IPアドレス分散とは?SEOに効果のある被リンクは本当か解説
SEOで外部対策をしていると必ず出てくるのが外部リンクです。そして、外部リンクを自分でできないかを調べるようになると出てくるのがIP分散です。
2010年代を中心にIP分散(IPアドレス分散)をすることで効果あった時代もありますが、現在では以前ほどの効果は見込めず、費用対効果の悪いSEO手法となります。効果が全くないとはいいませんが、ペナルティのリスクもありますので知識のない方にお勧めできる手法でもありません。
IPアドレス分散とは
サイトは必ずサーバーに設置しますが、サーバーごとにIPアドレスが設置されています。IPアドレス分散とは、サーバーのIPアドレスを複数用意し被リンクを増やすSEO対策の手法のことを意味します。IP分散ともいいます。
しかし、IPアドレス分散を行うことは自演リンクになることが多く、使い方を誤るとペナルティを受けることもあるリスクのある手法です。2010年代は非常に積極的に行われていましたが、2020年代はリスクの方が大きいためほとんど行われなくなりました。ブラックハットSEOで使われる手法の中でもっともポピュラーなものです。
2010年代のSEOはむしろ被リンクを作ることが主流でした。ですが、あまりに被リンクサイトが増え無法地帯となったためGoogleは2012年にペンギンアップデートと呼ばれる対策をしています。このアップデートにより低品質なサイトやSEO目的の被リンクはSEO効果を失い非常に大きい順位変動が起きています。
しかし、2012年の段階ではまだまだ被リンクは行われていました。ペンギンアップデートも2013年、2014年と段階的に行われ2016年にもアップデートがされました。以後はペンギンアップデートとは呼ばれませんが普段の更新の際に組み込まれています。
しかし、少なくとも2017年ころまではIPアドレス分散によって大きなSEO効果があったという報告が確認できていますので、主流だったのは2010年代はじめなのでしょうが現在でも続いているものと推測できます。
クラスCの分散
IPアドレスは0~255までの数値を4つ組み合わせることで出来ています。左からクラスA、クラスB、クラスC、クラスDと呼ばれていて、クラスDが違うだけだと同じサーバーに入っていることになるため、クラスC以上での分散をすることがIPアドレス分散では必須となります。
IPアドレス「123,223,323,423」の場合、「123,223,323、~」ここまで一緒だと同じサーバーなので、ドメインを変えても自作自演だと検索エンジンは判断します。
※クラスCレベルでIP分散をすれば同一サーバーでないことになります。
- クラスA のIP分散:123、の部分から数字が違う。
- クラスBのIP分散:123は同じ223から数字が違う。
- クラスCのIP分散:123,223は同じ323の部分から違う。
IPアドレスの確認方法
サーバーのIPアドレスを調べる方法はたくさんありますが、もっとも簡単な方法はSEOチェキ などのツールを使うことです。下図はSEOチェキで「google.co.jp」を調べた結果ですが、サーバ・ドメインの項目に172.217.175.3とあります。これがgoogle.co.jpのIPアドレスです。
IPアドレス分散の必要性
IPアドレス分散をするということは被リンクを自分で作るということとほぼ同義ですので、普通はIPアドレス分散を行う必要性はありません。しかし、自演かどうかは別としてサテライトサイトを作ること自体は確かにあります。
自社のネットワークでリンクを繋げること自体には何のやましいこともありませんし、プラスに作用する可能性があります。このような場合にはIPアドレスを分散させてSEO効果を狙うことは可能です。
被リンク確保のため
外部リンクを集めることでSEO効果はあります。ただし、SEO効果があるのはIPアドレスが違う場合に限ります。もっと言えば、クラスC以上でIPアドレスが分散されているときに限ってSEO効果があると言われています。
クラスDで分散されていたとしても同じサーバーないからのリンクになるため、扱いとしては内部リンクと同じです。内部リンクにもSEO効果はありますが、外部リンクとしては評価されません。
サテライトサイトのため
自社の本体サイトとは別にサテライトサイトを保有するということはよくあります。ここで同じサーバーにサイトを入れることも可能ですが、大規模サイトを運営している場合や負荷のかかる処理をしている場合、セキュリティの関係で同じサーバーに入れられない場合などが考えられます。
このような時には別サーバーを設ける必要がありますので必然的にIPアドレスの分散を行うことになります。
ブラックハットSEOになる危険性がある
本来、IPアドレス分散をする必要はありません。しかし、イタリアの政治思想家であるマキャベリは君主論にて「君主はライオンのような勇猛さと狐のような狡猾さが必要である」と残していますし、実践するかどうかは別として知っておくことで競合分析や不調時の原因特定に役立つこともあります。
ただ、とにかくリスクの高い手法ですのでIPアドレス分散を自社でやろうとは思わなくでください。失敗する可能性が高いからです。
自作自演でIPアドレスを分散した被リンクサイトを量産し、SEO効果を狙うのはブラックハットSEOといってペナルティを受ける可能性の高い方法です。ブラックハットというのは西部劇ででてきた悪役が黒い帽子をかぶっていることから命名されているくらいですので、そのくらいのことをやっているとお考えください。
自作自演のリンクを大量に作った場合、Googleからペナルティを受けることがあります。これを手動ペナルティと呼び、Googleサーチコンソールから確認できます。そして、同じくサーチコンソールからリンク否認という手法を取ることでペナルティを解除することが可能です。
ただし、前提としては不自然なリンクをすべて外す、または外す努力をし、どうしてもリンクが外せない場合に限って否認することで解除が可能です。ペナルティを受けてから解除までの期間は短ければ1か月程度ですが、長ければ1年程度かかることもあります。この手間を考えれば最初から危ない橋はわたらない方がよいです。
サテライトサイト自体は問題ない
誤解してほしくないのはリンク操作を目的とした被リンクを量産することはブラックハットになりますが、サテライトサイトを作ること自体は問題がないということです。本体のサービスサイトを作る以外に、特定の分野に特化したサイトを作ることはありますのでジャンルごとに特化サイトを作ってそちらで価値のあるコンテンツを提供して集客するということはよくありますし、自社の関連サイトをリンクで結ぶことはプラスに働く可能性があります。
手間がかかる割に効果は薄い
一方、最初から被リンクを付けることでSEO効果を狙う場合、IPアドレスを分散させただけではSEO効果は見込めません。検索エンジンは価値のないコンテンツはインデックスすらしないためです。
被リンクで重要なのは自然リンクであることはもちろんですが、リンクをつけるサイト(リンク元のサイト)に価値がなければSEO効果はありません。では価値があるサイトにするためにどうするかといえばユーザーに価値を提供できるだけの高品質なコンテンツを配信する必要があります。
このような高品質なコンテンツを複数つくってサイトを運営するのであれば本体サイトのコンテンツ向上を目指した方がSEO効果が高く、被リンクサイトを作ったとしても1つや2つではほとんどSEO効果がありません。
そうなると高品質な価値を提供し続けるだけのサテライトサイトを複数持つことになるので手間と管理コストがかかります。そして、手間と管理コストをかけた割には高いSEO効果が出ないことがほとんどです。
王道は高品質なコンテンツ
どのWEBメディアを読んでも、どのSEO会社に確認しても必ず高品質なコンテンツが重要という答えが返ってくるはずです。現在は以前のように手間をかけてIP分散したサイトを立ち上げて管理するという本質的ではないSEOはやらなくてよくなりましたが、代わりにユーザーのニーズをどこまで捉えてコンテンツを作るのかが重要になってきています。