近年の家電市場は、縮小傾向がみられます。しかし、家電の物販ではEC化が進んでいて、年々、家電EC化率と家電EC市場規模が拡大しています。とくに、コロナ禍とアフターコロナ化の両方の時期において、家電EC市場が伸びている状況には目を見張るものがあります。

その一方で、中小企業や個人事業主が家電を販売する場合、実店舗、家電ECサイト、ECモール、フリマアプリなど、さまざまなチャネルがあります。しかし、EC化が進み消費者の奪い合いが激化している市場下では、いずれのチャネルの場合でも、SEO対策をはじめとしたWEB施策で集客することが急務となってきます。

家電販売とSEO対策をテーマに解説します。とくに、街の電気屋さんや中小企業で家電ECを運営している方は、本記事を参考にして集客に役立ててください。

家電の販売でSEO対策すべき理由

家電市場規模は、全体でみると微減しています。しかし、不況に強い白物など、堅調に推移する製品も存在します。そして、家電販売ではEC化が進んでいて、家電ECの数と市場が大きく伸びています。そんななか、街の家電屋さん、家電ECサイトのいずれの販売形式をとるにせよ、SEO対策をはじめとしたWEB集客が重要になります。

家電市場は微減しているものの、生活家電が堅調に推移

市場のデータ分析などをおこなうGfK/NIQ Japanは、2024年上半期（1-6月）の家電およびIT市場の販売動向を発表しました。それによると、2024年上半期の家電市場規模は、前年比の89%と減少したとのことです。

また、近年の家電市場をみてみると、2021年には、コロナ禍による巣ごもりや在宅ワーク化で特需が発生し伸びをみせました。しかし、2021年以降の市場は、特需の反動で前年割れが続いています。このほか、マイナスの要因としては、物価高や国内の人口減少なども挙げられます。

その一方で、一般社団法人日本電気工業会では、2024年の白物家電と呼ばれる生活家電の国内出荷台数が微増するとみています。たとえば、冷蔵庫や洗濯機の出荷台数は前年並み、エアコンは、前年比101.9%で着地すると見通しています。白物家電は、生活必需品にあたり一定期間ごとの買い替えが不可欠な製品です。そのため、白物家電が不況の時期に強いジャンルといわれています。

家電市場のEC化率とEC市場規模が過去最大に

経済産業省によると、家電市場のEC化率が全体の42.88%にのぼっているとのことです。つまり、家電製品の全体の売上のうち、4割以上がECショップのものということです。こうしたことから、家電EC市場規模は、年々拡大をみせています。

2019年から2020年に大きく数字を伸ばしているのは、コロナ禍に突入し、巣ごもり生活化したことから家電物販のEC化が進んだためです。さらに、アフターコロナの時期において、家電市場全体では前年割れが続いていますが、家電EC市場に限ると規模が拡大しています。

そのため、家電通販サイトとしては、競合が増加していて顧客の奪い合いが激化しています。一方、街の電気屋さんなどの小規模の家電販売店としては、通販サイトに顧客が流れていて、店舗集客が急務となります。

家電販売向けのSEOキーワードの例

家電を販売するための店舗サイトやECサイトに適切なキーワードをご紹介します。キーワードをピックアップしつつ、検索回数や検索結果を踏まえて解説していきます。

関連記事：SEOキーワードの選び方とは

※本項目で記載する検索ボリュームは、原則として2024年10月単体のもの

家電関連のキーワードの検索結果では、家電量販店や電機メーカーのサイト、ECサイト、ポータルサイトなど多数の大手サイトが入り乱れています。こうしたことから、上位表示の難易度がとても高いジャンルといえます。そこで、原則的には、ロングテールキーワードを狙っていく手法が適切といえます。

家電の販売方法

家電の販売方法は、実店舗と通販の2通りあります。たとえば、前者では家電量販店や街の電気屋さんなど、後者ではECショップやカタログ通販、テレフォンショッピングなどが挙げられます。検索ユーザーは、家電を購入する際に、販売方法を検索キーワードにすることがあります。

販売形式によって検索結果が大きく異なります。まず、店舗探しを目的とした「家電量販店」のキーワードでは、店舗情報を集めたポータルサイトのまとめ記事が目立ちました。このほかでは、「家電を安く買うには？」といったハウツー記事が露出しています。一方、「家電通販」や「家電」のキーワードでは、決済機能を有したECサイトが多数ランクインしています。とくに、大手家電量販店系の通販サイトのヨドバシ.com、ケーズデンキオンラインショップ、ノジマオンライン、ビックカメラ.com、ヤマダウェブコムが並びました。

家電製品の種類

家電製品には、さまざまな種類があります。そして、経済産業省によって、下記のように商品分類されています。

一般的に、家電製品を探す人は、「掃除機が故障したから買い換えたい」といったように、具体的にどの製品を購入するかを決めています。そのため、下記のようなキーワードが検索されます。

全体的に、家電量販店系の通販サイトのほか、Amazonや楽天市場といった大手通販サイトが目立ちました。このほか、価格.comの比較記事もほぼすべてのキーワードで上位表示しています。また、キーワードによっては、中古系の販売サイトや家電修理サービスサイトの露出もみられました。

電機メーカーやブランド名

家電製品は価格が高く、消費者にとっては大型の買い物になります。そのため、家電製品を製造する電機メーカーや製品ブランドにこだわるケースが散見されます。このとき、検索ユーザーは、電機メーカーやブランド名とセットで家電製品を検索します。

検索結果では、電機メーカーの案内や通販ページがもっとも目立っています。次いで、大手ECサイトが上位表示しています。このケースでは、指名検索となる都合上、上位表示の大半が電機メーカーやブランドのサイトとなっています。そのため、中規模以下のECサイトや家電販売店のサイトで上位表示することは極めて困難です。

生活環境や利用シーン、家電製品の仕様

検索ユーザーは、比較サイトや製品紹介ページなどで情報を取得し、あらかた目当ての製品を決めていきます。たとえば、「一人暮らしをはじめるから、一通りの家電を揃えたい」といったときには、「一人暮らし セット 家電」のようにキーワードで検索します。

このうち、「一人暮らし セット 家電」と「新 生活家電 セット」の検索結果では、家電セットを販売するECサイトが上位表示を占めています。そして、「一人暮らし セット 家電」の検索ボリュームをみてみると、2024年10月時点で2万2,200回となっています。しかし、新生活がはじまる直前の2024年3月時点では、4万9,500回に達するなど、時期や季節によっても検索ニーズが大きく変化することがわかります。

また、消費者の環境や目的によって、製品の仕様が検索キーワードになるケースがあります。たとえば、「冷蔵庫を置くスペースの寸法の都合上、小さめの製品がほしい」のような場合、下記のように検索されます。

検索結果では、おすすめの冷蔵庫を紹介するまとめ記事、製品決済ページなどが上位表示されています。また、「冷蔵庫 右 開き」のキーワードでは、冷蔵庫の仕組みや「左開きとどちらがおすすめか？」といった解説記事が上位表示しています。つまり、キーワードの性質によっては、製品のコラム記事を作成することでSEO対策になりえるということです。ただし、競合サイトのドメインパワーが大きいため、現実的にはロングテールキーワードを設定しないと上位表示は難しいと推測されます。

家電製品の費用に関するキーワード

家電製品は全般的に価格が高い傾向にあるため、できうる限り安い費用で購入したいというニーズがあります。そのため、「安い」「激安」などのキーワードが検索されることがあります。

検索結果では、中古製品を扱うECサイト、安さをウリにする製品を扱うECサイトの上位表示が目立ちました。この結果からは、こうしたECサイトでは、データベース型SEOを組み込む際などに「安い」といったキーワードを設定することが重要だとわかります。

実店舗を置く地域キーワード

家電の物販においては、実物を目で見て購入を判断したい人がいることから、実店舗を探すニーズも存在します。そこで、実店舗で家電製品を販売するケースでは、地域キーワードを設定することが重要です。また、電機メーカーの家電製品正式取扱店として、街の電気屋さんのように活動している場合は、「○○市 （※電機メーカー）」の要領でキーワードを設定してください。

まず、「家電」のキーワード検索結果をみてみると、ポータルサイトのまとめ記事や家電店舗のページが上位表示されています。このうち、家電店舗ページでは、ヤマダデンキなどの大手家電量販店の店舗案内ページで上位表示が占拠されています。一方、「パナソニック」や「加湿空気清浄機」のキーワードでは、街の電気屋さんとして活動する、パナハートアサヒの店舗の案内ページが上位表示しています。この結果をみると、街の電気屋さんのケースでは、地域キーワードを設定すると、SEO対策として一定の効果を見込めるとわかります。

家電販売で効果的なWEB集客の手法

一般的なSEO対策を除いたとき、家電を販売する際には、下記のようなWEB施策が効果的です。

さらに、家電販売のチャネルによって、適切な施策がわかれていきます。自社でECサイトを運用するケース、モールECサイトを利用するケース、実店舗を構えるケースで、それぞれ相性がよい施策は下記のとおりです。

また、下記リンク先の記事では、ECサイトでSEO対策するやり方をご紹介しています。SEO対策全般の知識を深めたい方はチェックしてください。

関連記事：ECサイトのSEO対策

ポータルサイトに店舗やECサイト、モールECショップ情報を掲載する

家電関連のキーワードを検索すると、大手ポータルサイトや比較サイトが上位表示するケースが多々あります。そのため、家電店舗や家電ECサイトの情報を掲載できると、一定のアクセス流入を見込めます。家電関連のまとめ記事の場合、大きくわけて、実店舗紹介型の記事とECページ紹介型の2つのパターンがあります。まず、実店舗紹介型のタイプのポータルサイトをみていくと、下記のようなメディアが存在します。

一方、ECページ紹介型のメディアとしては、価格.com家電が挙げられます。同メディアでは、価格を比較するページを設置しています。そして、そのページに、外部ECの製品ページを掲載する広告プランを用意しています。「月額の基本料金1万円+クリック数」の月額制と成果報酬式を組み合わせた料金プランです。家電ECサイトとしては、自社が販売する家電製品の利益が広告料金を上回ると見込まれるのであれば　集客ツールとして役立ちます。

データベース型SEOを取り入れる【ECサイトのケース】

家電ECサイトは、製品情報のページを太陽に生成するという性質上、データベース型サイトのSEO対策と相性がよいです。データベース型サイトとは、サーバーのデータベースに登録した情報（製品名や価格、スペックなど）をもとにWEBページを自動で生成する仕組みのことです。なお、東京SEOメーカー（本サイト）でもデータベース型サイトのSEO対策の相談を受けています。本施策が気になる方は、下記ページからお気軽にお問い合わせください。

>>データベース型サイトのSEO対策サービス

モールECサイト内でSEO対策する【モールECサイトのケース】

オンラインで家電を販売する場合、モールECサイト内のテナントにECショップを置く手法があります。モールECサイトを利用すると、自社でECサイトを構築する必要がなく、かつ、原則的にGoogle検索エンジンに対するSEO対策が不要といった利点があります。そして、有名なモールECサイトには、下記のようなものがあります。

こうしたモールECサイト内に家電商品を出店するとなると、今度はモールEC内でSEO対策して、自社が販売する製品ページが表示される機会を増やすことが重要になります。そして、そのテクニックは、モールECごとに異なります。それぞれの詳しいSEO対策のやり方については、下記ページで解説していますので参考にしてください。

店舗情報をGoogleビジネスプロフィールに登録する【実店舗のケース】

街の電気屋さんなど、実店舗に集客することが重要ですので、Googleビジネスプロフィールを利用すると効果的です。Googleビジネスプロフィールとは、店舗や施設情報をGoogleマップなどに掲載できるサービスのことです。そして、この施策のことは、ローカルSEOの一環に位置付けられ、MEO対策と呼ばれます。Googleビジネスプロフィールの詳細は、下記ページで詳しく解説しています。

関連記事：Googleビジネスプロフィールとは？

よくある質問（Q＆A）

家電販売のSEO対策に関する、よくある質問をまとめています。
 

まとめ

コロナ禍の特需反動で、近年の家電物販市場は縮小が続いています。このほか、家電販売のEC化が進んでいて、2023年には家電ECの市場は全体の4割を超えるほどに成長しています。そして、家電ECの数が増えていますので、必然的に消費者の奪い合いが激化しています。そんななか、とくに、街の電気屋さん、家電EC事業を手がける中小企業にとっては、顧客の確保が求められています。WEB施策の面で悩んでいる方は、まずは、SEO対策やWEBマーケティングの専門会社に相談することを検討してください。

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