引っ越し業者のSEO対策とは?効果的なWEB集客の手法を解説
近年では、晩婚化や少子化の影響で小規模な世帯数が増加しています。また、働き方改革の導入による、ドライバーの確保の問題など、引っ越し業界では、さまざまな環境変化が起こっています。
引っ越し業者としては、こうした社会的な流れから新たな引っ越しニーズを捉えて、集客を強化する必要性に迫られています。とりわけ、費用対効果が高いとされるSEO対策やSNS戦略といったWEB施策を導入することが注目されています。このうち、SEO対策においては、地域キーワードを抑えるローカルSEO、ポータルサイトを活用するSEO外部対策が重要となってきます。
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引っ越し業者がSEO対策すべき理由
引っ越し業界は、働き方改革の導入により、大手引っ越し業者でサービス料金の上昇や対応可能な件数が減るなどの影響が生じています。そのため、中堅以下の業者としては、SEO対策をすることで、大手業者がとりこぼした顧客の確保につながります。
近年の引っ越し市場では、大手業者のシェア率が高いものの、単身世帯の増加や働き方改革によるドライバーの確保の問題などで市場環境が大きく変化しています。さらに、引っ越し業者を決めるために、検索エンジンで引っ越し業者の料金価格を調べるニーズがあることから、SEO対策を通じて、自社サイトを上位表示しておくことが集客上で重要な施策となっています。
引っ越し市場は減少傾向がみられるものの、単身世帯ではニーズが高まっている
公共職業安定所(ハローワーク)によると、運輸業界の市場規模は4,000億〜4,500億円程度で、全国に2,000社以上の事業者が存在する(2018年時点)とのことです。このうち、大手引っ越し業者の2社で約1,500億円(大手一般物流業者の2社で約1,100億円)を占めていて、引っ越し業者においては、全体の約半数のシェアが大手に占められていることになります。
一方、大手のアップル引越センターの市場分析によると、近年では、引っ越し市場は減少傾向にあるとしています。ただし、都会を中心とした単身世帯では引っ越しニーズが高まりをみせているとのことです。単身世帯というと、生活用品が少なく身軽な生活者が多いことから、引っ越しサービスの利用時の料金単価が小さくなるものの、件数自体は増加すると見解を述べています。
引っ越し業者は働き方改革で影響を受けている
政府によって定められた働き方改革関連法で猶予期間が設けられていた自動車運転の業務に対しても、2024年4月1日より同法の適用対象となりました。引っ越し業者としては、ドライバーに時間外労働の上限が規制されることで、受注できる絶対件数が減少することが懸念され、引っ越しをしたくてもできない「引っ越し難民」を生み出すとし、「2024年問題」として扱われてきました。
その後に、SUMOは、2024年問題に対するアンケート調査の結果を2024年8月に発表しました。それによると、「1日あたりの対応件数が減少した」、「サービス料金を値上げした」といった回答が一部でみられます。その一方で、顧客側では、1割近くが「2024年問題の影響を感じた」と回答しています。中小規模の引っ越し業者としては、こうした大手や中堅業者がとりこぼした顧客を確保するチャンスともいえます。
引っ越し業者探しにはインターネットが利用される傾向に
引っ越し業者情報を集めたポータルサイトを運用する株式会社駅探は、引っ越し業者の利用者に向けたアンケート調査の結果を発表しました。
それによると、引っ越し業者選びで重視する点に関する質問に対して、「料金」と回答した人が70%〜80%程度、「クチコミやインターネットの評判」では10%〜30%ほどだったとのことです。このうち、「料金」に関しては、引っ越し業者のサービス価格を認知する手法としてWEB検索が挙げられます。実際に、キーワードプランナーで調べてみると、2024年11月単月において「引っ越し 見積もり」と検索された回数が9万件を超えていて高い検索ニーズがあるとうかがえます。こうしたことから、依頼する引っ越し業者を決める決定打としては、インターネット上の情報によるものの占める割合が大きいと推測できます。
引っ越し業者向けのSEOキーワードの例
引っ越し業者が自社サイトをSEO対策するうえで、とくに重要なのが地域キーワードやサービス料金に関連するキーワードを設定することです。このほか、引っ越しを検討している見込み顧客の属性、引っ越し時に必要な予備知識などのキーワードが検索されます。
本項目では、こうしたキーワードをピックアップするとともに、検索回数や検索結果のデータを交えて、どのようなキーワードを設定すべきかについて詳しく解説していきます。
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※本項目で記載する検索ボリュームは、原則として2024年11月単体のもの
引っ越しエリアに関する地域キーワード
引っ越しを検討している生活者にとって、転出先や転入先のエリアでサービス提供する業者を探す必要があります。そこで、「○○市 引っ越し」の要領で検索します。
キーワード | 月間検索件数と検索結果の特徴 |
---|---|
引っ越し 東京 | 検索件数:1,000
検索結果:引っ越し業者の案内ページ / まとめページ |
引っ越し 大阪 | 検索件数:1,000
検索結果:引っ越し業者の案内ページ / まとめページ |
青森 引っ越し | 検索件数:50
検索結果:引っ越し業者の案内ページ / まとめページ |
検索結果をみると、引っ越し業者の案内ページや業者情報をまとめた紹介ページが上位表示しています。まず、「引っ越し 東京」と「引っ越し 大阪」のキーワードをみてみると、日本通運(日通)やサカイ引越センター、アート引越センターといった、大手引っ越し業者が目立っています。このほか、首都圏に特化しつつ関東地域で活動するケーエー引越センター、京都府や大阪府を中心に全国展開する人力引越社がそれぞれのキーワードで露出しています。一方、「青森 引っ越し」のキーワードでは、地域密着型のカトー引越センターが2位を確保しています。
検索ボリュームをみてみると、人口の移動数が激しい都道府県では、キーワード検索される頻度が高くなる傾向があります。たとえば、新たな転入者や転出者の数が全国トップクラスの東京都や大阪府のキーワードでは、月間検索数が1,000回にのぼります。一方、移転者が3ケタにとどまる青森県では、検索数が50回ほどとなっています。ただし、カトー引越センターの事例のように、青森県内の検索ニーズを囲えるという理由から、地方の引っ越し業者にとっては地域キーワードの設定が重要性が増すといえます。
引っ越しのサービス価格に関するキーワード
引っ越し業者の利用者は、業者選びの際にサービス料金をもっとも重要視していることがわかっています。そこで、検索ユーザーは、次のように料金に関連するキーワードを入力するケースが多々あります。
キーワード | 月間検索件数と検索結果の特徴 |
---|---|
引っ越し 見積もり | 検索件数:90,500
検索結果:まとめページ / 引っ越し業者の案内ページ |
引っ越し 費用 | 検索件数:40,500
検索結果:解説記事 / 引っ越し業者の案内ページ / まとめページ |
引っ越し 相場 | 検索件数:8,100
検索結果:解説記事 |
引っ越し 安い | 検索件数:6,600
検索結果:まとめページ / 引っ越し業者の案内ページ / 解説記事 |
引っ越し 格安 | 検索件数:1,900
検索結果:まとめページ / 引っ越し業者の案内ページ |
検索結果では、引っ越し業者の案内ページ、まとめページが上位表示しています。内訳をみると、「引っ越し 見積もり」と「引っ越し 費用」のビッグキーワードでは、1ページ目が大手業者とポータルサイトに占拠されています。その一方で、「引っ越し 安い」と「引っ越し 格安」といったお得感を表すキーワードでは、ケーエー引越センター、シモツ引越サービスなどのサービスの安価さをキャッチコピーとする業者が目立っています。
検索結果のとおり、ビッグキーワードの上位奪取は極めて困難です。こうしたキーワードを狙っていくとするならば、ロングテールキーワードから抑えていく手法が一般的です。たとえば、「引っ越し 見積もり」であれば、下記のような関連キーワードを設定していくことになります。
キーワード | 月間検索件数と検索結果の特徴 |
---|---|
引っ越し 見積もり 電話なし | 検索件数:480 検索結果:解説記事 |
ピアノ 引越し 見積もり | 検索件数:30 検索結果:解説記事 / 引っ越し業者の案内ページ |
特殊な事情を含むキーワードだけに、検索結果をみると、解説が目立っています。このうち、「ピアノ 引越し 見積もり」では、ピアノの運送や引っ越しに対応する池やピアノ運送やアクティブリーズといった業者の料金案内ページが上位に表示しています。このように、自社で特殊なサービスを提供している場合は、料金プランを紹介するページを設置すると上位表示を狙えます。
引っ越しの利用者に関するキーワード
引っ越しの利用者は、自身の生活環境にあわせてサービスを探します。まず、一般の家庭や個人の場合は、次のように検索します。
キーワード | 月間検索件数と検索結果の特徴 |
---|---|
引っ越し 単身 | 検索件数:6,600
検索結果:引っ越し業者の案内ページ / まとめページ |
引越し 一人暮らし | 検索件数:1,000
検索結果:引っ越し業者の案内ページ / まとめページ |
引っ越し 家族 | 検索件数:170
検索結果:引っ越し業者の案内ページ / まとめページ |
検索結果では、1ページ目の大半が引っ越し業者の料金プランの案内ページに占められています。たとえば、「引っ越し 単身」のキーワードでは、わたしの引越、単身のお引越しといった、単身向けの料金プランを案内するページが表示されています。
一方、引っ越しの利用者が法人である場合、業者探しに下記のようなキーワードが用いられます。
キーワード | 月間検索件数と検索結果の特徴 |
---|---|
オフィス 引っ越し | 検索件数:480
検索結果:引っ越し業者の案内ページ / まとめページ / 解説記事 |
事務所 引っ越し | 検索件数:210
検索結果:引っ越し業者の案内ページ / まとめページ / 解説記事 |
会社 引っ越し | 検索件数:210
検索結果:引っ越し業者の案内ページ / まとめページ / 解説記事 |
検索結果の特徴としては、解説記事が目立っている点が挙げられます。法人のオフィスを引っ越しとなると、サービス費用がかさみ、必要な手続きが多数あることから、「オフィスの引っ越しで必要な手続きとは」といった情報記事のニーズが高くなる傾向があります。引っ越し業者のWEBサイトとしては、法人向けプラン案内のページのほか、こうしたコラム記事を設置しておくと、SEO面で有利に働きます。
引っ越しの準備に関するキーワード
引っ越しをすることが決まった依頼者は、引っ越すための事前準備として、住所変更やインフラサービスの変更など、さまざまな手続きが必要になります。そのため、引っ越しにあたって、なにをすべきかを検索します。
キーワード | 月間検索件数と検索結果の特徴 |
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引っ越し やること | 検索件数:60,500
検索結果:解説記事 |
引っ越し 手続き | 検索件数:14,800
検索結果:解説記事 |
水道 引っ越し | 検索件数:14,800
検索結果:解説記事 / インフラ機関の案内ページ |
検索結果をみると、上位表示のほぼすべてが「引っ越し時のやることリスト」といった解説記事で占められています。たとえば、「引っ越し やること」のキーワードの配信元をみてみると、引っ越し業者サイトやポータルサイトのほか、auでんき、大阪ガスといった、引っ越しと関連性を持つインフラ業界のサイトが露出しています。さらに、「水道 引っ越し」のキーワードでは、東京都水道局や各都道府県の官公庁サイトが上位表示しています。
つまり、キーワードの種類によっては、他業界のサイトが競合になりえるということです。ただし、お役立ち系のキーワードを抑えておくことで、「引っ越し」のキーワードのニーズに対して、自社サイトの網羅性が高まります。情報の網羅性は、Google検索エンジンがWEBサイトを評価する際の重要な要素として扱われます。そのため、品質が高いコラム記事を作成することで、SEO対策としての効果を見込めます。
引っ越し業者に効果的なWEB集客の手法
引っ越し業者がWEB施策で集客を強化するにあたり、下記のような手法が効果的です。
- 見積もりサイトや比較サイトに掲載する
- Googleビジネスプロフィールに事務所の位置情報を登録する
- NPSを導入してサービス品質を改善し、SNS上で評判を高める
見積もりサイトや比較サイトに自社情報を掲載する
引っ越しの関連キーワードで検索すると、見積もりサイトや比較サイトなどのポータルサイトが上位表示します。そして、引っ越し業者の依頼者には、引っ越し業者を決める際に料金を重視する傾向がみられるので、手軽に各社の引っ越しサービス料金を見比べられるポータルサイトと親和性が高くなっています。
こうしたことから、引っ越し業界では、ポータルサイトに自社情報やサイトの被リンクを獲得する施策が重要となっています。そして、引っ越し業者の情報を掲載するポータルサイトには、下記のようなメディアがあります。
Googleビジネスプロフィールに事務所の位置情報を登録する
Googleビジネスプロフィールとは、事務所や店舗情報をGoogleマップなどに掲載するサービスのことです。そして、このサービスを利用するWEB施策のことをMEO対策といいます。ツールの使い方は、下記のリンク先の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:Googleビジネスプロフィールとは?
NPSを導入してサービス品質を改善し、SNS上で評判を高める
NPS(Net Promoter Score / ネットプロモータースコア)とは、顧客の自社サービスに対する信頼度や愛着度を図る指標のことです。そして、この指標を顧客アンケート調査で取得し、自社サービスの改善に役立てます。引っ越し業界では、アップル引越センターや日本通運などの大手業者がNSPを採用しています。
このうち、日本通運では、2019年からNPSを導入し、引っ越しサービスの品質向上に役立てています。ここ数年で顧客の声を取り入れ続けたことで、2023年には、「日本通運に愛着や信頼があるか」の質問に対して、「非常にそう思う」と回答した人が増え、逆に「全くそう思わない」と回答した人が減少したことで、NPSの値が大きく改善しています。
年度 | NSP | 肯定的な回答率 | 否定的な回答率 |
---|---|---|---|
2019年度 | 17.2 | 43.6% | 26.4% |
2020年度 | 20.8 | 45.6% | 24.8% |
2021年度 | 28.6 | 48.3% | 19.7% |
2022年度 | 33.9 | 50.8% | 16.9% |
2023年度 | 40.8 | 55.4% | 14.6% |
こうした企業努力もあって、X上で顧客から口コミの高い支持をえることに成功し、国内の受注が大幅に増加したとのことです。下記の顧客の声を反映した投稿は、488万インプ(表示数)、6万いいね、8,000以上のリポストを獲得しています(2025年1月時点)。
「引っ越しは日通」はガチだよ。ダンボール足りない旨を連絡したら即追加料金なしで大量追加してくれたし、荷物多かったけど十二分な人数を動員してくれて、当日はいかに手際よく安全に運ぶかを真剣に熟考&検討、建物や物品の養生も完璧、プロの意地を感じた。あの品質で採算が取れているのがむしろ謎
— sabakichi (@knshtyk) January 29, 2024
よくある質問(Q&A)
引っ越し業者とSEO対策に関する、よくある質問をまとめています。
Q:引っ越し業者がSEO対策をするメリットとは?
Answer)引っ越し業者がSEO対策を導入すると、自社サイトの検索順位が高まり、認知度とともに集客効果をえられます。自社サイトに対するアクセス数が増えると、引っ越しサービスに関する発注のほか、問い合わせが増えますのでセールス活動の面でも役立ちます。
Q:引っ越し業者では、どのようなSEO対策が効果的ですか?
Answer)SEO対策のなかでも、地域キーワードや費用に関連するキーワードを設定することが重要です。このうち、地域キーワードは、地域に根付いて活動する引っ越し業者にとって、もっとも重要なキーワードです。このほかの効果的な集客施策としては、外部サイト(ポータルサイトなど)やSNSツールの利用が挙げられます。
Q:引っ越しサービスのWEB集客がうまくいかない場合は?
Answer)SEO対策の専門会社に相談してください。
東京SEOメーカー(本サイト)は、これまでに2,000社を超える企業と取り引きした経験値を有しています。また、引っ越し業界でも重要なローカルSEOにおいても、クライアントが希望する地域キーワードで上位表示を実現した事例が多数あります。SEO対策やWEBマーケティングでお困りの方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。
まとめ