IPアドレスとは?IPアドレスの種類とSEOの関係について解説
ネットワークの設計や設定にかならず必要なIPアドレス。ネットワークの最も基本的な知識ですが、きちんと理解するためには幅広く体系的に学ぶことが大事です。
IPアドレスは、Internet Protocol Addressの略で通信相手を指定する時に必要とされ、いわばインターネットで通信するための住所になります。
IPアドレスとは
IPアドレスとはネットワーク上で割りふられる番号のことで、インターネットの世界での住所のようなものです。IPアドレスは、英語でInternet Protocol Addressです。「123.45.678.91」のように表記されます。
ネット上のページを閲覧したり、電子メールを送受信したりするためには、データの送信元と送信先を特定する必要がありますが、その特定に使われるナンバーを意味し、認証IDとも呼ばれます。
ネットワーク上の通信機器はそれぞれ、1つ以上のIPアドレスが割り振られます。
IPアドレスの構造
認証IDは、あらかじめ決められた構造で構成されています。ここでは、アドレスの仕組みとクラスについて説明します。
ネットワーク部とホスト部
大部分はネットワーク部とホスト部の2つの部分から構成されています。
例えば、123.45.678.91上の「123.45.678」の部分がネットワーク部と呼ばれ、国およびISP(プロバイダー)によって利用できる値が決まっています。「.91」の部分はホスト部分と呼ばれ、ネットワーク「123.45.678」のなかにある機器を決定するものです。
企業内など同一ネットワークの場合、ネットワーク部の数値は同じです。
一方、ホスト部ではデバイスごとに異なる番号が割り振られます。したがって、ホスト部の大きさは、ネットワークの規模を示すことになります。
クラスについて
「123.45.678.91」の「123.45.678」部分がネットワーク部分になりますが、その境界(桁数)は必ずしも同じではありません。ホスト部の桁数は、ネットワークの規模によって異なり、以下のように「クラス」で分類されています。
ここでは代表的なクラスA~Cを取り上げます。これらはネットワーク部とホスト部の桁数で決まります。前述したように、各機器に割り当てられるのは、ホスト部の桁数です。したがって、ホスト部の桁数が多いほど、より多くの台数を割り当てることができます。
- クラスA:2の(24-2)乗=1677万個
- クラスB:2の(16-2)乗=65,000個
- クラスC:2の(8-2)乗=254個
ネットワーク部(赤字部分) | 2進数で表した時 | ホスト台数 | |
クラスA | 123.45.678.91(8ビット) | 0で始まる | 1677万台 |
クラスB | 123.45.678.91(16ビット) | 10で始まる | 6.5万台 |
クラスC | 123.45.678.91(24ビット) | 110で始まる | 254台 |
SEO対策のリンクビルディングでは、クラスCのIP分散されたサーバーからのリンク獲得であれば問題ないとされています。
ネットワークアドレスの仕組み
認証IDは、ほぼ自動的に割り当てられており、その割り当て方法によって「固定IPアドレス」と「動的IPアドレス」に分類されます。それぞれの分類の概要を見ていきましょう。
固定IPアドレス
固定IPアドレスは、いつも同じナンバーを使用するもので、Webサーバーやメールサーバーなど、ナンバーが変わると動作に影響が出る通信機器に利用されています。
動的IPアドレス
常に同じIPアドレスを使用するのではなく、動的IPアドレスでは毎回異なるナンバーが割り当てられます。
プロバイダーが提供するインターネットの接続サービスの場合、すべての加入者が常にネット環境にあるとは限りません。そのため、すべての加入者に固定的な認証IDを割り当てるよりも、効率的となります。
また、サービスプロバイダが予約する認証IDの数には限りがあるので、有限の認証IDを経済的かつ効率的に利用する必要がありますが、数を節約でき、より安価に利用することができます。
IPアドレスからわかること
ネットワーク上の場所を意味するのみで、国および地域単位での情報やプロバイダは明らかになるものの、実際の住所の番地までは特定されません。
ただし、ネットにおける誹謗中傷の損害賠償請求などおこなわれるプロバイダへ開示請求は、認証IDから住所や氏名などの個人情報を取得するためです。
IPアドレスの種類
IPアドレスは、使用される場所や割り当て方法によって、大きく4種類に分類されます。
- 固定IPアドレス
- 動的IPアドレス
- グローバルIPアドレス
- プライベートIPアドレス
ここでは先ほど紹介していない、他2種類について解説します。
グローバルIPアドレス
ネット通信があるすべての機器には、「グローバルIPアドレス」が割り当てられています。世界で常に独立した番号列のことであり、 インターネット上の他の通信機器と重複することはありません。もし、グローバルIPアドレスが重複した場合、他の通信機器を正しく識別することができなくなります。
プライベートIPアドレス
プライベートIPアドレスは社内や家庭内で利用されるネットワークです。ネットワーク内で重複することはありません。ただし、グローバルIPアドレスとは異なり、全世界で同じ範囲のものが使用されます。
世界で一般的に使用されているプライベートIPアドレスの範囲から、各組織が任意にその範囲を選択することができま す。 ただ住所の数は有限であり、すべての通信機器に一意のIDを割り当てることはできないため、内部(ホーム)ネットワーク内の通信機器には、世界共通のプライベートIPアドレスが使用されます。
しかし、プライベートIPアドレスでは、ネット上での通信は不可能です。つまりインターネット上で通信を行うためには、先ほどの世界で常に独立したグローバルIPアドレスが必要となります。
そこで、ルーターなどに搭載されているNAT(Network Address Translation)機能を利用して、プライベートIPアドレスおよびグローバルIPアドレスを相互に変換しているのです。つまりルーターは、内部ネットワーク内における通信と、インターネット上の機器との通信の間のトラフィックを整理する役割を担っています。
IPアドレスの枯渇問題
もう一つ関連して知っておきたいのが、アドレスの枯渇の問題です。従来のIPアドレスは、0から255までの4組の数字を割り当てるIPv4プロトコル(通信規約)をベースにしており、約43億個の組み合わせを管理することが可能でした。
しかし、スマートフォンやIoTの爆発的な普及と通信機器需要の拡大に伴い、利用可能な組み合わせの数が追いつかなくなったのです。そこで登場したIPv6は、最大43億×43億×43億の組み合わせを管理できる新しいプロトコルで、事実上無制限となりました。
ただし、IPv6を利用するには、インターネット回線がIPv6対応であることに加え、ISPがIPv6回線を用意したり、ルータがIPv6に対応していなければならず、まだ普及は遅れているようです。 ちなみに、過去に「IPv5」という規約がありましたが、実験的なプロトコルであったため、全く普及しませんでした。
今までのIPv4とこれからのIPv6
正確には、これまで使われてきたものは「IPv4アドレス」が中心でした。
しかし、今後は「IPv6アドレス」が主に使われるようになっていくでしょう。以下、2つの違いについて見ていきましょう。
IPv4とIPv6の違い
IPv4とIPv6が大きく異なるのは、利用できる組み合わせの数です。これまで使われてきた方法では、組み合わせは32ビット(=2進数32桁)で表現されます。そのため、使用可能な住所の数は32の2乗、つまり約43億となります。
一方、IPv6では、組み合わせを128ビットで表現します。IPv6に切り替えると、使用可能な組み合わせの数は比較にならないほど増えます。
IPv6が必要な理由
前述の通り、IPv4では、全世界で使用できる組み合わせの総数は約43億です。一方で世界の人口は約80億人であり、1人に1つの認証IDも割り当てることができません。
また、スマートフォンやゲーム機などインターネットに接続される機器は増加傾向にあり、IoTの発展により様々な家電やセンサーもネット通信に接続されるようになっています。IPv6では、約340垓通り(ほぼ無制限)を提供することで、住所不足を解消することが期待されています。
IPv6に対応するメリット
IPv6に対応する最大のメリットは、使用可能な組み合わせの数が増えることです。
しかし、IPv6のメリットはこれだけではありません。従来の「PPPoE」方式ではなく、「IPoE」方式でインターネットに接続することができます。PPPoEでは、ネットワーク終端装置(NTE)を使ってインターネットに接続しますが、この装置の仕様上、1台の装置でのセッション数が制限されているのです。そのため、トラフィック量の増加による速度低下の原因となっていました。
しかし、IPv6 IPoE接続では、より高速な通信を実現することができます。また、IPv6では、IPSecという通信暗号化プロトコルの利用が推奨されており、従来暗号化に対応していなかったトランスポート層やアプリケーション層でのデータ暗号化が可能となるため、セキュリティの向上も期待できます。
IPv6対応における留意点
IPv6に対応するためには、IPv6に対応したプロバイダーのサービスに加入し、IPv6に対応したルーターを使用する必要があります。逆に言えば、契約しているプロバイダーやルーターがIPv6に対応していなければ、IPv6を利用することはできません。
相互の通信が不可能な点も注意が必要です。現在、IPv4のみに対応しているWebサイトやWebサービスも多く存在します。そのため、IPv6を使って通信しようとすると、それらのWebサイトやサービスを利用することができません。
このようなIPv6に対応していないWebサイトなどをIPv6に対応させながら利用するために、「IPv4 over IPv6」という変換技術も利用されています。プロバイダーがIPv4 over IPv6に対応していれば、IPv6に対応していないWebサイトやWebサービスでも、IPv6に対応しながら利用することができます。
端末のIPアドレスの確認方法
パソコンやスマートフォンなど、通信端末のIPアドレスは、簡単な操作で確認することができます。以下では、お使いの端末で簡単に確認する方法をご紹介します。
全OS共通の簡単な確認方法
お使いの端末がインターネットに接続されている場合、調べてくれるサイトにアクセスすることで、簡単に確認することができます。端末がIPv6で接続されていない場合は、IPv6アドレスが検出されていない旨のメッセージが表示されます。
具体的な操作手順
IPアドレスの確認方法は、OSによって異なります。OSの機能を使って確認する場合、確認できる内容が、ネットワークへの接続方法によって異なりますのでご注意ください。
端末がルーター配下にある場合
端末に割り当てられたプライベートIPアドレスを確認することができます。
ルーターを介さず直接インターネットに接続している場合
端末に割り当てられたグローバルIPアドレスを確認できます。
IPv6アドレスが割り当てられている場合
端末に割り当てられたIPv6アドレスを確認することができます。
注)OSのバージョンにより、詳細な表記が異なる場合があります。
Windowsの場合
- スタートメニュー>「設定」>「ネットワークとインターネット」をクリックします。
- ネットワーク状態のメニューが表示されるので「プロパティ」をクリックします。
- 下にスクロールすると、端末に割り当てられているアドレスが表示されます。
MacOSの場合
- 「アップルメニュー」→「システム環境設定」→「ネットワーク」をクリックします。
- ネットワーク」メニューが表示されます。使用する接続の種類(「Wi-Fi」または「Ethernet(有線LAN)」)を選択します。
- 右下の「詳細設定」ボタンをクリックします。
- 「TCP/IP」タブをクリックします。
- 端末に割り当てられているアドレスが表示されます。
Androidの場合
- 「設定」→「Wi-Fi」をタップします。
- WiFiメニューが表示されますので、「接続中」と表示されたSSIDをタップします。
- 画面下部に、アドレスが表示されます。
iOSの場合
- 「設定」→「Wi-Fi」をタップします
- チェックマークがついたSSIDをみつけたら、右側の「i」をタップします。
- 端末に割り当てられているアドレスが表示されます。
SEO対策とIPアドレス
SEO対策を行う上で、注意するべきIPアドレスは、同じIPアドレス元からのリンクを大量に獲得しないことです。
同じIPアドレスは、その所有者が同一人物であるという事なので、同一人物より大量のリンクを獲得すると、自作自演や意図的なリンク獲得と認識されてしまい、SEOの評価を落とすことがあります。
注意するべきことは、外部からのリンクを獲得した場合、個々のIPアドレスが、ドメインによってきちんと違っているか確認することです。クラスCのIP分散であれば問題ないです。
まとめ