ECサイトとは?ECサイトの種類とビジネスモデルから制作と集客まで解説
インターネットの成長とスマートフォンの普及に加えコロナ禍が追い打ちをかけ消費者の買い物の仕方が大きく変わりました。オンライン上で買い物ができる「ECサイト」からの購入者が増えました。実店舗に足を運ばずにスマホやPCで商品を購入する流れが主流となってきました。
また企業にとっても、自社の企業価値を上げていくために自社ECサイトを構築することは有効です。実店舗を構えるだけでなく、世界中のユーザーを相手に商品を販売できるECに参入する事業者はますます増加しています。
しかし、Amazonや楽天市場などオンライン物販の大手プラットフォームが存在する中、自社のECサイトで売り上げを上げていくには、よほどSEOで成功するかニッチな市場でない限りかなり厳しいです。
消費者と事業者の多方面にメリットのあるオンラインショッピングを可能にするのが『ECサイト』です。今回は、そんなECサイトの種類とビジネスモデルから、実際の制作方法やECサイトのSEOやWEB集客までを解説します。
ECサイトとは
ECサイトとは、「インターネット上で買い物ができるウェブサイト」のことをいいます。インターネット上で電子商取引を行うウェブサイトの総称で「electronic commerce」の略称でもあります。ECサイトの種類は多岐にわたり、ネットショップやオンラインストアと呼ばれる、インターネット上で商品を購入できるウェブサイトは、すべてECサイトといえます。その他、オークションサイト、コンテンツ配信サイト、オンライントレードサイトなどもECサイトに含まれます。
日本国内のEC市場規模
2022年現在、日本のEC市場は右肩上がりの成長を続けていると言えます。いつでも、どこでも買い物ができるネットショップは、多様化する生活者のライフスタイルにマッチしており、新規参入企業も増えていることから、市場での競争は年々激化する傾向にあります。
またEC市場を使用する際の端末は、PCではなくスマートフォンの割合が年々増加しています。経済産業省が発表した「平成32年度産業経済調査委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2015年のスマートフォン利用者は3割弱でしたが、2020年には約50%以上がスマートフォンを利用するようになっています。この背景には、スマートフォンアプリの利便性や、スマートフォンを活用したマーケティング施策の展開(SNS、プッシュ通知など)が挙げられます。また、世代を問わずスマートフォンユーザーが増加しており、これらの背景もECサイトの市場規模の伸びの要因になっていると言えます。
ECサイトの種類とビジネスモデル
ECサイトは、大きく分けて以下の5つのタイプに分類されます。それぞれのタイプによって特徴や始めやすさに差があります。また事業規模もそれぞれ異なりますが、まずはビジネスモデルの視点から次の5つのECサイトについて特徴を見ていきましょう。
自社店舗ECサイト(BtoC)
自社でECサイトを構築するタイプです。ECサイトの機能やサービスは自社独自のものにすることができますが、システムやセキュリティも自社で管理する必要があります。ただし、ECサイトがパッケージやASP、SaaSを利用し、システム提供者が運用・保守・セキュリティ対策を管理する場合は、EC事業者が管理する必要はありません。
自社サイト型のメリットは、オリジナリティのあるブランディングがしやすいことです。
ファンを作り、顧客を増やすことで、リピーターの増加、価格競争、口コミや紹介による購入の増加などが期待でき、安定した売上を上げることが期待できます。一方で自社でホームページを構築・運用するには時間と手間がかかり、また、構築しても思うように集客できない可能性があります。ただしシステム提供者に支払う販売手数料は、後述のショッピングモール型に比べると低く、あるいは決済を必要としないサービスも多いため、利益を出しやすいタイプと言えます。
BtoB型、DtoC型 ECサイト
BtoBのECサイトとは、文字通り法人をターゲットとしたものです。特定企業との契約のために設計されたものはクローズド型と呼ばれ、一般的な検索からはヒットしないなどの特徴があります。一方でスモール型と呼ばれるものはBtoCのECサイトとほぼ同じ作りで、対象を企業にしている点が異なります。これは営業コストを下げるため、大手得意先企業には対人で営業をかけ、その他の相手先にはECサイト経由で商品にアクセスしてもらう狙いがあります。
またDtoCのECサイトとはディレクター直販という意味で、メーカーが企画・製造した自社の商品を、店舗など中間に位置する業者を介さず、直接消費者に販売するビジネスモデルです。SNSの浸透も後押しとなって、YoutubeチャンネルやInstagramなどを通じてブランドイメージを直接的に消費者に届け、ファンを作る方法も主流になってきています。
オムニチャネル ECサイト
オムニチャネルとは、ECサイトだけでなく、メールやアプリ、SNSなどのオンラインチャネルと店舗などのオフラインチャネルを連携させ、ユーザーとの接点を増やし、さまざまなアプローチで購買体験を提供し、全体の売上向上を目指す販売戦略のことを指します。例えば、ECサイトで購入した商品を近くの店舗で受け取る、店舗で貯めたポイントをECサイトで利用する、配布されたクーポンを実店舗で利用するなど、ユーザーとの接点を増やすことができます。
よく似た仕組みにマルチチャネルがあり、これはECサイトや実店舗など複数の販売チャネルをユーザーに提供することで、販売機会を増やす戦略です。一見するとオムニチャネルと似ているように思えますが、マルチチャネルでは、各チャネルは連動しておらず、独立しています。例えば、マルチチャネルの場合、実店舗とECサイトの間で在庫や顧客情報が連動していません。O2Oとは、ECサイトなどオンラインで得た顧客を実店舗に誘導することで、実店舗の客数を増やそうとする戦略です。
ショッピングモール ECサイト
ECモールとは、複数の店舗が集まって一つの大きな店舗を形成しているECサイトです。インターネット上の百貨店やショッピングモールと考えるとわかりやすいかもしれません。
例えばアマゾンジャパン株式会社が運営するマーケットプレイス型ECモールです。現在、月間利用者数は楽天市場を抜いて日本一に拡大しており、集客力では業界トップクラスのECモールです。
他にも楽天市場は、楽天株式会社が運営するテナント型ECモールです。日本におけるECモールの草分け的存在であり、Amazonに次ぐ月間利用者数を誇っています。手厚いサポート体制がある一方で、出店料がかかるため、ある程度の出店経験がある方に好まれる傾向があります。
Yahoo!ショッピングは、ヤフー株式会社が運営するテナント型ECモールで、2013年に出店料と月額利用料を無料化してから、圧倒的な店舗数を誇っています。
越境グローバル ECサイト
オンラインショッピングを国や地域をまたいで扱えるのが越境ECサイトです。簡単に言えば、海外の顧客がインターネットを通して、日本のECサイトで買い物をすることができます。海外からの送客を見込めるため注目が集まっている一方で、実際に商品を送るときに輸送費が高くついてしまうなどのデメリットもあります。
ECサイト制作方法
ECサイトを制作するにはいくつかの方法があり、企業によって適切な方法は異なります。自社の予算やサイト開設の時期などの状況に照らし合わせて、それらを確認していきましょう。今回は、ECサイト制作の主な方法である以下の4つの方法と、おすすめの企業の特徴を紹介します。
- フルスクラッチ
- パッケージ
- オープンソース
- ASP
フルスクラッチ
すべてを一から構築する方式です。数千万円の予算で巨大なECサイトを作るのに向いていますが、自由度が極めて高いため工期は1年以上かかることが多いです。サイト構築には高い専門性が要求され、参入のハードルは高いと言えます。
フルスクラッチでの構築では、サイトのレイアウトからサーバーまですべて自前で用意する必要があります。Webデザイナーやサーバーサイドエンジニアやプロダクト管理など、プログラミング以外にも重要な仕事が発生するのが特徴的です。
パッケージ
オープンソース型のパッケージ版であり、カスタマイズも比較的容易です。対応可能なビジネス規模の幅も広がるので比較的導入しやすいですが、構築や更新にはコストがかかることが多いです。以下に5つのECパッケージを紹介します。
オープンソース
一般に公開されているソースコードを使って、ユーザー自身がECサイトを構築するタイプです。ASP型に比べて自由度が高い反面、作成するサイトによっては多大な費用と時間、ノウハウが必要になる場合があります。WordpressのWelcartなどで作るECサイトがオープンソースのECサイトです。3つのオープンソースのECサイトの例を3つ以下に上げます。
- EC-CUBE
- Magento(マジェント)
- WordPressのWelcart
ASP
初心者向けですが、個人商店であるため、モール型のように価格競争は起こりにくいです。比較的自由にカスタマイズできるのが特徴的な一方、無料版と有料版とで機能に差があることもあります。
ECサイトに必要な機能
ECサイトを立ち上げる際に必要な機能は、大きく分けてフロントエンド(ユーザー側)とバックエンド(店舗側)の2種類があります。これらの機能は、ECサイトマーケティングに欠かせない機能です。 ECサイト運営におけるフロントエンドとは、実際にユーザーと接する機能を指し、バックエンドとは、サービスを維持する機能を指します。
ECサイトには、消費者のユーザビリティの観点から見て大きく「モール型サイト」と「自社ECサイト」の2種類に分けられます。モール型サイトとは、Amazonや楽天市場など、複数の店舗で構成されるサイトのことです。これに対し、自社ECサイトは、自社商品を扱う企業独自のサイトです。 ただし、モール型サイトも自社ECサイトも、ECサイトに求められる機能はほぼ共通しており、求められる機能に大きな差はありません。
UI・UX部分
UIとは「User Interface(ユーザーインターフェイス)」の略称です。つまり実際にECサイトを利用するユーザーから見て、どのくらい使いやすいかに直結する要素と言えます。UXは、ユーザーエクスペリエンスです。ECサイトでは、購入しやすい導線と使いやすいユーザビリティが求められます。
おすすめ記事:ユーザーエクスペリエンス(UX)とは? UIとの違いやUXを高める方法を解説
商品検索
まずは商品検索の機能です。欲しいものを検索したらすぐにアクセスできるよう、商品のカテゴリ分類やキーワードのタグ付けなども必要となります。
また商品ランキング機能も検索に不可欠です。人気があるということはそれだけ品質が良いということでもあるので、どの商品が人気なのかを知ることができるランキング機能を見てユーザーは上位の商品を購入する傾向があります。
ユーザーの満足度を高めるためにも、検索した際にランキング順に表示されるなど、人気順位との紐付けは有効な方法となります。
ショッピングカート
ユーザーが欲しい商品をショッピングカートに入れることができる機能です。ショッピングカートを使えば、利用者が商品を買い物かごに入れた後、購入せずにそのままにしておくことができます。
またECサイトでユーザーが商品を購入するためには、独自の決済サービスや決済代行サービスを利用して、最適な決済方法を導入する必要もあります。決済方法には、クレジットカード、代金引換、コンビニ後払いなどがあり、ECサイト3大決済、キャリア決済、QRコード決済とも呼ばれています。
ショッピングカートと決済のスムーズな連動などの機能はセットで考えておく必要があります。
会員ページ
会員ページによって、過去の購入履歴や閲覧した商品にアクセスすることができるようになります。またソーシャルログイン機能を実装できれば、様々なSNSと連携することが可能です。多くの人が利用し、手軽に情報を発信・拡散できるSNSの影響力は非常に大きいため、ソーシャルログイン機能を設け、SNSやWebサイトと連携させることで、より多くの人に商品を知ってもらうことができます。
コラム
コラムの掲載などができるコンテンツ機能では、商品画面だけでは伝わりにくい情報を発信することができます。ブログ機能などのコンテンツ機能により、企業は自社製品をアピールすることができます。ただ単に商品にアクセスできるだけでなく、より商品を購入したくなるような仕掛けとして、ユーザーにより多くのメリットを伝えることができる必要な機能です。コラムによるコンテンツマーケティングと商品ページへの内部リンク構築がSEOで成功するには必要です。
ECサイトの管理側機能
管理側の機能も見ていきましょう。バックエンドとも呼ばれ、ECサイトのサービスを維持するための機能になります。バックエンドがしっかりと構築されていれば、ECサイトをスムーズに運用することができ、結果としてユーザーの満足度を高めることができます。
コンテンツ管理
コンテンツ管理機能とは、商品画面だけでは伝わりにくい情報を発信するための機能です。ブログ機能などのコンテンツ機能により、企業は自社製品をアピールすることができます。ユーザーにより多くのメリットを伝えるために必要な機能です。
商品管理
商品管理は、自社商品の在庫を管理する機能です。在庫を管理することで、不足している商品を入荷したり、売れ行きの悪い商品の入荷を抑えたりすることができます。在庫管理は企業運営上、非常に重要であるため、細かな在庫管理機能が必要です。
受注管理
ユーザーから購入した商品を管理するために必要なのが、受注管理機能です。受注管理を行うことで、ユーザーに確実に商品を届けることができるだけでなく、購入商品を集約することで人気商品の傾向を把握することもできます。
顧客管理
顧客管理機能には、メールマガジンや問い合わせ管理機能などがあり、ユーザーの囲い込みやトラブル回避のために必要な機能です。メールマガジンを配信することで、キャンペーン情報やクーポン、広告などを配信することができ、問い合わせ管理機能を設けることで、ユーザーとのトラブルを未然に防ぐことができます。
会員管理
会員管理も重要です。ECサイトの運営には、リピーターを獲得することが重要ですので、ECサイト利用者に会員登録を促すなどして、メールアドレスを取得し、顧客情報を得ることが必要です。メールアドレスを取得すれば、新商品の情報やクーポンを配信することも可能になります。
ECサイトの集客方法
ECサイトの集客を増やしたいとき、いくつかの方法があります。主なものとして、以下の3つが挙げられます。一番重要なのは、商品力のある商品の丁寧に細かい情報を伝えるページを作る事です。コンテンツに力を入れてWEB集客に取り組んでいきます。
SEO
SEO対策はECサイトの重要な集客方法です。何かを購入したいときに、スマホやPCでインターネットを使いキーワードを検索するユーザーは多くいます。そのため、サイト内に商品ページやお役立ち情報など、狙いたいキーワードに応じたコンテンツを作成することで、ユーザーにとって有益な情報(コンテンツ)を持つサイトとして高く評価され、検索結果の上位に表示されることが期待されます。検索結果の上位に表示されるほど、クリック率が高くなるため、それに連動して集客力も高まります。SEO対策には、キーワードの最適化、ブログ記事の作成、カテゴリの最適化など様々な方法がありますが、Googleは定期的にアルゴリズムを更新しているので、最新の情報に注意を払って優先的にSEO対策を行う必要があります。
WEB広告
インターネット上の広告を3つご紹介します。
- リスティング広告
- アドネットワーク広告
- 動画広告
例えば、リスティング広告は検索結果の上位に表示され、ECサイトへの流入を増加させる効果が期待できます。アドネットワーク広告は、Google広告以外に他のポータルサイトでも表示される広告ですが、バナー広告などでリターゲティング広告としても活用できます。リターゲティング広告では、動画広告なども配信しリード獲得することも良いです。
SNS広告
SNSは、現在最も効果的な広告ツールの一つです。若い人を中心に、情報を得たいときにSNSを利用する人が増えています。良いクチコミが投稿され拡散されれば、集客に大きな効果を発揮することができます。公式アカウントを作成し、積極的に情報発信することで、より集客の後押しとなるでしょう。
おすすめ記事:SNS広告の種類と運用時の注意点からポイントまで徹底解説
ECサイトを安く構築するには
ECサイトを構築するにはIT導入補助金の活用ができます。IT導入補助金のベンダーに登録されている事業者(東京SEOメーカーも事業者として登録)にECサイトを発注すれば、最大450万円の補助金を獲得できます。
スクラッチでのECサイト構築は対象外のため、ASPやオープンソースでECサイトを構築することになります。ECサイトをリニューアルする場合はIT導入補助金の対象外のため新規のECサイト作成のみです。IT導入補助金の対象や条件は変更になったりしますので最新の情報は、IT導入補助金2022で確認しましょう。
まとめ