リンク否認ツールとは?使い方やGoogle非推奨理由を徹底解説
リンク否認ツールとは、外部サイトからの悪質な被リンク(スパムリンク)によるSEOへの悪影響を無効化するツールを指します。自社でのスパムリンク対策に限界がある場合に検討するツールですが、誤って良質な被リンクの効果を無効化してしまうケースもあるため慎重に使用する必要があります。
リンク否認ツールとは
リンク否認ツールとは、Googleのウェブマスター向けガイドラインに違反する悪質サイトからの被リンク(スパムリンク)がある場合、自社サイトへの悪影響を無効化するためのツールです。現在ペンギンアップデートによりスパムリンクの影響は自動的に無効化されますが、すべてのスパムリンクが確実に無効化されるとは限りません。
まれに検索エンジンが見落としたスパムリンクによって自社ページのSEO評価が低下するリスクがあるため対策が必要です。その際に自社での対策が困難な場合はリンク否認ツールの使用を検討しましょう。
【注意】Googleはリンク否認ツールの使用を推奨していない
リンク否認ツールは自社の都合でスパムリンクを無効化できる便利なツールではありますが、サイト運営者はGoogleが使用を推奨していないことを念頭に置いておきましょう。なぜならGoogleはSearch Consoleヘルプにて、リンク否認ツールは慎重に使用するよう何度も言及しているからです。
詳しくは後述しますが、リンク否認ツールを誤って使用するとサイトSEO評価を低下させるリスクがあります。できる限り手動での対策を行うことが大切ですが、自社での対策が困難なケースも現実的に存在します。リンク否認ツールは最終手段として考慮し、使用する際は注意点を入念に押さえておきましょう。
参考:サイトへのリンクを否認する – Search Console ヘルプ
Googleがリンク否認ツールの使用を推奨しない理由
Googleがリンク否認ツールの使用を推奨しない理由は、主に以下の3つが挙げられます。
- 信頼性が低いリンクは評価されないため
- かえって検索順位が下がる可能性があるため
- リンク元に削除依頼を送る等の選択肢が残っているため
上記3つの理由について押さえておくことで、リンク否認ツール使用の注意点や自社でできる手動対策の方法が分かります。もちろん普段から被リンク状況をチェックし、スパムリンクが及ぼす悪影響を未然に防ぐ意識は重要です。
サイト運営者が被リンクの質を判断するのは難易度が高く、誤使用は逆効果になる可能性があります。まずは本項で言及する手動対策を実践することをおすすめします。
信頼性が低いリンクは評価されないため
現在の検索エンジンは精度が高く、信頼性の低いリンクは評価しないように機能しています。かつてスパムリンクが横行することで検索結果に低品質ページが表示されていましたが、Googleはその事態を改善すべく数々のアップデートを実施してきました。
ここでは低品質ページの上位表示を退けるアップデートの代表例として「ペンギンアップデート」「パンダアップデート」をご紹介します。
ペンギンアップデートの実施
ペンギンアップデートとは、主にスパムリンクといったブラックハットSEOを行うページを検索結果から退けるものです。2012年からの実施より被リンクの評価は「量」から「質」へ変化しました。
2010年頃までは単純に被リンクの量が多ければ低品質ページでも上位表示が可能でした。ペンギンアップデート以降はリンクとコンテンツ内容との関連性が重視されるように改善されました。リンク先のページに敬意を払って参照、引用する高品質リンクが評価されるようになったのです。
リンクの質が基準になったことで、今日では良質な被リンクを多く受けるページが正当にSEO評価を高められるように改善されています。
パンダアップデートの実施
パンダアップデートとは、検索ユーザーのニーズに応えていない低品質なコンテンツの上位表示を防ぐものです。これによりコンテンツの「内容」が重視されるようになり、ユーザーの検索意図を汲み取ったページが評価されるようになりました。
検索結果に上位表示するには検索キーワードとの関連性が重要ですが、かつての検索エンジンはキーワード含有率が多いページを評価する傾向にありました。そのため内容が希薄な低品質ページでもキーワードを大量に挿入すれば上位表示が可能だったのです。
現在の検索エンジンはユーザーがスムーズに情報収集できるよう、コンテンツに掲載されている情報の信頼性を評価するように改善されています。
かえって検索順位が下がる可能性があるため
SEO評価を高めているリンクを誤って否認してしまうと、かえって検索順位が下落する可能性があります。その理由として以下の3点が挙げられます。
- リンク否認ツール提供元のGoogleが慎重な使用をアナウンスしている
- サイト運営者自身でリンクの質を判断する難易度が高い
- 否認するリンクを修正しても反映されるのに時間がかかる
Googleが公式ブログにて慎重に使用するよう度々言及しているのは、リンク否認ツールが複雑な機能であるためです。
誤ってサイト評価を高める良質リンクを否認した場合、修正は可能ですが反映されるまでに数週間かかるケースも少なくありません。
特に注意すべきなのはドメイン単位でリンク否認を行う場合です。一見するとスパムサイトだとしても良質なリンクが紛れ込んでいる可能性があるからです。
良質リンクを含むサイトをドメインごと否認した場合も検索順位下落のリスクがあるため、リンクはひとつずつ目視でチェックするのが大切です。
リンク元に削除依頼を送る等の選択肢が残っているため
スパムリンク対策にはリンク否認ツールの使用だけでなく、自社で行える手動の対策もあります。スパムリンクの存在を確認した際すぐにリンク否認ツールを使用するのではなく、まずは以下の手法を試してみてください。
- リンク元に削除依頼を送る
- 自社が設置したリンクであれば削除する
リンク否認ツールの使用は上記2つの方法が現実的に不可能な場合、最終手段として検討するのが大切です。
外部サイトからのリンク(被リンク)の場合は削除依頼を送る
外部サイトからスパムリンクを受けた場合は、そのサイトの運営者に削除依頼を送ってみましょう。運営者と連絡がつき削除してもらえれば、リンク否認ツールの誤使用によるリスクを回避できます。とはいえ対象のリンク元サイトが海外ドメインや自動生成サイトなどのケースでは、運営者を特定できないことが多いのも事実です。
自社が設置したリンクは単純に削除すればよい
自社が設置したリンクがスパムリンクであれば、当たり前ではありますが単純に削除すれば解決します。スパムリンクに自社が関与しているケースで特に確認すべきなのは、ブラックハットSEOが有効だった2010年前後、サイト運営をSEO企業に委託していた場合です。
自社でスパムリンク元サイトを操作できる場合は迅速に削除しましょう。自社で操作できない場合も、委託していたSEO企業に連絡をとり削除依頼してください。
リンク否認ツールを使用すべきタイミング
リンク否認ツールを使用すべきタイミングは、Googleが公式ヘルプにて以下のように言及しています。
”サイトに対して、スパム行為のあるリンク、人為的リンク、品質が低いリンクが数多くある。かつそのようなリンクが、自分のサイトで手動の対策を行わなければならない原因となっている、または今後、手動による対策を行わなければならなくなる可能性がある場合。”
つまりGoogleは下記2つの場合にのみ、リンク否認ツールの使用が必要であると明示しています。
- リンクプログラムに該当するリンク元からの被リンクが認められる場合
- Googleによる手動ペナルティが自社サイトに適用された場合
上記2つの場合は自社での対策が困難であり、早急にスパムリンクを否認する緊急性があるケースです。自社サイトでのリンク否認ツール使用が適切かチェックしてみましょう。
リンクプログラムに該当するリンク元からの被リンクが認められる場合
リンクプログラム(スパムリンク)に該当する外部サイトから被リンクを受けている場合は、リンク否認ツールの使用を検討しましょう。対象サイト運営者への削除依頼が通らないケースは現実として存在します。
リンクプログラムに該当するサイトは、Googleのウェブマスター向けガイドラインに違反している低品質サイトです。対象サイトが以下のスパムリンク行為を行っていないか確認してみましょう。
- 金銭授受などの利害関係が絡んだリンク設置
- 過剰な相互リンクや自作自演の相互リンクの作成
- リンクテキストへの過剰なキーワード挿入
- 自動生成によるリンク作成
- 発リンクを挿入するサイト運営者に対するリンク属性挿入の強制
上記の手法はGoogleがガイドラインにて違反行為であると明示しているリンクプログラムに該当します。リンクプログラムを行うページからの被リンクを否認することで、自社のSEO評価が改善される可能性が高くなります。
Googleによる手動ペナルティが自社サイトに適用された場合
Googleスタッフの目視による手動ペナルティが自社サイトに適用された場合は緊急性が高いため、リンク否認ツールによる対策が必要です。また今後手動ペナルティを受ける可能性が高い場合も検討しても良いですが、あくまでGoogleは手動ペナルティが実行された場合のみに使用を推奨していることに留意しておきましょう。
Googleによる手動ペナルティが適用されたサイトで、リンク否認ツールの使用によって検索順位が回復した事例が存在します。特にスパムリンクの数が多く、自社での削除が追いつかないケースが挙げられます。
手動ペナルティが適用された場合はリンク否認ツールの使用でサイトを修正したのち、Google Search Consoleから「再審査リクエスト」が可能です。手動ペナルティの通知メッセージにはサイトの問題点が記載されるため、改善後に再クローリングを申請してください。
リンク否認ツールの使い方
自社サイトでのリンク否認ツール使用が適切であると確認したら、実際にGoogle公式ヘルプに記載されている方法でスパムリンクを否認しましょう。ここでは慎重に進めることに重点を置き、使用の手順を解説します。
Googleスタッフによる手動ペナルティが適用された場合はスパムリンクが原因であることが明確です。しかし外部サイトからの影響を懸念して自主的にリンク否認ツールを使用した場合、必ずしもSEO評価が回復するとは限らないことは念頭に置いてください。
参照:サイトへのリンクを否認する – Search Console ヘルプ
否認すべきリンクかどうか精査する
まずはサーチコンソールからスパムリンクを抽出し、否認すべきリンクかどうかをひとつずつ精査していきます。本記事で何度も言及していますが、リンク否認は慎重に行う必要があります。実際の否認リンク抽出方法は以下の通りです。
- サーチコンソール画面左側の「リンク」をクリックする
- 画面左側中央の「上位のリンク元サイト」から被リンク一覧をダウンロードする
- 被リンク元のページをひとつずつ目視で確認する
被リンク元のページは必ず目視での確認を行ってください。膨大な数のスパムリンクがある場合は手間がかかりますが、安全にSEO評価を守る上で必要な工程です。スパムリンクは関連性のないサイトや被リンクが急増したサイトに多い傾向があります。
また検索エンジンのランキングには200以上のアルゴリズムが使用されているため、必ずしもスパムリンクが順位下落の原因とは限りません。コンテンツ内容改善も視野に入れ、リンク否認によってサイトパフォーマンスが改善しない可能性があることを考慮しておきましょう。
否認するリンクのリストを作成する
スパムリンクをすべて確定したら、否認リンクのリストをテキストファイル(.txt)にまとめて作成します。リンクを作成する際は以下の4点に特に注意してください。
- 否認するリンクのURLは省略せず先頭から最後まで絶対パスで記述する
- 否認ドメインの記述ではドメインの直前に「domein:」を記述する
- ファイル名の末尾は必ず「.txt」で作成する
- URLまたはドメインの記述は1つずつ改行する
Googleが紹介している実際の否認リスト記述例は以下の通りです。
# 否認するページ 2 件
http://spam.example.com/stuff/comments.html
http://spam.example.com/stuff/paid-links.html
# 否認するドメイン
domain:shadyseo.com
引用:サイトへのリンクを否認する – Search Console ヘルプ
上記のように「#」の記述でコメントを追加できます。
否認リストを専用ページからアップロードする
サーチコンソールにログインした状態でリンク否認の専用ページにアクセスし、作成した否認リストのテキストファイルをアップロードします。専用ページはサーチコンソール画面ではなく、サーチコンソールヘルプに記載されています。下記のリンクは専用ページのリンクですのでご利用ください。
アップロードの手順は以下の通りです。
- 「プロパティの選択」をクリックしてリンク否認を行う自社サイトを選択する
- 「否認リストをアップロード」をクリックして作成したテキストファイルをアップロードする
- 否認したドメイン数とURL数の表示を確認する
上記の手順で正しく否認リンクを設定できます。ファイルに問題があった場合はエラーメッセージが表示されるので、その際は修正してアップロードし直しましょう。
質の良い被リンクを獲得する方法
スパムリンク被害は必ずしも予防できるものではありませんが、良質な被リンクを獲得する施策は常時行いましょう。良質な被リンクの獲得はSEO評価の向上における重要な要素であり、上位表示が期待できます。高品質なコンテンツを作成し、信頼のおけるオリジナルの情報を盛り込むのが大切です。
スパムリンクは基本的に検索エンジンによって無効化されるため、上位表示を目指すにおいて最も重要なのはコンテンツの内容を最適化することです。多くの外部サイトから参照、引用されるコンテンツを発信し、順位変動が発生しにくいサイトの基盤を積み上げていきましょう。
専門性の高いページを作成する
外部サイトからの客観的な信頼を得て被リンクを獲得するには、専門性の高いページであることが重要です。なぜなら外部サイト運営者がリンクを設置するのは、ページのコンテンツ内容に根拠を付与するためだからです。
専門性の高い良質なコンテンツを作成するには、Googleが重要な評価基準としている「E-A-T」の理念を体現するのがポイントです。
- Expertise:専門性
- Authoritative:権威性
- Trustworthiness:信頼性
つまりコンテンツが検索意図を忠実に満たす内容であるのはもちろん、誰が発信する情報なのか、正確な情報を記載しているかを明確化するのが大切なのです。
E-A-Tの理念は検索エンジンの評価基準でもありますが、閲覧ユーザーに対してもメリットになります。上記のE-A-Tに準拠したページを作成し、外部サイトからの信頼を獲得しましょう。
被リンク獲得に向けた施策を展開する
先述したE-A-Tに準拠したコンテンツ作成で信頼を獲得するのに加え、さらに被リンク獲得の確率が高くなる施策が存在します。それは独自に調査した正確なデータを挿入することです。
データによって情報の根拠が強化されるだけでなく、オリジナリティも高められるためSEO評価の向上も合わせて期待できます。
データを作成するのは相応の手間がかかりますが、企業としてリソースをかける価値は十分にあると言えます。以下のようなデータは引用元として被リンクを獲得しやすいためおすすめです。
- 調査レポート
- 口コミ調査
- プレスリリース
上記のようなデータをコンテンツに盛り込めば、確かなデータをユーザーに還元できる仕組みを簡単に構築することができます。外部サイトのページで自社のデータを引用してもらうことで、被リンクを獲得できる可能性が期待できるのです。
また被リンクを獲得する施策としては、SNSやメディアでの露出を増やしたり、関連サイト同士で相互リンクのパートナーシップを締結したりといった方法もあります。
サイト同士の関連が薄い自作自演の相互リンクはガイドライン違反となりますが、ユーザーのメリットにつながる相互リンクは違反に該当しません。Googleのウェブマスター向けガイドラインを熟読し、Googleの理念に準拠した施策を進めてください。