをウェブサイトのすべてのページに設置する必要があります。 下のタグをコピーして、ウェブサイトの各ページの <head></head> タグの間に貼り付けます。Google タグはアカウントごとに 1 回だけ実装すればよく、リマーケティング イベント スニペットやコンバージョン イベント スニペットと併用できます。
- ウェブサイトを訪れたユーザー
- アプリユーザー
- youtubeユーザー
- 顧客リスト
- 組み合わせリスト
と出てきます。
配信リストを分類して表示できます。例えば上記のように30日以内にWEBサイトを訪れたユーザーをセグメントしてリストを作ります。
いくつもターゲットを別にしたリストを作成できます。
これでリスト作成ができました。
最後に、リターゲティング広告の配信ですが、キャンペーンで広告グループまで作成した後、「オーディエンス」をクリックし、オーディエンスセグメントの編集をクリックすると先程作ったリターゲティング広告のリストが出てきます。リストをチェックします。
広告作成してあれば、Google広告でのリターゲティング広告用の配信設定は完了です。
リターゲティング広告の成果を管理していきます。
Yahoo!リスティング広告によるリターゲティング広告の設定
Yahoo!のディスプレイ広告の管理画面に行きます。アカウント作成します。広告設定を終えたら、右上の「ツール」から「オーディエンスリスト」をクリックします。初回のみオーディエンスリストターゲティングの利用を開始の案内が出ます。チェックして開始します。
そうすると、タグのソースコードが取得できる画面に行きますので、コピーしてサイトのhead内に入れます。
ソースコードを取得したら、管理画面上でオーディエンスリストを作成できるようになります。
「オーディエンスリストを作成」をクリックすると
- ウェブサイト訪問ユーザー
- アプリユーザー
- 顧客データ
- カスタム
- 類似ユーザー
- 組み合わせ
と出てきますので、ここでGoogleリスティングの時と同じようにリターゲティング広告のリストを作成します。
リストが完成したら、キャンペーンの中の広告グループ作成時、「サイトリターゲティング」の項目で「ターゲットリストを指定して配信」を選択し、作成したリストにチェックを入れます。広告を作成すれば配信設定が完了です。(ここら辺の流れはGoogleリスティング広告と同じです。)
リターゲティング広告の効果を高めるコツ
リターゲティング広告で成約率を高めるコツを紹介します。
- 成約したユーザーに同じPRをしない
- WEBページ別でリストをグループ化
- WEBサイト訪問後の日数でリストをグループ化
- 広告配信頻度の調整
成約したユーザーに同じPRをしない
広告費用を抑えるために一度成約したユーザーには同じPRをしない様にします。同じ商品やサービスが複数回購入されることがほとんどないケースについては、広告を配信したとしても、広告費用が発生する機会が増えるだけです。また、しつこく広告がターゲティングされてしまうと広告表示されたユーザーは不快に思い、コアなお客様も離れていってしまいます。注意が必要です。
定期的に購入する商品やサービスについては、一度成約した後も継続して広告を配信することは有効ですが、PRする商品やサービス内容によってユーザーをリストから除外することを検討してください。
WEBページ別でリストをグループ化
WEBサイトへ訪問したユーザーの行動履歴を元にリスト作成することにより、リターゲティング広告を効果的に運用できます。例えば、WEBサイトのトップページだけ閲覧したユーザーと購入画面まで閲覧したユーザーであれば、購入画面まで閲覧したユーザーの方が購入意欲は高いはずです。ユーザーの行動履歴によって、成約率の高いユーザーを導き出し、広告のデザインや種類を変えて広告配信することによりWEBサイトへ集客できた数に対して成約する割合を増やせます。
WEBページ別で訪問したユーザーをグループ分けし、グループごとで広告配信をすることにより、成約率を高められます。
WEBサイト訪問後の日数でリストをグループ化
リターゲティングで作成するリストは、ユーザーの訪問履歴の有効期間を設定できます。WEBサイトの性質を考えて訪問ユーザーの購入意欲の熱量の持続期間を仮定し、訪問履歴の有効期間を設定することにより、効果的な広告配信ができます。また、期間を区切って異なる商品やサービスのPRをすることも可能です。訪問10日以内のユーザーと訪問100日後のユーザーに同じ広告を配信せず、ターゲットごとに効果のある広告を細かく分けて配信するとより効果が高くなります。
広告配信頻度の調整
リターゲティング広告は配信頻度を調整する必要があります。リターゲティング広告はユーザーの意図していない状況で掲載されることが多く、他のWEBサイトへ訪問しているときに掲載されます。そのため、掲載頻度を調整しなければ、他のWEBサイトで同じ広告を何度も見ることにもつながり、ユーザーに不快感を与える可能性があります。
リターゲティング広告の配信でユーザーに不快感を与えないために、適切な配信頻度を設定しないといけません。
Cookie規制や法改正がリターゲティングにおよぼす影響
近年では、個人情報保護の観点からcookieの利用についてさまざまな変化があります。変化による影響について解説します。
加速するCookie規制
WEBマーケティングにおいて、ユーザーのWEBコンテンツの閲覧履歴などのcookieの情報が多く利用されてきました。前述したとおり、リターゲティング広告はWEBマーケティングの手法の一つとして、cookieによるユーザー情報をリスト化します。しかし、近年ではcookieの情報を個人情報とみなし、プライバシー保護の観点からシステムが見直されています。
日本やアメリカ、ヨーロッパなどで、個人情報の扱いに関する法整備がおこなわれています。そのほかには、GoogleやAppleはcookie利用を制限すると発表しました。
今後はWEBマーケティングとして、リターゲティング広告の運用ができなくなる可能性があります。cookieを利用したリスト作成は、WEBマーケティングにおいてとても有効ですが、違う方法を模索することも重要です。
今後予想される変化と対策
Cookieの扱い方が法整備によって変わってきたため、WEBマーケティングの世界でもすでにさまざまな技術変化がおこなわれています。
大手検索エンジンのYahoo!はヤフー株式会社が保持している膨大な会員情報をベースにユーザーの行動履歴を分析するcookieの代替えとなるシステムを開発しています。
また、A Iを活用したユーザー分析を取り入れる流れもあり、cookieを利用したWEBマーケティング以外の方法を生み出す変革は少なくありません。広告を掲載する広告主は、これまでとは違うWEBマーケティングの手法や戦略を考える必要があります。
まとめ
リターゲティング広告は顧客育成やターゲットを絞ったPRができ、コストパフォーマンスの良いWEBマーケティング手法の一つです。Cookieによってえられるユーザー情報を利用することにより、さまざまなマーケティングに応用できます。しかし、cookieの扱いは現状では難しいものとなりつつあるため、cookieでえるリストへ依存する方法はおすすめではありません。
リターゲティング広告のメリットやデメリット、今後のWEBマーケティングの流れをトータル的に考えて運用する必要があります。