5W2Hとは?ホームページ作成前にする初心者のためのHP作成準備を解説
HP作っておいて
上司「お、君パソコン使えるんだ」
部下「そうですね。それなりには……」
上司「じゃあさ、うちの会社のホームページ作っといてよ!」
部下「えっ?!?!」
上司「うちもそういうのあったほうがいいかもって前々から思ってたんだよね~」
部下「いやでも僕ホームページなんて作ったことなくて……」
上司「パソコン使えれば大丈夫だって! じゃよろしく!」
部下「……」
ホームページを持っている企業がほとんど無かった時代にはあちらこちらでこんなやりとりが繰り広げられており、多くの方を悩ませていたという話を、そこかしこで耳にする機会が多かったように思います。
ですが最近はあまり聞かれなくなったようです。
その理由として考えられるのは、やはりホームページの普及率が向上したことにあるのではないでしょうか。
- インターネットの企業利用率は99.5%
- 自社ホームページを開設している企業は89.6%
とのこと。
9割の企業が自社サイトを持っているという状況。
既に自社サイトがあるならば、そもそも新たに作らなくてもよいわけですから、「HP作っといて!」という指示も必要ないということなのでしょう。
ですがこの調査結果の裏を返せば、1割の企業は自社サイトを持っていないということでもあります。
そのような企業の場合、上記のような会話が起きうる可能性は十分にあるのです。
(最近では、HP作っておいて!ではなくて、SEOをやっておいて!に様変わりしています。)
今回の相談者様もまた、上司からの急な無茶ぶりに頭を抱えてしまったお1人でした。
■相談内容■
いきなりHP作りを任された。まず何をすればいい?大変だった転職活動の末、社員数名のとある小さな企業へと中途採用が決定。地元に根付いた事業ということで運営が安定していそうでしたし、面接の時に職場の雰囲気がよさそうだったので、安心して入社の手続きを進めることにしました。
緊張しながら迎えた出勤初日。出社直後に社長に言われたのは「それじゃ、ホームページ作りは任せたよ」という一言でした。
社長によると、それまで会社には年配の社員ばかりで誰もパソコンのことがよくわからず、HPも何となく作れずにいたのだそうです。そこへ採用面接で来た私が「パソコンはそこそこ使えます」と言ったことから、HP作りを任せることにしたそうです。
私はパソコンを使えるといってもWordやExcelを人並みに使えたり、ネットで調べ物をしたり動画を見たりする程度で、ホームページなんて作ったことがありません。
社長はじめここの社員さんは皆いい人そうだし、どうにかしたいという気持ちだけはあるのですが、HP作成に関しては社内に頼れそうな方は誰もおらず……
この状況で、まずは何からすればよいでしょうか?
まずは状況を整理しましょう
今回の相談者様はHP制作未経験とのこと。
ましてや入ったばかりの企業でいきなり「HPを作って」と言われては、困ってしまうのも無理はないと思います。
そこでまず行ってほしいのが、情報収集です。
転職活動を行って入社されたとのことですから、ある程度は事前にその企業の事業内容は把握しておられるのではないかと思いますが、やはり実際の部分は入ってみないと分からない部分も多くあるでしょう。
幸い相談者様によれば「社員の皆様がいい人そう」とのことですから、質問もしやすい雰囲気なのではないでしょうか。
例えば
- どうしてHPがほしいと思ったのか?
- どんな感じのHPを希望するか?
- HPに載せてほしい情報は?
といったような内容であれば、パソコンに詳しくなくても回答しやすいかと思います。
同時に、状況を整理していきましょう。
情報を集め簡単にでも状況を整理・把握していくことで、何かしらの糸口が掴みやすくなるはずです。
ここからは状況を整理する方法について、もう少し具体的にご紹介したいと思います。
5W2H
目標までの道のりは「5W2H」で明確にななります。
「5W2H」というのは、ビジネスシーン全般でよく使われる情報整理のテクニックです。
- Why=なぜ(行う【目的・理由】)
- Who=誰(【誰】のために行うか)
- When=いつ(【いつ】までに行うか)
- What=何(これから行う【内容】の定義)
- Where=どこ(【どこ】で行うか)
- How Much=いくら(【いくら】で行うか)
- How=どのように(【どのような方法で】行うか)
上記を意識して情報収集・情報整理を行うことで、目標までの道のりが明確になっていくはずです。
場合によって多少違う使われ方をすることもありますので、今回は企業のホームページを新たに作成する場合における5W2Hの使い方の1例をご紹介しましょう。
基本は下記の順番に従って情報の整理を行っていくことになります。
ただし中にはその段階では決定できない事項(例:予算を先に決めないと内容(具体的に作成するサイトの詳細)を確定できない……など)が発生する場合もあるでしょう。そうなった時は、いったん他の決定可能事項を埋めてから改めて決定することで対応可能になるはずです。
1、Why=なぜ(行う【目的・理由】)
まずは何より「なぜ自社サイトを作ろうとしているのか?」「ホームページを作ってどうしたいのか?」という目的・理由を明らかにしましょう。
目的が固まらないことには、プロジェクト全体の方針を決めることはできません。目的が固まらずにふらふらしていても無駄な作業が増えるだけであり、貴重な時間や労力を棒に振ってしまいかねないのです。
早い段階で目的を固めることで、その後の方向性が明確になり、スムーズに事を運びやすくなるはずです。
<目的の例>
- 会社の信頼度や知名度をUPしたい
- 経営している実店舗に新たなお客さんを呼び込みたい
- サイトで直接ネット通販を行い収益を上げたい
目的決定時に最も気を付けたいのが、手段と目的とを間違えないようにすることです。
基本的にはどの企業も、収益を上げるために活動しています。自社サイト作成も例外ではなく、最終的に「ホームページ作成が会社の利益に繋がる」形でなければなりません。
直接サイトで何かを販売しているわけでなくとも、例えば「自社サイトの存在により会社の信用度が上がり、契約がとりやすくなった」などの形で収益に繋がるのであれば、サイトを作成する意味があるでしょう。
ですが、「サイトを作ること自体」が目的になってしまうと、サイトが完成した段階で完結してしまいます。それではサイト完成後に収益に繋げることが難しくなってしまう可能性があるのです。
なお、ホームページを作成したり、作成後に維持したりしていくためには、人件費やサーバー維持費をはじめとするコストが必要です。
業態・各企業の状況によっては、ホームページを作ったからといって収益に繋がるわけではありません。むしろ利益が減ってしまう可能性もあります。
この段階で「そもそも本当にホームページを作る必要があるのか?」ということ自体を考えてみてもよいでしょう。
また、そういったことを考えつつ冷静に状況分析を行うことにより、かえってホームページを持つことによるメリットが見えてくるかもしれません。
2、Who=誰(【誰】のために行うか)
サイトのターゲット、つまり「誰のために作るサイトなのか」ということもこの段階ではっきり意識するとよいでしょう。
サイト掲載内容も、目を引くためのキャッチコピーも、ターゲットによってかわってくるでしょう。
最初からターゲットを意識することで、より相手の興味を惹きやすいサイト作りが可能となるはずです。
3、When=いつ(【いつ/いつまでに】行うか)
続いてはサイト開設予定日(運営開始日)を設定しましょう。
ホームページ作成というのは、ある意味きりがない作業です。確かに時間をかけたほうがより良いサイトになりやすいですが、だからといって「まだ納得のいくものが出来ていないから……」と延々と作り続けているようでは、いつまで経っても公開することができません。
公開しなくてはホームページはその力を発揮することができません。
しかもホームページは公開後でも修正が可能です。それなりのクオリティ&必要項目をカバーしたサイトができているのであれば、サイト公開後の閲覧者の反応を見てから修正の方向性を決定したほうが、かえって効率がよい場合もあります。
また何らかのイベントに公開時期を合わせたり、他の作業との兼ね合いで作成にかけられる期間が自然と決まったりというケースもあります。
もしくは先にある程度、作成するサイト内容・担当者を決めてから開設予定日を確定するというやり方もあります。
もしデザインなどを社内スタッフや外注先などへお願いするのであれば、各担当者へ「この作業はいつまでに終えることができるか?」をたずね、それをふまえて無理のない予定日を設定できるのが理想です。
4、What=何(これから行う【内容】の定義)
次は「何をするか」という内容を決めましょう。
サイトの方向性は、目的やターゲットによっておのずと決まってくるはずです。
<会社の信頼度を高めることを目的としたHPの方向性の例>
これから取引を行う可能性がある他企業の担当者に信頼してもらえるサイトにしたい
- 信頼感があるしっかりかっちりとしたデザイン
- 会社概要や所在地などの必要な情報を見やすく掲載
<会社の認知度を高めることを目的としたHPの方向性の例>
競合多数の業界のため、とにかく印象に残るサイトにしたい
- 訪問時にまず目にするトップページのインパクトを重視
- 実績やキャッチフレーズをPRできるよう分かりやすく掲載
だいたいの方向性が決まったら、次はその中身をもっと詳しく考えましょう。
今回はホームページを作成するわけですから、以下のような内容を考える必要があります。
- サイトは全部で何ページか?
- どんなページが必要か?
(例:TOPページ/会社概要ページ/お問い合わせページ……等) - 各ページに載せる情報は?
(例:TOPページなら、サイト説明/各ページへのリンク……等) - どんな画像が必要か?
(例:会社のロゴ/ヘッダー画像/会社の外観写真……等)
もしどんなページを作ったり、どんな情報をのせていいか分からなかったりする場合、他社のサイトをいくつか参考にしてみてもよいかもしれません。
おそらく似たような業種の場合、サイトに掲載している情報の種類はおのずと似てくるはずです。
作業内容をしっかり細かく決めておくことで「やるべきこと」が見えてくるため、後々の作業の効率化を図ることができるでしょう。
サイト内容は、開設予定日をふまえて実現可能なものにしましょう。
各担当者が無理なく作業を進められる内容や工程を組んでいく必要があります。
もし部分的にでも外注を考えている場合、「いったん内容をざっくりと決めたら、まずは先に予算を確定(後述します)させ、その後に改めて予算に応じて内容を最終確定する」などのやり方も可能ですから、状況に応じて柔軟に対応していきましょう。
特に初めてサイトを作る場合、どこで時間をとられるかは未知数です。
凝ったサイトを作ったからといって収益につながるとは限らず、テンプレート通りのシンプルなサイトのほうがかえって情報が見やすくまとまっていて事業としてはプラスになることだって珍しくありません。
それにあまりにも複雑な構造にしてしまうと、そのぶん更新やメンテナンスにも時間をとられてしまいます。サイト構成を考える場合、開設後の運営についても視野に入れておかねばならないのです。
初心者が1人で作るのであれば、最初のサイトはなるべく最小限のボリュームにし、サイトページの作成や運営に慣れてからページを追加したり、必要に応じてサイトリニューアルを行ったりするのもよいでしょう。
なお近年のホームページはレスポンシブデザインが喜ばれる傾向にあります。
レスポンシブデザインとは?
PCだけではなく、スマホやタブレットといった様々なサイズの画面での閲覧に対応しているデザインのこと。レスポンシブWebデザイン、レスポンシブウェブデザインなどと呼ぶことも。
特にスマホユーザーが多い時代ですから、スマホから閲覧した際に「見づらい」と思われるサイトは敬遠されてしまいます。
サイトデザインを考えたり、テンプレートを選んだりする際は、レスポンシブを意識するようにしましょう。
5、Where=どこ(【どこ】で行うか)
サイトの公開・宣伝などを行う場所についても考えましょう。
一般的な企業ホームページの場合、誰でも全ページ閲覧可能な状態で公開するケースが大半ですが、中には一部のページを限定メンバーのみへの公開としている場合もあります。
また、サイトを公開しただけでは訪問してもらうのが難しいことが多いです。
そのため、例えばSNSでサイト開設のお知らせをしたり、名刺や広告チラシにホームページのURLやQRコードを掲載したりなど、サイトの告知も合わせて行うようにしましょう。
6、How Much=いくら(【いくら】で行うか)
ある程度でもサイトの内容が決まれば、予算についても検討しやすくなるはずです。
仮に全く外注をせず、ご自身が1人で作成するとしても、WEBサイトを作成・運営するためにはある程度費用が必要な場合もあります。
<必要な費用の例>
- サイト作成/管理作業等の外注費用
- ドメイン費用
- サーバー費用
- 画像等コンテンツ使用料
最近では無料HP作成ツールも多くありますが、「無料だと独自ドメインが使えない」などのデメリットがある場合も。様々な選択肢のメリット・デメリットを確かめた上で、必要に応じて費用を検討していくのが理想です。
7、How=どのように(【どのような方法で】行うか)
上記の内容をふまえ、具体的にどのような方法で作成していくかを決めます。
ここでは細かくはご紹介しませんが、サイト作成には「サーバーを借りるところから自力で全て行う」「無料ツールを使用する」「全て外注する」など様々な方法があります。参考にできるものはたくさんありますから、ネットで検索したり、HOW TO本を読んだりで調べることが可能なはずです。
まとめ