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採用マーケティングとは?基本的な考え方や進め方を解説

採用マーケティングとは?基本的な考え方や進め方を解説
企業にとって、適切な(優秀な)人材を採用することは、将来的な経営に大きな影響を与えます。しかし、昨今では、少子高齢化にともなう労働人口の減少、働き方の多様化など、適切な人材を獲得できず、採用難に陥る企業が増えています。とくに、中小企業や小規模事業者では、人材の確保を課題としている事業者が半数近くにのぼるといいます。そんななか、人材の確保を目指すべく、採用マーケティングが注目を浴びています。

 

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amano_portrait採用マーケティングについて解説します。採用マーケティングの基本的な考え方や進め方といったノウハウをまとめています。採用活動の強化を検討している方は、本記事を参考にしてください。

 

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採用マーケティングとは

採用マーケティングとは、マーケティングの考え方を取り入れて、自社の採用活動に応用する施策のことです。英語では、Recruitment Marketing(リクルートメントマーケティング)と訳され、リクルーティングマーケティングとも呼ばれます。

 

関連記事:マーケティングとは

 

具体的な流れとしては、採用戦略を立案のうえで、各種施策を実行し、その施策の見直しを検討していくことになります。採用マーケティングの利点としては、自社と相性がよい人材を集めやすくなる点が挙げられます。

 

また、採用マーケティングに似たマーケティング用語として、採用ブランディングや採用広報といったものがあります。結論だけ先にいうと、両者とも、採用マーケティングの施策の一環として位置付けられるものです。

 

  • 採用ブランディングとの違い
  • 採用広報との違い

 

採用マーケティングと採用ブランディングの違い

採用ブランディングとは、自社の魅力を求職者に伝えてファンを形成する戦略のことで、ブランドマーケティングの一種に位置付けられます。採用マーケティングの工程においては、採用戦略上の1つの概念的なアイデアとして導入されるケースがあります。

 

関連記事:採用ブランディングとは

 

採用マーケティングと採用広報の違い

採用広報とは、広報活動を通じて、自社の社内環境や働き方などの情報を求職者に伝える施策のことです。つまり、採用広報は、採用マーケティング上の具体的な施策として扱われ、広報部門が担当する業務であるということです。

 

採用マーケティングを導入すべき理由

国内では人口減少や少子高齢化が進行していて、労働人口そのものが減っています。とくに、2010年以降では、広範囲の産業で慢性的に人手不足に陥っています。これに追い討ちをかけるように、2020年に流行した新型コロナウイルス感染症の影響で人手不足が加速しました。そして、厚生労働省の調べによると、2023年現在においても、コロナ禍以前と比較して人手不足感が増しているとのことです。

 

関連記事:採用市場について

 

採用マーケティングの目的

採用マーケティングの目的を簡単にまとめると、求職者のニーズを踏まえて、仕事内容や職場の環境の情報(ワークプレイス)を提供し、応募者の総数を増やすことです。つまり、採用試験で応募者を比較し、自社にとって適切な人材を発掘するための施策ということです。

 

  • 母集団形成をして応募者の数を確保する
  • 求職者の行動を喚起する

 

母集団形成をして応募者の数を確保する

応募者の総数を増やすことで、自社と相性がよい人材を獲得する確率が高まります。そこで、採用マーケティングでは、母集団形成の実現を目指していきます。母集団形成とは、自社の応募要件を満たす求職者のうち、自社の求人に興味を持つ求職者の集まりを作ることです。

 

そこで、必要になるものが採用サイトを中心としたWEBコンテンツです。実際に、厚生労働省が発表する求職者に対するアンケート調査の結果でも、「求職活動時にインターネットを利用していた」と回答した人が多数派となっていることから、その重要性が読み取れます。

 

求職者の行動を喚起する

応募者の総数を増やすためには、求職者に対して、自社に入社すべき理由を提示する必要があります。求職者のニーズと自社の職場環境が合致することで、求職者は「自社の求人に応募する」というアクションを起こします。採用マーケティングでは、その行動を喚起していくことになります。そして、求職者の視点で考えると、一般的には次のような職場を希望する傾向がみられます。

 

  • 自身が活躍できる(やりたい)仕事をしたい
  • 相性がよい人と働きたい
  • 将来的な自身の目標達成につながる職場で働きたい
  • ○○県のオフィスで(自宅で)勤務したい
  • 収入を増やしたい

 

そこで、採用側としては、次のような情報を求職者に伝えることが求められます。

 

  • 業務内容やミッションの情報
  • 職場の雰囲気や一緒に働く社員の声
  • キャリアステップの情報
  • 職場の位置情報
  • 給与や福利厚生、待遇の情報

 

採用マーケティングの進め方

本項目では、採用マーケティングの進め方を事例とあわせてご紹介します。まず、採用マーケティングは、下記の手順で進めていくことになります。

 

  1. 採用戦略を決める
  2. 施策を実行する、または採用ツールを用意する
  3. PDCAサイクルをまわす

 

1.採用戦略を決める

採用戦略を練るところから採用マーケティングがスタートします。採用マーケティングを実施する場合、採用活動に課題があるということです。そこで、まずはじめに、採用活動の課題を整理してください。採用活動の課題としては、次のようなものが挙げられます。

 

  • 自社の応募要件を満たす応募者数が少ない
  • 自社の内定者が競合に奪われてしまう(内定辞退者が多い)
  • 採用費用の予算が足りない

 

課題を整理できたら、課題の原因と解決方法を検討していきます。「自社の応募要件を満たす応募者数が少ない」を例にとると、課題の原因としては、次のようなものが挙げられます。

 

  • 自社の認知が不足している
  • 求人情報で自社の魅力が伝わっていない

 

このケースでは、いずれにしても、自社の求人情報が適切に流通していないということが原因になっています。そこで、課題の解決策の候補として、次のような手法があります。

 

  • 求人情報の露出を増やす
  • 求人情報の訴求内容を改善する

 

2.施策を実行する、または採用ツールを用意する

採用戦略の方針が定まったら、採用課題を解決するためのツールを用意、または改善していきます。たとえば、「求人情報の訴求内容を改善する」を実現するとした場合、求職者アンケートなどを実施して求人サイトなどに求職者のニーズを反映する、といった施策を進めていきます。

 

  • 求職者アンケートの結果をもとに、求人情報の訴求内容を改善する

 

その一方で、「求人情報の露出を増やす」の場合、次のような施策の実行、または採用コンテンツを用意する必要があります。

 

  • 採用サイトのSEO対策を強化する
  • SNSアカウントを設置し運用する
  • 就活(転職)メディアに出稿する
  • 就活(転職)イベントに出展する

 

3.PDCAサイクルをまわす

それぞれの施策を実行したのちに、その効果を測定し、今後の方針を決めていきます。具体的には、効果がみられた施策、みられなかった施策を整理することになります。そして、この一連の作業の流れのことをPDCAサイクルと呼びます。たとえば、今回の事例では、5つの施策を実施しました。そして、下記のような結果が出たならば、それぞれの今後の方針を定めていきます。

 

実施した施策 効果測定の結果と今後の方針
訴求内容の改善 【結   果】効果がみられた

【今後の方針】とくになし(完結)

採用サイトのSEO対策 【結   果】効果がみられた

【今後の方針】SEO対策を続ける

SNSの運用 【結   果】効果がみられた

【今後の方針】SNS運用を続ける

就活メディアの出稿 【結   果】効果がみられなかった

【今後の方針】出稿を停止する。また、別メディアの出稿を検討する

就活イベントの出展 【結   果】効果がみられた

【今後の方針】イベント出展を続ける

 

採用マーケティングのフレームワーク

採用戦略を設計する際には、事前調査や下調べが必要です。そして、そのときに役立つのがフレームワークと呼ばれるものです。フレームワークとは、考え方を整理するための枠組みのことで、企業のマーケティング施策に用いられています。そして、このフレームワークは、採用マーケティングにおいても応用できます。採用マーケティングと相性がよいフレームワークとしては、次のようなものがあります。

 

フレームワーク 分析対象
3C分析 分析対象:Customer(市場・求職者) / Competitor(競合) / Company(自社)
STP分析 Segmentation(市場の細分化) / Targeting(参入市場の決定) / Positioning(自社の立ち位置)
SWOT分析 Strength(自社の強み) / Weekness(自社の弱み) / Opportunity(市場機会) / Threat(脅威)

 

このうち、3C分析は、市場を俯瞰的に分析することで、求職者からみえる自社のポジション、自社の強みを明らかにします。たとえば、求職者が転職で重視するポイントを分析することで、自社が対応できるのか、または競合と自社ではどちらが適切な対応をしているか、といったことを推察できるようになります。そこで、自社に不足している点を改善することが可能となります。

 

関連記事:マーケティング分析時のフレームワークを紹介

 

さらに、フレームワークで分析した内容をもとに、採用戦略を組み立てていきます。たとえば、次のような指標を設定します。

 

指標 概要
KPI 施策の進捗と達成具合を知るための指標。PDCAをまわすうえで役立つ
ペルソナ ターゲットの特性を表す。コンテンツやUX/UI作りに反映できる
カスタマージャーニー 求職者が自社を認知してから入社するまでのストーリーを表す。コンテンツやUX/UI作りに反映できる
カスタマーベネフィット 求職者が入社する利点を表す。コンテンツ作りや求人ページに掲載する内容を決める際に役立つ
ポジショニング 採用市場のなかの自社の立ち位置を表す。コンテンツ作りのほか、サイト規模やテキスト表現を決定する際に役立つ

 

採用マーケティング時に役立つツール

採用マーケティングを実施する際に、次のような採用ツールが役立ちます。

 

  • 採用サイト(自社サイト)
  • Google for jobs
  • SNSツール
  • 就活(転職)メディア

 

採用サイト

採用サイトとは、自社の採用情報を掲載するWEBサイトのことです。一般的には、企業サイトのサブディレクトリサブドメイン上などに設置して、自社で運用していくことになります。

 

関連記事:採用サイトの構築方法

 

そして、採用サイトを運用していく過程では、SEO対策リスティング広告などのWEB集客の施策が不可欠となります。

 

関連記事:採用サイトのSEO対策

 

また、採用サイトと混同しやすいWEB用語として、採用オウンドメディアといったものが存在します。ともに、自社が運用するサイトであるという点で共通しますが、下記の点で異なります。

 

サイトの種類 特徴
採用サイト 求人情報を掲載するサイト(求人情報中心)
採用オウンドメディア 求人や社内情報に関連性が高い読み物記事などを掲載するサイト(読み物記事中心)

 

ただし、現実的には、採用サイトと採用オウンドメディアは同じような意味合いの用語として扱われています。

 

関連記事:採用オウンドメディアとは

 

採用サイトの制作サービスを利用する

採用サイトを制作する際には、WEB施策の専門家に相談することも検討してください。

 

東京SEOメーカー(本サイト)では、採用サイトの構築サービスを提供しています。東京SEOメーカーは、これまでに2,000社以上の企業のWEB施策をサポートしてきた実績がある、SEO対策の専門会社です。採用サイトの構築とあわせて、SEO対策の成功事例も多数有しており、求職者のWEB集客に適切なサービスとなっています。下記リンク先にサービス資料をご用意していますので、まずは、ダウンロードしてサービス内容をチェックしてください。

 

採用サイトの制作サービスを利用する

 

>>東京SEOメーカーの採用サイト構築サービス資料

 

Google for jobs

Google for jobs(Googleしごと検索)とは、Google検索エンジンの検索結果上に表示されるリッチリザルトの1つを指します。わかりやすくいうと、検索結果上に求人情報を表示する特別枠が設けられており、このスペースに自社の求人情報を無料で掲載できます。

 

Google for jobs

 

掲載するためには、採用サイトに構造化データと呼ばれる技術を導入することになります。詳しくは、下記リンク先のページで案内されていますので参考にしてください。

 

参考:Google for jobs

 

SNSツール

自社が運用するSNSツールのアカウント上で求人情報を掲載できます。そして、SNSのなかでも、求人情報に特化したビジネスSNSのWantedly(ウォンテッドリー)と相性がよいです。このほか、求人情報に特化したSNSには、下記のようなものがあります。

 

 

また、自社が運用するYoutubeチャンネルやInstagramアカウント上で求人情報を投稿することで、求職者を募るといった手法も効果的です。

 

就活や転職メディア

就職や転職活動に特化したメディアに出稿することで、求職者にリーチできます。採用企業と求職者をマッチングさせる求人サイトには、次のようなものがあります。

 

 

採用マーケティングの成功事例

採用マーケティングを導入したことで、採用活動の強化を実現した企業は多数あります。そんななかで、今回は、アルムナイ採用とタレントプールを構築した株式会社ニチイ学館、リファラル採用を導入した富士通株式会社の2社の成功事例をご紹介します。

 

ニチイ学館は、アルムナイ採用とタレントプールで採用力を強化した

株式会社ニチイ学館は、採用変革の一環として、アルムナイ採用やタレントプールの構築といった施策を推進したことで、応募総数の増加を実現しています。そもそも、アルムナイ採用とは、自社の退職者を再雇用する方法のことです。一方、タレントプールの構築とは、将来的に採用する可能性がある人材と接点を持ち、その人材をデータベース化することです。

 

もともと、同社では介護サービスや介護職員の育成事業を手がけています。しかし、昨今の超高齢化社会のなかでは、そのニーズに応えるための人材確保が大きな課題となっていました。そこで、同社の資格講座の受講生、退職者といった、過去に同社と接点を持った人とのつながりを維持する仕組みとして、タレントプールを導入しています。

 

採用マーケティングの成功事例

ニチイ学館のキャリア登録サイト。 就活生や介護職に興味がある人、ニチイ学館の退職者など、誰でも登録することで、同社の最新情報をえられる

 

富士通は、リファラル採用を導入し6年で400名の採用を実現した

富士通株式会社は、2018年にリファラル採用を導入し、2024年までの6年間で累計400名の採用に成功しました。なお、リファラル採用とは、自社の社員や取引先を通じて、採用候補をピックアップするやり方のことです。

 

当時、同社では、AIに関する業務を遂行できる人材を必要としておりました。しかし、従来の採用方法では、この人材を集めることが困難でした。そこで、多数の社員数を誇る同社は、その強みを活かして人材ネットワークを活用するリファラル採用を取り入れることにしました。具体的な進め方としては、次のような施策を実施しました。

 

  • リファラル採用に取り組む社員のインタビュー記事の作成
  • 社員に対するリファラル採用のプレゼントキャンペーン

 

富士通は、リファラル採用を導入し6年で400名の採用を実現した

富士通株式会社のリファラル採用制度を紹介するページ。リファラル採用の新入社員や紹介社員のインタビュー記事を掲載している

 

こうした活動を経て、同社では、そんなリファラル採用に対して、次のようなメリットを感じているといいます

 

  • 社員による口コミが採用ブランディングとして役立つ
  • 自社とマッチング度が高い求職者に応募してもらえる
  • 内定の承諾率が高い(9割以上を実現)
  • 新入社員の入社前後のギャップが少なくなる

 

よくある質問(Q&A)

採用マーケティングにおける、よくある質問や課題をご紹介します。
 

Q:自社に対する企業認知が低い場合は?

Answer)SEO対策を通じて、採用サイトを上位表示することで、企業認知が高まります。また、サイトのUI(ユーザーインターフェース)UX(ユーザーエクスペリエンス)を改善すると、サイトに訪問した求職者の満足度が高まります。

 

Q:内定を出しても、競合他社に人材が流出してしまう場合は?

Answer)求職者に対して、自社に入社する理由を与えることで、人材の流出を防げます。具体的には、職場環境やキャリア形成、待遇面の情報といった、求職者にとっての利点を伝えてあげることが大切です。そして、そのためにも採用サイトが不可欠となります。

 

Q:求人の応募数が少ない場合は?

Answer)採用マーケティングを導入して、母集団(自社に興味を持つ応募対象者)を形成してください。母集団形成のやり方としては、次のような手法が挙げられます。

 

  • 採用サイトを制作、または改善する
  • SEO対策で採用サイトの上位表示を目指す
  • 求人サイトや情報誌に出稿する
  • 合同企業説明会を開催する
  • 就活イベントにブースを出展する

 

Q:採用活動の予算が少ない場合は?

Answer)求人サイトに出稿する予算、採用サイトを制作する(改修する)予算の配分を吟味してください。前者の場合は、即効性があるものの継続するうえで予算がかかり続けます。一方、後者の場合は、初期費用がかかるものの、サイトを作り上げてしまえば、半永久的に少額のランニングコストでの採用活動を実現します。さらにいうと、工夫次第では、求人サイトに出稿した際の集客力の数倍の効果を出すことも可能です。

 

Q:採用戦略の組み立て方がわからない場合は?

Answer)まずは、年間の採用スケジュールと目標を設定してください。また、採用活動で実行した施策の効果を検証することも重要です。

 

 

まとめ

amano_portrait企業の事業を維持するうえでは、採用活動で従業員を確保することが不可欠です。しかし、昨今では、労働人口の減少や働き方の多様化によって、採用難が叫ばれています。こうした環境下では、採用マーケティングを導入して、採用活動を強化することが急務となっています。そこで、企業としては、採用サイトの設置や改善施策が重要となります。これから、採用活動の強化を検討している方は、採用サイトを制作するWEB事業者、転職のプロフェッショナルのエージェントなどに相談してみてください。

 

 

監修者:アドマノ株式会社 代表取締役 天野剛志
天野 剛志
マーケティングのエキスパート。Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持。大学では経営法学を専攻。オーストラリア・イタリア・フランス・タイ・カンボジアなど世界各国を旅した後、イギリスで1年半生活し語学力と国際的視野を磨く。日本帰国後は広告代理店で営業を12年経験。SEOは草創期から独学で研究し、100以上のサイトで検証しつつノウハウを蓄積。2012年にSEO専門会社のアドマノを設立。
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