法律事務所のSEO対策とは?弁護士や行政書士、司法書士事務所をSEO対策について解説
近年では、弁護士の数は年々増加していて、顧客の争奪が激化しています。さらに現代では、インターネット社会化が進んでいて、オンラインでの顧客の呼び込み活動が不可欠となっています。
そこで重要な施策として挙げられるのが、事務所サイトの設置とSEO(Search Engine Optimization)対策です。
法律事務所がSEO対策すべき理由
法律事務所がSEO(Search Engine Optimization)対策することで、事務所サイトに対するアクセスが増加します。通常、サイト訪問者は少なからず法律や弁護士に関心がありますので、顧客化につながるといった利点があります。
2022年時点の弁護士人口は4万4千人超え
国内の弁護士で構成される日本弁護士連合会(日弁連)は、弁護士の活動などを報告する弁護士白書を2023年3月に発表しました。それによると、2022年における国内の弁護士数が44,101人に達したとのことです。
西暦 | 弁護士人口 |
2000年 | 17,126人 |
2005年 | 21,185人 |
2010年 | 30,485人 |
2015年 | 36,415人 |
2020年 | 42,164人 |
2022年 | 44,101人 |
2000年時点から比較すると、弁護士人口は約2.5倍に増えていることがわかります。弁護士数は年々増加の一途を辿っており、顧客獲得の競争も激化しています。
さらに、内閣官房が発表した法曹人口調査報告書によると、一般の生活者が弁護士を探す際にインターネットを利用するケースが多いことが判明しています。
このような背景から、法律事務所にとって、SEOを活用した相談者の集客が重要視されています。
そもそもSEOとは
そもそもSEOとは、検索エンジンの検索結果に自サイトを上位表示させるための一連の施策のことです。自サイトの露出を増やすことで、最終的には自サイトのアクセス数を伸ばすことが目的となります。
法律事務所の場合、関連キーワードで検索された際に、その検索結果で事務所サイトを上位表示させるための手段となります。
法律事務所のキーワード例
SEO施策を実施するうえで大切なことは、キーワードを決めることです。通常は、「どのようなキーワードで検索されたときに事務所サイトを上位表示させたいか」という狙いを基準にしてキーワードを設定していきます。例えば、法律事務所が抑えるべきキーワードには、下記のようなものが挙げられます。
- 法律事務所の類義語
- 生活者の悩みや疑問
- 法律事務所が所在する地域名
- 弁護士の名前
法律事務所の類義語
一般の生活者は、法律事務所をさまざまな言葉に言い換えて利用します。キーワード検索するときも同様で、法律事務所の類義語になる単語が選択されるケースがあります。そのため、一般の生活者が「弁護士を探す」という目的で、下記のようなキーワードで検索します。
- 法律事務所
- 弁護士事務所
- 弁護士法人
- 弁護士
原則として、自身の事務所にふさわしい業態をキーワードに設定します。ただし、このうち「法律事務所」をキーワードとする場合は、「弁護士」に対するキーワード対策も同時に進めてください。これは、法律事務所と弁護士が密接に関係していて、キーワード対策として効果を見込めるためです。
生活者の悩みや疑問
一般の生活者は、法的な悩みや課題がある場合に弁護士に相談しますが、その相談内容は千差万別です。そして、この悩みや疑問が検索キーワードになります。こうしたキーワードには、下記のようなものがあります。
- 「法律事務所 離婚」
- 「法律事務所 債権回収」
- 「法律事務所 相続」
- 「法律事務所 借金」
- 「法律事務所 近隣トラブル」
そこで、弁護士自身の強みや対応できる案件をキーワード設定する手段が効果的です。例えば、離婚案件を手掛けている事務所の場合は、「法律事務所 離婚」をキーワード設定します。すると、サイト訪問者の悩みや疑問と合致する場合は、顧客になり得ます。
このほか、法律事務所に相談する方法や必要な費用に関して知りたがっている生活者も散見されますので、下記のようなキーワードもニーズがあります。
- 「法律事務所 相談」
- 「法律事務所 電話相談」
- 「法律事務所 無料相談」
- 「法律事務所 相談料」
- 「法律事務所 顧問料」
- 「法律事務所 よくある質問」
法律事務所が所在する地域名
一般の生活者が法律事務所へ相談するにしても、現実的に訪問できる地域かどうかが問われるケースもあります。こうした場合は、エリアを絞って下記のように検索されます。
- 「法律事務所 ○○県」
- 「法律事務所 ○○市」
- 「法律事務所 ○○区」
日弁連が2023年に公開した弁護士白書をみると、東名阪といった主要都市になるにつれて、弁護士1人当たりの生活者の人口が減っていく傾向にあることがわかります。
都道府県 | 弁護士1人当たりの生活者の人口 |
東京 | 651人 |
大阪 | 1,814人 |
京都 | 3,060人 |
神奈川 | 5,245人 |
秋田 | 12,434人 |
逆に、郊外に向かうほど、弁護士1人当たりの生活者の人口が多いと伺えます。同時に弁護士の競合数も減っていますので、郊外に事務所を構えている場合は、地域キーワードの奪取難易度が低い傾向にあります。
弁護士の名前
それぞれの分野で結果を残していると、評判が上がり、弁護士としての知名度が高まっていきます。知名度が上がると、弁護士の名前自体が検索キーワードになります。弁護士名がキーワードとして検索されるようになると、事務所サイトに対する流入が増加します。
個人の法律事務所では、事務所名に弁護士の氏名が入っているケースが多数派を占めます。そのため、原則としてキーワード対策に必要な作業は発生しません。
法律事務所におけるSEO施策の流れ
法律事務所がSEO施策をする際、具体的な流れは下記のようになります。
- 事務所サイトを用意する
- 事務所サイトをキーワード設定する
- 事務所の情報ページを作成する
- ページの情報を修正する
- Googleビジネスプロフィールに事務所の情報を登録する
1.事務所サイトを用意する
まずは、事務所の情報を発信するWEBサイトを立ち上げます。具体的なWEBサイトの立ち上げ方に関しては、下記リンク先の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
>>ホームページの作り方とは?初心者でも分かりやすいように徹底解説
2.事務所サイトをキーワード設定する
次に、事務所サイトをキーワードに設定していきます。法律事務所の場合は、下記のような要素がキーワードとして適しています。
- 法律事務所の類義語
- 生活者の悩みや疑問
- 法律事務所が所在する地域名
- 弁護士の名前
設定するキーワードをピックアップしたら、ページタイトル案を出していきます。さらに、作るべきページを整理していって、サイト構成を組み立てていきます。法律事務所のWEBサイトは、一般的に下記のようなサイト構成になります。
-TOPページ
–相談サービスや料金体系の情報ページ
–事務所情報(住所/地図/営業時間/電話番号)
–よくある質問(FAQ)のページ
–所属する弁護士の紹介ページ
–お問い合わせ用のページ
3.事務所の情報ページを作成する
ページテーマやサイト構成が固まってきたら、各々ページを作成していきます。とくにページ作成時には、設定したキーワードの検索意図を想定のうえで、検索ユーザーが知りたい答えを提示するように努めてください。
例えば、「法律事務所 無料相談」と検索してきたサイト訪問者は、「まずはお試しとして無料で相談できる法律事務所」を探していると予想できます。そのため、事務所が無料相談のサービスを提供している場合は、その旨をアピールしてください。
4.ページの情報を修正する
事務所サイトが一通り完成したとしても、定期的にサイトをメンテナンスする必要があります。そして、この作業のことをリライトと呼びます。
法律事務所サイトの場合は、例えば下記のような場面でリライト作業が発生します。
- サービス内容や料金体系の変更
- 営業時間の変更
- 在籍する弁護士の入れ替え
- FAQページの高品質化
このうち、上の3つは法律事務所の情報に変更があったケースのリライトです。こうした古い情報を最新の状態にページ更新することは非常に大切ですので、最優先してリライトしてください。
残りのFAQページの高品質化とは、検索ユーザーが求める情報を強化することで、サイト訪問者の満足度を高めるためのリライトです。このケースでは、新たな検索キーワードを抑えることでSEO効果を見込めます。
5.Googleビジネスプロフィールに事務所の情報を登録する
Googleビジネスプロフィールと呼ばれるサービスに事務所の情報を登録してください。
Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)とは、全国の法律事務所や店舗情報を収集して、検索結果やGoogleマップ上に掲載するWEBサービスのことです。
Googleビジネスプロフィールに事務所情報を登録すると、下記画像の要領で事務所情報が載ります。
このとき、掲載される項目は、主に下記のとおりです。
- サイトリンク
- 法律事務所名
- 口コミ情報
- 所在地
- 営業時間
- 電話番号
法律事務所や企業にとって、Googleビジネスプロフィールを利用することは大切なことです。SEOを考慮するならば、積極的に登録してください。具体的な登録方法は、下記リンク先の記事でわかりやすく解説しています。
法律事務所向けのSEO施策のテクニック
法律事務所がSEO対策をする際には、いくつかポイントがあります。具体的なテクニックとして、下記のような施策が挙げられます。
- YMYLを考慮し、弁護士の実績とプロフィールを掲載する
- 弁護士会サイトから被リンクを獲得する
- FAQ方式でサイト訪問者の疑問に回答する
YMYLを考慮し、弁護士の実績とプロフィールを掲載する
法律や弁護士に関するWEBサイトは、YMYL(Your Money or Your Life)領域に属しますので、Google検索エンジンから厳しく信頼性や権威性を問われます。
そもそもYMYLとは、検索ユーザーの人生や幸福を大きく左右する情報となる可能性がある領域を指します。そして、GoogleがWEBサイト運用者に向けて公開している検索品質評価ガイドラインにて、YMYL領域に関する情報を発信しています。
国家の法律を扱う法律事務所や弁護士に関する情報は、検索ユーザーの人生に大きな影響を及ぼす可能性があります。世界最大規模の検索エンジンを運営するGoogleとしては、検索ユーザーが不利益を被るリスクを下げる義務があります。そこで、GoogleはYMYL領域の情報に言及するWEBサイトを徹底的に評価する仕組みを検索エンジンに組み込んでいるといった背景があります。
その対策として、事務所サイトとしては、在籍する弁護士のプロフィールを事務所サイトに掲載するなどして、法律の専門化という点をアピールする必要があります。具体的には、弁護士の氏名や顔写真といった基本情報のほか、履歴や過去に手掛けた案件の実績情報を掲載してください。さらに、サービスに対する顧客の声や反応を掲載すると、事務所の信頼性を裏付けにつながります。
弁護士会サイトから被リンクを獲得する
SEOにおいては、被リンク(外部リンク)を獲得することが大切です。
被リンクとは、外部ページからリンクを獲得することです。検索エンジンとしては、「外部に引用されるWEBサイト」と評価されますので、SEO面で有利になります。さらに、取り扱いジャンルが近くて、かつ権威性が高いWEBサイトからの被リンクは大きな効果があります。
そこで被リンク施策を進めていくわけですが、法律事務所としては、弁護士会といった団体からの被リンクを狙っていきます。例えば、秋田県では弁護士を集めて秋田弁護士会という団体が組織されています。そして、秋田弁護士会の公式サイトでは、登録済み弁護士の基本情報とともに、事務所サイトを紹介しています。
こうした自然発生的で、かつ権威性が高いWEBサイトからの被リンクはSEO効果を見込めますので、積極的に活用してください。
FAQ方式でサイト訪問者の疑問に回答する
法律事務所は、法律という極めて専門性と重要性が高い情報を扱っています。一般の生活者からすると、法律に関して専門家の意見を仰ぎたい場面も多々あります。そこで、弁護士が監修したFAQ方式のよくある質問といったコンテンツに需要があります。
昨今では、検索ユーザーにとって価値あるコンテンツがGoogleに高く評価されています。そして、コンテンツの価値を高める施策のことをコンテンツSEOと呼びます。
法律事務所の強みである法律の知識を活かして、よくある質問とその回答をまとめたページをサイト内に設置すると、SEO面で効果を期待できます。
法律事務所におけるSEOのよくある質問
法律事務所や弁護士事務所サイトのSEOに関する、よくある質問をFAQ方式でまとめています。
Q:法律事務所がSEO対策するメリットは?
Answer)低コストの予算で相談者の増加を見込めます。
SEO施策で事務所サイトの訪問者を増やすことで、相談者になるきっかけとなります。さらに、法律事務所の場合は、設定するキーワードがYMYL領域に属します。法律事務所は、弁護士という強力な強みを有しますので、適切にサイト運用できれば、検索結果で上位表示を狙いやすいといった利点が挙げられます。
まとめ