リンクスパムアップデートとは?リンクスパムの特徴とSEOの対処法を解説
リンクスパムアップデートは2021年に数回にわたって更新されたGoogleの検索エンジンアップデートです。コアアルゴリズムアップデートではなく、リンクスパムに対してのみ影響する改善ですので、ほとんどの企業サイトやメディアには無関係です。
しかし、リンクスパムアップデートやスパムアップデートの仕様を見るとGoogleのインターネットを正しく使おうという考え方の理解が進み、SEOにおいて本当の意味でのユーザーファーストの重要性に気がつきます。
自身のサイトで意図してスパム行為をおこなっていない場合であっても、商品の性質によってはチェックすべき項目ありますのでご注意ください。
リンクスパムアップデートとは
リンクスパムアップデートとは、2021年に数回にわたって更新されたGoogleの検索アルゴリズムのアップデートのことです。これによりリンクスパムによるSEO効果が無効化され、より精度の高い検索結果が表示されることになりました。
アップデートという呼称ではありますが、いわゆるコアアルゴリズムアップデートとは異なり、リンクスパムに対してのみ影響する限定的なアップデートである点が大きな特徴です。
また、特定の言語圏限定というわけではなく、日本語も含めた全世界的に影響するアップデートである点も見逃せません。
As part of our regular work to improve results, we’ve released a spam update to our systems. This November 2021 spam update should be fully rolled out within a week. We encourage sites to follow our best practices for Search: https://t.co/jK3ArQmTqT
— Google SearchLiaison (@searchliaison) November 3, 2021
スパムと判断されるサイト
Googleは検索エンジンサービスを始めた当初からスパム対策をおこなってきましたが、スパマーは対策の都度、新しい技術を用いて検索エンジンを悪用する手法を更新してきます。
そこで2020年、Googleは独自のスパム対策AIを構築し、対策を施すことで、検索結果からハッキングスパムを除外することに成功しています。
Google は昨年、スパムに関する深い知識と AI を組み合わせて、独自のスパム対策 AI を構築しました。この AI を使用すると、既知のスパムと新しいスパムの両方のトレンドを効果的に把握できます。たとえば、自動生成されたサイトやコンテンツが無断複製されたサイトを、数年前と比べて 80% 以上減らすことに成功しました。
脆弱なウェブサイトの数は依然と多く、2020 年もハッキング スパムは相変わらず蔓延していましたが、スパム検出能力を 50% 以上強化したことで、検索結果からハッキング スパムのほとんどを排除できました。
画像引用:2020 年の Google の検索スパム対策(Google検索セントラル)
そして、2021年にはさらに品質が向上したと公式にあります。
Google は 2021 年に、従来のウェブスパムだけでなく、特にリンクスパム、詐欺、オンライン ハラスメント対策の分野で、大きな進歩を遂げました。
リンクは、有意義な方法でコンテンツを見つけ、検索結果をランク付けするのに役立ってきましたが、2021 年ではさらに、このコアシグナルを保護するために多くの進歩を遂げました。Google は、不自然なリンクを幅広く特定し、不自然なリンクによる検索品質への影響を防ぐためのリンクスパム アップデートをリリースしました。
ここから読み取れることは、Googleはユーザーを守るため、ユーザーにより正確で有意義な情報を伝えるためにアップデートを繰り返しています。上記検索スパム対策にあるように、リンクスパム(不正なリンク操作)、詐欺、オンラインハラスメントなどに注力して対策していることがわかります。
コアアルゴリズムアップデートではない
コアアルゴリズムアップデート(コアアップデート)は年間2回~4回おこなわれる大型アップデートのことで、一般に検索結果が大きく変わります。コアアップデートが実施されると検索結果に大変動が起こり、検索順位が大きく入れ替わりますが、今回のリンクスパムアップデートはコアアップデートではありませんので、かなり限定的な数のサイト評価だけが変わるものです。
原則、悪意のあるリンクスパムをおこなっているサイトが対象ですので、まっとうなWEBサイト運営をしているメディアには無関係なアップデートと断言しても構いません。
2021年のスパムに関するアップデート
Googleは2021年に6月に2回、7月に1回、11月に1回のリンクスパムアップデートを実施しています。スパム対策のアップデートも常日頃おこなっているはずですが、特にリンクについてフォーカスした改善です。
特に注視すべきポイントは次の4つです。
- 検索順位操作を目的にしたリンクの売買
- 過剰な相互リンク
- 自動化生成されたリンク
- キーワードを盛り込みすぎている不自然なリンク
Googleは外部リンクをSEOの重要な評価ポイントとして認めながらも、検索順位を操作する目的のリンクは認めておりません。また、相互リンクは認めていますが、やりすぎは禁物です。
リンクはユーザーのために付けられるものであり、不必要に増やすものでも、おかしな誘導をする目的にも付けられません。そのため、自動生成されるリンクもキーワードの盛り込みすぎなリンクも禁止しています。
具体的には「SEOメディア、東京SEOメーカー」というアンカーテキストで東京SEOメーカーにリンクされていても不自然はありませんが、「SEO」というアンカーテキストでリンクされていることは不自然です。東京SEOメーカーはSEOメディアであって、「SEO」ではないからです。
このような不自然なアンカーテキストリンクが少数あっても問題ありませんが、過剰にやりすぎたり、1つのアンカーテキストに何回もキーワードを入れたりすることはNG行為です。
スパムアップデートとの違い
リンクスパムアップデートと似たアップデートに「スパムアップデート」があります。どちらもスパムを対策した検索エンジンの改善ですが、リンクスパムアップデートはスパムリンクの評価を無効化(特定のリンクのみゼロ評価にする)改善であり、スパムアップデートはブラックハットをおこなうサイトに対してペナルティを与える(サイトやページをマイナス評価にする)という点で大きく異なります。
リンクスパムアップデートが実施された背景
GoogleのSEO対策は外部リンク対策の歴史とも言い換えられます。Google検索エンジンは当初は外部リンクの影響が非常に大きく、外部リンクの数が検索順位にそのまま返ってくるような時代が続きました。
2010年前半まではこのような「外部リンクの数」がSEO対策だったと断言できます。しかし、2010年後半からは「外部リンクの質」が重視され、不自然な外部リンクはペナルティの要因になることから外部リンク対策偏重主義はブラックハットと標榜され、敬遠されるようになりました。
現在では外部リンクも重要な評価要素と捉えつつも、サイト構成やコンテンツの質、E-A-T(専門性、権威性、信頼性)などまっとうなWEBサイト運営をするほうが高く評価される傾向にあります。
しかし、2022年の時点でも外部リンクは非常に強いSEO効果を発揮することから、一部のスパマーやアフィリエイター、場合によってはSEO会社まで悪質な外部リンクにより検索順位を調整しようとしています。
現状ではGoogleがアップデートすることで使えなくなった手法とは別のやり方で順位を不正に操作しようとするサイトが数多く残っています。そのため、本当にユーザーのためになるサイトを高く評価するためにGoogleはこのようなアップデートに踏み切ったものと考えられます。
ナチュラルリンクは影響を受けない
リンクスパムアップデートと聞くと、不正なリンクがあればマイナス評価を受けてしまう印象を受けますが、そもそも不正なリンクは全体数でみればかなり少数です。
通常のWEBサイト運営をおこなっていれば、ナチュラルリンク(自然リンク、まっとうなやり方で取得したリンク)しかついていませんので、アップデートによる悪影響はまったくありません。
また、一部スパムリンクがついていたとしても、そのスパムリンクの評価だけがゼロになるだけですので、やはり、悪影響は考えられません。
今回の改善で検索エンジンから除外されたり、評価が落ちるのは悪意のある手法で検索順位を操作しているサイトだけですので、ほとんどの企業サイトやメディアには無関係なはずです。
検索順位を操作する目的の外部リンクの例
Googleはサイトのランキングに悪影響を与える可能性のあるリンクプログラムとして次の要素を挙げています。
- PageRank を転送するリンクの売買。これには次のものが含まれます。
○ リンク自体やリンクを含む投稿に関して金銭をやり取りする
○ リンクに関して物品やサービスをやり取りする
○ 特定の商品について記載しリンクを設定してもらうのと引き換えにその商品を「料金なし」で送る- 過剰な相互リンク(「リンクする代わりにリンクしてもらう」)や、相互リンクのみを目的としてパートナー ページを作成すること。
- アンカー テキスト リンクにキーワードを豊富に使用した、大規模なアーティクル マーケティング キャンペーンやゲスト投稿キャンペーン。
- 自動化されたプログラムやサービスを使用して自分のサイトへのリンクを作成すること。
- 第三者のコンテンツ所有者に対し、必要に応じてアウトバウンド リンクに修飾属性を適用するかどうか選ぶ権利を与えずに、特定の利用規約や契約、または同様の取り決めの一部として、リンクを義務付けること。
Googleは暗に、不自然なリンクは評価に値しないということを主張しています。
リンクスパムアップデートの特徴
今回のアップデートの特徴は次の2点です。
- リンクスパムの評価が無効化される
- ペナルティが課されない
リンクスパムの評価が無効化される
外部リンクの評価は日常的なアップデートやコアアップデートにより変動しますが、今回のリンクスパムアップデートではリンクスパム(悪質なリンク)に対してだけ作用します。
そして、悪質なリンクがあったとしてもマイナス評価になるのではなく、ゼロ評価になるだけというのが特徴です。
この場合であっても、持っている被リンクのすべてがゼロ評価になるわけではなく、ナチュラルリンクの評価はそのままであり、悪質なリンクの評価だけがゼロになります。
そのため、本来サイトが持っているリンクパワーを正当に評価することが目的であり、ほとんどのサイトでは悪影響はありません。
ペナルティが課されない
リンクスパムの評価をゼロにすることがアップデートの趣旨ですが、悪質なリンクがあったとしてもペナルティを課すわけではありません。
もしペナルティを受けてしまうと検索順位が大幅に落ちたり、検索結果に表示されなかったりすることが考えられますが、ペナルティを受けたとすれば他の要因があるということですので、サイト全体を見直す必要があります。
リンクスパムアップデートへの対処法
大前提として、リンクスパムアップデートの影響で検索順位が下がるということは稀です。リンクスパムは意図して悪質な行為をおこなわなければ通常は起こりえないためです。
しかし、悪質な逆SEO対策を施されたり(実験により2022年時点で逆SEO対策できることがわかっています)、スパマーの対象になってしまったりすることで悪影響を受けてしまったのであれば、直ちに次の方法で対処すべきです。
- ナチュラルリンクを獲得する
- ガイドライン違反のリンクを削除する
- リンクの意味を正しく伝える
ナチュラルリンクを獲得する
Googleは外部リンクがSEOに良い影響を与えることを認めています。そのため、ナチュラルリンクであれば、どれだけ増えたとしても害はありませんし、むしろ正しいSEO効果を生みます。
サイト規模が大きくなれば必然的に評価の低いサイトからのリンクが増えますし、確率的には悪質なリンクを受けることもあります。しかし、ナチュラルリンクを増やし続けることで低評価の効果を薄めることができるため、正しいリンクビルディング構築を進め、ナチュラルリンクの獲得に動いてください。
Google のSEO対策には内部対策、コンテンツ対策、外部対策とありますが、ある程度までサイト規模が大きくなると、あとは高品質なナチュラルリンクを獲得することがSEO担当者の目的になります。
将来的にサイトを大きくするためにも絶対に必要なことですので、早期にリンクビルディング戦略を確立すべきです。
ガイドライン違反のリンクを削除する
通常は被リンクを精査する必要も、被リンクを否認する必要もありませんが、自身で制御できない悪質なリンクを多数受けてしまった場合には削除や否認に動かなければならないことがあります。
もし外部リンクが原因で検索順位が下がってしまったと判断された場合には、次の手順で外部リンクの精査をしてください。
- 外部リンクの確認
- 外部リンクの削除要請
- 外部リンクの否認
※ただし、リンクスパムアップデートは元々評価をゼロにするだけの改善ですので、ガイドライン違反のリンクを削除する行為は外部リンクによりマイナス評価を受けていた場合にのみ効果を発揮します。
外部リンクの確認
自身のサイトの外部リンクはGoogleサーチコンソールの左メニューにある「リンク」から確認することができます。すべての外部リンクを確認する手法はありませんが、Googleサーチコンソールはかなり正確な一覧を出すことができますので、ほとんどの場合はこれだけで十分です。
しかし、より正確に外部リンクを調査したい場合にはAhrefs やMoz 、SEMrush のような有料SEOツールを使うことで、精度を高めることができます。
非常に面倒な作業ではありますが、抽出したURL一覧のすべてを目視確認し、ナチュラルリンクなのか、悪質なリンクなのかを判断するようにしてください。
外部リンクの削除要請
悪質なリンクを見つけた場合、まずはサイトの問い合わせフォームや公開しているメールアドレスに対して削除を依頼する連絡をしてください。
外部リンクの否認
外部リンクの削除要請をしても削除がなされなかった場合には、サイトへのリンクを否認する からリンク否認をおこなうことでマイナス評価をゼロ評価にまで戻すことができます。
リンクの意味を正しく伝える
外部リンクには大きく分けるとdofollowとnofollowの2つがあります。dofollowとは通常の外部リンクのことであり、nofollowとはリンク先に対して外部リンク評価を受け渡さない手法です。
通常、nofollowを使うことはありませんが、コンテンツの性質上、あえてスパムサイトを紹介する場合に自身のサイトに悪影響を及ぼさないようにする際や広告やアフィリエイトサイトにリンクをしたりする際に利用されます。
ただし、2020年3月からは外部リンク評価を受け渡さない手法がnofollow以外にugcとsponsoredが追加されました。nofollowになっている記述をわざわざ変更する必要はありませんが、今後制作するコンテンツには正しいHTML記述をおこなうようにしてください。
nofollow
nofollow(ノーフォロー)とは、リンク先に外部リンク評価を受け渡さない場合やリンク先と自信のサイトの関連性がない場合に利用される記述方法です。
nofollowは次のような書き方で適用できます。
※sponsoredとugcのどちらにも該当しない場合にも利用できます。
ugc
ugc(User Generated Contents)とはユーザーが生成したリンクのことであり、ブログのコメント機能やフォーラム投稿などにより張られたリンクに対して利用される記述方法です。
ugcは次のような書き方で適用できます。
sponsored
sponsored(スポンサード)は広告や寄稿などのような金銭が発生する場合や試供品を提供して作成した記事へのリンクなどに利用される記述方法です。以前はこのような場合にはnofollowが使われていましたが、2020年3月からはsponsoredが使われるようになりました。
sponsoredは、次のような書き方で適用できます。
まとめ